LUPOの地球ぶらぶら紀行

地球をこよなく愛する産婦人科女医の多少マニアックな旅行記です

マダガスカル

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飛行機で首都アンタナナリボに着いた私たちは、代金を支払うためにガイドさんやホテルを手配してくれたトラベルエージェントに行った。ずこちゃんが全部取ってくれたのだが、それはアリックスという会社を通じてだった。アリックスの代表は黒川さんという日本人の洒落たおじさんで、コーヒーとチョコレートをいただいてそのまま談笑をした。
アリックスの顧客は個人の旅行者も多いが、テレビ局の番組制作も結構多いらしい。「あいのり」も来たし、「ウルルン滞在記」と「世界ふしぎ発見!」は2回ずつ来たらしい。
あいのりが全くやらせではないとか、世界ふしぎ発見のレポーターに求められているのは愛嬌ではなく「コメント力」だとか(「かわいい」とか「おいしい」ではなく端的に具体的にコメントすること。これには私たちは3人ともギクっとした。)興味深い話をいろいろ聞いた。
しかし、一番衝撃だったことは、
「あの、私たち、ここへ来ていくつか蚊に刺されたんですが、マラリアとか大丈夫ですかね?」
「うーん、僕はマダガスカルへ来て13年になるけどねえ、2回大きなマラリアにかかったね。小さいのは数え切れないけど。」
「え、大きなってどんなんですか。」
「高熱が1週間続いて、ずっと点滴してたよ。」
絶句。仕事を休ませてもらって来てるのに、マラリアでそんなに休んだら、肩身が狭くて消えてなくなりたくなるだろうなあ。 

アンタナナリボで泊まったホテルは、高台にあって市街が見渡せるホテル・パリサンドラというきれいで設備の整ったホテルだった。
私たちは見晴らしの良いテラスで夕食をとった。アンタタナナリボでは15階建てのヒルトンホテルがダントツで一番高いビルなので、夜景が見渡せるとはいえ街の灯はまばらだった。
食事はカルパッチョとか、ゼブ牛の野菜包み焼きとか、凝った料理が多かったのだが、シンプルな森の料理のほうが格段においしかったような気がした。
しかし、アンタナナリボは高地のため蚊がおらず、湿度も低めなためベッドも今までよりカラっとして、心地よく眠ることが出来た。

翌朝目覚めると、rexさんがぐったりしておられた。聞けば、一晩中嘔吐と下痢をされていたという。多分、フォールドーファンのカキにあたったのではないかと。連日の長距離移動で疲れが出始めていたのに、加えて嘔吐・下痢。いつもは元気いっぱいのrexさんが朝食も食べられないくらい弱っておられた。
その日は朝から次の目的地であるペリネ保護区に向かう予定になっていたので、rexさんはなけなしの力を振り絞ってなんとか車へ。幸い首都からペリネまではこれまでに無いくらいデコボコが少ない道だったので、比較的体力を消耗することなくペリネ保護区に隣接するロッジに到着した。

ロッジの中で洗濯物を干した後、洗面台に向かっていると、ドスーンという大きな音が。あわてて部屋のほうへ行くと、rexさんがはしごから足を滑らせ、床に転落して、腕や背中を打撲しておられた。完全に予備力がなくなっておられるようで、とっても心配。
rexさんは朝食に続いて、昼食もとても食べられないと言われたので、ずこちゃんと「絶対に滑りやすいサンダルで歩かないでください」とお願いして二人で出かけた。
ガイドのマミさんが連れて行ってくれたのは近くにある欧米人御用達の高級ロッジ。そこで優雅にランチをしたあと、レムールパークに連れて行ってもらった。
レムールパークは川の中州に作られた、キツネザル(=レムール)の動物園。動物園といっても、見た目はほとんど自然の森と一緒で、キツネザルが放し飼いにされている。キツネザルは泳げないので、中州から出ることが出来ないのだ。ここにはカンムリキツネザルなどまだ出会っていないキツネザルが飼育されていて、餌をやったり肩に乗せたりすることができる。
キツネザルを肩に乗せて、ナウシカ気分で写真を撮ったり(あれはキツネリスだが)、頭に乗られたり、わいわい騒ぎながら、
「さっきの優雅なランチといい、レムールパークといい、なんかテーマパークみたいだね。首都に近いからか、ネイチャーというより私たちが飼いならされてきた感じだね。」
まさに、観光客がたくさん来る首都近郊の保護区という感じであった。

夜になってrexさんはだいぶ回復され、ナイトサファリにも参加された。昼間はテーマパークのようであったが、サファリは割とハードで、ナイトサファリも約2時間ほど足場の悪い森を歩いた。

ペリネ保護区の特長は、最も大きいキツネザル、インドリが見られるところである。インドリは悲鳴のような声で鳴く、白と黒のツートンカラーのサルだ。
翌朝のサファリでは、目的はただ一つ。インドリを見ることだった。翌朝のサファリでは、ガイドさん共にインドリを探して、アップダウンの激しい山道を行ったり来たりしたが、なかなか見つからない。ガイドさんは「インドリを探してくるから」と言って私たちをランの咲く池のほとりに置き、山の中へ消えた。
どのくらい待たされただろう。ガイドさんが息を切らせて戻ってきて、インドリの発見を伝えると、私たちははじけたように飛び上がって、ガイドさんの後をついて森に入った。さっきまで、肩で息をしながらゆっくり登っていた坂道を、みんなほとんど小走りで進んでいく。息が上がって、もう歩けない、と思ったころにガイドさんがはるか高い木の上を指した。
肉眼ではほとんど見えない。カメラの300mmズームで覗くと、木の上で、白黒のインドリが2匹、じゃれあっているのが見えた。2匹ともこっちを見ている。サルというより、子グマのような顔だった。

インドリに会えた!もうマダガスカルで思い残すことはない・・。

と、感慨に浸りながら帰ろうとしたとき、ガイドさんと違う現地の人が携帯電話を持って、ガイドさんと話していた。ガイドさんは、現地の人のネットワークで、インドリ目撃情報を交換しているらしい。ハイテクというか、なんと言うか・・。インドリにGPSを埋め込んだほうが早いような気がするなあ。なんて。

サファリを終えてロッジでゴロゴロしていると、洗面所からrexさんの悲鳴が聞こえた。
「まぶたの上に虫が・・!!」
洗面所に飛んでいくと、rexさんが鏡を見ながら、まぶたの上をこすっておられた。しばらくして、
「あれ、いなくなった。と思ったら、目の中に入ってる!!いやぁーー」
見せてもらうと、黒くて細いヒルがrexさんの目の中に入っていた。
つまみ出す道具はないかと部屋中を探すが、うってつけの道具はない。
「私のポーチの中に毛抜きがあるから持ってきて!」
と言われ、必死で毛抜きを探しだし、rexさんの目の奥にいるヒルを出そうとした。控えめに先っちょをつまんで引っ張ったが、途中で外れて、ヒルはさらに目の奥に行ってしまった。今度はヒルの腹の部分を思い切りつかんで引っ張ると、すっぽーんとrexさんの目からヒルが取れた。その姿の気味悪さに(といっても、黒くて細長いだけ)、二人で悲鳴をあげ、rexさんはさらに号泣しておられた。目からは三筋の赤い涙。まぶたの裏をヒルにかまれたのだ。
悲鳴を聞きつけて、マミさんがやってきたが、ヒルとわかると「なーんだ、ヒルか。病気を運ばないから心配要らないよ」と言って、ふざけながら私に記念写真を撮るように勧めた。(もちろん、撮らなかったけど)

ボルネオ島でも、rexさんはヒルに二つかまれ、私はかまれなかった。そして今回も・・。
rexさんの血はおいしいのかなあ。
実はマダガスカルで一番印象に残っている出来事は、このヒル事件かもしれない。

昼前にアンタナナリボに戻った私たちは、バオバブの木のオブジェやバオバブの模様のTシャツ、バニラとラム酒、そしてマダガスカル産チョコレートを買い込んだ。
とうとう明日はマダガスカルを去る。
名残を惜しみながら最後の晩もバナナフランベを食べ、マダガスカルのビールで乾杯した。

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モロンダバの海沿いのホテルで朝を迎えた私達は、朝食前にビーチを散歩した。
モロンダバのビーチはそんなにきれいではないけれども、モザンビーク海峡を行き交う大型船が間近に見えて、「日本から、本当にはるばる遠くまで来たなあ。」としみじみ思った。

朝食後、モロンダバのちっちゃな空港に行き、次の目的地であるキツネザルの楽園、べレンティー保護区を目指した。
チュレアールを経由し、マダガスカル島の南の端にある、フォールドーファンまで飛行機で行った。

べレンティー保護区はフランス人が設立した私設保護区で、5種類のキツネザルが保護されている。私設なので、フォールドーファンからべレンティーまで行くのも、中にあるホテルに泊まるのも、一つのエージェントが独占状態だ。
私達はまず、系列であるホテル・ル・ドーファンで昼食を摂った。
前菜に出てきたのはなんと生ガキ。小ぶりでおいしかったが、何となく警戒して一人3個までにしておいた。(しかし、これが後に恐ろしいことになる。)

モロンダバに比べるとフォールドーファンは洗練された建物も多く大きな街だったので、今度は道路事情が良いといいなと思っていたが、モロンダバに勝るとも劣らないボコボコ道。9年前の大雨で道がボコボコになったまま、直していないそうだ。なんてのんびりした国だろう。
道々では珍しい植物をたくさん見ることができた。ウチワサボテンなど、サボテンの数々とその花々。三角ヤシという三方に枝が伸びた、ここにしか生えていないヤシ。金棒の木という、幹に直接トゲトゲと葉の生えた変わった木。そして、特産のザイザル麻が栽培されている。

フォールドーファンから車で2時間くらい奥に行くと、大きな川沿いに栄えた集落があった。ガイドのオリビエさんが平屋でプレハブ作りの建物を指差し、
「あれは産婦人科です。」
と言った。
へええ。こんなところに産婦人科が。聞けば手術もしているとのこと。マダガスカルの人も帝王切開で生まれたりしてるのかあ。医師は二人で切り盛りしているらしい。いざとなれば、ここでも雇ってもらえるかなあ。

日が傾きかけたころべレンティー保護区内のホテルに到着。とても広くて整備されており、一軒一軒がコテージになっている。洗濯したり、水シャワーを浴びたりしていると、外から「早く来て!」というずこちゃんの声が。
出てみると、尻尾が縞々のワオキツネザルがコテージの近くにいた。何匹もいて、人間を全く恐れない。こちらはキツネザルを見に来たのだが、どうもサルのほうも大勢でこちらを見物しているようであった。

日が沈んだころ、ナイトサファリに出発するためにオリビエさんと集まった。
オリビエさんに言われて、原っぱの向こうの地平線の方を見ると、低い位置に雲が重く広がっていて、時々閃光が見られた。はるか遠くの、稲妻だった。大地と空の間で起こる自然現象。大気という自然の存在を改めて感じた。
満月を過ぎているため、日の入り後しばらくは闇夜である。見上げると、満天の星空。天空の星の中に、移動する人工衛星も見えた。南半球といえば、南十字星座。これもかなり高い場所に見つけることが出来た。

しばらくすると月が昇ってきて、銀河や星々は薄くかすんでしまった。木々も道も、月に明るく照らされて、不自由無く歩き進むことが出来る。
「月夜ってこんなに明るいんだね。」
「都会では街の灯が明るすぎて、気付かなかったね。」
昼間は刺々しかった金棒の木が、月夜をバックにシルエットとなって、海底にゆれる水草のようなたたずまいだった。まるで海底を歩いているような、不思議な気分。満天の星空もいいけど、月夜も素敵。優しい光で、昼間とは違った森を演出してくれた。

こちらの森ではフクロウなどの鳥たちやカメレオン、あまりに高いところにいて写真に撮ることが出来なかったイタチキツネザルや、ネズミキツネザルを見ることが出来た。
サファリの後は、レストランで夕食。サラダや豚肉料理はととてもおいしかったが、マダガスカル産の白ワインは酸っぱくて味に深みが無かった。やっぱりビールが一番合う。
その晩は早々と就寝した。

明け方近くになると、コテージのトタン屋根の上をサルたちが荒々しく渡っていくので、かなり大きい音がして私たちは目が覚めた。

外へ出てみると、ブラウンジェントルキツネザルやワオキツネザルが、それぞれ家族連れで地面の上や木の上にいた。まさにここはキツネザルの楽園だなあ。
朝のサファリのためにレセプションコテージの方へ歩いていくと、道の向こうから大勢のワオキツネザルとブラウンジェントルキツネザルが群れをなしてこちらに向かってきた。その姿は、まるで北京の自転車通勤の光景にそっくりで、あまりのキツネザルの多さに笑ってしまった。
その後サルたちは木を登って、屋根をつたい、木の枝から枝へジャンプしながら森のほうへ消えていったが、驚くべきことにサルたちはみな全く同じ枝を全員が通って行ったのだ。
なにげなく見ているこの森も、サルたちにとっては整然とした立体的な道が何本も走っているのかもしれない。

朝のサファリはキリンディーでのハードなフォレストウォークとは異なり、ほとんど散歩のようなものだった。苦労して歩き回らなくてもキツネザルがあちこちに見られるからだ。ベレンティーのコテージの周りは道が広く、ベローシファカが横飛びジャンプをして道を横切るのが何度も見られた。
朝食のテラスにもキツネザルが次々にやってきて、あつかましい奴はオムレツを奪おうと机までやってきた。レストランはサルを追い払うためのスタッフがいた。
非常識にも、キツネザルに餌をやる旅行者がいるようで、餌をもらえると思っているんだろうな。でも、人間の食べ物を食べるのは、身のためにならないからやめときなよ・・。

日が高くならないうちに、ベレンティーを出発した私たちは、フォールドーファンで昼食を取り、飛行機で首都アンタナナリボへ向かった。連日の水シャワーと、蚊との格闘で、都会が恋しくなっていた。

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一晩ぐっすり眠った私たちは、日の出と共に鳴き始めるけたたましい鳥たちの声で目を覚ました。
昨晩は暗くてよくわからなかった、ロッジのレストランへ出向くと、朝の光が優しく差し込むテラスのようなレストランだった。
朝食が出来上がるのを待ちながら、隣接するだだっ広い広場を眺めていると、遠くから3匹のスマートな動物が歩いてきた。
イヌ?キツネ?
見たことのない動物だが、手塚治虫の漫画に出てくる若いライオンたちに似ていて、こちらに気付いても恐れることなく、3匹が思い思いに徘徊していた。しぐさが可愛らしく、まだ子供かもしれない。
ガイドのマリオさんが来て、「あれはイヌでもキツネでもなくて、ネコの仲間。これを見るために何日もここへ滞在して、それでも見られないこともあるような動物なんだ。とっても運がいいね。」と教えてくれた。
フォッサというジャコウネコ科の動物で、肉食らしい。良かった、正面から出くわさなくて・・。

朝ごはんはフランスパンとオムレツとサラダ。マダガスカルはフランス領だったためか、どんな小さい市場にもフランスパン屋がある。コーヒーはマダガスカルの特産。土っぽいワイルドな味がして、自然の中で飲むととてもおいしい。パンには蜂蜜とミルクジャムをつけるのだが、ついつい何個も食べてしまう。こんな森の中で、どうしてこんなにおいしいご飯が作れるのだろう。

昨晩と違って充分にチャージした私たちは、張り切って朝のサファリに出かけた。昨日歩き回った道だが、明るくなって改めて見てみると、木の根っこがたくさん出ているし、濡れ落ち葉が敷き詰められていて滑りやすい。暗い中よく歩いたよなと思いながらマリオさんの後をついていく。明るくても、動物を見つけてくれるのはやっぱりマリオさん。昼間と夜では活動する動物が全然違う。カメレオン(種類が多い!)やイグアナたち、ブラウンジェントルキツネザル、そして横っ飛びで有名なベローシファカ。
今回はサファリのために300mmズームの手振れ防止つきレンズを新調したのだが、高かっただけでなく、重い!高い木の上にいるキツネザルが、すぐそこにいるかのように撮れるのだが、カメラを覗いたまま上を向いていると、首が痛くなってきた。写真撮影に満足し、
首の痛みと午前の日差しによる猛烈な暑さが限界に達する少し前に、マリオさんはロッジにもどってくれた。

昼食を摂った後は少しお昼寝。一番暑い時間に動いても消耗するだけだし、モロンダバの街に帰る途中にバオバブの並木道で夕焼けの時刻を迎えるべく、時間を調整するためでもあった。
午後3時すぎ、まだまだじりじりと太陽が照りつける中、キリンディーロッジを出発した。(ちなみに乾季のピーク時にはかなり予約が難しいそうだが、雨季の終わりだったためその日の宿泊客は私たちだけだった。)

行きに来た道と少し違う道を通りながら、いろんなバオバブの木を見ながら帰っていった。

住民たちの御神木である太いバオバブ。屋根のように広がる枝には、分かれ目のところにコブがいっぱいあり、木の古さを物語っていた。
恋人のバオバブ。2本のバオバブが偶然絡みあっている有名なバオバブの木だが、幹に無数の名前が刻まれていて、とても痛々しかった。中でも、ひときわ大きく彫られていたのは日本人の名前・・。秘境で日本人に出会うより、何倍もげんなりしてしまった。

他にも、黄色いお花畑の中のバオバブや池にきれいに姿を映したバオバブなどを、草むらやぬかるみの中に果敢に足を踏み入れて思う存分撮影していると、だいぶ地平線のほうに太陽が近づいていた。

バオバブの並木道の周辺で夕焼けを見るため、車で移動。
太陽が落ちていくスピードは速く、刻一刻と空の色を赤く変えていった。
見渡す限り360度の地平線、どこまでも澄み切った空気、晴れ渡った空。はるか遠くの空の雲まで小さく見えて、その一つ一つが夕日に照らされていた。
沈みゆく夕日と、バオバブの木のシルエット。まさに私が夢見ていた景色だった。

太陽が地平線の下に隠れきって、私が呆けていると、マリオさんが「ここからすぐのところにもっといい場所があります」といって、ほんの少しはなれたところに車で連れて行ってくれた。
そこは、沼地と水草のお花畑で、近くにはさえぎるものが何もなかった。
太陽が沈んでいったあたりの場所が濃いオレンジ色になっていて、そこから地平線沿いにだんだん色が薄くなっている。遠くにはバオバブの木が散在し、鳥の群れが木から木へと移動している。
日が落ちて、空が暗くなり始めると、地平線のオレンジはますます赤く見えた。
「見て!マウナケアと同じ、地球の影の色!」
東を振り返ると、空の低いところに濃い青から紫色のグラデーションが現れていた。去年の8月、ハワイ島のマウナケア山でガイドのマックスさんが教えてくれた、夕日による地球自身の影。
3人ともマウナケアの夕日を一緒に見たので話が早い。地球は丸いんだ。そして、一つの星。

ぐるっと360度見渡すと西から東まで地平線がつながって、オレンジから紫まで少しずつ色が変わっていた。少し涼しくて、澄んだ空気。聞こえるのは鳥と虫のささやくような声。

言葉では、伝えきれない。まさに絶景だった。

でも、ここにはだだっ広い地面があるだけで、美しい湖も、形の良い山々も何もない。ただ、きれいな空気と地平線があるだけ。
きっと昔は世界中でこんな夕日が見られたのだろう。私たちは都会で、あんな美しい色を見ることなく生活して、そして何でも持っていると思っている。それは地球に住んでいながらもったいないことだなと思いながら、このロストワールド・マダガスカルと、地球の自然がどうか失われませんようにと、3人で願った。

空がだいぶ暗くなったころ、東の空に昇った満月が見え、薄明かりに照らされたバオバブの木々の影が地面に描かれた。それは月並みな言葉で言うととても幻想的な光景で、ワイルドな土地なのに、なぜかとてもメルヘンチックだった。

私たちは名残惜しくそれを眺めながら、ガタガタゆれる4WDに乗ってモロンダバの街まで戻った。
西洋人経営の小ぎれいでおしゃれなホテルが今日の宿。ディナーにマダガスカルのスープ・ロマザヴァ、またまたバナナフランべをデザートにいただいて、水シャワーを浴び、興奮のうちに就寝した。

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国内、海外旅行に頻繁かつマニアックに行くので、旅行記をブログに公開することにしました。
これは2007年3月に行ったマダガスカル日記です。
旅行される方、質問などあればどうぞ。




みなさん、こんにちは。帰国直後にみまわれた腹痛からも解き放たれ、ようやく社会復帰しつつあるLUPOです。

現実に戻ってしまうと、マダガスカルの厳しいけれど牧歌的な日々は、あっという間にはるか昔のことかのように思えてしまいます。日本とは時間の流れ方が完全に違う。
言葉でも、画像でも、表現しきることは出来ないけれど、忘れないうちに書き留めてしまいたい。熱くなりすぎるかも知れませんが、よろしければお付き合いください。


バンコクから約10時間のフライトを終えて、マダガスカルの首都アンタナナリボに到着したのは早朝だった。アンタナナリボの空港は、これが一国の首都の空港かというくらい小ぢんまりとして、のんびりした空港だった。全員疲れは見せていたが、その日の午前のうちに、島の西海岸にあるモロンダバという街に乗り継がなければならなかった。
昼過ぎに、飛行機がモロンダバ空港に着陸したあと、私達はタラップを降りて灼熱の太陽の下を歩かされた。日よけのために長袖、長ズボンだった私達には、気温は体温ほどに感じられた。
モロンダバの空港はアンタナナリボよりはるかに小さかったが、かろうじてターンテーブルがあった。幸い誰もロストバゲージにならず、荷物を受け取った後、ガイドのマリオさんとドライバーさんと会い、4WDに乗り込んだ。

初日の最終目的地、キリンディー保護区内のキリンディーロッジまでは約100km。それをおよそ3時間もかけて車で行く。
その理由はすぐにわかった。道が舗装されていないも同然で、雨季の終わりだったため、あちこちに水溜りの跡があり、凹凸がかなり激しかったのだ。
「車酔いのする人は、マダガスカルは無理だよね」と言いながら、車窓を見ていると小さな集落がいくつも見えてきた。建っているのがやっとに見える、木で出来た小さな家々。鶏や、背中にコブのあるゼブ牛が放し飼いにされ、子供達が何をおもちゃにするでもなく遊んでいる。
集落から完全に切り離されているような道でも、頭に大きな荷物を乗せた女の人や、帽子もかぶらない男の人たちが、三々五々、ゆっくりと行き交っている。
この暑いのに、どこからどこまでいくのだろう。日暮れまでに、目的地につけるのだろうか・・。勝手にそんな心配をしていた。
このあたりに住んでいる人たちは小柄で、アジアの血も入っているとは思うが、ほとんどアフリカ人と思われる人たち。

まばらに見えてくる、さほど能率的と思われないサトウキビ畑を見ていて、首都アンタナナリボに着いてから漠然と思ってきたことが、言葉になった。

この国は、進化を拒絶している・・。

先ほどバンコクで見た、高層ビルの数々。あれは、先進国に追いつけ、追い越せのバベルの塔だった。アジアのあちこちで、行われている切磋琢磨。
ここは、かなり昔に大陸から切り離された島国のままなんだな。誰も、他の国のことなど知らずに暮らしている。

ボコボコ道を一時間ほど行くと、ぼつぼつとバオバブの木が見えてきた。初日にして、私がマダガスカルで最も見たかったものと出会うことが出来たのだ。
巨人が木を引っこ抜いて、逆さ向きに植えなおしたと言われている、バオバブの木。
マダガスカルには6種類のバオバブがあるが、私が一番好きなのは、見えない天上にぶつかっているように見える、フラットタイプのバオバブ。

バオバブは太くて高くて真っ直ぐで、一番古いもので樹齢700年くらいだそうだ。強い日差しに、幹が特殊な金属のように光って見える。
マイミクのふじさん開発の超広角レンズに偏光フィルターをつけてくるくる回しながら撮ると、青空や雲の感じも、幹の光り方も、少しずつ違って、不思議な写真がたくさん取れた。

そして、夕方にキリンディーロッジへ到着。思えば日本を出て以来、一度もベッドで寝ていない。それどころか、着替えてもいない。すでに全身から汗が何度も噴出していた。
ところが、ガイドのマリオさんの口から、信じられない言葉が。
「もうしばらくで、ナイトサファリに出発します。」
え、ご飯より、シャワーより、前に?ほんま、若いうちにしか来れない国やな・・。

マダガスカルのナイトサファリは猛獣がいないため、歩きだ。歩き始めてしばらくすると、マリオさんが、「今日は何分ぐらいサファリをしたい?」ときいてきたので、「見られる動物の数によります!」と答えた。
ところが、なんとマリオさんはどっかの国の夜行性ザルの研究班のガイドだったらしく、そのサファリはかなりスパルタだった。
はじめは車道だったが、しばらくして林道に入り、オリエンテーションもつかぬままひたすら1時間半ほど歩いた。
その日は満月が近く、日の入り後から月夜で明るかったが、私達の目には木々の間の動物など到底見えない。なのに、マリオさんは次々に見つけて、私達に教えてくれた。手のひらサイズのネズミキツネザルや、体はコアラそっくりだが顔がアンバランスに小さいスポーティブレムールなどのサル、鳥、カメレオンなど、たくさんの夜行性の動物に会うことが出来た。

相当くたびれ、ずこちゃんなどは半分眠りながらロッジに帰ると、夕飯が用意されていた。こちらで主食の米、外国人しか食べないと思われるジャガイモ(!)、ニンジン、ゼブ牛など。高温多湿の中、ビールと食べるとおいしいこと。デザートのバナナフランベは、絶品。

食事を終えて部屋に入ったが、当然電気はなくろうそくの明かりのみ。シャワーはあるが水しか出ない。手探りで蚊帳をつり、日本から蓄積してきた汚れの一部をなんとか流した後、私達はようやくベッドで眠ることが出来た。

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