蓂莢亭の物書きペンギン

泣いても一生、笑っても一生、ならば今生泣くまいぞ。

夏の光

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 短編小説(第一弾)です。
 
 青いバラも喋る人型武器も登場しません。

 心を閉ざした少女と少女に恋した少年の、真面目な真面目な恋愛小説です。

 

 

 
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夏の光 その9

 今年も夏の光が見える。

 約束から十年。

 私は高校を卒業し、教会へ戻った。

「教会の手伝いをしたい」と願うと、神父は私を優しく抱き締めてくれ「おかえりなさ

い」と言ってくれたのだ。

 気恥ずかしかったが、私は神父に「ただいま」を言いぎこちない笑みを神父へ向けた。

 日々、神父の手伝いをした。

 子供たちに勉強を教えたり、一緒に奉仕活動をしていると、教会が素敵な場所に思えて

きた。

 この頃の私は、”私と世界の境界線”を作らなくなった。

 千夜といえば、

 
 大企業の社長様だ。

 
 雑誌で何度か目にした事があるが、相変わらず笑っていた。

 それに、一生懸命頑張っているみたいだ。

 私は、それで満足だ。

「真昼先生、海が空色に光っているよ」

 夏休み初日は、町の清掃を子供たちとする。

 もちろん、奉仕活動の一環なのだが。

 今回は、千夜と思い出のある広場を中心に清掃を朝早くから行った。

 清掃が終わり、各々自由に遊んでいる。

 私は夏の光を眺めている。

 横へやってきた少年が、夏の光を不思議がった。

 あの頃の私も不思議がった、夏の光。

 少年の心には、どのような形で刻まれるのだろう?

 私は微笑み、空色の輝きの名を教えてあげようと思った。

「あれは」

「夏の光って言うんだぜ、ボウズ」

「へー。そうなんだ」

 少年は感心して、夏の光を眺め出した。

 私は、ポカンとしていた。

 雑誌で見た顔が、Tシャツとジーパンという姿でここにいる。

「な、なぜ、ここにいる?」

 自分でもマヌケだと思った問いに、千夜は笑った。

「約束しただろ」

「しかし、お前は」

「全権利放棄、結構大変だったんだぜ」

 二ヤリと笑う千夜に、私はなんと言えばよいのだろ?

 ジッと見詰め続けていると、千夜が手を伸ばしてきてた。

 十年前よりたくましくなった千夜の手を、私はそっと握る。

「ただいま、真昼」

「おかえり、私は約束を守ったぞ」

「ありがとうな」

 千夜の声を聞き、私は微笑んだ。





 夏の光は、あと少しで消えてしまう。

 だが、私は違う。

 千夜に対する気持ちは決して消えずに、いつまでも心に残り続けるのだ。



                             おわり   

 

 
 
  

夏の光 その8

 雨音がする。

 ドアに背中を預けていた私は、眠りから目覚めた。

 目を開けると辺りは暗く、私に夜を伝えてくれている。

 ドンドンドン

 激しくドアを叩く音が、私をビクつかせた。

「真昼、いるんだろ?」

 続いて千夜の声。

 それだけで、私の胸は締め付けられた。

「ゴメン」

 たったそれだけの言葉。

 いつもなら、安心する声も、今は違う。

 千夜は……。

「帰れ」

「真昼?」

「二度と来るな。私の前に姿を現すな」

 私の声は、必要以上に辛辣になっていた。

「何を言っているんだ? 約束しただろ。ずっと、一緒だって」

 千夜の声が震えている。

 私は泣き出したい気持ちを必死で堪え訴えた。

「約束などしなければよかった」

 ドアの向こうの千夜の気配が、消えた。

 帰ったのだろうか?

 私が「帰れ」と言ったのだ。

 帰ったところで千夜は悪くない。

 私が悪いのだ。

 寂しく、辛かった。だが、私は耐えなければならないのだ。

 重たい気持ちを抱えたままの私が立ち上がりかけると同時に、ドアに何かがぶつかる音

がした。

「そんなことを言われたら、俺はどうすればいいかわからなくなる」

 千夜の声が、より近くに聞こえた。

 たぶん、千夜はドアの向こう側で私と同じ様に座ったのだ。

 私は千夜の声のする辺りに背中を預けた。

 それを感じてくれたのかは知らないが、千夜は静かに語り始めた。

「俺には家族がいない。五歳の誕生日の翌日、父が母と弟を殺して自分も死んだんだ」

「……」

「俺は、置き去りにされたんだ。どうしてだと思う?」

 ショックだった。 

 千夜は悲しい素振りや不幸さ嘆く姿を、絶対に見せなかった。

 幸福の少年だと思っていた。

 黙り続けていると、千夜は皮肉を込め笑ったのだ。

「簡単なことだよ。俺が父の本当の子供じゃなかったのさ。母には父以外の恋人がいた。

父は分かっていながらも恋人から母を奪おうと考えた。その思いが運命にどう作用したか

知らないが、母の恋人は突然この世から消えたんだ。事故だったそうだ。父は苦もなく母

を手に入れたのさ。結婚を拒んでいた母も俺を身籠っていたから、父に依存することを選

んだ。それからすぐさ、俺が生まれたのは」

 私は何も言えなかった。

 ただ黙り、千夜の独白に耳を傾け続けた。

「幸せそうに見えた生活も、俺が成長するごとに変化した。父は俺の顔を見なくなり、母

は悲しい顔が増えた。結果が、俺という他人を残した心中だ。五歳の子供に、周囲の大人

の会話は理解できなかった。けど、一つだけはよく分かったよ。俺はイラナイ子供だとい

うこと。

 珍しく家族が揃って俺の誕生日を笑顔で祝ってくれたんだ。

 嬉しかった。

 永遠の愛を約束してくれた……。

 死ぬぐらいなら約束なんていらなかった!

 俺は、あの笑顔を信じていたのに!!」
 
 怒声の後、暫しの沈黙。

 微かに震えている声……泣いているのだろうか?

 私の心が不安で乱される。

「約束、しなければよかった。なんて言うなよ。約束は俺にとって特別なんだ。だから、

俺はもう一度約束する。俺は真昼と一生一緒にいる」

 大袈裟な奴だ。

 私の顔が赤くなる。

「なぁ、真昼。空を跳んでいる時、何を思っているか聞いたことあっただろ?」

 私は無言で頷いた。

「小学生の頃、テレビでハイジャン競技を初めて観たんだ。人間があんなに高く跳べるの

が不思議だった。心を奪われた。あの人たちは、空の向こうの何を見ているか気になった

んだ。そうしたら、俺は自分で見てみたくなってハイジャンを始めたんだ。もっと高く跳

べたら、空に近付けたら、家族に会えるかと思った。置き去りにされたのにな。孤児院か

ら引き取ってくれたばあちゃんには悪いと思っているけど、やっぱり家族に愛されたかっ

たんだ。ばあちゃんは優しい。でもそれは俺が、病気で死なせてしまった子供代わりに過

ぎないんだ。恩は感じるけど、拘束されたくない」

 千夜の声に決意を感じた。

 祖母との関係も、本当の家族の事も話してくれた。

 では、あの女性との関係は?

 知りたい。

 でも、聞くのは怖い。

 私は、唇を固く噛んだ。

「麗華さんは、ばあちゃんの本当の孫なんだ。大企業の会長のばあちゃんが、俺に全権利

を譲るって言ったとたん、麗華さんが近付いてきた。俺は、ばあちゃんの会社に興味なん

てない。高校を卒業したら家を出るつもりでいたから、権利は放棄する。放棄にどれくら

い時間が必要なのか分からない。でも、放棄しなければ、俺は真昼の側にいることができ

ない。俺が好きなのは真昼だけだ」

 千夜は恥ずかしげもなく、堂々と言ってのけた。

 恥ずかしいのに、私は嬉しかった。

 あの女性は大人で経済力もあり、私のような過去などないだろう。

 それでも、千夜は私を選んでくれた。

 私は千夜の気持ちに答えたい。

「千夜。私は待つぞ。何年かかっても構わない。多くの困難が起るだろう。それでも、私

は約束する」

 私は深呼吸をした。

「私は、お前を待つ」

「ありがとう、真昼」
 
 千夜の声が、温かさを取り戻した。

 私は、それが嬉しかった。



 千夜の礼に次いで、車の止まる音がした。

 千夜と誰かの口論が聞こえる。

 数分後。

 車の発進音と同時に、千夜の気配が完全に消えた。

 雨音だけが聞こえる。

 私は千夜が残してくれた温かな気持ちを抱き締め、再び眠りにおちた。


                               つづく

 

 

 

 

夏の光 その7

 土曜日の午後。

 千夜と別れてから、私は電車を乗り継いで少し大きなスーパーへ買い物に出かけた。

 品物の豊富さと、安さが、とても魅力的なのだ。

 千夜は何も言わなかったが、弁当を作って驚かせてやろうと思ったのだ。

 千夜の好きな料理を思い出しながら、買い物をする。

 心がウキウキした。

 買った荷物を両手に持ち店を出た私は、向かいの道路を歩いている千夜を見つけた。

 後ろ姿だが、千夜の姿を間違えたりしない自信はあった。

「千……」

 言いかけて、私は声を飲み込んだ。

 千夜が道路に止めてある一台の高級車へ近付くと、中から女性が降りてきたのだ。

 令嬢。

 その言葉が私の脳裏にすぐ浮かぶほど、女性は品位に満ちていた。

 女性は二言三言、千夜に話しかける。

 千夜は何度か首肯し、車へ乗り込んだ。

 続いて女性が乗り込むと、車は優雅に発進した。

 それを見送ったのは私だ。

 私は考えた。

 女性と千夜の関係を。

 母親、姉、妹(これは無理がある)……分からない。

 千夜は自分自身の話はするが、家族の話は決してしなかった。

 
 私は千夜の事を半分も知らない。


 ショックだった。

 言葉に出来ないほどの感情が私の中を駆け抜け、何もする気が起こらなくなった。

 私はどんなに熱があろうと休んだことのないバイトを、全てサボった。

 無断欠勤なので、次行けばクビだろう。

 そうなれば、困るのは私だ。

 だが、私はバイトへ行かず、一睡もせず、心の答えを探し続けた。

 朝方、私は見つけた。


 どんなことがあろうと、私は千夜の側にいることを望む。

 
 女性が千夜とどのような関係であろうと、私は気にしない。

 あの優しく握ってくれた手だけを信頼する。

 そうと決まれば、大丈夫だ。

 時計に目をやると、約束の時間まで三時間だ。

 手の込んだものは無理だが、弁当を作ろう。

 千夜を驚かせるのだ。

 立ち上がり、台所に立った時だ。

 ドアを叩く音がした。

 来訪者を告げる音。

 私はドアに近付き、開けた瞬間、心臓が止まるかと思った。

 ドアの向こうにいたのは、昨日とは違う品の良いワンピース姿の女性だ。

 この人は、何故ここにいるのだろう?

 疑問を抱いた時だ。

「高城真昼さんですか?」

 上品な言葉遣いに、私は頷いた。

 女性は微笑み、「麗華」と名乗った。そして、早朝の来訪を謝罪した。

「本日は、あなたにお願いがあり伺いました」

「願い?」

「はい」

 麗華は、再び微笑んだ。

 だが、先程とは少し違った。

 大人の女性だけが見せることのできる、余裕を含んだ妖艶な笑みだ。
 
「本日の宙との約束を、断っていただけませんか?」

「……ど、どういう意味だ?」

 麗華の願いに動揺し、足が震える。

 だが、ここで竦んでしまっては負けのような気がして私は踏ん張り彼女を睨んだ。
 
 麗華は私の睨みを恐れず、堂々としている。

「私は遠回しな言い方が嫌いです。なので率直に伝えますわ。もう、宙と関らないで頂け

るかしら。高城さんの事は、全て調べさせていただきました。あなたの過去は宙の未来に

傷をつけるだけです」

「…………」

 女性は何を言っている?

 私の分かる言葉で、理解できるようにして欲しい。

 無表情の私を、女性は一笑した。

「話が難しかったかしら? では、もっと簡単にいいますわね。私は宙の婚約者です。家

は……名を聞けばあなたでも知っている会社を経営しています。宙は私と結婚をして全て

を受け継ぐのです。あなたのような人間が側にいたのでは、宙は不幸になるだけです」

 女性は口元に笑みを浮かべた。

 私には、その笑みが愉悦に見えた。

 だが、そんなことはどうでもいい。

 女性は、初めに何を言った? 

「千夜の婚約者」

 自分の声で言葉にした。

 そのとたん、私の耐え切れなくなり、その場へ座り込んでしまった。

 情けない姿の私を、女性は無言で見下ろしている。

 きつく睨み返す力さえ私には残っていない。

 ジッとしていると、女性は踵を返し去っていった。

 女性は去り際、ご丁寧にもドアを閉めていった。

「パタン」と閉じる音がした瞬間、私は七年ぶりに泣いた。

                            つづく

    
 

夏の光 その6

 八月も半ばを過ぎると、暑さや陽射しが少しずつだが柔らかくなってくる。

 そのせいか、夏の光の見える時間が短くなってきていた。

 私は夏の光が一番よく見える場所に立ち「とても残念だ」と千夜に言ったら、隣りに立

つ千夜は小さく笑った。

「来年だって、見られるさ」

「見に来てもいいのか?」

「当たり前だ。ただし、その時は俺も一緒だ。約束だそ」

 そう言った千夜の顔が真っ赤になった。

「わかった」

 私が力強く頷くと、千夜の顔はますます赤くなった。

 愉快だと思ったが、私は笑わずに「約束だ」と返してやった。

 すると、千夜はこれ以上ないほど素敵な笑顔になった。

 千夜は優しい。

”私と世界の境界線”をハイジャンプの時のように、軽々越えてやってきた。

 が、なぜ千夜は私にこんなに優しくしてくれるのだろう?

 この疑問を千夜へぶつけると、千夜は初めて私の前で怒った表情を見せたのだ。

「真昼が、こんなに鈍いとは思わなかった」

「それはどういう意味だ?」

 鈍いと言われて、カチンときた。

 睨みつけると、千夜は怒った顔を笑顔に変えた。

「一度しか言わないぞ。俺は真昼が好きなんだ。入学式の日、壇上で新入生代表の挨拶を

している真昼に一目ボレをしたんだ。

 真昼に恋をしている。

 いつも一緒にいたいんだ。

 昨日も今日も明日も。これからずっと……」

 千夜の顔の赤さが、私に伝染した。

 両親や神父が語ってくれた言葉を拒絶していた私が、千夜の言葉を心から嬉しいと感じ

たのだ。

 嬉しかった、本当に。

 だが、本当に私などでよいのだろうか?

「私は永久凍土の高城だ。辛辣な言葉で傷付き、フラレルと考えなかったのか?」

「えっ?」

 千夜はキョトリとしてから、ニコリと笑った。

「そんな事、ちっとも考えてなかった。真昼にフラレルなんて思っていないぞ。こんなに

好きなんだ!!」

 千夜のストレート過ぎる気持ちが、私の心の氷を少しずつだが確実に溶かしていく。

 それを怖いこととは思わなかった。

 だから、私は私の言葉で答えようと思った。

「千夜、よく聞いてくれ」

 私は静かに両手を胸に置いた。

「こんな気持ちは、初めてだ」

 胸がドキドキする。

 心臓が口から飛び出してきそうだ。

 それを堪えて私は私の気持ちを懸命に語る。

「お前と居ると、私は不思議と怖さを感じない。お前の声を聞くと、信じたいと心から思

えるのだ」

 私は呼吸を整え、千夜の瞳を真っ直ぐ見詰めた。

「私の側に居て欲しい」

 ああ、私はその言葉を声にしたとたん全身の力が抜けてしまった。
 
 立っている事が出来なくなり、その場にペタリと座り込んでしまった。

 とても恥ずかしかった。

 私の前に、千夜が同じようにしゃがみこんだ。

 そして、私の手を千夜はゆっくり優しく包み込むように握ってくれた。

「千夜……」

 名を呼ぶと、千夜は最高の笑顔を返してくれた。

「最高だ。こんな気分は、人生で初めてだ。ありがとうな」

「それは、私のいう言葉だ」

 千夜は「そうか?」とおどける。

「今度の日曜日。本当のデートしようぜ。海で一日遊ぶんだ! 約束するぞ」

「ああ、約束する」

 私は素直に頷いた。

 千夜と一緒なら、どこでもいい。

 千夜と二人なら、私は……。




 幸せになれるかもしれない。



                         つづく

 

 


 
 

夏の光 その5

「夏の光っていうんだ」

「夏の光?」

「そう。今の時期、今の時間だけ見ることの出来る空色の輝き」

「夏の強い陽射しや、角度や、温度が関係しているのだろうか?」

「さぁ? そういう難しい事は解らないが、綺麗なのは自信を持って言える」

「なるほど」

「それから、夏の光は俺が名付け親。なかなかいいだろ」

「そうだな」

 あまりに嬉しそうな顔を千夜がするので、私は同意を示し頷いた。

「あと五分もしたら、消えちまう。よく、見ておくこと」

「ああ」
 
 私は素直に千夜の指示に従い、夏の光が消えるまでジッと見詰めていた。

 海が元の色に戻った。

 その時になって、私は隣りに千夜が居ないことに気付いた。

 振り返ると、千夜は広場にある小さな小屋から、様々な道具を出し広場へ出していた。

 完成したのそれは、ハイジャンの練習場。

 部活で使用している立派なものではない。

 全て手作り、幾重にも積まれたマットレスは資源ごみから拾ってきたと教えてくれた。

「ここの自治会長さんが理解のある人で、ここを特別使わせてもらってる。小屋も俺が作

ったんだぜ。不恰好だけどな」

 照れ笑いする千夜は、とても幸せそうだ。

「練習するから、見ていってくれるか?」

「そうする」

 私は近くのベンチに座り、千夜の練習風景を黙って見学。

 帰るという選択枝もあったが、私は選ばなかった。

 千夜の跳ぶ姿が好きだから。

 練習が始まった。

 助走をつけ、いつものようにフワリと宙を舞う。

 その姿を、私は学校で幾度となく目にしている。

 気持ちよいほど高く跳ぶ千夜。

 千夜は跳ぶ瞬間、何を考えているのだろう?

 フッと浮かんだ疑問を、私は口にした。

 千夜は戸惑った顔になった。

 不味い事だったのだろうか?

 もし、そうならば謝罪をしなければならない。

 だが、千夜は暫しの沈黙の後、答えをくれた。

「何も考えていない。跳ぶ瞬間、頭が真っ白になるんだ」

「そうか」

 私は頷いた。

 そして、それ以上何も言わない。

 もし、問い続けたら千夜が私から離れてしまう気がしたのだ。

 全てを捨てたはずなのに、温かさや優しさを与えてくれる千夜が消えてしまうことが怖

いと思った。

 千夜も何も言わず、練習を再開した。

 私も無言で、見学する。

 練習の終わりに、千夜が口を開いた。

「明日も、誘っていいか?」

「かまわない」

 私は私の感情を悟られないよう、なるたけ冷静を装い返事をした。


                             つづく

  
   
 

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