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「人生っていうのは、人それぞれだ。つまり、自分の人生は自分で歩むものなんだ」
「どうして? 亜姫は別にテッチャンと同じ人生を歩むの大好きだよ」
「うだー!! そうじゃねーっつうの。俺が言いたいのは、俺には俺の”世界”があっ
て、亜姫には亜姫の”世界”があるの。頼り切っていたら、自分の世界が進歩しないだ
ろ?」
「……つまり、自分で出来ることは自分でやるってことだね。わかった」
本当に理解したかどうか知らないが、あの時の俺の説明で亜姫がニコニコ笑顔で頷いた
のは間違いない。
亜姫(あき)は、幼馴染みだ。
可愛くて、性格が良くて、頭も良い。
天然が憎めない要素をかもし出しているらしく、大人ウケもいいし、子供からも好かれ
ている。
本当に可愛い奴だけど、たった一つだけ問題があった。
その問題は同時に、幼馴染みである俺の災難となる。
みんな、その災難を俺が甘んじて受けていると思っているが断じて違う!
俺だって平々凡々に暮せたら最高だと、人並みに思っている。
今度こそ、平凡を手に入れてやる!!
朝、布団の上で決意するのに……。
「テッチャン、大好き♪」
純粋な笑顔と純真な声音を向けられると、俺の決意はあっさり折れてしまう。
俺はキラキラ輝く笑顔へ、少しだけ頬を引き攣らせた笑顔を返す。
「俺は、いつでも側にいる。安心しろ」
「うん。ありがとう」
亜姫は安心を手に入れたかのように、嬉しそうに微笑み俺の前を歩いていく。
軽やかで、今にでも空を飛んでいってしまうのでは?
そんな不安が心を過ぎるほど、亜姫の足取りは軽い。
彼女の歩みを見詰めつつ、俺はため息を吐くのだった。
つづく
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