すての読書ノートとつれづれ日記

皆さま、どこへ移行されますか〜。困った。

りょうさん(坂本龍馬と仲間たち)

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りょうさんこと坂本龍馬が大好きです。ほとんど個人的な覚え書き紹介文
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大河ドラマ『龍馬伝』

今回の回も、「ええかげんにせいやっ」という感じでした。

伊勢谷・高杉さんが、かっこいいですな。
「僕」「僕」言っているのが、長州らしいです。はははは。


展開が速くて、目が点なところが、ありました。

「え、も〜お?」

私の知人が、唯一楽しみにしていると言っていた

大浦のお慶。


もう、出てきた。

龍馬さんたち、どうしても薩摩へ行きたくないらしく、
長崎で商売をするための、資金繰りに小曽根乾堂の所へ龍馬と陸奥がやってくる。

その場にいた大浦のお慶に、将来性を見込まれて・・・・・という設定。

まあ、こういう展開もありか・・・・ですが。


『龍馬伝』は、このような登場でした。

では、大浦のお慶さんとりょうさん、『竜馬がゆく』では、どうだったでしょうね。




もっと、もっと月日は流れていきます。

薩長同盟が成立し、時代の流れが確実に、倒幕の方向へ進んでいき、

幕府軍と長州の戦争に、りょうさんたち亀山社中も援軍として戦いました。

それもほとんどボランティア。

おかげで、戦争が終わったときには、船はない、金はないで、
すっかりすっからかんになっていました。

りょうさんは、資金繰りに長崎の町を奔走しますが、結局亀山社中を
解散するという決断を下します。

すると、火夫たちが断固として解散を反対してくれるんですね。

そんな頃、土佐の溝淵広之丞がりょうさんの所に訪ねてきます。

上海帰りに長崎に寄る後藤象二郎と会わせようというのが目的でした。

薩長を中心に倒幕の態勢が整ってきていましたが、

土佐藩もこの流れに便乗したいと、考えてのことでした。

そのために、吉田東洋殺しの下手人の疑いのある、

にっくき、坂本龍馬であれども、手を結ばねばと思ったようです。

その会談の場所が、大浦のお慶の屋敷、清風亭でした。

(*説明が長くてすみません。)




大浦お慶は、長崎では、それはそれは有名人でした。

りょうさんも、お慶のうわさは、いろいろ聞いて知っていました。

お慶も、りょうさんのことは、知っていて一度会いたいと言っていました。



  お慶の噂


○油屋町の日本茶の輸出で大身代を築いた女商人。
 大浦家は、茶問屋の豪商

○養子に迎えた若旦那が気に入らず、二、三日で暇を出してしまい、
 以後独身。

○長崎きっての美人

○長崎きっての浮気者
 男好きで、一夜も男なしでは寝られん人物

○人物眼がある。身分の如何にかかわらず、男として一流の人間が好きらしい

○長崎きっての商才の持ち主

○25、6の頃、茶の市場調査のために、上海へ密航し、見事成功した。
 それは、吉田松陰が、ペリー艦隊に密航しようとして失敗した頃のこと。
 上海で、日本茶の商品見本をばらまいて、帰国。
 その後、異国との貿易に見事成功し、巨額の富を得た。

○西国きっての衣装道楽。一度人目に触れた衣装は二度と着ないらしい

○ただいまのお気に入りは、薩摩の松方助左衛門(正義)と
 佐賀の大隈八太郎(重信)で、二人を三助のまねごとをさせて、
 背中を流させている。



りょうさんは、話を聞いているうちに、後藤象二郎より、
大浦お慶に、興味を持ち始めたのでした。


さて、清風亭では、お慶とは、会釈程度ですれちがってしまいます。

その翌日、小曽根乾堂邸に寄宿していた、りょうさんたちのもとに、
お慶自らが、訪ねてくるのです。

残念、その日りょうさんは、留守で、陸奥陽之助が応対します。

陸奥は、昨日の会談に一緒に清風亭に出かけていました。




    「いえね」
    「きのうは後藤様がこちら(坂本様たち)をおよびしたわけですけど、
     一度、お慶もお招きしたくて。
     ですから、ご都合をうかがいにきたのです」   (お慶)

    「私どもを招んでくださるのですか」  (陸奥)

    「坂本様とあなたを、ですよ」   (お慶)

    「どういうわけでしょう」     (陸奥)

    「おや、噂をきいていないんですか?」
    「私は、殿御が好きで」
    「坂本様といちど寝てみたいと思っていたのです。
     坂本様のほうがおいやなら、あなたでもかまいません」 (お慶)




お慶さんの衝撃的な登場でした。


陸奥陽之助は、あまりの衝撃にりょうさんの許可も得ず、うなずいてしまうのでした。


そして、女郎蜘蛛に、からめとられていくように、
陸奥は、りょうさんの代わりに、
三助役、青餅(情夫)役をするようになり、

それに飽き足らないお慶に、
借金の担保代わりに、買われてしまうのでした。

お慶に船の購入金を借金し、薩摩に保証人になってもらうことによって、
りょうさんたちは、やっと船を手に入れることができたのでした。

名前を太極丸と言いました。

りょうさんたちは、この太極丸で、綿の商売を始めるのでした。



お慶さん、まさに女傑です。

こんな強力なパトロンは、いなかったかもしれません。



それにしても、相変わらず、りょうさんはずるい。

お慶さんの本命は、最初からりょうさんでした。

しかし、身の危険を上手にかわし、

陸奥を人身御供。

挙げ句に、借金のかたに、売りとばしてしまうんですからね。

まあ、むっちゃんもまんざらではなかったことが、救いですが。


これ、『龍馬伝』の龍馬さんには、できないかもしれません。
やさしすぎて。




さて、「龍馬伝」と『竜馬がゆく』は、別の物語。

だとは、わかっているけれど、比較してみるのは、楽しい。


今回、あまりの速さで、薩長同盟の気配がしてきて、目が点。


第2部に時間を割きすぎたことが、肝心要のストーリーに
影響が出ているのではないかと懸念しております。

今後どうなることやら、お手並み拝見。




参考:「窮迫」「清風亭」「お慶」から『竜馬がゆく(七)新装版』
    司馬遼太郎著 1998 文藝春秋(文春文庫)

りょうさんと高杉さん

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大河ドラマ『龍馬伝』

いよいよ第3部に突入。

今までの龍馬さん、皆さんはどうだったでしょうか。

私は正直、途中であきらめました。

ありえないことが、多すぎて、疲れてしまいました。


なので、私は、第3部は高杉晋作さんだけに、期待しています。


高杉晋作さんと坂本龍馬さんの接点って、非常にあいまい。

高杉さんとりょうさんの年表を照らし合わせると、

結構すれちがっていて、果たして二人は、じっくり会っているのでしょうか。



でも、そのあいまいさが、今回の大河ドラマに、生かされればいいではないか、

と思っています。


ありえなくても、いい。

りょうさんも、高杉さんも大好きなので、楽しませてくださいよ、

という気持ちです。


『龍馬伝』での出会いは、長崎・丸山でしたね。


・・・・・・そこ、ですか?



伊勢谷・高杉さん、かっこいいですねえ。

伊勢谷さんは、昨年のNHKのドラマで白州次郎さんを演じていた人です。

その前に、私は、映画『ハチミツとクローバー』の森田さん役で注目しておりました。

大学には、こんな変な先輩っているのよと、ものすごく懐かしかった。

他に『きらわれ松子の一生』にも出ていました。

映画『笑う大天使』の殿下役だけは、似合わなくて腹を立てた記憶があります。

今後、どんな高杉さんを見せてくれるのでしょうか。




『龍馬伝』には、原作がないので、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を
横に置いて、時々拾い読みをしております。


高杉さんとりょうさん、『竜馬がゆく』では、

長崎・丸山で出会っていたでしょうか。



とんでもない。

海軍操練所が解散となり、りょうさんたちは、薩摩を頼り、鹿児島へ行き、
長崎で、亀山社中を結成、
中岡慎太郎、西郷隆盛、桂小五郎らと、薩長同盟の提案をし出した頃まで、
下っていきます。

有名な話で、

同盟を組むために、薩長お互いの欲しいものを取り引きし、
りょうさんたち、亀山社中も自分たちの船を手に入れるわけですが、

その時に、ちょっとごたごたが起き、桜島丸条約なるものが、取り決められた
そんなとき。

初めて二人は、出会ったわけです。






     竜馬は、この山口の旅館ではじめて長州藩の大立役者高杉晋作と会っている。


     さて、その対面は、高杉が桂にともなわれて竜馬の旅館にやってきたことではじまる。
     高杉は、佩刀(はいとう)を置くなり、
     「あなたが坂本さんでありますか」
     と、ややかん高い長州弁で言い、竜馬の顔を無遠慮に見つめはじめた。
     竜馬は苦笑してツルリと顔をなで、
     「色が黒いろう?」
     と土佐弁でいった。



これが、二人の互いの第一声だった。


高杉さんは、よっぽど嬉しかったのか、社交辞令的な雑談を入れている。



     「坂本君」
     「きみのことは安政の末年ごろから桂にきいていたし、
      長州にいる土州の連中からもさんざんにきかされている。
      いちど会いたいと思っていたら、きょうやっと会えた。
      想像していたとおりの大男でありましたな」

     「乙女大姉のことも聞きおよんでいる。
      坂本君より強いという評判でありますな」




高杉さんの台詞は、これきりなのだが、大したことがない雑談の中に、
結構、面白い含みが感じられます。


まず、りょうさんのうわさは、桂くんからずっと聞かされていた。
それも、安政の末年ごろから。


桂くんとりょうさんは、江戸での剣術修行中に、出会っていますから、
その頃から、桂くんは、りょうさんのことを、
高杉さんにしゃべりまくっていたということだね。


「たかり屋」「嘘つき」りょうさんに、ふりまわされ続けていた桂くん。

それでも、りょうさんのこと気に入っていたからねえ。

神経質で、好き嫌いの激しい桂くんが、褒めも悪口も愚痴もいっぱい言ったでしょうから、
高杉さんには、好印象だったのではなかろうか、と思います。

高杉さんの基準は「面白い」かどうか・・・・・だろうから。


りょうさんは、きっと面白い男に映ったのでしょう。



次、りょうさんの姉上の乙女のうわさは、誰がしたんだ?

土佐の脱藩浪士が、それはたくさん長州に集まっていたけど、

高杉さんと特に親しくしていたのは、


中岡くんではなかろうか?

いやいや、生真面目な中岡くんは、おなご様のうわさ話なんてしないか、

果たして、誰が。


そんなことが、興味深いと思う、高杉さんも面白いのですけどねえ。



司馬遼太郎は、高杉晋作の容貌を、このように描いています。



   (りょうさんの顔が)黒いといえば、高杉の顔は白かった。
   というより蒼ざめていて、表情が深沈としている。
   それに、まげがなかった。真っ黒な髪を七三に分け、
   きれいに髪油をぬっている。
   これは、洋式にしているわけではなく、
   あることで藩公に申しわけないとして坊主になる、と言い、髪を切った。
   まるっきりの坊主頭にはならず、ザンギリにしたのである。


有名な高杉晋作さんの写真がありますね。


   高杉は、元来無口な男で、とくに他国人や初対面の者には
   ひどく無愛想だという評判のある男だが


とあるので、やはりりょうさんのことをとても気に入ったようです。


その日、りょうさんにコルト式六連発の、新輸入のピストルを
プレゼントしてくれたのでした。



さて、「龍馬伝」と『竜馬がゆく』は、別の物語。

だとは、わかっているけれど、比較してみるのは、楽しい。



今回、ちょっとありえないような、出会いが

長崎・丸山でありました。


奇しくも、二人のフィギュアをわたくし、持っていたので、
画像を貼り付けました。


二人のツーショットは、本当にあったかもしれませんけど、果たしてね。




・・・・・・、あ、乙女の噂をしたのは、池内蔵太かもしれません。



参考:「三都往来」から『竜馬がゆく(六)新装版』
    司馬遼太郎著 1998 文藝春秋(文春文庫)

今年は、坂本龍馬の年

NHK大河ドラマ「龍馬伝」を楽しく観ています。

「龍馬伝」の龍馬さん、かっこいいですねえ。
それにまさに青春そのもの。

龍馬さんが、とてもさわやか。とてもいい人。


果たして、司馬遼太郎が描く、愛敬のある「たかり」のりょうさんに
成長していけるのでしょうか。←人はそれをずうずうしいとも云う

それも楽しみと期待。


「龍馬伝」が始まったので、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を横において、
比較読みしています。


『竜馬がゆく』の出だしは、ちょうど本日の放送と重なる
江戸へ剣術修行へ旅立つ日の前日から始まっています。



     「小嬢(こいと)さまよ」
     と、源爺(げんおん)ちゃんが、この日のあさ、
     坂本家の三女の乙女の部屋の前にはいつくばり、
     芝居もどきの神妙さでもうしあげたものであった。
     「なんです」
     と、乙女がうつむいて答えた。手もとが針仕事でいそがしい。
     あすという日は、この屋敷の末っ子の竜馬が、
     江戸へ剣術修業に旅立つ。


登場するりょうさんは、姉の乙女の視点から、どんな少年時代を過ごし、
どんな風に成長し、今に至ったかを説明してくれる。


○りょうさんは、寝小便(よばあ)ったれ


     「よくぞまあ、あれほどまでにお育てなされました。
     申してはばかりあることながら、ここの坊さん
     えらい寝小便(よばあ)たれでござりましたからのう」
      事実なのである。
      竜馬は、十二になっても寝小便をするくせがなおらず、
     近所のこどもたちから「坂本の寝小便(よばあ)ったれ」とからかわれた。



     「坂本の泣き虫」といえば「ああ、本町筋の洟垂れのことか」といった。
     竜馬は、どうしたことか、十二、三になっても、
     はなじるが垂れっぱなしだった。


○りょうさんは、落ちこぼれ


     十二のとき、ひとなみに父は学塾に入れた。(略)
      ところが、入塾するとほとんど毎日泣いて帰るし、
     文字を教えられても、竜馬のあたまでは容易におぼえられない様子なのである。
     (略)
     「あの子は、拙者には教えかねます。お手もとでお教えなされたほうが、よろしかろう」
      見はなされたのである。


○りょうさんには背中にたてがみがある



      竜馬は、うまれおちたときから、背中いちめんに繊毛(せんもう)がはえていた。
     父の八平は剛気な男だったからこれをおかしがり、
     「この子はへんちくりんじゃ、馬でもないのにたてがみがはえちょる」
     といって、竜馬と名づけた。

     「猫かもしれませんよ」(母・幸子)
     「なるほど、馬か猫か、これはあやういところじゃ。
     馬なら千里の駿馬ということばがある。猫ならどういうことばがあるかな。
     そうじゃ、泥棒猫というのがある。竜馬はどっちになるかい」 (父・八平)

     「やっぱり、猫じゃった。しかもあの愚鈍な様子では
     泥棒猫にさえなれそうにない」(兄・権平)

     乙女の気のせいか、見ているとどことなく茫洋とした味があるようにおもわれる。




○りょうさんは近眼(ちかめ)


     「でも、ほかのこどもとくらべると、どことなしに目の光がちがいますよ」(乙女)

     「あいつは、父上ゆずりで近眼(ちかめ)なんじゃ。
      その証拠に、遠くをみるとき、シバシバと目を細めちょる」 (兄・権平)



○りょうさんを(乙女以外に)最初に認めたのは、日根野弁治


     (十四のときか?)
     小栗流の道場をもつ日根野弁治のもとに通いはじめてから、
     にわかに顔つきまでかわってきたのである。

      入門後、ひとつきほどすると先生が竜馬の顔を
     「おンし、妙じゃぞ」
     と気味わるそうにのぞきこんだ。理由は話さない。

      それから三月ほどして道場の先生の日根野弁治が、
     以前とおなじように竜馬の顔をのぞきこんだ。
     「やっぱり、妙じゃ」

     「顔が、かわった。入門してきたときとは、別の人間じゃ。
     物のたとえで、うまれかわったように、とよくいうが、やはりそういうことが
     世の中にあるものじゃな」



○りょうさんは、つよい

日根野弁治から、わずか十九歳で、小栗流目録をいただく。
これは、異例のことだった。


     「わしの目はふし穴じゃった。
     名のとおり竜になるかもしれぬわ。−−−な、父上。
     (略)
     「すこし金がかかるが、江戸に修業にやりましょう。
     ゆくゆくは城下で剣術道場をひらかせます。これは楽しみになってきた」(兄:権平)


     「ご子息なら、剣でめしが食えます」
     「(略)大成するためには、大流儀を学ぶがよろしかろう。
     それには、北辰一刀流がよろしい」  (日根野弁治)



○りょうさんのくせの「めしつぶこぼし」


     一つだけ幼いころの竜馬のくせが残っている所があった。
     よそにお招ばれに行っても、茶わんからめしつぶをぼろぼろとこぼすくせである。
     もっともこのくらいは兄の権平にもあったから、
     坂本家の血すじかもしれないと乙女は思い、あきらめていたが。


○りょうさんは、作法、礼儀が苦手


     どういうわけか、むかしから人にあいさつをする
     という簡単な動作ができない。
     作法とか、礼儀とかといった、人間が作った規律が
     あたまから受けつけられないたちらしいのである。
     もっとも天性の愛敬があるから、人はたれも不快がらず、
     −−−あれはぶすけじゃ。
     で通っていた。


乙女に別れのあいさつに来ても、結局足ずもうに興じて、
乙女姉さんの、ご開帳を見てしまうのだった。



さて、「龍馬伝」と『竜馬がゆく』は、別の物語。

だとは、わかっているけれど、比較してみるのは、楽しい。


私は、大人になっても時々、寝小便ったれだったり、
めしつぶを、ぽろぽろこぼしながら食べている
りょうさんが、好きなのですが。



参考:「門出の花」から『竜馬がゆく(一)新装版』
   司馬遼太郎著 1998 文藝春秋(文春文庫)

北方謙三の坂本龍馬

りょうさんこと坂本龍馬が大好きである。

そう言っても私が好きなのは、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に出てくる坂本龍馬さん。

しかし、今回別の物語に出てきた坂本龍馬さんも面白いと思ったので、

メモ書き代わりに記しておきたくなった次第。


今回、北方謙三の『草莽枯れ行く』の中の坂本龍馬。

坂本龍馬の登場は、清水の次郎長が、火消しの新門辰五郎の家を訪ねたところだ。


    出てきたのが武士だったので、次郎長はちょっと戸惑った。
    だらりと単衣を着て、脇差しも差していない。
    両手は懐の中で、半分眠ったような顔をしていた。

    「辰五郎なら、留守だぜよ。すぐに戻ると言って、もう一刻近くだ」


辰五郎が留守なため、座敷へ上がらず待たせてもらう次郎長に、
どこから来たのか、どんな商売をしているのか、たずねる。


    「商売は?」
    「博奕打ちで。清水に、小さな賭場をひとつ持っております」
    「ほう、やくざか。俺と似たようなものだな。俺も賭場を持ってるよ」
    「どちらに?」
    「海さ。海の上で、いつか博奕をやってやろうと思ってね。
     なに、海の上だって、丁半の賽の目を読むのに変りはない」
     総髪を後ろで束ね、小さな髷を作っている。江戸では見かけない髷だった。
     海を賭場にするというのも、まんざら法螺ではないのかもしれない。
     博奕打ちの眼をしているのだ。



ここまでで、名乗らなくても坂本龍馬だなとわかる。


新門辰五郎が帰ってくると坂本龍馬は去っていく。

辰五郎は、坂本龍馬から用事を仰せつかっていたのだった。
辰五郎は、坂本龍馬のことをこう評する。


     困ったお方でな。まわりにいる人間は、誰でも利用していいと思っておられる。
     頼まれると、つい言うことを聞いちまう。
     そこのあたりが得心いかねえんだが


次に辰五郎が、坂本龍馬を語る場面は、薩摩藩の益満休之助と会ったときである。


     「坂本様ってのはおかしな人でね。
      上から押さえつけられるのが、なによりも嫌いらしい。
      不思議に、勝の殿様の言うことはよく聞くんだが。
      その勝の殿様が、死なせちゃならない人間だと俺に言われた。
      なんとかしろってことなんだろう」

     「親分にゃ、一橋公がついてるじゃないか」

     「そういうのが嫌いなんだよ、坂本様は。
      薩摩や長州だって、好きじゃねえんだな。
      つまり、藩みてえなものもくそくらえって男なのさ。それで、俺も考えた。
      益満さんとでも仲良くさせておくかってね」

     「俺が、仲良くできると思うかね?」

     「思うね。あんたや相楽さんに、どこか似ている。
      二人みたいに誠実な人柄じゃないが。
      なんて言うか、型破りなのさ。人間がでかいって気もする。」

     「俺や総三の人物が小さい、と言っているようなもんだぜ」

     「その分、あんたらは誠実なのさ」


そんな話をしているところへ坂本龍馬が入ってくる。
益満休之助と会うと、すぐに西郷吉之助に会わせてほしいとたのむ。
坂本龍馬は、西郷のことをこう語る。


     「おかしな男だ。征長軍の総督参謀でありながら、
      長州を二度と立ち上がれぬまでに叩こうとしなかった。
      それどころか、最新の銃器を長州に入れるのに、
      どうも薩摩は便宜をはかっている気配がある。琉球あたりでのことだと思うが
          (略)
      もし、そうだとしたら、大変な食わせ者だ。
      長州を片手で適当に叩きながら、
      もう片方の手で抱き起こそうとしているんだからな」

      「なんのために?」

      「倒幕」


今、倒幕の考えが各藩で起こり始めている。
しかし、それにいち早く眼を向けるのが、西郷だと坂本龍馬は指摘する。

また、「草莽枯れ行く」と言い放った龍馬に反発する休之助に、
民が果たして虐げられた叫びをあげているのかと問う。

ほんとうに虐げられていたのは、武士だったと言う。
自分では何も作り出せず、金は商人に握られ、
因習の中でのたうち回っていた武士だったのではないかと。

その後、相楽総三と出会った坂本龍馬は、総三に商売をやろうと誘う。

総三もその言葉は、長く心に残り、ことあるごとに坂本龍馬を思い出すことになる。


相楽総三と益満休之助は、亀山社中を結成した坂本龍馬を語る。



   「いま思い出しても、坂本龍馬ってのは、実にいかがわしい男だった。
    尊王も攘夷もない。
    どうやれば、商売ができるか。どうやれば、大きく動かせるか。
    それだけを考えていたような気がする」

   「幕府であろうとどこであろうと、あの男が望むかたちの商売ができればいいんだ。
    あの男なりの、国家観だろう」


相楽総三は、再び坂本龍馬と再会する。
坂本龍馬の船に乗り、再び龍馬に一緒に商売をやろうと誘われる。



   「攘夷運動には、確かに意味はあったきに。
    わしは、それを否定しようとは思わん。あの運動で、
    幕府に任しちゃおれんちゅう気運が、この国に生まれた。
    そして、いろんなものに拡がっていった。それはそれで歴史が評価するぜよ。
    藩が動き出したんじゃ。もう草莽の志士が、命を賭けて闘うことはないと思わんかの」

   「藩は、大木。大木には大木の役割があり、草莽には草莽の役割がある。
    大木があって草莽があって、はじめてまことの大地でしょう。」

   「気持ちはわかる。気持ちはわかるぜよ、相楽さん」

   「私も、坂本さんと話してみて、坂本さんの気持ちはわかるような気がします。
    確かに、倒幕の戦は、薩摩と長州が組めば闘えるのかもしれない。
    しかし私はそこに、草莽が加わったという歴史を刻んでおきたいのです。
    ほんの小さなものでもいい。
    この国の変革に、間違いなく草莽の力があったということをね」

   「相楽さん、あんたの言うことは、正しいぜよ。
    しかし、正しいにもいろいろあるきに、それを考えてくれんかのう。
    このわしとて草莽よ。どこの藩の後盾もない。
    薩摩と長州の間を駆け回って、商売をしようとしちょる。
    草莽は草莽の生きる場所ちゅうもんがある、とわしは思うぜよ。
    大木と一緒に雨や風に叩かれたら、草莽は枯れる。わしはそう思う。
    雨や風に叩かれるのは大木に任せ、
    わしらはわしらの生きる場所で生き延びればいいきに」

   「思想など、わしはほかの誰かに考えさせようと思うちょうるぜよ。
    わしはただ、いつでもどこでも、自由に商売ができる国になればいいんじゃ。
    そういう国を作るためなら、労はいとわんきに。
    これも思想だとわしは思うぜよ」



相楽総三は、坂本龍馬の誘いを断り、船を降りていく。
そして、二度と会うことはなかった。

坂本龍馬を斬ったのは誰か。

薩摩藩邸の平五郎という男が、ここ数日新撰組の屯所に出入りしていたり、
見廻り組に出入りしていた。

次郎長は、坂本龍馬暗殺の黒幕が誰か口にしようとして、
新門辰五郎に制されるのだった。


同じ草莽の志士だった相楽総三と坂本龍馬。


北方謙三は、二人を対称的に描いた。


面白い組み合わせだった。

『竜馬がゆく』のりょうさんとは、ひと味違うりょうさんだった。



参考:『草莽枯れ行く』  北方謙三著 集英社 1999

りょうさんと桂小五郎の出会いを紹介しています。
その続編です。

桂は、何を思ったか、りょうさんに相州・三浦半島の長州陣地のことを
教える気になります。

その時、りょうさんは、昼時になったことを告げます。


      「腹がへった。あれなる農家でめしを焚かせましょう。
       はなしは、それからがいい。」


やはり、同じ釜の飯を食う、というのは、親しさが一層増すものでしょうか。
りょうさんらしい提案です。

しかし、ここからが、りょうさんの本領発揮というところでした。

りょうさんって、もしかしたら、「たかりの名人」なのではないかなと
思う節があります。

そのまま、ト書きで紹介します。



    「桂さん、ここの嬶(かか)どの、つけものじゃというちょるよ。どうじゃ」(りょうさん)

    「わしはかまわぬ。しかし」
    「さきほどから考えているのだが、どうもあんたとわしは、
     たがいに藩こそちがえ、このさき、交わりをむすんでゆきたいような気がする。
     あんたはどうおもう」(桂)

    「ちゃちゃちゃ」(りょうさん)

    「えっ」(桂)

    「なに大したことはない。土佐のびっくり言葉です。
     いまわしはおなじこと考えていましたので少々おどろいたのだ。
     なるほど外夷が来るような時代になると、長州も土州もない。
     いまにそういう時代がくる。(略)
     そのとき頼むべきは、よき友だけだ。男子、よき友は拝跪(はいき)してでも
     求めねばならない」(りょうさん)

    「坂本さん、同感だな」(桂)

    「しかし、それとつけものとは、どういう関係がある」(りょうさん)

    「そういう交わりをむすぶ最初に、つけものではぐあいがわるかろう。
     さきほど、モミ干し場でニワトリをみたが、あれをおごろう。どうだ」(桂)

    「つばがわいてきた(鳥肉大好物♪)」
    「しかし気の毒なような気がせぬでもない
    (長州陣地の秘密を明かしてもらう上に鳥肉までごちそうになるなんて)」
    「まったく気の毒だな。桂さん」(りょうさん)

    「いや、かまわぬ。どうもあんたには、そういう御人徳があるようだ」(桂)

    「ご馳走になる」(りょうさん)

    「ちょっと待ってくれ。なにか誤解しておられるようだが、
     私は性分で理屈にあわぬことはきらいだ。
     だから少々角があるという人があるが、
     申しあげることは申しあげておくというのは、
     長州陣地のことは約束どおり明かして差しあげる」(桂)

    「ありがたい」(りょうさん)

    「しかし鳥の代金は別ですぞ。私はあなたにご馳走する理由はないから、
     折半にする」(桂)

    「じつは、嚢中わずかしかない。(ウソ)
     ここでトリ代をはらうと品川まで帰れなくなる(大ウソ)」(りょうさん)

    「ああそうか」
    「それなら拙者が出そう。有る者が出すということで、
     これはすじが通っている」(桂)

    「酒は?」(りょうさん)

    「酒まではおごれない(怒)」(桂)


出会ったばかりの、男にちゃっかりおごってもらってしまうところは、
さすが、りょうさん。

それも、神経質で理屈っぽい桂にである。
でも、自分なりの理屈やすじが通ればいいのだな。
アレバダスの法則は、桂の理屈にあったらしい。
結構いいやつだなあと思ったりします。


二人で鳥鍋をつつきながら、だんだん意気投合してくるのですが、

まず、桂は約束どおり、長州陣地がひとめでわかる絵図を作成していたので、
それを見せてくれます。

三浦半島を中心にした相州の地図、海の深さまで測量した優れものでした。
長州陣地には、二門ずつの大砲が据え付けられていました。

りょうさんは、土佐藩にはこんなに大砲はないなと感心します。

ところが、桂はそれは、寺の青銅の灯篭を横倒しにしてある嘘の大砲だと明かします。

そうでもしないと、軍艦もない大砲もないわが国は、黒船どもに、
ますます馬鹿にされてしまうだろう。

桂は、測量した結果、このような考えに行き着きます。


    今の藩の組織を洋式軍隊に変えなければ、日本を外夷から守れない。


そのことを、毛利の殿様に手紙で訴えていました。

本当は、こんな話をする気はなかったのに、りょうさんと話しているうちに
桂は、熱っぽく語り始めたのでした。

りょうさんは、話を聞いて、すっかり感心してしまいます。

二人でだんだん盛り上がっていき、とうとう
長州も土佐もまだまだ眠っているが、
いざという時には、力を合わせて立ち上がろうと、
手を握り合って誓い合うのでした。

これが有名な、相州山中百姓家の誓い でした。・・・・・・って、うそうそ。


桂は、りょうさんのどこが気に入ったのでしょうか。

生真面目で、神経質そうで、好き嫌いの激しい桂小五郎。

理屈やすじが通らないことは大嫌いなはずなのに、
自分にはないものを持っているりょうさんに対しては、
理屈もすじもなく、好感を持ったのでした。



     「あんたには英雄の風貌がある」
     「事をなすのは、その人間の弁舌や才智ではない。
      人間の魅力なのだ。私にはそれがとぼしい。 
      しかしあなたにはそれがある、と私はみた。
      人どころか、山でさえ、あなたの一声で動きそうな思いがする。」


桂小五郎が、りょうさんのことを「好きだ」と告白した瞬間でした。

その後、桂は、りょうさんに頭があがらないのですね。
不思議な腐れ縁です。



ちなみに、桂小五郎は、「逃げの小五郎」の呼び名もあり、
私は、親しみをこめて、

彼のことを、

    桂うさぎ

と呼んでいます。



参考:二十歳『竜馬がゆく 立志篇』
   司馬遼太郎著  文芸春秋 1963

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