LUPOの地球ぶらぶら紀行

地球をこよなく愛する産婦人科女医の多少マニアックな旅行記です

槍ヶ岳

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さて、槍ヶ岳下山編。(くどいようですが写真だけでも。)

登頂の疲れのためかぐっすり眠った私たちは、廊下の足音で目を覚ました。時刻は3時50分。
私はフリースのパーカーを引っ掛けて、カメラを抱えて部屋を飛び出した。外に出ると、ひやりと寒い。まだ空は暗く、オリオン座が輝いていた。
すでに槍の頂上を目指すヘッドランプがいくつか見えた。

まだ早い。
一度部屋に戻り、洗顔などの身づくろいを済ませると、もう一度外へ出た。東の空にほんのり赤みがさしていた。私の見たかった、空の色。そして、朝焼けに浮かぶ、槍ヶ岳のシルエット。

私たちは今日も夜明け前に出発した。
頂上からのご来光に興味がなかったわけではないが、頂上に登れば槍の姿は見えない。角度的に山荘からも見ることが出来ない、朝日に輝く槍の姿が見たかったのだ。

朝・昼・夕、と槍ヶ岳の変容をこの目で見て、満足した。
全員、槍が岳を見ながら岩に座って朝食を取る。今日は山を下るだけ。昨日に比べて全員表情に余裕が見られた。

この後、私はどうしても見たいものがあって、一人寄り道をすることになる。槍沢ルートの途中から往復で一時間強の天狗池だ。天気の良い日はそこに映る逆さ槍ヶ岳が見えると言う。

みんなに行きたいと言うと、出来れば行ってきてほしいとのことだったので、なんと単独行動に出ることになった。
もちろん原則から言うととんでもないことなのだが、天候がよく、体力と時間に余裕があったため、みんなよりペース早く歩き、天狗原分岐にでっかいリュックを置いて、カメラとレンズと貴重品をちびリュックに入れて天狗池へと向かった。

雪渓を横切って槍沢側の対面へ渡ると、そちら側からは槍ヶ岳がくっきり見える。(槍沢コースからは姿は見えないのだ)
私は興奮のあまり息が切れても立ち止まることが出来なかった。

そして、天狗池に着くと、水は少なかったが逆さ槍をカメラに収めることができた。
天候と、PLフィルターと、マイミクのふじさん開発の広角レンズに感謝した。

急いで荷物を置き去りにした分岐まで戻ると、待っててくれているはずのみんなの姿はなく、
「ぼちぼち先に行ってまーす。槍沢で待ってるね。7:20 ずこ」
と言うメモがリュックにくっつけてあった。時刻は7時40分。
こりゃいけないと、カメラを仕舞い込みステッキを取り出して
足早に下山し始めた。
一人で降りる槍沢までの2時間の長く感じられたこと。膝がガクガクしてきた。
槍沢でみんなと合流し、そこからは傾斜も緩やかなので談笑しながら歩いた。

上高地まであと7キロの徳沢に着くとちょうど12時。
井上靖の小説「氷壁」に出てくる山荘徳沢園で野沢菜チャーハンを食べ、少しずつ文明の香りを思い出す。

その後また談笑しながら歩いていくと、河童橋が見えてきた。
昨年は上高地の手前で体力も足の疲れも限界を超していた。
ところが、今年は足もまだ軽く、元気も残っていた。
まだ歩けるのに。そう思った。

上高地清水屋ホテルに到着すると、温泉に直行。温泉があるから去年も今年も清水屋ホテルを選んだのだ。
みんなテンションが上がって、タオルやお湯が茶色くなったことを自慢しあう。清潔って気持ち良い。

晩はフランス料理と共にワインを飲み交わし、タガの外れた話題となる。
下山してしまっても、大好きな上高地にいる。
ふかふかの布団で全員あっという間に眠りに落ちた。この上なく幸せな気持ちで。

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2007年8月半ばに槍ヶ岳に登った日記です。

緊張のあまり大騒ぎして出発した槍ヶ岳ですが、無事に登って帰って来れました。
今回のメンバーは、
昨年、一緒に奥穂高岳(3190m日本3番目)に登った、ずこちゃん。
16年前、一緒に奥穂高岳に登った、ほとちゃん。
昨年、一緒に宮之浦岳(1935m九州最高峰)に登り、屋久島を縦走した、ゆかりん。
春先から計画し、休みを合わせてきました。

絶好の天候に恵まれた、すがすがしい登山でした。まだ余韻に浸っています。
忘れないうちに書き留めておきます。(熱くなるかと思うので、読むだけで筋肉疲労な方は写真だけでも。)

「日本百名山」を記した深田久弥は、槍ヶ岳の項で「いやしくも登山を志した者で、あの槍の頂上に立ってみたいと思わぬ者はない」と書いている。
その天を鋭く刺す尖った姿はどこから見ても一目瞭然で、一年前奥穂高岳の頂上から朝日に色っぽく光る槍ヶ岳を見て、あの頂上に立ちたいと思い続けてきた。そして、2007年盛夏、その目標に向けてとうとう出発した。

松本から上高地へ向かうバスは、お盆シーズンのため超満員だった。バスが釜トンネルにさしかかると、俄かに心が躍り始める。
上高地に行くのは今年3回目だ。極寒の1月には、閉山されて車が通行止めとなっていたこの釜トンネルを、足で歩いて上高地に入った。その時は一面銀世界だったが、今は深緑の上高地。

大正池が見えてくると、奥に見える穂高連峰の姿をチェックした。すでに日は高く、山は白っぽく照らされていた。時計を見ると正午前。岳沢にはほとんど雪は無かった。

私たちは、下山後に宿泊する予定の上高地清水屋ホテルに荷物を預けるため、帝国ホテル前でバスを降りた。ピークシーズンの上高地帝国ホテルは、ランチ客でごった返していた。洋食レストランには信じられないほどの長蛇の列が出来ていたため、和食レストランで地元の食材を使った和食に舌鼓を打つ。

昨年奥穂高岳に登ったときは、私が体調管理に失敗したため出発を遅らせてもらい、上高地に入ったのは午後4時前で、夕闇が迫る中無言で横尾まで歩いた。その教訓を生かすために今年は6時台の新幹線で大阪を出発し、正午に上高地に入ったのに、あろうことか何も考えずに優雅なランチタイムを過ごしてしまった。清水屋ホテルに荷物を預けて河童橋で飲料水を購入すると、時計は午後1時半。

本日の目的地は横尾より向こうの槍沢ロッジ。距離だけでも上高地から15キロはある。全員早足で出発した。
ピークシーズンの河童橋は、つり橋が落ちるんじゃないかと思うほどの人出で、目をそらしたくなる。
しかし、河童橋のかかる梓川はいつもと同じように青く澄んでいた。信濃川に流れ込み、日本海へと注ぐ梓川。その源流は槍ヶ岳にあると言う。今回は梓川を源流まで遡る旅となった。

明神までの自然散策路は、明らかに履いて来る靴を間違えた人たちなど上高地の何たるかを分かっていない人たちが道を占拠していたため、思うようなスピードで歩けない。
明神を過ぎると、ほぼ登山者だけの道になる。

山では午後になると天気が不安定になるので、夕立にあわないように私たちはほぼ全力で歩き続けた。横尾を過ぎたあたりから道が細くなり、登山道らしい顔となったが、それに加えて空が曇り、心細くなる。遡るにつれて梓川は急流となり、豪快な水音に会話もかき消される。早足で最後は登りの15キロに足の筋肉が攣ってきたころ、槍沢ロッジが目の前に現れた。
と同時に豪雨の夕立がロッジを襲う。間一髪だった。

明日はとうとう頂上へアタック。晴天の予報で、猛暑が予想されていたため、夜明け前の出発の予定とした。

翌朝は4時に起床。身繕いをして外へ出ると、かろうじてヘッドランプは要らないほどの明るさとなっていた。しばらく歩いていると、全員低血糖で動けなくなったため、河原で朝食を取った。今日一日で7キロ、標高差約1600mを登らなければならない。
昨年の奥穂では、標高2500mくらいまではすこぶる元気だったのに、ザイデングラートに取り付いて岩をよじ登り始めてから、息が上がって10歩ごとにへたり込んでしまったので、思い出すだけでも心拍数が上がってしまう。

槍沢コースは梓川沿いに河原を登るコースで、小さい岩の上をひたすら登る、特に技術を必要としないコースだ。溶け落ちる雪渓の下から梓川が生まれ出るのを目の当たりに出来た。日が昇るにつれて汗が吹き出るが、気がせいてゆっくり休憩する気にならない。
槍の姿が見えてからが本番だよ、と聞いていたので視界が開けて槍が見えたときには喜びと共に身が引き締まる思いだった。

殺生ヒュッテで軽く休憩し、槍の肩にある槍ヶ岳山荘をめざす。去年の苦しみがいつよみがえるかとビクビクしていたが、あっさりと山荘に到着し、拍子抜けしてしまった。これもトレーニングの効果なのだろうか。まだ午前11時だった。

山荘に荷物を置いてランチを取ると、頂上アタックだ。槍ヶ岳は尖っているため、頂上に登るにはクサリやハシゴを登らなければならず、足がすくむと聞いていていた。

八月上旬は夏山登山のピークシーズン。槍ヶ岳の頂上アタックは、頂上にほとんどスペースがないため、すその方まで人が並んでいた。
前の人が足を進めるのを待って、岩場を三点支持で登っていく。私の前を登っていた中年女性は始終怖い怖いと言っていたが、私は全く怖くなかった。天気が良くて足場が滑らなかったこともあるが、落ちたら、という想像力が湧かなかったのだ。早く頂上に立ちたい、それだけだった。

最後の大ハシゴを登ると、とうとう私はあの槍の頂点に立つことが出来た。
北アルプスの山々を見下ろしながら、深呼吸をした。足元から身体に向かってエネルギーが流れ込み、チャージされていくのを感じた。地球の美しさに涙があふれそうになる。

もし、一緒にここに立って私と同じような感動を覚えてくれるような男性がいれば、迷わずその人を人生のパートナーに選ぶだろうと思う。
でも現実はそんなに甘いものではなくて、根性のある男は少ないし、たとえ一緒に山に登ってくれたとしても途中で泣き言を言われたり、山頂で山を征服した喜びだけに浸られたりしたら確実にその人に幻滅すると思う。
やはり、女同士が一番いい。

去年、奥穂高岳の山頂から槍ヶ岳を見て、次の目標はあれだと思った。
今回は見渡してみたが次の目標は見えなかった。それは地球のどこかにあるのだろうか。それとも目に見えないものなのか。今度は私のパワーをどこに向ければいいのだろう。

今回の頂上での一品は、ずこちゃんセレクトの冷やしぜんざいとLUPOセレクトの神戸フロインドリーブのクッキー。それをつつきながら、「見聞を広めて経験値を上げすぎると、そこらの男がしょうもなく思えてかなわないよね」と共通の悩みでため息をつきあう。

順番が来て、今度は頂上から下山したが、それも少しも怖いと思わなかった。山荘に戻ってからも体力も気力も余ったままだった。
去年は、昼寝・ビール・睡眠薬と高山病リスクファクターを全部やってしまって散々だったので、今年は教訓を生かして眠気に耐え、禁酒した。

夕食後、山荘から少し歩いたところにある見晴らしの良い場所を陣取り、日が沈むのを待った。下山してきた人たちはみんな西の空を向いて並んでいた。眼下に雲が流れ、生き物のように刻一刻と形を変えていく。夕日に山の端と雲海が照らされて、迫力の夕焼け模様となった。夕日に照らされる槍ヶ岳も美しい。

日が沈むと気温が一気に下がり、震えながら山荘に戻るとき、東の空に淡い紫のグラデーションが見えた。地球の影だ。
マウナケア山、マダガスカルでも夕日の後に見えた地球自身の影。
空気が澄んでて見晴らしの良いところでは夕日のあとに同じように地球の影が見える。
改めて地球は一つの星なんだと思った。

山頂に立てた興奮と、明日は上高地まで距離で22キロ、標高差1700mを一気に下山しなければならないという緊張で、早々に就寝することにした。
槍ヶ岳登頂、万歳!今度はもっと難しい山に登ってみたい。

(続く)

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