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健太朗がゴールド・コーストのアーチェリー・クラブに入会してから、早くも一年が経過した。
週末の日曜日の午前中(9時から)が練習日であるが、 アーチェリーは、ラグビーやサッカーなどのチームスポーツでは無く、 また、彼は代表選手でもないので、 毎週末練習に行かなくても、誰に迷惑をかけるわけでもない。 彼は、アーチェリーを競技として楽しむわけではなく、 あくまでも趣味として楽しんでいるようで、 練習へ出掛けるのは、二、三週間に一度程度である。 アーチェリー・クラブに所属した直後、 彼専用の弓(リカーブボウ、Recurve bow)と矢(Allows)を買い与えた。 彼の成長を見越して、子供用の弓ではなく、一番小さな青年用の弓を購入しのだが、 腕力の関係上、いまだに完全には使いこなせてはいないようだ。 しかし、あと半年もしたら使いこなせるようになるのではないだろうか、 その証拠に... こちらは、9月の段階でのベスト・ショット そして、こちらが先月末のベスト・ショット どちらも30m先のターゲットであるが、 最近では大きくはずすことが激減し、 彼の射る矢のほぼ全てが赤の内側に当たるようになった。 彼の技量が確実に向上しているのは、素人の私にも良く判る。 こんなに良く当たるのだから、もっと真剣にアーチェリーという競技を極めてみたらどうか、と勧めてはいるものの、彼自身、競技としてのアーチェリーに全く興味がなく、 アーチェリーはあくまでも趣味の範囲、 私の勧めなどは、馬耳東風である。 さて、こんな健太朗だが、このアーチェリーと並行して、 数ヶ月前から柔道の道場に通い始めた。 柔道は元々、私が自身の体力維持のためにと始めたもので、 彼には、一緒に道場へ行くことを誘いもしなかったのだ。 しかし、どういうわけかある日突然、私と一緒に道場へ行きたがったので、 どうせ長続きしないだろう...とたかをくくって連れて行ったのが始まりである。 彼のアーチェリーという「競技」に対する姿勢、 そして、ラグビーという「競技」に対する姿勢を鑑みても、 投げたり投げられたり、押さえたり押さえられたりする、 「競技色」の強い柔道などを楽しめるはずがない、と思ったのである。 しかし、そんな猜疑心は無用であった。 彼の体型は柔道に適しているようで、 今では同年代の子供達の間では無敵、 大人相手に稽古に励んでいる。 先日は、先生との乱取りの際に、私が教えた袖釣り込み腰を早速仕掛け、 私を含めて見ていた周りの人々をあっと驚かせた。 今、彼は柔道という「競技」の練習を楽しんでいるようだ。 趣味としてのアーチェリー、そして、競技としての柔道... いずれにせよ、目指すは2020年の東京オリンピック、 今から楽しみなのである。 |
(連載)アーチェリーへの道
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Gold Coast Archery Clubでの試射会で学んだことは...
矢を射る時に身体を動かさないこと(!)
弓を引いて動かない腕力
自分自身に合った矢の射り方の模索
ということであった。
アーチェリーという競技はいたってシンプル、
的に矢を正確に射ること、ただそれだけのことで、
日本の弓道のように、流派や伝統、しきたりといったものが無く、
機械的に的の中心を狙う。
従って、弓の形態もオリンピック競技用のRecurve bow (リカーブ・ボウ)のほか、
Compound bow(コンパウンド・ボウ)といって弓の両端の滑車により引きが軽くなる弓もある。
またスタビライザーや照準器など、それぞれ個人に合わせて補助器を設定することができる。
アーチェリーでは、基本的な競技の姿勢を教えるコーチは存在するもの、
矢の射り方は、それぞれの身体に合ったやり方あるはずだから、
基本姿勢を学んだあとは、個人で開発してゆくべきらしい。
まさしく、人の話を聞かないミニにふさわしい競技ではないか!
3時間ほどの試射会の後、ミニに感想を聞いてみたところ...
"I really want to join the club, Dad, please!"
「父さん、アーチェリーのクラブに入会したいよ!お願い!」
年間会費130ドルを支払ってアーチェリークラブの会員になると、
毎週日曜日の午前中、好きなだけ矢を射ることができという。
最初の数ヶ月はクラブの弓を借り、その後、本格的にやる気になったら、
それぞれの身体に合った弓をクラブで選んでくれるという。
今すぐにでも入会させたい衝動に駆られたが、
ミニはラグビーを再始動させたばかりなのだ。
He who runs after two hares will catch neither
二兎を追うものは一兎をも得ず
私には、ミニが土曜日のラグビーのゲームと、
日曜日のアーチェリーを両立できるとは到底思えない。
幸い、今回の試射会に参加した者は、
3回分、10ドル払えば会員と同様にアーチェリーの練習に参加できるという。
ラグビーのシーズンは8月の中旬に終わるはずだ。
それまでは、とりあえずラグビーに専念して、
アーチェリーを本格的に始めるのはラグビーのシーズンが終わった後にしよう、
それまで月に一回、このクラブに戻ってきて試射すれば良いということをミニを伝えた。
この決定にミニは大変不服そうであった。
確かに、ミニにとって、アーチェリーというスポーツの方が、
ラグビーというスポーツより向いていることは明らかだと思う。
今ここで、ラグビーを辞めてアーチェリーに転向することも可能なのだが、
私にはそれが、良いこととは思えないのだ。
私がミニに望むことはただひとつ、
自分で決めたことはやり通して欲しいということだ。
ラグビーを再開することを決めたのは、私でなくてミニ自身なのである。
彼自信の判断で再開することを決めたのである。
やると決めたからには、やり通して欲しいのだ。
それはラグビーがチームスポーツだからとかではなくて、
生きていくうえでとても大切な価値観だと、私は思うからだ。
ミニの面倒を見られるのもあと5、6年、
その後の人生は彼自身のものである。
私のできることは限られているけれども、
せめて...せめてミニという子がこの先、ミニらしく生きてゆけるように導けたら...
私は、そう願わずにはいられない。
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オーストラリアに帰国したのが火曜日の早朝、
その日の夕方から、ミニはラグビーの練習に再加入した。
練習は火曜日と木曜日の夕方、週末の土曜日がゲームだ。
先々週末のゲームは散々で、ゲームの後は半泣きだったけれども、 先週末のゲームは上出来で、Man of the Matchに選ばれ、1ポイント獲得した。
今度は私が半泣きになった。
ミニはMan of the Matchに選ばれたけれども、
それはチームの中でもっとも優れていたからではなくて、
彼の中でもっとも優れていたゲームだったからということは、
コーチも親御さんも私も知っている。 確かにこのゲームでは、ミニには良いプレーがいくつかあったけれども、
チーム全体を通してみたら、彼は一番へたくそなのだ。
それでも、そんなミニにMan of the Matchを与えるところに、
オーストラリアという国におけるコミュニティ・スポーツの本質が見えると私は思う。
さて、私はというと、帰国後、近所でアーチェリーができる場所が無いかを探し始めた。
私は、アーチェリーというスポーツに関しては全くの無知なので、
できれば、経験者にきちんと教えて貰いたい...という願いがあった。
それで見つけたのが、Gold Coast Archery Club、
ゴールドコーストのTallebudgera Valleyにフィールドを持つクラブで、
我が家のあるTerranoraから車で30分程度の距離。
5月の第一週末の日曜日にOpen Day(Come & Shooting Day)、
つまり初心者向けの試射会があるようだ。
これを逃す手は無い。 試射会の日曜日は、朝からすがすがしい晴れ間が広がった。
試射会に先がけ、ミニとはひとつの約束を交わした。
それは...
インストラクターの言うことを良く聞くこと
ミニは、私同様、人の話をあまり良く聞かない。
これはもう、DNAに刷り込まれていると言っても過言ではない。
そんな私が、ミニに人の話を聞けとリクエストするのはちゃんちゃら可笑しいのだが、
私は、このアーチェリーというスポーツに関しては全くの無知なのだ。
私ができることは...
ミニに聞く耳を持たせることくらいだと思うのだ。 試射会には老若男女、およそ25人くらいが集まった。
ミニはそんな中でも最年少のようであった。
レジストレーション(登録)をすませて、用具を借りて、
他のメンバーと共に試射用の大きな的のあるフィールドへ。
インストラクターからの挨拶と注意事項が述べられて、
早速、試射、一回当たり3矢撃つことができる。
的までの距離は25mほどであろうか。 一回目の試射。
ミニはすでに日本で経験しているので、彼のやり方で撃つと...
サクッ!
サクッ!
サクッ!
3矢とも的に当たった。
周りの初心者の人々は、矢を撃てずに「ぼよよよ〜」となったり、
的のはるか上方を飛んでいってしまったり...
実際、ミニが狙った的に当たったのは、ほんの5矢、
6人がひとつの的を狙ったので、18矢中、5矢が的中、
そのうちの3矢がミニの放った矢である。
皆が3矢を撃ったあと、インストラクターから様々な説明があり、皆で放たれた矢を集め始める。
中には遠くに飛んでしまった矢もあるが、皆で集めるというのがルールのようだ。
2回目の試射。 この時、一人のインストラクターがミニの後ろについた。
ミニはチビなので、矢を撃つときに後ろの足をつま先立ちしなければならない(二つ上の画像)。
しかし、アーチェリーの基本は、両方の足はぴたりと地面につけ、
弦は鼻の辺りまで引き、弓を押し出すようだ。
弓に比べて、腕の短いミニの放たれた矢は... 放物線を描いて、的の前に力なく着地...
結局、この回の試射は、3矢とも的には当たらずに的の前に力なく着地したのであった。
はるか後方で見ていた私に近づき、泣きそうな顔をしてポツリと言った。
"Dad... I could do better in my way than what I was told...."
「父さん...僕のやり方の方が教えられたより上手に撃てるよ...」
(つづく)
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おおあたりぃ〜!カランカラン♪
放たれた矢が的に当たると共に、激しい鈴の音が響き渡った。
呆気にとられる二人に、花やしきの入場券が渡された。
"Dad, I don't want to go to the Amusement Centre..., I really want to do it again..., can you ask them??"
「父さん、花やしきの入場券なんていらないよ...もう一度、弓を引きたいんだよ。訊いてくれない?」
"....."
「...」
花やしきの入場券...
花やしきからタダで支給されたものなのかもしれない。
あるいは、この的場が花やしきの経営によるものか...
とりあえず、お姐さんに、
この券は要らないから、もう一度やらせてくれない?
と訊いてみたけれども、もちろん答えはNO。
お姐さんは、こちらの目的など知る故がないから当たり前のことだ。
花やしきの入場券を返上して、その場を立ち去った。
同僚のDavidが、Long range rifle shootingの代表選手だったので、
帰国後はDavidを頼ってShootingの競技でも経験させようか...と思っていたのだが、
この的場での件で、一気に視界が開けた。
的を狙うのは、何も拳銃やライフルだけではないのだ。
ミニは、弓を引くことも好きらしい。
アーチェリー
実は、私は、この競技のことを良く知らない。
オーストラリアはUKの元植民地、ロビン・フットの国の植民地だから、
きっとアーチェリーも盛んであろう...国に帰ったら良く調べてみよう...
しかし、機会は思ったより早く訪れた。
浅草を訪れた翌々日の日曜日に、
妹家族と一緒に行った地元の「それいゆの丘」という公園でのことである。
アーチェリーの体験コーナーがあり、300円を払えば、10矢を射ることができるという。
私は、一歩下がって、彼のやることをを黙って見ることにした。
一矢目...上手く射ることができず「ぼよよよん〜」
二矢目...矢張り、上手く射ることができず「ぼよよよん〜」
"Dad, I don't know how to do it... can you tell me?"
(父さん、上手くできないよ...どうするの?)
"You told me you knew how to do it..."
(知っているって言ったじゃないか...)
ミニは私のDNAを引き継いでいるようで、人の話をあまり良く聞かない。
始める前に、やり方を教えてあげるよ、と言ったのものの、
知ってる、知ってる、と的場へと走ったのであった。
"Sorry, Dad, please, please tell me how to do it?"
(ごめんなさい、父さん...どうか、どうか教えてくれる?)
"Aha, you must understand how important to listen to the other, Min... Well, but mini, I have to say I don't know how to do it either... I can just teach you basics, ok?"
(人の話を聞くことがどんなに大切か判っただろう、ミニ!でもな、ミニ、実は父さんも本当にどうするのか判らないんだよ...だから基本だけ教えるね、よいかい?)
"Yah, Dad, please..."
(うん、お願い...)
というわけで、私の知る限りのアーチェリーの基本を彼に教えて、再び一歩下がった。
三矢目...サクッ!的に当たった!
四矢目...サクッ!的に当たった!
五矢目...サクッ!的に当たった!
的の中心(Bull's Eye)には刺さらないもの、確実に的に当ている。
六矢目...「ぼよよよん〜」、どうやら疲れてきたしい。ここで小休止。
七矢目...サクッ!的に当たった!
八矢目...サクッ!的に当たった!
九矢目...的外れ
十矢目...サクッ!的に当たった!
Bull's Eyeには一矢も当たらなかったものの、
10矢放って6矢は的を捉えたのであった。
しかもミニは、一矢もBull's Eyeに当たらなかったことに対して、とても悔しがっている。
これは...
(つづく)
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ディズニーランド近くのホテルをチェックアウトした私達は、
JRの舞浜駅から一路浅草へ向かった。
舞浜から浅草へは、途中、八丁堀でJR線から東京メトロ日比谷線に乗り換え、
さらに人形町で都営浅草線に乗り換える必要がある。
舞浜から八丁堀へは都心へと向かう電車は朝の混雑でいわゆる「鮨詰め」状態、
ミニにとって生まれての初めての経験だ。
乗り込む際に、まずはミニを押し込んで、私は背を内側に向けて身体を押し込んだので、
ドアが閉まったあと身動きができず、ミニの姿が見えなくなってしまった。
"Oi... Mini, are you there??"
(お〜い、ミニ...そこにいるかい?)
"Yah.... Dad, where are you?"
(うん...父さんはどこ?)
"In the same train, so don't worry...."
(同じ車内だから、心配しなくていいよ)
"Yah.... Dad...."
(了解、父さん...)
たくさんの人に囲まれているに係わらず、
話し声ひとつ聞こえない静寂が可笑しかったらしく、
列車を降りた後ミニは、一人げらげら大笑いしていた。
さて、今回、予定を変更して浅草へ向かった理由は、
私の幼少の頃の記憶に遡る。
小学4年生か5年生の頃、つまり今のミニと同じ年齢くらいだった頃、
叔父に連れられて浅草へ行ったことがある。
昭和50年代初頭の浅草には、それはそれは怪しいお店がたくさんあって、
これら怪しいお店の間に、射的やピンボールのお店がたくさんあったのだ。
浅草へ行けば、射的ができるに違いない
ところが...
浅草の駅の周りをうろうろしてみたが、射的場もピンボール場も全く見当たらない。
隅田川の遊覧船乗り場近くの交番にて、お巡りさんに訊いてみた。
「あのぉ、もう随分前の記憶なんですが、このあたりにたくさんの射的場とかピンボール場とかありましたよねぇ...」
「いつの話?」
「いつ?もう35年くらい前のことなんですけれどもね、私が小学生、丁度この子と同じくらいの歳だったから...」
「あ〜、確かにねぇ、それくらい昔なら、この前の通りにそんなお店がたくさんあったけれどもね。でも、もう最近はそんなの流行らないからねぇ...」
「一軒か二軒くらい残っていませんかねぇ...」
「う〜ん、最近は全く見ないなぁ...」
仕方が無いので、雷門から仲見世を抜けて、浅草寺でお参りすることにした。
浅草寺でお参りした後と、花やしき方向へ抜ける道を何気なく見たら、
弓矢を射れる的場があるではないか。
早速、500円を支払い、ミニに弓を引かせた。
一回目は、うまく矢を射ることができず、
矢が「ぼよよよ〜ん」と地面に落ちてしまった。
二人で悲しそうな目をして、お姐さんを見つめたら、
もう一回、無料でやらせてくれた。
二度目は、矢の射り方を教授した。
弓はね、引いて押すんだよ。
まず最初に軽く弦を引いて、矢を弓に添えて、
次に弓を押して狙いを定めるんだよ。
そうそう...
息を止めて...
弦をそうっと離してごらん...
ピシッ!
放たれた矢は、見事、的の真ん中近くに命中したのであった。
(つづく)
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