蓂莢亭の物書きペンギン

泣いても一生、笑っても一生、ならば今生泣くまいぞ。

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代用少年 22

 「あのね、遊真。あのね、」

 頭ポンポンなのか、僕のおなかの音なのか、わからないけど、健の表情が柔らかくなった。

 安心、安心。

 健を少しだけ守れたよ。

 でも、状況は何も変わっていない。

「う〜ん。本気で、お昼ご飯どうしよう……」

「遊真、その事なんだけど……」

「なに? 言いたい事があるなら、言ったらどう? お昼休みが終わっちゃうから、お弁当でも、アマゾ

ンでも、なんでもいいから、ごはんを食べに行ったらどう? 僕はどうにかするから、行ってよね!!」

 言ってしまってから、僕は慌てて口を手で隠した。

 いくら苛立っているからって、健に文句を言うのは間違っている。

 八つ当たりもいいところだ。

 非は僕にある。

「ごめん」

 だから、素直に謝った。

 健が傷つき、辛そうな顔になってしまうのは、嫌だ。

 僕が結構辛い。

 でも、僕の思っていた未来は違っていた。

「遊真! ちょっと来て!!」

 健は僕の名を呼ぶと、同時に僕の手を掴んで走りだしたのだ。

 行先も告げず、健は僕を引っ張り続けた。

 もちろん、健の強さなんかじゃ僕を動かすことなんてできないけど、今は素直に従った。

 でも……健が何を考えているか解んなかった。

 僕の言葉をちゃんと聞いていたのだろうか?

 僕のことは、ほっといてて言ったよね?

 健だけ、ごはんを食べに行けっていったよね?

 というか、健はわかっているの?

 そんなに走ったら、また具合が悪くなるよ?

 体力ないんだよね?

 保健室の常連だって、尾崎先生から聞いたよ?

 なのに、どうして全力で走っているの?

 バカなの?

 また、保健室に逆戻りしたらどうするの?

 健ってバカなの?

 だったら、僕はどうやって止めていいの?

 僕だって、バカなのに……。

 バカの突拍子もない考えなんて、理解不能なんだよ?

 心配だから本当は止めなきゃいけないのに、僕は健を止めることができなかった。

 だって……

 健が、めっちゃ嬉しそうなんだもん。

「いいこと、ヒラメイタ!」

 って言葉を全力で表現しているのに、止めらることできないじゃないか。

 もし、途中で健が力尽きたら、僕は健を抱っこして全力で保健室に戻ればいいだけなのだ。

 いろいろ大変かもしれないけど、今はそれでいいんだと思うのだ。

 健の笑顔に釣られて微笑んだ。

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バカほど強いものはない。最強無敵です。

そして『バカな男』が二人居て友情が芽生えたならば。絶対何かやらかします。期待しましょう。

2016/5/22(日) 午後 9:21 [ イカダ ]


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