LUPOの地球ぶらぶら紀行

地球をこよなく愛する産婦人科女医の多少マニアックな旅行記です

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アドレナリン祭り

ちょっと前のこと。
近隣の開業医の先生の所から、陣痛の度に赤ちゃんの心拍数が下がるという妊婦さんが搬送されてきました。
救急車の到着を待つ間、既に新生児科と手術室と麻酔科に連絡し、準備万端。

妊婦さんが到着し、うちの助教授のN先生が内診。その瞬間、
「臍脱やぁ〜」
と叫んだまま、産道から手を抜けなくなりました。

臍脱=臍帯脱出。赤ちゃんの頭と子宮の入り口の隙間からへその緒が出てきてしまい、赤ちゃんは酸素が欠乏して死んでしまうこともある非常に危険な状態。
診断してしまったN先生は、へその緒が出てこないようにそのまま押さえていなくてはいけません。

と言う訳で、そのままオペ室へ。
この様に1分1秒を争う場合は、いつもの腰椎麻酔(下半身麻酔)ではなく全身麻酔となります。

このような超緊急帝王切開となると、産婦人科医はアドレナリンが出まくってハイテンションに。外来をやっているはずの先生達も手伝いにやってきてくれました。

「まだ?もう手が痛い・・。限界・・」
N先生は辛そうです。

消毒が終わって、早速切ろうとメスを当てた瞬間、麻酔科の先生ににらまれました。まだ麻酔がかかってなかったのです。焦りすぎ。

「まだ?早くして・・」

麻酔がかかった後、急いで帝王切開。内診した手を抜けなかったのでバルーン(尿道カテーテル)が入っておらず、膀胱がパンパンでちょっとやりにくかったですが・・
後ちょっとというとこで、

「ねえ、もう無理。手離していい?」
とN先生。
あかんに決まってるやん!!

「ダメですよ〜!頑張ってください!!」

それからすぐに赤ちゃんが生まれ、元気な声で泣きました。
一同、ほっ。
手術台の下から出てきたN先生は、手が強張ったままになっていました。


手術が終わって麻酔から醒めたお母さんに、
「赤ちゃん、元気でしたよ」
というと、朦朧としながらもにっこりと笑われました。
その笑顔に一同癒されました。

こういうのが嬉しくて産科をやってるんですよね〜。
アドレナリン中毒の産婦人科医多し、です。

でもN先生・・
ほんまに笑かしてくれましたわ・・

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