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先日の『HERO’S』でなにも出来ずに完敗した金子賢。
本物の格闘家を相手に、本人の挑戦してみたいという気持ちが、
俳優という知名度だけで簡単に叶えられる。
結果がどうこうより、なによりこの過程が危険だと思う。
もちろん、本人は試合にあたって練習は積んできたと思うし、
その意欲は認めるべきであろう。
ただ、いくらいいコーチングスタッフや練習環境に恵まれても、
半年や1年練習して立ち向かえるべき相手ではない。
相手にとって失礼だ。
前田日明の怒りはもっともだと思う。
参加を認めた谷川プロデューサーは、金子を擁護するようなコメントを出していたが、
このコメントに格闘技界が苦境に立っているんだな、とぼくは感じた。
そもそも生死が関わる格闘技のリングに、意欲はあっても実績はなく、実力も未知数な
人間を上げることがどれほど危険なことかは、谷川さんも理解しているはず。
それでも金子はリングに上がった。
そこには格闘技界のタレント不足が遠因としてあると思う。
K−1やPRIDEなどを見ていても、ここ数年メンツがほとんど変わっていない。
世界的に活躍できるタレントの不足の蔓延化がその根底にある。
そのことに起因する早期のビッグマッチの実現。
そしてその後のマッチメーク枯れ。
選手層という根本的な土台を築き上げられないまま、興行だけが優先されてきた。
その結果、最近の興行ではどこかで見たことある名前ばかりが連なるようになってきた。
そこに新たな話題性を見い出せるはずはなく、格闘技界以外からの
選手招聘に手を染めることになってしまったのだ。
元大相撲横綱の曙。
テレビで規格外のパワーを見せたボビー。
彼らには少なくとも格闘技界に通じるなにかを持っていた。
しかし金子にはそのようなものがあったのか。
格闘技がやってみたくて、肩書きがあれば試験もなく参加できる。
格闘技はここまで落ちてしまったのか。
興行優先。
客寄せパンダ。
そう言われても仕方ないだろう。
前田の言うとおり、今後まだ格闘技に挑戦する気持ちが金子にあるのならば、
アマチュアから出直してくるべきだと思う。
ふさわしい実績と実力を兼ね備えてから、また挑戦してもらいたい。
彼は俳優になりたくて、なんの努力もなくその夢は叶えられたのか?
ただ、金子賢にも格闘技にもこのまま凋落の道を歩んでもらいたくない。
短い期間で世間に浸透した反動として、一過性のブームとして終わってもらいたくない。
過渡期を迎えた格闘技界。
これからの挑戦を、そっと見ていきたいと思う。
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