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西郷さん、西郷さん・・・いた!
本当だ。
西郷さんの銅像の真横にお店がある。
実は、この西郷さん、会うのは2度目。
友達と二人、卒業旅行で南九州1周したときに、西郷さんがいる鹿児島市立美術館に訪れたことがある。
着物を目指してここに再び訪れることになるなんて、あの頃、夢にも思わなかったね。
入り口を探して建物の裏へ行くとエレベータがあった。
3階をぽちっと。
降りてみて、その様子にかなりとまどった。
古い建物であることは入り口を見てすぐわかっていたが、都心に立ち並ぶ小さなオフィスビルのように
うす暗くて殺風景な印象。
とてもお客さんが好んで近寄ってくるような、ましてや、呉服店によくある華やかな印象などまったくない。
本当にここで、着物を扱っているというの?
きょろきょろしていると看板が目に入った。
「こんにちは。」
「あいにくの雨の中、ようこそいらっしゃいました。」
すぐさま、若旦那さんと女将さんが出迎えてくれた。
靴を脱いで、あがらせてもらう。
まるで、自宅に招いてもらったみたい。
すっきりと片付けられた部屋に、上品に着物や帯が展示されている。
なぜだろうか、とても居心地がいい。
お二人と話をしていると旦那さま登場。
ブログの記事になっていた実物を目にしながら、旦那さまから大島紬について、いろいろお話をうかがう。
どのお話もとても興味深いものばかりで、いつまでもお話を聞いていても飽きない。
しかし、いつまでもお邪魔していてもいけないし、母は、この日で帰る予定。
フライトの時間までという制限があるので、用件に入ることにした。
まずは、事前に送っておいた丸洗いの着物のし上がりを見せてもらう。
お願いしていたのは、振袖2枚と大島紬1枚。
振袖は、伊那の古着屋さんで買ったものなので、なんとなく薄汚れていたのだけれど、
驚くほどすっきりと色も明るく感じられるほどになっていた。
大島紬は、母が20歳のときに祖母につくってもらったという代物で、母の自慢の一品。
やっと私に譲ってくれたのだが、いざ、たとう紙を開いて、広げてみると、襟元に大きなしみ。
そのままではとても着ることができない。
そこで、若旦那さんにメンテナンスについて相談。
大島紬は染み抜きができないし、丈があっていないのならと、洗い張りをして仕立て直すことをすすめられて
いたのだが、母から祖母が仕立てた着物と聞いて、袖も通さずに解いてしまうのがしのびなくなり、
今回は、丸洗いだけをお願いしていた。
わぁ。
どちらも、気持ちよく、着られそうな仕上がり。
お願いしてよかった。
次に、お願いしていたのが、この大島に合う帯。
若旦那さまが用意してくれていたのは、3つの染め帯。
淡い桃色(パステルピンク)の地にかわいらしいお家が描かれたもの
−まさに私が大好きな色。でも、ちょっとポイントの家がかわいらしすぎるかな。
橙色(オレンジに、水彩の筆で色をさしたようなとてもシンプルなデザイン
−これもかわいいけれど、今もっている中で、他にあいそうな着物がない。
両端がからし色で縁取られたなかに、つたの葉をデザインしたもの
−素敵!母も一押し。でも、からし色かぁ。
着物のコーディネートでは、必ず登場してくるからし色、これがどうにも好きになれない。
デザインは、まったく文句なし、からし色でさえなければ、即決なんだけど。
悩む、なやむ、ナヤム・・・。
好みでない色の帯買っても着ないかな。
大島で、着物買ってしまっているし、私には、とりあえず記念に気軽に買える代物でもないし。
せっかく見せてもらったたけど、断ってしまおうか?
これに合う小物もないのよね。
でも、このデザイン、いいよね。
自分で選ぶとついつい同じようなものばかりになってしまうから、いい機会なのだけれど。
なにより、若旦那さま、旦那さま、女将さんだから、何か買いたいな。
そんなことを考えていたとき、若旦那さんが、ばしっときめてくれました。
「この帯あいそうな小物を持っていないのですが、どんな小物を合わせたらいいですか?」
その質問に、若旦那さんが選んだのは、帯の柄の一色に近い帯揚げ。
うんうん。
そして、クリスマスをイメージさせる鮮やかな赤と緑の帯締め。
えっ?? それは、無茶というものでしょう?
どう見ても色合いそうもないのだけど。
ところが、それを帯の上において見たら、ぴたっと決まったのです。
本当に驚きました。
その後、女将さんも選んでくれた帯揚げと帯締めもおいてみせてくれました。
そうそう、こういう色、落ち着くよね。
素敵なんだけれど・・・。
何か物足りなさを感じてしまった。
若旦那コーディネート、気に入った!
これ一式欲しい!
でも、小物と言っても、いつもネットショップで買っている安物とはわけが違う。
どうしよう。
母も同じように感じていたよう。
「いいよ。帯は買ってあげるといったから、ここは出してあげる。」
え? 本当? わーい!
「じゃあ、これでお願いします。帯、これ仕立て代込みの金額よね。」
はは・・・。母強すぎです。
思わぬ発言に動揺する若旦那さまと快諾してくださった旦那さま、そして、何も言わずにこやかに清算の準備を
してくださる女将さんのおかげで、そして、もちろん、買ってくれた母のおかげで、私の手元にくることと
なりました。
帰りは、近くを案内しながら、空港行きのバス停まで、旦那さまが送ってくださいました。
お店の中では、旦那さまの意見を確認しながら、仕事を進める若旦那さんの姿がありましたが、
車中では、息子の力を認め、成長を喜んでいるお父さまの姿がありました。
旦那さま、女将さん、そして、若旦那さん、本当にお世話になりました。
この帯、楽しい思い出と一緒に、大事にしていきたいと思います。
また、そのうち、お邪魔させてくださいね。
*** 総評 ***
若旦那さんはときどきブログでお姿を拝見できますが、思っていたより背が高かったです。
着物がとても似合っていて、まさに呉服屋の若旦那というのがぴったりのイメージ。
バイクに乗るような印象は、あまりなかったです(笑)。
女将さんは、上品でやさしいきれいな方。
予備知識が一切なかった母は、始め、若旦那さんの奥様と思ったようです。
母は、お世辞をいう性格ではありませんので、本気で間違ったのだのでしょう。
白大島をとても素敵に着られていたのが印象的でした。
その姿を見て、心からいつか自分も夏着物着てみたいと思いました。
旦那さまは、若旦那さんと違って、着物屋というより職人さん的な印象。
厳しそうで、ちょっと怖い感じだけれど、真面目で率直な人柄がよく伝わってきます。
いわゆる頑固親父のイメージかな(笑)。
正直に言って、お店に入るまでは、かなり怪しい雰囲気です。
一度入ったら、買うまで出してもらえないのではなんて。
事前に若旦那さんとやり取りをしていなかったら、絶対に入ってはいなかったでしょう(笑)。
実際は、ちょっとしたサロンのような印象で、一見客がふらりと立ち寄れるようなお店ではないけれど、
中に入ってしまえば、とてもくつろげるアットホームな雰囲気です。
一度、顔見知りになってしまったら、世間話をするためにちょっと寄っていきたくなります。
常にたくさんの商品が置いてはいないと思うので、いきなり行って、今すぐ着られるものを見つけるのには、
向いていないと思うけれど、事前に連絡をいれて、セレクトしておいてもらうといいと思います。
いわば、隠れ家的なお店といったところです。
お店を貸しきって、専用コーディネータ−さんについてもらっているような、リッチな気分が味わえますよ。
*** ブログ ***
ドクター大島の紬物語り 旦那さま
http://blogs.yahoo.co.jp/dr_oosimatumugi
着物 de SR (鹿児島の若旦那日記) 若旦那さん
http://blogs.yahoo.co.jp/bantousan0128/
私が訪問したことを記事にしてくださいました。大島紬や帯の画像もあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/bantousan0128/38926053.html
*** HP ***
産直工房 夢創庵 http://www.musouan.co.jp/
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記事を読ませていただき、あの時の記憶が甦りました。こんなに素敵な記事にして頂いて恐縮です(^^ゞ。自分の店ながら、照れくさいですね〜。また今度はぜひゆっくり、着物でいらして下さいね〜♪あの大島と帯も着姿楽しみにしてます。
2006/9/29(金) 午後 10:03
miizunaさんは芥子色苦手なの?そうなんだ〜〜♪私はけっこうすきなんだよね〜。いい買い物ができて良かったですね♪いつ着てどこを歩くの?
2006/9/30(土) 午後 10:27 [ Miho ]
大島にからし色の帯ですか、いいですねぇ〜。着物姿の記事が楽しみです。それにしても、お母さん強し!
2006/10/2(月) 午後 5:16
わかだんなさん、あの時は本当にお世話になりました。着物で訪問できるようになりたいですね。まだまだ着付けに手間取りすぎているので、旅先では時間がもったいなくて(笑)。
2006/10/6(金) 午後 0:23
Mihoさん、好きそう。そうなんですよ。なんとなくいい印象が持てなくて。またおさんぽでお披露目しますね。はたなかさん、助かりましたね。 母が一緒だったら、きっとはたなかさんも真っ青になってましたよ(笑)。
2006/10/6(金) 午後 0:23
いい思い出とお買い物ができて良かったですね♪ その帯を締めるたびに楽しい旅行を思い出せますね☆
2006/12/1(金) 午後 5:38
のーてんきな金魚さん、よかったです。着物や帯って使う度に手に入れたときのことを思い出しちゃいますよね。
2006/12/4(月) 午後 6:57