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カラパタールに登ってエベレストを見た瞬間に高山病を発症し、吐き気と頭痛でフラフラになった私は、とにかく高度を下げるため下山を始めました。ずっとムカムカして、「まさかこれがつわり?」と思う程でしたが、産婦人科医の私に限ってそんなことがあるはずがありません。これが普段なら仕事に行くのは無理ではないかという辛さでしたが、そこはネパール。自力で歩く以外はヘリを呼ぶしかありません。いや、本当の事を言うと恥ずかしげもなくヘリを呼んで欲しいくらいの体調だったのですが、さすがにカッコ悪すぎると思って倒れるまでは歩こうと思いました。
まずは標高4900mのロブチェまで下山したのですが、全く体調は改善しません。酸素飽和度は85%ほどで問題なかったのですが、余りに辛いので試しに酸素を30分程吸わせてもらいました。が、低酸素の問題ではなかったので何の効果もありませんでした。
力を振り絞って4400mのディンボチェまで下山。雪の中、日が傾いて暗くなりかかっていました。食欲もなく、オートミールを少しすすっただけで就寝。朝起きると寒さのため風邪をひいて鼻がずびずびになっていました。おかげで酸素飽和度は76%!普段の診療の感覚からすると、信じられない低さです。本当は帰りにチュクンリーというところにも登ってローチェ山の南壁を見ようと思っていたのですが、辛すぎて中止しました。
酸素飽和度70%台の思考回路はやばいですよ〜。
超ネガティブなんです。歩きながら、色んな人の腹立つことばかり思い出されるんです!これがまた近しい人ほど頭に浮かんでくるんですわ。
誰かと一緒にネパール行ってたら喧嘩してたでしょうね〜。
標高が下がるにつれ頭痛は無くなりましたが、吐き気と食欲不振はしつこく続きました。脳浮腫がなかなか退かなかったのかなと思います。それと同時にひどい下痢が・・。回数は大したことなかったのですけど、辛かったです。なんせ、ロッジのトイレは不衛生で酷いものだったので・・。旅行者情報として書きますと。壊れてて、変なタンクが置いてあって「今トイレは壊れてるからここに尿だけしてね」と書いてあったりして、もうどないしろっちゅうねんって感じです。紙は絶対ないし、手を洗うとこもありません。日本から持って行った除菌ウェットティッシュで手を拭くのですが、みんなは拭いてないってことでしょ?そらその手で調理をしたら、旅行者は下痢もするわな・・。
ディンボチェ→デボチェ→ナムチェ→ルクラ、と行きは7日かけて行った道を帰りは4日間で帰りました。
と言っても、フラッフラだったので荷物を全部持ってもらったにも関わらず歩みはとてもゆっくりでした。何枚も履いていたタイツはお腹のところが苦しかったので全部脱ぎました。何度も立ち止まっては呼吸を整えていました。ご飯は塩味のおかゆ以外何も食べられず、スープもお茶もポカリも飲めなくなってお湯を飲んでいました。ほとんどカロリーを摂取しないのに、何故歩けたのか分かりません。
現地では食べられるものが何もなかったのですが、すりりんごとかうどんとか雑炊とかなら食べられるのに、これが日本だったら・・と何度も思いました。真剣に日本が恋しかったです。日本を想って泣いてました。帰れたらもう日本を出るまいと思いました。
ナムチェからルクラに帰る日、辛くてほとんど歩けなくなり、最後の3時間だけ馬に乗せてもらいました。80ドルもしましたがやむを得ませんでした。ガイドさんたちとポーター君に付き添われて馬に乗る姿はさながら三蔵法師のようでした。
ルクラに着いたらちょっと文明の匂いがしてホッとしました。翌日の飛行機は無事に飛んでカトマンズまで帰れました。カトマンズに着いたら風の旅行社ネパール支店の偉い人が心配して来てくれました。結構な早さでカラパタールまで行って帰って来たので、日本に帰る便まで4日もあったのですが、変更の出来ない便だったのです。「一日も早く日本に帰りたいです」と言うと、「病院に行って、日本に一刻も早く帰った方がいいという診断書を書いてもらえば、海外旅行傷害保険で飛行機代が下りるよ」と言われたので、早速旅行者専門の英語の病院に連れて行ってもらいました。病院では優しい女医さんが診てくれました。体重計に乗ると4キロも減っていてびっくりしました。アバラと骨盤が透けていてガリッガリになってしまいましたが、それでも腕は痩せなかったのがショックでした。。私みたいな旅行者はいっぱいいるそうです。ネパールには耐性菌が全然いないので、キノロンをもらって飲んだら翌朝には下痢は治まりました。
翌日にタイ航空で日本まで帰りました。タイ航空の美しく清潔な機内に入っただけで、すっかり食欲が出てきました。途中乗り継ぎのバンコクの空港ではタイ料理食べまくりでした。
というわけで、帰りは思い出しただけで辛くて筆が進みませんでしたが、ヘリを呼ぶことなく生きて日本に帰れました。でも、エベレストは見れたし、やっぱり行って良かったです。今度はアンナプルナに行きたいなあ。(←懲りてない)
しかし、日本で食べまくってたら一瞬で体重も体型ももとに戻りましたよ。腕なんか元より太くなって、どうしたらいいんでしょう。
しかし、ガリガリは全く魅力がないことが良く分かりました。ほんま、月経が予定より10日早く来た時は、「ぎえー、私って今ホルモンゼロ!?」と焦りましたよ・・。生命維持のピンチです。
ほっそりして、ウエストがきゅっとなっているような人って、きっと脱いだらガリガリで魅力ないと思います。もうダイエットなんて言葉は間違っても口にしませんわ。
みなさんもノリでダイエットをするのはやめましょう。
本当に痩せたいならネパールへどうぞ。
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