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著:カーレド・ホッセイニ 評:小野 正嗣(作家)
2/1の新聞書評より・・・
『舞台はアフガニスタンで主人公が女性。しかも作者は幼い頃にこの国からアメリカへ亡命して
医師としても成功した作家で、売れている小説。
とくれば、虐げられた女性が様々な艱難辛苦を乗り越え自立と自己実現に至る、わかりやすく
ありがちな感動の物語だろうと身構えてしまう読者もいるかもしれない。
主人公のマリアムは不義の子である。
母は貧しい家の出であるため、富豪の父の妻の一人には決してなれない。
一族の恥を厄介払いしようとする父とその妻たちによって、夢見がちな少女マリアムは、
親子ほども歳の離れた中年男ラシードとの結婚を強いられる。
首都カブールに移り住み、夫に服従し、体をすっぽり覆うブルカの下から世界を眺める暮らしが始まる。
その近所に住む、開明的な教師の家に生まれたのがもう一人の主人公ライラだ。
彼女の成長は、共産主義政権の誕生、ソ連軍の侵攻とそれに対する聖戦、激しい内戦、タリバンの
台頭と圧政というこの国を襲った激動によって特徴づけられている。
2人の兄の戦死、神経を病む母、幼なじみの青年タリークとの涙の別離。
砲弾によって一瞬にして両親を失い、重傷を負った彼女はラシードの家に運び込まれる・・・。
ある「秘密」を体に隠したライラは、生き抜くためにラシードの二番目の妻となることを決意する。
若く美しいライラに敵意を抱いていたマリアムだったが、自らの過去に重なるその「秘密」に
心をほだされ、ライラのために文字どおり自らの命を捧げることになる。
イエス、これは感動の物語である。
だが西洋対イスラムという二元論にもとづき、人権や民主主義の観点から後者を
一方的に断罪したりはしない。
そんな単純な図式に絶対に還元できるはずがない社会と人間の現実の複雑さを丹念に
積み上げていくところにこの小説の醍醐味はある。
だからこそ最後の一文に、魂が強く揺さぶられる。
素直に涙が溢れてくる。』
以前スクラップにした記事の一番上にブルカをまとった女性が載っているので、参考までに・・・。
http://blogs.yahoo.co.jp/mieletrose/3897407.html
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