辻田幹夫のお気楽損害保険(損保)ブログ

営業でも損調でもない(元)損保屋が気ままに綴るブログです。正しいことを書こうと心がけますが、嘘になってしまったらすみません。

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参考純率改定を理解していないマスコミが保険料上げについて叩いています。
その中でもあまりにも記者が理解していないで記事を書いているものがあったので、コメントすることにしました。
以下は、毎日新聞の記事です。
「なぜ?なに?Q&A:自動車保険料、来年度一斉値上げ」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090716ddm008020114000c.html
(毎日jp 2009.7.16)
損害保険大手各社は任意加入の自動車保険料を来年度に一斉に値上げする。景気が低迷する中、家計の負担増は必至だ。その背景と影響をまとめた。【宇都宮裕一】
まずハナから参考純率と各社の保険料との関係をこの記者が理解していないことをこの冒頭の文章は示唆しています。
参考純率を自社の保険の純率に使っている保険は、その参考純率が改定されたら1年以内に改定された参考純率を適用することと金融庁の監督指針ではなっています。
従って、参考純率が上がれば、各社の保険の純率…純保険料が上がることはほぼ合っています。(純率が参考純率を使っていない独自料率なら、上げる必要はありません。)
しかし、付加保険料は参考純率が上がったからといって、必ずしも上げなければならないのかというとそうではありません。
従って、実際の各社の自動車保険料の値上げは、100% 間違いないことかというと必ずしもそうではありません。
 
Q どうして値上げするの?
A 各社の保険料収入が大幅に減っているためです。98年の保険料自由化で価格競争が激化し、契約1件当たりの保険料収入は10年間で20%以上減りました。少子化や景気後退による新車販売不振▽保険料の安い小型車志向▽保険料の高い若者の車離れ−−も減少に拍車をかけています。
参考純率改定は、あくまで損害保険料率算出機構が算出しているもので、利益や事業費抜きの純保険料率です。
それを上げることになった理由は、全体で見て (保険金の総支払額)>(保険料の総収入額) となったからです。
保険料収入が減っても、それと同じく保険金の支払額も減れば参考純率を上げません。
それと、保険料自由化は無関係です。価格競争は主に付加率で行っていますし、参考純率を使っている部分での純率の価格競争はありません。ダイレクト系損保の保険料が安いのも付加率を低くしているためです。(純率の 12.5%の調整範囲を利用することもあります。)価格競争で安くしたから、純率を上げるという理屈はナンセンスとしか言いようがありません。
 
Q どのくらい上がるの?
A 損害保険料率算出機構が、保険料算出のために加盟各社に提供する「参考純率」の引き上げ幅(平均5・7%)が基準になります。業界全体の保険料の平均年額は現在約5万3100円ですが、このうち保険金支払いに充てられる約6割が参考純率の適用対象です。平均の値上げ額は2000円程度の見通しです。大手各社は昨年春以降、1〜3%値上げしてきましたが、来年度は大幅値上げが必至です。
平均の値上げ額を2000円程度と言っている根拠は、平均保険料 53,100円 × 純率割合 0.6 × 5.7% = 1,816円 だろうと思います。
↑のように考えて、2000円程度の値上げと言っているのなら、これも間違いです。
平均保険料 53,100円の純保険料部分(31,860円)が 5.7% 上がるということは、定率でかかっている付加保険料部分(21,240円)も 5.7% 上がるのです。
つまり、平均保険料 53,100円 ×(純率割合 0.6+付加率割合 0.4)× 5.7% = 3,027円 が平均値上げ額になります。
なお、付加保険料を定額にしているのであれば、その定額の部分は 5.7% の上げとは直結しません。新しい計算方式と謳っているイーデザイン損害保険株式会社の自動車保険などがそうです。
 
Q 年齢によって値上げ幅も差があるの?
A 主な運転者の年齢に応じ、初めて別々の参考純率が適用され、差が出ます。事故が多い若年層と、事故が増えている高齢者の保険料を高くするためです。また、同じ年齢でも事故率によって保険料は異なります。
今回の参考純率改定で、26歳以上補償の部分に対して記名被保険者の年齢別料率という制度を新設しました。
しかし、これは参考純率がそうしているだけであって、自社の純率を決める際に絶対に同じにしなければならないというわけではありません。
自社料率を算出する際に、年齢分布ごとの加重平均をかけて、従来の料率体系とすることも許容されるはずです。そうした場合には、記名被保険者年齢別料率とはなりません。
いずれにせよ、ここは各社の判断による部分であり、そのことをヒアリングしていないなら、実際の保険料がどうなるのかは言えないはずです。
 
Q 「メガ損保時代」というから値下げを期待したのに。
A 損保大手6社は来年4月から3社に再編されます。自動車保険の不振が引き金となり、規模拡大に活路を探る狙いですが、経営統合によるコスト削減効果が出るには時間がかかるようです。ただ、参考純率は従う義務がなく、通信販売で安い保険料を売り物にしてきた外資系などは値上げを極力抑える方針です。契約者が外資系などに流れることも予想され、値上げが大手自らの首を絞めることになりかねません。
参考純率は従う義務がないのはその通りですが、現在販売している自動車保険が既に参考純率を使用しているなら、今回に限って従わないということは認められません。少なくとも、金融庁に対して充分な説明ができなければならないのです。
従って、「参考純率は従う義務がなく」というのは、実際には現在販売している自動車保険に参考純率を一切利用していない場合に限られます。共済は別とすれば、保険会社でこれに該当する自動車保険を販売しているところはないでしょう。
従って、上昇具合はどの損保もそれほど変わらないと思われます。ただ、同じ5.7%の値上げであっても、もともと6万円くらいの保険料だったのと、同条件で4万円くらいの保険料だったのとでは、当然に後者の方が金額として小さくなります。物凄く当たり前のことです。
 
損保料率機構から参考純率改定のニュースリリースがされたのは、7月7日です。従って、上記のことはもはや速報性は全くないので、じっくりと検討し、社内で内容をチェックした上で正しいことを記事にすることができたはずです。
今更、このタイミングで出したものとしては、お粗末すぎる内容としか言いようがありません。
そして、、、この記事を鵜呑みにして踊らされる人もきっと出るのでしょうし、毎日新聞は誤りの訂正もしないでしょう。

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あまりにもいい加減な記事ですねえ。辻田先輩のこの項目、毎日新聞に意見として送ればどうでしょう?きっと訂正くらいしてくれるのではないでしょうか?

2009/7/17(金) 午前 9:32 [ 名無しのごいち ] 返信する

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辻田さん、ごいちさんのおっしゃる通り!

2009/7/17(金) 午前 9:58 [ super lunch ] 返信する

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私の経験上、新聞は滅多なことでは訂正記事は出しませんよ。特に、単に記事が誤っていたというだけで訂正を出したと言うのは、聞いたことも見たこともありません。訂正するのは、誤っていたことで特定の人または企業が迷惑を被り、その人または企業からクレームがあった場合くらいではないでしょうか?

2009/7/17(金) 午後 10:00 [ 辻田幹夫 ] 返信する

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記者の結論在りきで書かれた記事は、少なからず読者を誤誘する素地はありますね。
全くの捏造以外は、おっしゃる通り頑として受け付けないことで正当性?を主張するのでしょう。
一般人とて例外でもなく、耳学問の識者が保険請求のアドバイスをしているのを聞くと
薄ら寒くなるときがあります。また、事故による外来、入院患者の溜まり場も同類です。
いずれにせよ保険に関わる事柄は、事あるごとにカンニングすることの重要さを痛切します。

2009/7/18(土) 午前 11:17 [ moto ] 返信する

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この記事は、でたらめだろうがなんだろうが、一般読者層の共感を得て毎日新聞の人気が上がればOKというレベルで書かれたものだと思いますよ。TVにもよく見られる低俗なものです。
今は昔と違い、専門的な知識もある程度はネットで得ることができます。損保の料率に関する一般論なら損保料率機構のサイトに正しい内容の資料がたくさんあります。
カンニングのネタはそこにあるのですが、もしかしたらこの記者はそれを理解する能力に欠けているのかもしれません。

2009/7/18(土) 午後 1:19 [ 辻田幹夫 ] 返信する

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