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エドワード・ルトワック博士が語る
中国が「自滅」する理由 日本は東アジアで何をすべきか
2014.05.28(水)松本 太
ずいぶん久しぶりに、日本が直面する大きな課題について、文字通り地球儀を俯瞰しながら話せる人物と知り合いになった。その人は、いくつかの全く異なる言葉を母国語のように操りつつ、筆者に、マシンガンで「知恵」の弾丸をぶつけるかのごとく語りかけてくる。
知恵の塊というのは、このような人物のことを言うのだろう。
アジアから中東、歴史から文学まで縦横無尽に語る。ウクライナにおけるロシアの「モンゴル的資質」を語ったかと思えば、戦争をしても残虐なことは決してできない、エジプト人の「農民的」な性格について、冷血なシリア人の性格と対比しながら解き明かす。
そう、アメリカの戦略論の碩学、エドワード・ルトワック博士である。日本では『自滅する中国』(芙蓉書房出版)という簡潔で分かりやすい戦略の本を書いた人物として知られている。
生死ぎりぎりの体験に裏付けられた知恵 ルトワックの人物像を一言で説明することは実に難しい。象牙の塔で本ばかり読んでいるような、ブッキッシュな知識人ではないからだ。
もともとルーマニアの富裕なユダヤ系家庭に生まれたルトワックは、第3次中東戦争や第4次中東戦争にも、イスラエルの一兵士として参加している。アラビア語で筆者と会話を始めると、戦争中に教養豊かなシリア人を尋問したので古典アラビア語をよく学べたと、嬉々として言う。
1982年のイスラエルのレバノン侵攻でも、斥候兵としてPLOから奪った車に乗り込み、ベイルートを越えて、レバノンの北部まで進出し、ライフルを担いで行く手に潜む敵を制圧したという。
イラク戦争後には、クルド地域のエルビルからバグダードまで体一つで、テロのリスクがあるにもかかわらず、自ら自動車を数時間運転して、筆者とも共通の知り合いの著名なイラク人政治家のところまで遊びに行ったらしい。
最近でも、危機管理のコンサルタントとして中南米のコロンビアに行き、人質解放の交渉にもあたり、依頼が舞い込めばフィリピンの海軍の指導にも行く。一昔前には、ペルーのフジモリ大統領に対してセンデロ・ルミノソ対策の助言をしていたともいう。
一方で、幼少期は家族と独仏両語で自在に会話しながら、家庭教師からヘブライ語とアラム語を習い、後に家族とともにイタリアのシチリア島に移住し、英米の大学で学んだという人物なのだ。
知識は経験と一体となって、知恵になる。ルトワックの知恵とは、生死ぎりぎりの体験に裏付けられた、ひどく手堅くて、そして、誰にも分かる簡素なもののようだ。
中国はなぜ自滅するのか さて、今回御紹介したいのは、ルトワックが日本に来て、中国について語ったことである。
さも、難しいことを語ったのかと問われれば、さにあらず。あっけないほどにシンプルな話であった。彼の話は、大概次のようなものだ。
・中国の戦略は常に間違っている。いくら戦術やオペレーションで優位にあっても、戦略で間違えば、国は負ける。第2次世界大戦のナチス配下のドイツや、大日本帝国がその端的な例である。
・中国が戦略で常に間違うのは、国内の利害関係があまりに複雑で、指導部の団結がないことによる。それに、中国人は孫子の兵法を読み過ぎだ。そもそも長期的な戦略があるなどという国ほど、戦略を誤る。
・なぜなら、自ら戦略を考えるといっても、相手がある世界なのだから、相手の反応を考えずに行動を取る国は、常に相手の反発を受ける運命にあるからだ。
・今、アジアで起きていることは、中国の威圧的な行動に対する大いなる反動である。だからこそ、自分が2008年にも中国の近未来を予測することができたのは、あまりにやさしいことであった。
・アジアの一つひとつの国々は、中国より小さいと思っているかもしれないが、インドや、日本、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどすべての国々を合わせれば、人口でも、技術でも、経済でも中国を大きく上回る優位が生じる。
・したがって、現在、地域で起きていることは、大きな意味で、連合や同盟に向かう動きである。国々による差異は様々あろうが、向かう方向は同じである。
戦略というのは、そもそも分かりやすいものであるべきだが、ルトワックの言葉は、戦略そのものと言っていいほどのシンプルさである。
中国が選んでしまった第3の道 そして、ルトワックは、中国には本来3つほどの選択肢があるという。
・第1の最も良い選択肢は、21世紀に入ってから、中国がしばらくの間なりとも主張してきた「平和的発展」の道を継続すること。そうすれば、中国の周辺の国々は、誰も中国に反発することもなく、問題は生じない。ベストな戦略である。しかしながら、中国の国内矛盾のために、中国はこのような最善の道を取る余裕がない。
5月20日に都内ホテルで開催されたシンポジウム「台頭する中国と日米の戦略」
(主催:世界平和研究所、協力:外務省)で語るルトワック博士(右。左は筆者)
・第3に、中国にとっては最も悪い選択肢として、どの国とも衝突して、結局、反発を買い、孤立していくという道が唯一残されることになる。
もはや中国には、最善の戦略に戻る選択肢は本当に残されていないのだろうか。ルトワックの見方が正しいとすれば、筆者がこれまでに知り合った、中国の優秀で憎めない人々の顔を思い浮かべるにつけ、残念に思わざるをえない。
日本の取るべき道とは それにしても、日本が取るべき道はどうあるべきなのだろうか。ルトワックの言葉に従えば、あたかも何もしなくても、物事はうまくいくかのような錯覚にも陥る。
これも、さにあらずである。
最大の課題は、ルトワックが述べるような連合や同盟は、日米同盟を除けば実態のあるものとしていまだ十分には存在していないということであろう。
そもそも、各国ごとの差異は小さいようで、大きい。皆が皆、日本と同じような切迫感があるわけでもない。中国から、遠く離れれば、その感じようも千差万別である。こうした差異が、ある日、突然なくなることは決してないのである。
例えば、現在の、ASEAN諸国の動きを見ても分かるように、様々な意見の差異があることは自明である。これを前提としながら、ASEAN諸国がどの程度に一致団結を図れるかどうかには、深刻な疑問もあろう。
きっと、その未来は、“coalition of the willing with shades of grey”(まだらな陰影のある有志連合)でしかないだろうと筆者が指摘すると、さりげなく賛同してくれた。
ルトワックが指摘する点で興味深いのは、米国は必ずしも、この連合や同盟を引っ張っていくリーダーのような存在になるわけではなく、むしろ、全体のバックストップ(安全装置)として下支えをする役割となるだろうと述べていることだ。
そして、ルトワックは、この集まりの中心的な役割は、日本とインドが相当程度担うのではないかと見ていることだ(“Salute the Rising Sun” Open Magazine)。
実際、26日にインド首相に正式に就任したモディ氏が日本への強い期待感を抱いていることは、アジア地域の将来にとって大きな変革の鍵となることだろう。
ルトワックには、アジアの連合を作るためのアイデアもある。すなわち、日本がアジア諸国と協力して、ベトナムの北部の港湾都市ハイフォンから、インド第3位の大都市コルカタまで延びるハイウエイを造れば、東アジア諸国の連帯の大きなシンボルができると言う。
「非殺傷兵器」という実際的な知恵 もう1つ、ルトワックが語ってくれた、随分また実際的な知恵もあった。今後は、「非殺傷兵器(Non-Lethal Weapons)」が一層重要になるというのである。現代の国家間の問題解決の手段として、究極の軍事的な対峙に備えて抑止力を高めるだけでは、まったく不十分なのだ。
そもそも、今、東アジアで発生している事態は、国家間の全面戦争では全くない。それは、せいぜい海上保安機関同士の小競り合いなのである。
ルトワックは、この局面で最も大事なのは、相手に付け入るすきを一切与えないということだと言う。人に対する殺傷行為は愚の骨頂である。なぜならすぐにエスカレーションにつながるからだ。
しかも同時に、我が方の領海を侵犯できるような行動の自由を相手に与えてはいけない。そんな場合に役立つのが、現代の非殺傷兵器であるという。
我が国の自衛隊も、この点では過去の冷戦時代の思考から抜け切れていないと言えよう。なにしろ、私たちに課せられた喫緊の課題は、低強度の紛争より一層低い次元の衝突をどうマネージするかという、知的にもひどく高度なものなのだ。
抑止理論で言うところの、「エスカレーションドミナンス」を、核戦争や通常兵器による戦争でもない、低い次元の衝突において十全に確保することは、言うは易しだが、実際には実に難しい。おまけに非殺傷が条件となれば、天才武道家をもってしても難事であろう。
「グレイゾーン」と巷で言われている事態への対応は、決して一筋縄ではいかない。自衛隊の運用に関しても、戦術的かつオペレーショナルなレベルでの発想の転換が求められているのである。
実は、幸いにも日本の海上保安庁そのものが、まさにこのような非殺傷兵器に近いプレゼンスを我が国の海域で示してきていると言ってもよい。しかし、中長期的には、海上保安庁の能力向上のみでは十分ではなくなりつつあるという事実を、よく認識する必要があるのだ。
旅立つルトワックが残した言葉 さて、日本への旅の最後に、ルトワックが筆者に残してくれたアラビア語の言葉がある。昔、ルトワックが尋問した、教養のあるシリア人兵士から習った言葉だと言う。
“Hubb al Watan min al-Iman” ── 国(家)への愛は信仰である。
アラブ人なら誰しもが知っている言葉だ。預言者ムハンマドが語った言葉を集めたハディース(伝承)にあるとされる言葉だ。
なぜ、ルトワックがこの言葉を筆者に残したのかは分からない。世界をまたにかけ行動する知識人、ルトワックが追い求める理想の国のことを語りたかったのだろうか。あるいは反対に、今世紀に入って、アジア地域をはじめとして世界で起きている、多くの未完のナショナリズムの台頭を、暗に揶揄したのだろうか。
あれほど分りやすかったシンプルな言葉の向こうで、ふっと分からないことの方が多くなったかに思えたのは、筆者の知恵のなさなのだろう。(文中敬称略)
(本稿は筆者個人の見解である) JBpress.ismedia.jpより引用
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中国外交
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安全保障を中心に中国の外交問題の記事を掲載します。
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中国のスパイ行為に、日米両国をはじめ多くの国々が激怒している。
米連邦大陪審が先週、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊「61398部隊」の
将校5人を米企業へのスパイ行為で起訴したが、氷山の一角なのだ。
こうしたなか、中国の卑劣な諜報活動の実態に加え、
韓国が中国の手先となって軍事機密流出に関与したという疑惑情報を入手した。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。
「もううんざりだ。オバマ政権は、非合法的に米国企業に 損害を与えようとするどの国の活動も見過ごさない」
ホルダー米司法長官は19日、記者会見で中国をこう批判した。 米連邦大陪審は同日、東芝傘下の米原発大手ウェスチングハウス(WH)や、 鉄鋼大手USスチール、アルミ大手アルコアなど5社と労働組合1つから
機密情報を奪った疑いで、「61398部隊」の将校5人をスパイ行為で起訴し、
「今後、身柄の引き渡しを求める」と表明した。
現役の人民解放軍幹部5人の名前と顔写真を天下にさらして、 スパイ罪で刑事告発するという非常事態。これは「暴走する中国」に対する、
米国の明らかな宣戦布告だ。
これに対し、中国外務省の秦剛報道局長は同日、「米国が捏造した!」 「インターネットを通じて、外国の首脳や企業の情報を盗んでいるのは
米国の方だ」などと、米国を激しく罵倒した。
だが、驚かないでいただきたい。 中国による卑劣なスパイ行為はこんなものではないのだ。
以下、複数の外事警察関係者から入手した極秘情報だ。
「中国人スパイが、観光客を偽装してインドに多数潜入しており、
インド当局が対策に追われている。ドイツ情報当局でも『ドイツ在住の中国人は
全員が潜在的スパイだ』と警戒している。
英国では、1000人超の中国人留学生を強制送還させた」
「日本には約5万人の中国人スパイが入り込んでおり、政財官界をはじめ、 あらゆる情報が盗まれている。全国の自衛隊基地の近くには
いつの間にか情報収集工作拠点が作られている。
機密情報を扱う中央省庁の出入りの企業がいつの間にか
中国系資本に乗っ取られ、関係者はがくぜんとしている」
こんな情報もある。 「中国人スパイ組織は、国会議員や自衛隊幹部、警察関係者らを 徹底的に尾行し、人間関係や個人的趣味・嗜好などを探っている。
高級クラブなどに勤める女性スパイに渡すために
『ハニートラップ用の顔写真付きリスト』まで用意していた」
「中国の工作員や中国政府の息のかかった学者、ジャーナリストなどが、 与野党の国会議員やOB、財界人、メディア関係者などに接触し、
『日中友好の妨げは安倍晋三政権』と洗脳し、政権転覆をそそのかしている」
さらに驚愕すべき情報を報告したい。 韓国が日米を裏切って、軍事機密情報を
中国に流出させた疑惑が浮上しているのだ。
米国情報当局の関係者がいう。 「米軍や韓国軍が保有しているF15戦闘機やF16戦闘機のレーダーシステムなど、米国の最高軍事機密が、韓国を通じて中国に流出した疑いが出ている。
米国は爆発寸前だ。最近、韓国の中国接近が突出しているが、
今年2月には、中国紙・東方早報に『韓国、中韓軍事機密保護協定締結を
中国に再度呼び掛け』という記事まで掲載された。
既に日米の軍事機密が中国に筒抜けになっている恐れがある」
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、内政も経済も失敗続きで、 「告げ口外交」や「ディスカウント・ジャパン(=日本の地位失墜)運動」ばかりに
精を出している。このうえ、中国の手先となっていたとすれば、
日米を中心とする自由主義陣営の「裏切り者」としかいいようがない。
そして、その韓国が、 日本で暗躍する中国人スパイの活動を支援する危険があるのだ。
安倍首相に申し上げたい。 中国は、わが国固有の領土である、沖縄県・尖閣諸島の奪取のみならず、 卑劣にも政権転覆まで画策している。ゆめゆめ油断なさるな。
そして、あえて言わせていただく。
民主党政権下では、官邸情報が中国にもれまくっていた。 こんな恥辱は二度と味わいたくない。
■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。 週刊文春、新潮社を経て独立。
95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。
週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍している。
ZAKZAKより
画像はネットで拾いました。
騙された方が悪いという諺がある支那と朝鮮。
いい加減、そんな国と関わる事自体が無謀だと理解するべきではなかろうか。
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南シナ海で中国監視船がベトナム漁船を襲撃
またも一歩踏み出した中国海洋戦略
2014.01.16(木)北村 淳
2013年11月23日、中国は東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定し日本・韓国・米国との間の緊張を一方的に高めた。引き続いて12月5日、南シナ海の公海上で中国海軍空母練習艦隊を監視中のアメリカ海軍駆逐艦に、中国海軍揚陸艦が衝突危険距離まで急迫するというニアミス事件を起こし、アメリカとの緊張関係を再度一方的に高めた。
そして2014年元旦には、南シナ海の広大な中国“領域”を直接管轄する海南省が、中国国内法である「中華人民共和国漁業法」を実施する、という新規則を施行した(海南省が新規則を制定したのは東シナ海上空ADIZ設定から1週間後の11月29日だった)。
スタンガンや警杖でベトナムの漁民を制圧 南シナ海の“中国領”である島々・環礁ならびにそれらの周辺海域を管轄する海南省政府の規則という形で制定された「海南省による『中華人民共和国漁業法』実施方法」によると、「中国の支配権が及ぶ南シナ海の海域内で操業する外国人、外国漁船や調査船は、事前に中国当局(国務院関連機関)の承認を受けなければならない。許可なく操業した外国船は、漁業法や出入国管理法に照らした処置が課せられる」とされている。
このルールが適用される海域は、およそ350万平方キロメートルの南シナ海のうち200万平方キロメートル以上、すなわち南シナ海の60%程度の範囲に及ぶ。そして、外国人や外国船に対して課せられる処置としては、強制退去、収穫物の没収、漁船や装備品の没収、それに罰金(最高50万元)の課金などが含まれる。
中国は九段線(緑点線)内の南シナ海の支配権を主張している
(地図作成:米国中央情報局)
この海南省規則は、その大部分が国内漁業者向けであり、東シナ海上空でのADIZ設定のように対外的に公表されていない。そのため、いまだにこの新規則なるものは中国語バージョンしか公表されていない。しかし、その国内法の中には、国連海洋法条約をはじめとする国際法に抵触する上記規則が盛り込まれている。
そして、新規則施行直後の1月3日には、海南省規則ならびに中国漁業法が実際に発動され、南シナ海パラセル諸島(西沙諸島:中国が軍事的に支配中。ベトナム、台湾が領有権を主張)周辺海域で操業中のベトナム漁船を中国海洋監視船が“襲撃”し、スタンガンや警杖で漁民を制圧した中国官憲がベトナム漁船の漁具と収穫した5トンの魚を没収する、という事件が発生した。
この事件により、中国が勝手に主張している「中国政府により漁業活動が管理される南シナ海海域」で操業するベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレ―シアそして台湾などの漁船に対して一方的に脅威を与えることが公になった。
アイスランドとイギリスの“タラ戦争” この種の漁業権の管理に関する領域紛争によって、武力衝突が引き起こされたり、その寸前に至った事例は少なくない。中でも有名な事例が、アイスランド周辺海域でのタラ漁を巡ってアイスランドとイギリスが3度にわたって対決した“タラ戦争”である。
1958年、アイスランド政府は主要産業であるタラ漁を保護するためにアイスランド領海幅をそれまでの4海里から12海里に拡大した。それに対して、アイスランド周辺海域で多数の自国漁民が操業していたイギリス政府は異議を唱え、イギリス海軍軍艦をアイスランド領海(12海里)に派遣してイギリス漁船を保護するとともに、武力を行使してでもアイスランドの領海拡大を撤回させようとした。
これに対して小国で正規海軍を持たないアイスランドは沿岸警備隊警備艇によって反撃し、イギリス海軍とアイスランド沿岸警備隊との間での小規模ながらも軍事衝突に発展した。
1958年9月から11月の間に、イギリスは駆逐艦やフリゲートを含む37隻の各種艦艇を派遣し、それを7隻のアイスランド警備艇と飛行艇1機が迎え撃った。両者の間で砲撃も行われたが、戦死傷者は発生しなかった。結局、1961年2月、NATOによる調停の成果もあり、イギリスはアイスランドの12海里領海を承認し“第1次タラ戦争”は終結した。
それから10年ほど経った1972年、アイスランド政府は自国のタラ資源を確保するために50海里のアイスランド漁業専管水域を設定した。これに対してイギリス政府と西ドイツ政府が反発し、再びイギリス海軍艦艇がアイスランド周辺海域に派遣され、イギリス海軍艦艇(駆逐艦1隻、フリゲート30隻、その他の艦艇11隻)やイギリス農水省武装タグボート(5隻)とアイスランド沿岸警備隊警備艇(6隻)ならびにアイスランド沿岸砲台などとの間で砲撃戦や軍艦同士の衝突戦が散発した(アイスランド側に戦死者1名)。
冷戦中の当時、アイスランドはNATO側にとって、ソ連潜水艦の動向を監視するために極めて重要な戦略要地であった。そこでアイスランド政府はNATOに対して圧力をかけたため、NATOによる仲介が実施され、イギリス側はアイスランドの主張の大枠を認める形で“第2次タラ戦争”も集結した。
50海里漁業専管水域を設定した後もタラ資源の減少に悩まされたアイスランド政府は、1975年、漁業専管水域を200海里に拡大した。これに異を唱えたイギリス政府は海軍軍艦と農水省武装タグボートをアイスランド周辺海域に派遣し、再びアイスランド警備艇との間で武力衝突が発生した。この“第3次タラ戦争”では軍艦同士の激しい衝突戦が頻発した。
イギリス海軍フリゲート「シラ」に体当りするアイスランド警備艇「オーディン」(手前の小型艦)、(写真:英国海軍)
イギリス側は22隻のフリゲートと7隻の補給艦それに9隻の武装タグボートを派遣し、アイスランド側は6隻の警備艇と2隻の武装トロール船で対抗した。
戦力増強のためアイスランド政府はアメリカから砲艦を購入する交渉を開始したがアメリカ側によって拒絶されると、ソ連と軍艦購入交渉を開始した。それと並行して、アイスランド政府が再びNATOに圧力をかけたため、イギリス政府は対ソ安全保障上の理由によってアイスランドの主張を認めることで “第3次タラ戦争”は終息した。
アメリカには多くを期待できない 3回にわたる“タラ戦争”で、アイスランドが主張しイギリスがしぶしぶ認めた12海里の領海と200海里の漁業専管水域は、現在は国連海洋法条約によって12海里領海と200海里排他的経済水域という形で幅広く国際社会に受け入れられている。
その国連海洋法条約が国際社会に定着しつつあった1995年、カナダとスペインの間でカナダのニューファンドランド沖のグランドバンクと呼ばれる海域でのヒラメ漁を巡る紛争が軍事衝突寸前までエスカレートした“ヒラメ戦争”が勃発した。
このように、漁業権を全面に押し出した海洋領域を巡るトラブルは、イギリスとアイスランドあるいはカナダとスペインといった友好国間でも軍事力行使にエスカレートしがちな深刻な対立と言うことができる。
このようなトラブルを友好国とは言えない中国相手に抱え込んでいる東南アジア諸国としては、海洋軍事力(海軍力・航空戦力・長射程ミサイル戦力)が中国に比べて圧倒的に劣勢である以上、当面は国連海洋法条約を盾にして中国の横暴を国際社会にアピールするしか対抗策はない。
しかしながら、東南アジア諸国にとって頼みの綱であるアメリカには、オバマ政権が「アジアシフト」を唱えているものの、多くを期待することはできない。
第1に、アメリカ自身がいまだに国連海洋法条約に加盟していない(参考:国連海洋法条約加盟国の一覧表。現在166カ国が加盟しており、中国や東南アジア諸国も加盟している)。したがって、国連海洋法条約を巡っての中国と東南アジア諸国間の交渉に、条約非加盟国アメリカが口を挟んでも説得力がないことになってしまう。
加えて、オバマ政権はアジア太平洋方面の軍事力強化と言ってはいるものの、その実際は、ヨーロッパ大西洋方面での軍事力を大幅に減少させるのとは違って、アジア太平洋方面では少なくとも現状を維持させる、という程度のものである。無闇に海洋軍事力を強化させ続けている人民解放軍の戦力増大に比例して、アメリカが太平洋戦域に割くことができる海洋戦力が大幅に強化されることはない。したがって、相対的には西太平洋戦域での中国軍事力は強化され続け、アメリカ軍事力は低迷を続けることになる。このように、東南アジア諸国にとってはアメリカを当てにすることが極めて難しい状況が続くことが予想される。
中国の南シナ海支配は日本にも大きく影響 「中国漁業法」が南シナ海の広範囲にわたって適用されても、日本にとっては直接漁業権の問題は生じない。しかし、近い将来、東シナ海においても「中国漁業法」が何らかの形で適用される可能性は否定できない。その際には、日本の多数の漁船が現在以上に中国武装艦艇の直接的脅威に曝されることになる。
それ以上に問題なのは、中国が南シナ海で警察権を実際に行使し始めたということが、いよいよ海軍力を背景にして南シナ海の大半を直接的にコントロールする具体的ステップを踏み出したことを意味している、という点である。
すでに本コラム(「想像以上のスピードで『近代化』している中国海軍」)でも指摘したように、日本向け原油や天然ガスの大半が南シナ海を通過して日本にもたらされているため、南シナ海が中国にコントロールされることは日本のエネルギー資源の流れが深刻な影響を被ることを意味する。
さらに悪いことに、南シナ海でアメリカ海軍が中国海軍を抑え込むこともできなくなりつつある。強力なアメリカ海軍力を持ってすれば、南シナ海に限らず世界の公海における航行自由の原則は確保しうると自負していたアメリカは、国連海洋法条約に加盟することすら見送ってきた。ソ連海軍が消え去ってからは、アメリカ海軍力に脅威を与える海軍が誕生することなど想定もせず、中国海軍が南シナ海や東シナ海で大手を振って動き回る事態に適応するような海洋軍事戦略の構築を怠ってきた。
そして、急速に攻撃性をむき出しにしている中国海洋戦力に直面して、あわてて西太平洋方面の海軍力を強化しようにも、アメリカ自身が深刻な財政危機に直面しており、思ったようには海軍力の強化などできない状況に陥ってしまっている。
そこで、アメリカが推し進めたいのは、中国の脅威に直面している日本をはじめとするアメリカの同盟国・友好国の軍事力を強化して、それらのアウトソーシングを活用し、なんとか中国に対峙しようという戦略である。
日本としては、日本の生命線であるエネルギー資源航路帯としての南シナ海の自由航行を、横暴なる中国海軍戦略から保護するためにも、アメリカが希求する「アウトソーシング活用戦略」に協力する形で海洋戦力を飛躍的に強化させる必要がある。このことは、日米同盟の目に見える形での強化となり、同時に日本自身の自主防衛能力を大幅に強化させることを意味する。 JBpress.ismedia.jpより引用
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防空識別圏の名を借りた中国の領空拡大を許すな
中国に怯え誤った行動に出た日本航空、全日空
2013.11.27(水)織田 邦男
11月23日、中国国防省は東シナ海上空に防空識別圏を設定したと発表した。発表には防空識別圏設定に関する声明と規則を定めた公告も含まれ、同日午前10時(日本時間11時)から施行された。
中国空軍は早速、TU154情報収集機、Y8電子偵察機を尖閣諸島の北約40キロまで飛行させ、防空識別圏を巡航させたことを表明した。
防空識別圏なら問題ない、しかし領空なら全く別http://afpbb.ismedia-deliver.jp/mwimgs/0/9/200x/img_09a062de80f58c19b2712b7119bd98d0101615.jpg中国が設定した“防空識別圏”〔AFPBB News〕
この防空識別圏には沖縄県の尖閣諸島も含まれ、我が国の防空識別圏とも重複する部分が多い。同日、外務省の伊原純一アジア大洋州局長は中国の韓志強駐日公使に電話で厳重抗議した。米政府も同日、中国に外交・軍事ルートで強い懸念を伝え、素早い対応を示した。
メディアも一斉に取り上げた。だが、不意打ちをくらったせいか、的外れの議論が多い。今回の中国の動きに関し、何が問題で、何が譲れないかを明確に整理しておく必要があるだろう。
新たに設定した中国の防空識別圏が日本の防空識別圏と重複しているのが問題なのではない。また「我が国の固有の領土である尖閣諸島の領空を含むもので、全く受け入れられない」という抗議も、厳密に言えば正確ではない。
問題は、公海上に設定した防空識別圏が中国の管轄権が及ぶような空域になっていることである。つまり防空識別圏とは言いながら、あたかも領空のような空域を設定し、国際法で認められた公海上空の飛行の自由を妨げていることなのである。
しかもその中には我が国の領空(尖閣諸島)が含まれており、尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき設定をしていることである。
中国国防省の公告に拠ると、「防空識別圏は中国国防相が管理する」としたうえで「圏内を飛行する航空機は飛行計画を中国外務省または航空当局に提出する義務」を負わしている。また「圏内の航空機は、国防省の指令に従わなければならない」とし「指令を拒み、従わない航空機に対し、中国は防御的な緊急措置を講じる」と明記している。
これは、国際法上の一般原則である公海上の飛行自由の原則を不当に侵害するものであり看過できない。
中国高官は「防空識別圏を設けるのは、日本人の特権ではない。私たちも設定することができる」と語っている。そのとおりであるが、今回設定したのは、防空識別圏の名を借りた中国の「管轄空域」だと言っていい。
そもそも防空識別圏とは排他的且つ絶対的な主権の及ぶ領空に近づいてくる国籍不明機が敵か味方かを区別するために、領空の外側に設けた空域である。
国際法上の規定はなく、各国はそれぞれ国内法で独自に定めている。だが当該国の管轄権が認められるわけではない。従って公海上である限り、防空識別圏内であっても外国機が何ら飛行を制限されることはない。
日本航空や全日空の対応は不必要沖縄県の尖閣諸島にも中国が勝手に“領空”を設定〔AFPBB News〕
国境を接する国では相互に調整のうえ、相手の領域内に設定している国もある。従って重複しているから問題だ、あるいは隣国の領域が入っているから問題といったことは的外れと言える。
日本の場合、占領軍が線引きした防空識別圏をそのまま受け継いでいるわけであるが、防衛省の訓令でこれを規定し、そして国際社会に公開している。
防空識別圏の根拠が法律でなく、内規の訓令に過ぎないことからも分かるように、他国の航空機に対して何ら義務を課すものではなく、自衛隊に対し対領空侵犯措置の基準として示したものにすぎない。
日本の防空識別圏はAIPで公表され、防空識別圏に入る航空機には事前に飛行計画を求めている。だが、これすら義務ではなく、自発的協力ベースである。これまで近隣諸国の軍用機が通報してきたことはほとんどない。
(AIP[aeronautical information publication]: ICAO[国際民間航空機関]の勧告に基づき各国が発行する航空機の運航に必要な情報が記載された刊行物)
日本の防空識別圏は、民間機に対し飛行計画を求めていると報道しているメディアもあるが、これも誤りである。民間機については、ICAO(国際民間航空機関)により各国のFIR(Flight Information Region: 飛行情報区)が設定されており、民間機の飛行情報は各FIRが管理している。
FIRは航空交通の円滑で安全な流れを考慮して設定されたものであり、日本周辺は防空識別圏より広い範囲が設定された「福岡FIR」が管轄し、民間機の飛行計画を掌握し、航空機の航行に必要な各種の情報の提供などを行っている。(地図はこちら)
自衛隊は防空識別圏を飛行する民間機の飛行計画をFIRから入手して照合することにより、彼我識別を実施するわけであり、自衛隊から民間機に対し事前に飛行計画を要求しているわけではない。
今回の件を受け、全日空や日本航空は、早速この防空識別圏を通過する台湾便などの運航で中国当局に飛行計画を提出したという。中国当局は、こういった民間機の情報は上海FIRを通じて得ているはずだし、全く不必要な過剰反応と言える。
結果的に中国の不当な行動に加担することになったのは極めて残念である。
中国の狙いは米軍・自衛隊の接近拒否/領域拒否尖閣諸島上空を領空侵犯した中国の航空機(2012年12月)〔AFPBB News〕
中国外務省の秦剛報道官も「外国の民間航空機が防空識別圏内を飛行する自由はいかなる影響も受けない。識別圏は正常に飛行する国際民間航空を対象としたものではない」と述べている。また26日、国土交通省からも「従来通り」のお達しが下されている。
今回の防空識別圏という名の「管轄空域」の設定は、中国による力を背景とした現状変更の試みであるのは間違いない。
「現状を一方的に変更し、事態をエスカレートさせ、不測の事態を招きかねず非常に危険」と安倍晋三首相は述べている。またチャック・ヘーゲル米国防長官は「地域の現状を変更し、不安定化させる試みだ。一方的な行動は誤解と誤算の危険性を増大させる」と非難している。
中国が声明どおりの行動を取れば、東シナ海上空の航行の自由は制限され、米軍・自衛隊の警戒監視活動や共同作戦、あるいは米軍単独の軍事行動が妨げられる。まさに「接近拒否/領域拒否」そのものである。
楊宇軍報道官は「国際社会のルールにのっとったものであり、中国が自衛権を行使するために必要な措置だ」と述べる一方、「準備が整い次第、他の防空識別区を順次設置する」と述べ、南シナ海でも同様な防空識別圏を設定する用意があることを示唆している。
南シナ海では「9ダッシュライン」で囲まれる南シナ海の約9割の領有権を主張し、実効支配を強めている。今回、東シナ海上空を事実上、自国の領空として実効支配に乗り出したが、これを許すと第1列島線内が、事実上中国の領域となる。シーレーンを依存する我が国としては死生存亡がかかる。
台頭する中国に対し、国際規範を守り、責任ある利害共有者として誘導していくという関与政策は、唯一無二の対中国政策である。だが、関与政策には長い年月を要すため、独善的で邪な誘惑に駆られないよう、状況がどう転んでも対応できる備えヘッジ戦略が欠かせない。
今回の事例はまさにヘッジの時であり、今後の関与政策の試金石となろう。米国、韓国、豪州、台湾、東南アジア諸国など、共通の国益を有する国が協力、連携し、スクラムを組んで、防空識別圏の撤回を迫ることが強く求められている。 JBpress.ismedia.jpより引用
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