蓂莢亭の物書きペンギン

泣いても一生、笑っても一生、ならば今生泣くまいぞ。

果ての蒼穹

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 小説内は、クリスマス。時期ものということで悩みましたが、 一番始めに載せたいと思っていた作品です。
 ぜひ、最後までお付き合いください。
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 俺は決意した。

 ここでウジウジしていても、解決しない。

 椅子から離れ、世緒と歌を歌っているアリアの腕に触れた。

 アリアがガクリと項垂れる。

 世緒が突然のことに驚いているが、今は説明しているヒマはない。

 俺はアリアの腕を掴み、彼女を呼び出す。

「リリア」

 俺の呼びかけに答えたのは……

「どうした、一城?」

 リリアだ。
 
 俺はアリアとリリアが交代した事を確認すると、リリアの腕を引っ張り居間を出た。

 二人だけで話をした方が、いい。

 世緒には誤解を再び招いたが、この行動は間違っていないはずだ。

 渡が呆れ顔で肩を竦めていたが、無視をした。

 世緒は……

 顔を見ていないから解らない。

 
 廊下で二人きりになると、俺はリリアへ向き直る。

「お前に質問したいことがある。とても大切なことだ」

「なんだ?」

 俺の真面目な顔に、リリアの表情も引き締まる。

「もと、アリアの望みが突然消失したら、あいつはどうなる?」

 リリアの目が大きく見開かれる。

 そして、真っ青な顔で俺の腕を強く握り締めてきた。

「一城は、おかしなことを言う。もしかして、旅人を探すのを諦めたのか? ならば、そ

れはそれで構わない。初めから無理な願いを私が押し付けたのだからな。私は覚悟してい

た。今日まで、本当に世話になった。明日、出て行く。気にするな。私は平気だぞ。だか

ら……」

「違う!」

 俺は語気を荒げた。 

 それは、子供のくせに気を使うリリアにでなく、リリアに今にも泣き出しそうな顔をさせた俺にだ。

 俺は一度息を吐き気持ちを整え、リリアに微笑みかけた。

 リリアの手を取り外し、なるたけ優しく丁寧に話かける。

「そうじゃない。そうじゃない。望みが叶った場合、アリアは幸せに暮らすことが出来る

んだろ?」

「そうだ」

「だったら、教えてくれ。もし、望みが永遠に果たせないと解った時、アリアはどうな

る?」

「魔女は言っていた。姉上が望みを諦めた時は……消……」

 リリアの声は、最後まで声にはならなかった。

 俺は、壁に寄りかかり力尽きた。

「ひでぇ、冗談だ」

 リリアが俺の腕を強く握り締めてきた。

「一城。何を知っている? 何を聞いた? 何を隠している? 教えてくれ。奴は旅人

は、どうしている? 姉上の全てを奪った人間は!!」

 リリアの口調はとても強かった。

 我慢していたもの全てを吐き出すかのように、俺へ気持ちをぶつけてくる。

 俺は俺の持つ全ての感情を遮断した。

「もし、間違いなければ。俺の判断が間違いなければ、アリアの探す旅人は五年前に死ん

だ」

「……嘘だ。そんなバカなことが……。なあ、何かの間違いだろ? 一城、そうだろ?」

「俺もそう願いたい」

 俺は、あの写真集のあのページを見せた。

 リリアは動かなくなった。

 写真集が手からこぼれ、バサリと廊下へ落ちた。

「姉上」

 たった一言。

 それだけ言って、リリアは糸の切れた人形のように、その場へペタリと座ってしまっ

た。

「リリア」

 俺も座り呼びかけると、リリアはゆっくり顔を上げ俺を見詰める。

 縋るような目だ。

 静かに腕を挙げ、俺の服の袖口を力なく握った。

「どうしよう。姉上が消えてしまう。私は、どうしたらいいんだ? 一城、教えてくれ

。私は姉上を失いたくない。私は……」

 リリアの言葉が、唐突に切れた。
 
 そして、リリアはガクリと項垂れた。

 アリアと交代の時間が来てしまったのか?

 それにしては、少し早い気がする。

 以前は、もっとリリアは俺の前で俺を混乱させていた。

 いぶかしむ俺。

 その俺の前で、彼女は静かに立ち上がった。

「すまなかった。リリアが迷惑をかけたな」

 迷惑?

 アリアの謝罪の意味に、俺は引っかかるものを感じた。

 まるでリリアの行動を全て知っているようだ。

「まさかとは思うが……」

 アリアは、口元に小さな笑みを浮かべた。

「全て知っている。最初から全て。私の体だ。リリアが表に出ようと、眠りについたりし

ない」

「じゃあ、リリアが魔女と交わした契約も」

「リリアに悪い事をしてしまった」

 アリアは無感情に淡々とした声で言った。

 それが、俺の何かに障った。

「それだけなのか? それでいいのか? お前の幸せだけを願い、リリアは全てを捨てた

んだ。それを、愛情の欠片も感じない言葉で片付けるのか?」

 俺はアリアを責めていた。

 俺の中に生まれた憤りを、こんな形でアリアにぶつけるのは間違っている。

 けれど、あのひたむきで一生懸命なリリアに、俺はもう何もしてやれないのが悔しくて

たまらない。

 俺が睨みつけるが、アリアはどのような感情も見せずこちらを見詰め返してくる。

「君はリリアの願いを知っているのだろ?」

「あいつの願いは、お前の手助けをすることだ」

「では、私の願いが永遠に叶わなくなった時は?」

「それは……」

 俺は答えられなかった。

 答えは解っているが、言葉にしてしまったら現実になってしまいそうで恐ろしかったの

だ。

 アリアは、また口元に小さな笑みを浮かべた。

「願いが永遠に叶わないとなれば、私は世界から消える。だが、私が絶望しない限り有効

だ。私が彼の死を受け入れず、いつまでも彼を探し続けていれば、私は存在し、リリアは

私の中で行き続けることができる」

 俺は耳を疑った。

 アリアを凝視する。

 今のアリアからは、どんな感情も読み取れない。

 アリアは廊下に落ちたままの写真集を拾い、問題のページへ目を落とす。

「果ての蒼穹だ」

「?」

「彼は私の事を、そう呼んだ。アリアという名を知らないのだからしかたないが、悪くは

ないと思う。君は、どう思う?」

「ああ、そうだな。悪くはないが、センスはいまいちだ」

 アリアが、小さく笑った。

 本当に小さくだ。

 今にも消えてしまいそうな小さな笑いに、俺の心へ陰を落とす。

「アリア」

「なんだ?」

「明日、この個展へ行こう。お前は旅人の顔を魔女に奪われたんだろ? なら、個展に行

けば写真の一つぐらい飾ってあるだろう。それを見て、思い出せ。そして、生きろ。絶望

しなければ、お前たちは、生き続けることが出来るんだろ?」

「個展は君と彼女が仲直りするために行くものだ」

「あのな……」

 俺は頭を掻いた。

 今の俺の気持ちを表す言葉が、どうしても見つからないのだ。

「少し待っていろ!」

 俺は言葉を探すより行動に出た。

 居間へ戻り、渡と会話を楽しんでいる世緒の腕を引き寄せた。

 世緒は、突然のことに驚いた顔をしている。

 俺は世緒を真っ直ぐ見詰めた。

「世緒」
 
「はい」

 世緒の小さな声を聞き、俺はゆっくり深呼吸をした。

「俺を信じて欲しい。そして、俺のやる事を見ていて欲しい。もし、信じてもらえるのな

ら、明日もう一度会って欲しい。時間と場所は、この間と全て一緒だ」

「……はい」

 世緒は少しだけ迷ってから、頷いてくれた。

 それを確認すると、俺は部屋を飛び出した。

 廊下で待っていたアリアに笑いかけた。

「これでいいだろ?」

「君は強引な奴だ」

「今は、それで構わないと思う。だから、明日は約束だ。時間がないなんていわせない」

「分かった。ただ、一つだけ私も言わせて欲しい」

「なんだ?」

「彼女は君のことが好きだ。君は彼女を大切にすることが望ましい。というより、私と約

束して欲しい」

「分かった。約束する」

 俺が頷くと、アリアはさっきとは違う優しい笑みを浮かべた。

「君と初めて会ったあの日、私は彼の死を知り自らも消えようと考えていた」

「えっ?」

 俺は、耳を疑った。

 アリアの告白は、それほど俺を驚かせた。

 しかし、アリアの告白の意味する行動は出会ったときから会った事を俺は遅まきながら

理解した。

 あの時、アリアは両手を広げ十字架を作っていた。

 そして、空を仰ぎ、ジッとしていた。

 今、思えば、あれは死を受け入れようとしてた行動なのでは?

 俺は髪を掴みクシャクシャと掻いた。

 本当に遅まきな理解力だ。

「けれど、空色の傘を差した君と出会ったとき、私は絶望から救われた。ありがとう。君

が彼ならば、私は……いや、なんでもない。明日は楽しみにしている」

 アリアは俺に再び笑いかけ、パーティーへ戻っていった。

 俺は……理解力は遅かったが、失敗は絶対にしないと誓った。

 アリアとリリアを生かすのだ。

 彼女たちには、生きる権利はまだあるはずだ。


 俺たちは夜遅くまで騒ぎ、眠りに就いた。


 翌朝。

 アリアは消えていた。

 居間にも客間にも俺の部屋にも台所にも風呂場にも、どこにもいない。

 アリアが消えた代わりに、親父の『ブループラネット』が咲いていた。

 真っ青な青。

 アリアとリリアの瞳と同じ色をしていた。

 まるで二人が、そこにいる錯覚に襲われるほどバラは綺麗に咲いていた。

 俺は顔を隠し、泣いた。

 この気持ちが何なのか、俺にはさっぱり判らない。

 だが、とても辛く胸が痛かった。

 
 俺は世緒へ正直に全て話した。

 今の気持ちと、世緒への気持ち。

 世緒は俺の気持ちを、まとめて受け入れてくれると言った。

 世緒は強い。

 アリアとリリアも強い。

 今の俺は……彼女たちのように強くなれそうもない。

 それでも、はにかむ世緒を見た俺は、彼女を大切にしようと心に誓った。

 アリアとも約束をしたからな。


 親父が帰宅。

 青いバラに喜んでいた。

 俺は親父のバラに『アリリア』と名付けた。

 親父は名を気に入ってくれ、『アリリア』は庭の見える暖かい場所に今でも咲いてい

る。

                                     終

 記憶が確かならば、クリスマスツリーを出すほどのは十年ぶりだ。

 物置から出した割には、埃が積もっていないのは不思議だったが、今は深く考えない。

 飾りつけの間中、アリアは真剣に口を固く閉じていた。

 明らかに先程の発言に対し、俺からの質問を拒否しているのがみえみえだ。

 部屋中の飾りつ終わった頃、渡と世緒がやって来た。

 二人とも両手にたくさんの荷物を抱えている。

 何をそんなに買ってきたんだ?

「やぁ、すっかりクリスマスの雰囲気だね」

「そうですね」

 渡の感想に、世緒が素直に頷く。

 だが、俺の方は一切見てくれない。

 とてつもなく心が痛い。

 がっくりと肩を落とす俺に、渡がさりげ〜なく近付いてきた。

「さぁ、始めようか。一城の大好きな携帯カラオケセットもあるんだよ〜ん」

 渡はご機嫌だ。

 カラオケセットを俺に持たせると、テーブルへ向かい買ってきたご馳走を並べ始めた。

「いつ俺が、カラオケ好きになった?」

 キツイ視線を向けるが、渡は俺のことなど気にせずに歌いながら支度を続ける。

 その手際のよさは、素晴らしいが……なんかはぐらかされている気がする。

 俺は歌を率先してまで歌わない。

 誰かに勧められれば一曲ぐらいは歌うが、それ以外は他の奴らの歌を聞いていることに徹している。

 歌好きは、むしろ渡の方だ。

 奴は一度マイクを持たせたら、十曲歌わないと気のすまないのだ。

 だから、いつも五曲辺りで強制的に誰かにマイクを取り上げられている。

 ヤレヤレ

 俺は肩を竦める。

 渡から離れたツリーの側では、世緒とアリアがなにやら楽しいそうに話をしている。

 彼女たちは、何を話しているのか?

 気になって仕方ない。

 自然と世緒に視線が釘付けになってしまう。

 そんな俺の頭を、渡が軽く小突いてきた。

「そんなところで世緒ちゃんを見詰めてばかりいないで、準備を手伝ってよ〜。一城君。早くしないと、

今日が終わっちゃうよ〜。ねっ」

「この状況を作ったのは誰だ!誰の所為で、俺はこんなに気をもんでいると思っている!」

 俺が怒鳴ると、渡がキョトリとした。

「もしかして、僕の所為とか? そんなこと言わないよね。まさかだよね。一城ともあろう度量のふか〜

いお方が、僕がお膳立てしてあげた「世緒ちゃんと仲直りしよう会」に異議申し立てしようなんて思って

いないよね。ここで世緒ちゃんに、いいところを見せておかなくっちゃ。そこまで解ってくれている?」

 俺は唇を強く噛み締めた。

 出会ってこのかた、こいつの口に一度も勝てたことがない。

 ここで反乱を起こすのは簡単だが、アリアや世緒が楽しんでいるパーティーをおじゃんにしてしまうほ

どおろかではない。

 ここは忍耐力の発揮場所だ。

 呼吸を整え、渡の手伝いに入った。

 
 かくして、パーティーは始まった。


「一番、綾波渡。歌わせていただきます!」

 ゲームをしたり、真冬の怪談話をしたり、ただお喋りをしたりした俺たち(世緒は残念なことに、俺と

目を一度も合わせてくれないばかりか、話かけてもくれなかった)だったが、シャンパンで上機嫌になっ

た渡はマイクを握り歌い始めた。

 こりゃ当分の間、渡の歌謡ショーだな。

 何も知らない世緒は渡に拍手を送り、アリアは世緒を真似して手を叩いている。

 俺は急激な疲れを感じ、少し離れた場所に移動しため息を吐いた。

 俺の心配をよそに、世緒とアリアは仲良くなっている。

 女は、よく解らない。

 楽しいはずのパーティーが、今の俺には辛くてたまらない。

 再びため息。

 いくらため息を吐いても、俺の沈んだ気持ちは減ってはくれなかった。

 クリスマスツリーへ目を向け、渡の歌を俺は意識的に遮断した。

 暫くして、渡が顔を覗き込んできた。

「なんだよ?」

「ご機嫌ナナメだね」

「当たり前だ」

「だったら、あっかるくなるものを一城に進呈!」

 渡が一冊の写真集と二枚のチケットを、くれたのだ。

「なんだ?」

「アリアちゃんの旅人のこと、僕なりに調べてみたんだよ。無駄に広い交友関係を使って」

「で、どうだった?」

 俺は身を乗り出した。

「う〜ん、どうやら無駄に広い交友関係だったみたい。情報量が少ないってこともあるけれど、みんな解

らなかったんだ。でね、そのついでというかなんか友達の一人が、ボランティアで手伝っていたイベント

の招待券があまっているからって僕に押し付けてきたんだ。貰うつもりは全然なかったんだけどね、話を

聞いているうちに……」

「貰ったというわけか」

「そういうこと」

 渡がコクリと頷いた。

「でもね、僕は興味がないからあっても困るだけだど、一城なら気に入ってくれると思って譲るよ。世緒

ちゃんを誘って行ってごらん、仲直りのチャンスだよ」

「話はわかるが、チケットの内容が酷ければ修復不可能になるぞ」

「大丈夫、大丈夫。話を聞いただけなんだ。けどね、これは、若手写真家の個展のチケット。空好きの一

城なら上手にエスコートできると思うよ」

「………」

 渡はあんなことをいっているが、信用してよいのだろうか?

 疑問を持ち、渡をじっと睨み続ける。

 疑われているのも解らずに、渡は説明を続けた。

「写真集は明日発売のもの。チケットは写真集と同時に始まる個展のもの。名前は忘れたけど、若手写真

家の最初で最後のイベントなんだよ。ただし」

 渡が、ここで指を一本立てた。

 指は俺をビシッとさし、俺は少しだけ退いた。

「本当に最初で最後。一度きりの貴重な個展なんだ。必ず世緒ちゃんと行くように」

 にんまり笑う渡に対し、俺はいぶかしい表情になった。

「最初で最後?」

 疑問に思いながらも、手渡された写真集を開いた。

 その瞬間、俺は呼吸をするのも忘れて写真集に釘付けとなった。

 開いたページには、アリアの説明する風景がそのまま載っていたのだから。

「世の果てだ」

 無意識のうちに、俺は呟いていた。

 これが、アリアの探していた旅人のものならば……。

 なんて、ラッキーなんだ。

 俺の心が躍る。

 早くアリアに伝えようと椅子から立ち上がると同時に、テーブルにおいてあったチケットが床へ落ちて

しまった。

 写真集を閉じ、落ちたチケットに手を伸ばす。

 が、俺の手はチケットを拾う前で止まってしまった。

 チケットに印刷されている『追悼』が、目に入ったからだ。

 言葉の意味は解っているのに、俺は渡に問いただしていた。

「追悼ってどういうことだ?」

「言葉どおりだよ。この写真を撮った人は既に死んでしまっている。それも五年も前。最近になって彼

のファンたちがボランティアを結成して個展を開く計画を立てたんだよ。このボランティアに参加した友

達からの情報だから間違いないよ」

 渡の説明を聞き、俺は頭をマジで抱えた。

 やっと見つけた情報だというのに……。

 俺はどうやってアリアへ説明すればいいんだ。

 間違っていれば笑い話で済むが、マジなら……。

「ひでぇ、冗談だ」

 あれから何時間が、経ったのだろう?

 俺の意識は半分以上くたばっていて、時間の観念が狂ってしまっているようだ。

 それほど『再来屋』で過ごした時間は、苦しかったのだ。

 そう。

 よく考えれば、間違っていたのだ。

 渡の説明に納得して、俺とアリアは『再来屋』に行った(これは納得している)。

 総一朗さんに、アリアは本を選んでもらえた(これは本気で嬉しかった)。

 アリアと一緒に未来を示す本を探す……。

 そう、ここが間違っていたのだ。

 アリアの未来を示す本は、アリアにしか感じることが出来ないのだ。

 俺が一緒に本を読んでも、見つからないのだ。

 本を読み始めて一時間したころ、俺はその事に気付いた。

 アリアに伝えようとしたが、アリアは静止画像のように本を読み続けていた。

 その姿が、あまりに真剣で、俺は声をかけることが出来なかった。

 アリアの思いを感じ、リリアとの約束を守るため、俺はもう一度作業に戻ったのだ。

 アリアとリリアを思い描けるものを探し出そうと、頑張ったのだ。

 しかし、成果はなし。

 この結果に、俺は酷く落ち込んだ。

 アリアは何も言わず表情一つ変えないが、俺より落ち込んでいるはずだ。

 成果なく『再来屋』を後にする俺から、重たいため息が漏れた。

 立ち止まり、商店街アーケードの硬化プラスチック製で出来た天井を見上げた。

 天井の向こうは、既に真っ暗だった。
 
 商店街のクリスマスイルミネーションやクリスマスソングは、俺の落ち込みなど素知らぬ顔で派手に頑

張っている。

「これは、なんだ?」

 アリアが問い掛けてきた。

 俺が天井から顔を向けると、アリアはクリスマスツリーを不思議そうな顔で見詰めていた。

「クリスマスツリーだ。もみの木にクリスマス用の飾りつけをして、クリスマスを盛り上げるんだ」

「クリスマス?」

 再び疑問が返ってきた。

「アリアは、クリスマスを知らないのか?」

 アリアがコクンと頷いた。

 俺は知っている範囲を話すことをにした。

「クリスマスは、キリストっていう神様が生まれた日だ。それを祝うのが十二月二十五日。日本じゃ、十

二月になると、それに便乗して騒ぐ……まぁ、一種のお祭りだな。アリアのところには、なかったの

か?」

「果てに、そのような風習はない。神の誕生を皆で祝う。素敵なことだ」

 真剣な顔で、アリアは真面目に感心している。

 俺はクリスマス一色の商店街を見回し、口の片端を上げて笑い顔を作った。

 この中に、クリスマスの本当の意味を理解している人が何人いるだろうか?

 そう思うと、日本人は本当に祭り好きだな。

「君の家では、神の誕生を祝わないのか?」

「?」

 アリアの唐突な問い。

 さぞかし俺は間抜けな顔をしていたのだろうな。

 だが、アリアは、まだ真面目な顔で俺を見詰めている。

「君の家では、ツリーとやらは飾らないのか? 家でも飾るものなのであろ?」

 神様の創造物に正面から見つめられると、俺が恥ずかしくなってくる。

 俺はコートのポケットに手を突っ込み、アリアから目を逸らし天井を見上げた。

「あろうって……言われてもなぁ〜。飾らない。そう、飾らないのは確かだ」

「なぜだ?」

 再びの問い。

 これには、俺も素直に首を捻った。

 いつからだっだろう?

 小さな頃は、親父とツリーを飾ったし、おふくろとケーキを食べた。

 折り紙で作った輪を家中に飾り、クラッカーを鳴らして、クリスマスソングも歌った。

 それはおふくろが死んでからも続いた、家族行事だった。

 それをやらなくなったのは、いつからだったのだろう?

 いくら考えてみても、思い出せなかった。

 あんなに楽しかったことなのに……。

 ツリーの飾りつけも、歌も、ケーキも、プレゼントも。

 俺はアリアへ目を戻す。

 アリアは俺の答えを待ってはおらず、店先のクリスマスディスプレイを見詰めていた。

「めずらしいか?」

「ああ。果てには、こんなに輝くものはなかった。一番輝いていたのは、月と星だ。旅人が、いつも言っ

ていた。世の中には、果ての月や星のように綺麗なものがあることを。本当だな」

「そうだな」
 
 俺が頷くと、アリアは胸元を両手で押さえ両目を閉じた。

「この中にリリアがいるというならば、今すぐリリアに見せてやりたい。あの子は、輝くものが大好きだ

といつも言っていた」

 アリアが、俺を見て微笑んだ。

 その笑みに、俺の胸がチクリと痛んだ。

 俺はリリアを表に出す方法を知っている。

 それと、リリアの契約を。

 アリアは何も知らない。
 
 知らずに旅人を探し続ける。

 そして、命が尽きて……。

 俺は最悪の考えを、慌てて頭から追い払った。

 旅人は探し出す。

 リリアと約束したのだから、絶対に守って見せる。

 だが、楽しいことが世の中にはあるのだ。

 それを楽しむ時間が。アリアやリリアにもあっていいはずだ。

「なぁ、アリア」

「なんだ?」

「これからクリスマスパーティーをするぞ。クリスマスまで二日ばかり早いが、それぐらい神様も許して

くれるさ。今夜は楽しんで、明日から、また旅人探しをするからな」

 俺が笑いかけると、アリアも微笑んでくれた。

「そんなに楽しい事をするなら、僕たちも混ぜて欲しいな」

 渡の楽しげな声に振り返ると、そこには、万年笑顔の渡と………世緒がいた。

「今、一城の家へ行こうと思っていたところなんだ」

「何をしに?」

 俺は渡を睨み付けた。

 世緒を連れて、何をしにくるつもりだったのだろうか?

 その事を問いただすつもりで渡の腕を引っ張ろうとしたが、スカを喰らった。

 なかなか勘の鋭い奴だ。

 俺の手をかわした渡は、喰えない笑顔全開だ。

「なにって、世緒ちゃんを誘って一城の激励に決まっているでしょ。食料調達の途中で、君たちに出会っ

た。というのが、現在に至るまでの説明。ねっ、世緒ちゃん」

 渡に話をふられて、世緒は慌てて頷いた。

 俺は世緒をジッと見詰めた。

 世緒は俺の視線に気付くと、渡の後ろへ慌てて隠れてしまった。

 ショックだ。

 世緒は誤解をしたままだ。

 なんとか、誤解を解かなくてはならない。

 俺をピンチから救ってくれる(はずの)渡は、笑顔を崩さず介入不可のジャストな距離を保っている。
 
 こいつ、絶対に楽しんでいやがる。

 何か一言言ってやらんと気がすまない。

 一歩近付くと同時に、渡は世緒の肩を抱き寄せた。

「じゃあ、一城の家へ一時間後に行くから。アリアちゃんと”仲良く”クリスマスの飾りつけをしてね

〜」

 手を振り振り、渡は世緒と商店街の雑踏へと消えてしまった。

 って、なぜ仲良くの辺りを強調して言う必要がある?

「うっあ〜」

 俺は意味ない言葉を声に出し、手を伸ばした。

 が、空を掴んだだけの手が、とても情けないものに思えて俺は慌てて手を引っ込めた。

 一部始終を、アリアはジッと見詰めていたらしい。

「君は……」

「なんだよ」

 恥ずかしくて、ぶっきらぼうに返事を返す。

 アリアは気にした素振りは見せずに、言葉を紡ぐ。

「君は彼女の事が好きなのだな」

「なっ!」

 ストレート、直球勝負!

 なんの飾りつけもないが、一番難しい言葉をアリアはあっさりと言ってくれた。

 俺の顔が、あっという間に真っ赤となった。

 なんの色も強弱もつけず、「今日も、お天気ですね」程度にあっさりした言葉だというのにだ。

 っていうか……。

「なぜ、解った?」

「なぜか?」

 アリアの眉間に、数本の皺が生まれた。

「あれだけバレバレの態度が解らないような者は、いないだうろな。それとも、君は彼女を好きという態

度や思いが誰にも解らないとでも思っていたのか? もし、解らないという奴がいるならば、そいつは木

偶の坊だ」

 アリアの鋭い指摘に、俺の心はのたうち回る。

 しかも、木偶の坊とは………。

 アリアの口からそんな言葉が出てきた驚きよりも、それが俺に向けられて放たれたことの方に強いショ

ックを受けていた。

 項垂れる俺に、アリアが近付いてきた。

「好きという感情が、きちんと伝わらない辛さはよく解っている。しかし、諦めるな。私と違い、君が彼

女に心を伝える時間は十分にあるのだから」

「えっ? アリア。今、なんて言った?」

 俺は顔を上げ、アリアを見詰める。

 アリアが口にした言葉の最後の方が、小さくてよく聞こえなかったのだ。

 しかし、アリアは答えるつもりはないらしい。

 スタスタと足早に帰り始めたのだ。

 問いに拒否を示すかのように、俺が呼び止めても足を止めなかった。

 俺は仕方なく、アリアの後を追った。

 カランコロン

 扉のカウベルが鳴る。

「いらっしゃい。そろそろ来る頃だと思っていたよ」

 今日も頭に黒猫を乗せた総一朗さんが、ニコニコと微笑んでいる。

「俺が来るを知っていたんですか?」

「ボクは『再来屋』だよ。近い未来も遠い未来も、なんでもお見通し」

 胸を張り、偉そうな態度をとる総一朗さん。

 客の未来は視ても教えないと言っておきながら、自分のためには未来を視て最大限有効利用する。

 『再来屋』のルールに則っていない気もするが、今日はツッコミするのを止めておこう。

 俺は『再来屋』に足を踏み入れ、真っ直ぐと総一朗さんへと進む。

 カウンターの中で、のんびりまったり紅茶を飲む総一朗さんの正面で立ち止まる。

「総一朗さん、お願いだ。俺に特定の未来を示す本を売ってくれ」

「それはだめだよ。ルール違反だ」

 総一朗さんはカップをソーサーの上に静かに置いてから、首を横に振った。

「ルール違反は、今回きりだ。それで、俺がここへ来る資格が消えてしまってもいい。だから、特定の未

来を示す本を売ってくれ」

 総一朗さんの前髪に隠れた瞳が、キラリと光った。

「一城君。それ、本気で言っているの?」

 俺は頷いた。

 総一朗さんは、深くため息を吐いた。

「『再来屋』の御優待を蹴る人間は、初めてだよ。びっくりしすぎて、未来が三つほど消えてしまった

よ」

「ごたくはいい。俺は本気だ、未来を売ってくれ」

「さっきも言ったけど、それはルール違反だからダメだよ」

「けれど、俺はどうしても今すぐ知りたい未来があるんだ」

「と言ってもね……。今、一城君に売ってあげれる特定の未来を示す本は、うちには置いてないよ」

 総一朗さんは、申し訳なさそうに軽く頭を下げた。

 頭の中が、真っ白になりそうだった。

 渡が提案したときは半信半疑の態度を取ったが、正直な話、ここへ来ればヒントを得られると思ってい

た。

 ショックは、尋常ではない。

「う、嘘だろ?」

「ほんとうだよ。嘘を吐いたら、ボクの商売は成り立たないよ」

 真面目な顔で真剣な声。

 そんな総一朗さんを見てしまうと、これ以上疑うわけにはいかない。

 諦めるしかないのか?

 だが、諦めたらどうするというのだ?

 ここがダメならば、ふりだしに戻るだけだ。

(どうする? 俺)

 自問したが、答えは出ない。

 その瞬間、俺の中に焦りが生まれた。

 アリアには時間がない。

 旅人探しを手伝うと、リリアと約束をしたのだ。

 次の手が、すぐには思い浮かばず俺は椅子に腰を下ろした。

「でも、彼女になら売ってあげるよ。未来を示す本」

 総一朗さんが、おかしなことを言っている。

 俺には無くても、アリアにはあると…………?

「総一朗さん! それ、マジ?」

 俺は椅子から立ち上がり、カウンターを叩いた。

 総一朗さんが、一瞬肩を震わせ驚いた。が、すぐにいつも通りの表情となった。

「アリアには、あるんだな?」

「へぇ、彼女はアリアちゃんって言うんだ。綺麗な青をしているね。うん、彼女からは蒼穹を感じるよ」

 総一朗さんは、口元にいつもより強い笑みを浮かべた。

 そして、立ち上がり両手を大きく広げたのだ。

 これは何度か見たことがあるが、了承の合図。
 
 アリアや俺の返事を待たずに、総一朗さんは久しぶりに仕事を始めたのだ。

「ナイト。久しぶりに大口のお客さんだよ。しっかり働こうか。さぁ、いくよ。順番を間違えずに、いつ

も通りに、頑張ろう」

 ナイトが総一朗さんの頭から、身軽に飛び降りカウンターへ音もさせず降り立った。

「ニャー」

 ナイトの一鳴きで、スタートする。

「A−390。C−99E。3−KLS………」

 総一朗さんの口から次々と出てくるのは、『再来屋』にある本の背表紙番号。

 同じ番号の本を、ナイトが取りにいく。

 本を傷つけないように口で噛み、俺の前へと積んでいく。

 五分後。

 俺の前には、本で出来た山が五つ完成していた。

「総一朗さん、これは?」

 わかっていたが、確認せずにはいられなかった。

 一仕事終えたナイトは、総一朗さんの頭の上で休憩中。

 総一朗さんは、俺と顔が合うとニコリと口元へ笑みを浮かべた。

「蒼穹の彼女の未来を示す本。この中のどこかにあるはずだよ」

「探せと?」

「ルールだからね」

 総一朗さんは、笑みを強めた。

 これ以上は何も言わない聞かないと、語っているのがよく解る。

 それほど、総一朗さんの笑みには威力があった。

 俺は食い下がるのを止めて、アリアへ『再来屋』のルールを説明する。

 アリアは素直に頷き、目の前の本を数冊手に取り空いているテーブルへ向かった。

 俺も同じく本を手に取り、アリアの未来を指し示す本探しを手伝い始めた。

 『再来屋』は、俺の一番のお気に入りの店だ。

 商店街の喫茶店とドラックストアの間の細い路地を入り真っ直ぐ進む。

 路地は人が一人しか通れない狭さしかなく、通り抜けてもそこは空き地しかない。

 通常ならば。

 そう、普通なら空き地に出てしまうこの路地を俺が通ると別の風景が広がる。

 空き地でなく、緑の多い自然の中に一軒の建物。

 建物の外観は、落ち着いた雰囲気の喫茶店。

 重厚なドアを開けるとカランコロンとカウベルが鳴る。

 これが、『再来屋』だ。

 『再来屋』は、選ばれた人間だけが辿り着くことの出来る商店街七不思議の一つだ。

 客が店を選ぶのでなく、店が客を選ぶ。

 なんともややこしいが、俺は『再来屋』に選ばれた人間だそうだ。

 選ばれた理由は、『再来屋』の主人である総一朗さんにもわからないそうだ。

「ここへ辿り着ける人間を選ぶのは、ボクでなく『再来屋』なんだ」

 と訳のわからないことを総一朗さんは胸を張って堂々と言う。

 俺にも選ばれた理由は解らないが、商店街の人達に言わせると「運がいい」そうだ。

 商店街の人達は、『再来屋』の存在を知っている。

 もちろん『再来屋』の主人である総一朗さんのことだって知っている。

 総一朗さんも、そこの人間のような顔で商店街のイベントに参加はするし買い物もしている。

 商店街のみなさんと常にわきあいあいとしている姿を見ていると、本当に七不思議の一つに数えられて

いる存在なのか問題定義したいところだ。

 『再来屋』の内装は、大正時代の喫茶店を思わせる。

 流れる曲は主にクラシックだが、その日の気分に合わせてジャズが流れていることもある。

 しかし、ここで一つ勘違いしてはいけないことがある。

 『再来屋』は間違っても喫茶店ではない。

 四方の壁、窓以外の場所は天井に届くほどの本棚がある。

 本棚の中には、大小様々な書籍がギッシリ詰まっている。

 店員はいない。

 主人である総一朗さんは注文をとるわけでもなく、カウンターでのんびりまったり読書をしたり居眠り

をしたり、一人で紅茶を飲んだり好物の甘味を堪能している。

 ここは喫茶店ではない。

 では、何を売っているかというとだ。

「ボクは、ここで未来のヒントを売っているんだよ」

 総一朗さんは、堂々と悪びれることなく言ってのける。

 そんな総一朗さんは、見た目は二十代。

 前髪は目を隠すほど長く、いつも口元に笑み浮かべている。

 頭に常に黒猫を乗せているが、まったく違和感はない。

 総一朗さんは「未来のヒントを売っている」と言っているが、正確には総一朗さんが選んだ本に未来を

示すヒントが書かれているのだ。

 本を選んでもらった人たちは、落ち着いた店内で好きな時間だけ読みふける。

 運命を感じたら購入する。

 これは『再来屋』のルール。

 未来は必ずストレートに書かれているわけでない。

 本の内容の一部(一文、一文字ということも…)が未来にどう関連するかは、本を手にした人が考え対

処する。

 これも『再来屋』のルール。

 俺は『再来屋』に選ばれ通っているが、まだ本を選んでもらったことがない。

 総一朗さん曰く。

「君は、まだ未来を示す時期に来ていないだけ。そのうち嫌でもボクが本を選んであげるよ。未来を示す

本がないからといって、ここに来るのを遠慮なんてしないでいいからね。君は『再来屋』に選ばれた人間

なんだ。辿り着けることができるときは、いつでもウェルカム」

 俺も遠慮なく秘密基地的場所として通っている。

 それでも、時たま思うのだ。

 総一朗さんに、俺の未来を少しだけ教えてもらいたいと。

 しかし、その度に総一朗さんは言うのだ。

「ボクの選ぶ本が、君の前にいつ現われるか。それについて、ボクは何も言わないよ。ボクは『再来屋』

だが、未来を売るのは仕事じゃないんだ。未来に繋がるヒントを売るのが仕事なんだよ。それに未来が事

前にわかっていたら、人生楽しくないだろ? 未来とはイマダコナイモノなのだから」

 笑顔でサラリとかわされる。

 総一朗さんは、なかなかの食わせ者だと判断する。

 それでも俺は『再来屋』へ通う。

 選んでくれた本はなくとも、本棚にある普通の書店ではなかなかお目にかかれない本たちを読むのは自

由だからだ。

 
 『再来屋』へ出掛けるにあたって、俺は疑問が出た。

 『再来屋』に選ばれた人間だけが辿り着ける場所に、青いバラであるアリアが行くことが可能なのか?

「アリアちゃんは、たぶん大丈夫。『再来屋』が必ず選んでくれるよ。僕はNGだけどね。ああ、残念。

一城の秘密基地に出会えなくて」

 と冗談まじりに渡は微笑んだ。

 だが、渡が「たぶん大丈夫」と口にする時は必ず大丈夫なのだ。

 不安は残るが、俺はアリアと『再来屋』へ向かった。

 








 
 

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