シルクロードから嫁が来た!!

キルギス共和国出身のロシア人と結婚した男のムダ話。旧ソ連諸国のお話も

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【ロシアのパスポートを自慢げに見せるドバルデューさん。ロシアの片田舎で静かに生活したいそうですが、、、ロシアの片田舎暮らしってかなりキッツイですよ。すごーく不便だし、寒いし。ホンマにホンマによーく考えたほうがいいよ、ドバルデューさん!(画像は『METRO NEWS WORLD』より転載】

新年明けましておめでとうございます。
久々の更新と言うことで何だか緊張しています。

とは言え、我が家は相も変わらずでバタバタした毎日でございます。

さて、更新をしていない間、世間ではいろいろなことがありましたが、今回はこれ。
『フランス有名俳優のロシア国籍獲得』の話題をとりあげましょう。

2013年明けて早々のこと。
フランスの俳優ジェラール・ドバルデューさんがロシア国籍を付与されました。

少し映画に詳しい人はご存知かもしれません。
カンヌ、ヴェネチア映画祭等で数々の賞を受けた大物俳優です。

僕もこの人がコロンブス役で主演した映画『1492』が大好きで、何度も繰り返し観たものです。

押しも押されぬ名優ですから、母国フランスで居心地が悪いはずがありません。
そんな人が何故フランスよりも寒いし、怖いし、汚い(失礼!)ロシアの国籍を?

猫ひろしみたいにオリンピック出たいのか??
いやいや肥満体のドバルデューさんがマラソンなんてするわけがありません。

原因は『税金』だったのです。

きっかけはフランスのオランド大統領が示した税制方針でした。
年収100万ユーロ(約1億1500万円)を超える富裕層に75%の所得税を課すことを示唆したのです。

ドバルデューさんは、これに猛烈に反発。
どこまで国は金持ちから搾り取るのかと激怒しました。
そして不公平なフランスを出て、公平なロシアの市民になると主張したのです。

公平?ロシア??ほんまかいな???
では、ロシアの所得税のシステムを見てみましょう。

ロシアでは所得税にフラット・タックスという仕組みを採用しています。

名前の通り、Flat(平準)なTax(税金)。一律13%の所得税が課されています。
お金持ちもそうでない人も同じ税率です。

ちなみに日本の場合、最低は10%から所得に応じ40%。
(新しく発足した安倍政権では、45%とさらに水準をあげるようです。)

なるほどロシアの方がかなり低いし、公平な感じはしますね。

ですので、年収の割には実際に使えるお金が多いケースが出てきます。
加えて儲ければ儲けるほど使えるお金は多くなるわけです。

『日本人より低い収入なのに、なぜロシア人は、あんなに浪費できるのでしょうか?』
以前ロシア旅行をした人からこんな質問を受けたことがあります。

これは、税率が低い上に彼らの多くはソビエト時代の住居を安く(あるいはタダ同然)払い下げられたおかげです。多くの日本人が悩まされる税金や住宅ローンの問題があまりないため、その分を他に回せるのです。

そんなロシアですが、もとからこのような平準な税率ではありませんでした。
フランスや日本と同じ様に所得に応じて税率が上がるシステムを採用していました。

税率は、10%、20%、30%の3段階。
日本とそう変わらないですね。

ところが、この税率は大不評でした。
ソビエト崩壊後〜ルーブル危機などの混乱で経済的に困窮していた人が多かったためです。

『明日の暮らしも見えないのに税金なんて払えるか!ケッ!』
こんな感じで税金逃れや滞納が続出しました。

転機は2001年。第一次プーチン政権時でした。

プーチンさんは、従来の税制度を廃止し、フラット・タックス制に舵を切ったのです。
一方で脱税に関しては厳罰で対処する方針を定めました。

『税率は低くしますよ。その代わり所得隠しなんてしたら承知しませんよ。』

実に分かりやすいアメとムチですね。

この“プーチン流アメとムチ”は『このぐらいやったら払うわ。』とすこぶる好評。
資源産業中心に復調してきた経済で国民生活が豊かになったことも追い風になりました。

その結果、税率を低くしたにもかかわらず税収は前年比25%増と大成功を収めたのです。

このプーチン改革にはもうひとつ思わぬ利点がありました。
厳罰を恐れて地下に隠れていたアングラマネーが一気に表に出てきたのです。

厳罰受けて全額政府に没収されるより、低い税率ならば、ある程度は妥協しよう。
その分正々堂々(?)と残ったお金を使おうという発想だったのでしょう。

そんなこんなでいいことずくめのイメージがあるフラット・タックス。
最近では日本でもこの制度を取り入れるべしと主張する人が増えているそうです。

では、本当によい制度か?
こう問われれば、残念ながらそうとも言えないのが現実です。

この制度は、富める者をより富ませる仕組みのため貧富の格差を加速させます。
いったん経済成長の歯車が狂えば、貧困層の増加による治安悪化が進みます。
結果として深刻な社会不安を引き起こす可能性があるのです。

格差や治安悪化の問題は今のロシア社会に既に如実に現れています。

それでもロシアの場合は、豊富な資源という切り札があります。
そのため、経済成長の歯車は、まだ狂うところまでには行っていません。。

資源などの絶対的カードがない場合は悲惨です。

例えば日本と同じく資源の乏しいキルギスを見てみましょう。

キルギスは、バキーエフ大統領時代の2006年にフラット・タックスを導入しました。

税率なんと一律10%。
この制度を採用している国の中ではトップレベルの低さです。

バラ色の未来を夢見たキルギス。
しかし、その夢は無残に散ることになりました。

恩恵を受けたのはごく一部の富裕層のみ。
彼らは得たお金を国に寄与させることなく、ひたすら己の欲望のままにつぎ込みました。

一方で、一般庶民の暮らしは一向によくならないままでした。
大きな産業も豊富な資源もないキルギスでは、働くための経済基盤があまりにもなさすぎたのです。
こんな有様では、税率を抑えても何にもなりません。

その結末は、多数の死者を出した第二次チューリップ革命という悲劇につながりました。

一見究極の公平に見えるフラット・タックス。
しかし、状況如何で、究極の不公平を呼ぶ諸刃の剣でもあるのです。

ロシアを公平な国と褒めちぎるドバルデューさん。
小さな公平の源が大きな不公平になりうることに気づく日が来るのかもしれません。

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