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地理・交通系お気楽ブログ(仮)
熊本&九州地方の地理・交通・歴史の話題や旅の話などをぐだぐだと。

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私が夏風邪で熱を出して寝込んでいた8月12日、鶴屋百貨店とともに長らく熊本都心部の商業の要となってきた中央区桜町の県民百貨店が来年2月いっぱいで閉店するというニュースが駆け巡りました。
ちょっと格式が高い(?)鶴屋に比べると県民百貨店は気軽に入れる感じでしたし、リブロをはじめいくつかのテナントにもちょくちょく足を運んでいたのですが・・・ 
 
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この県民百貨店、もともとは1973年10月に「岩田屋伊勢丹」として福岡と東京のメジャーな百貨店が合同で熊本進出したのが始まりです。その4年前に大規模バスターミナルの熊本交通センターが開業しており、岩田屋伊勢丹は隣接するターミナルデパートとして少し遅れてスタートしたわけですが・・・
九州地区は地元百貨店が県外・中央資本(提携・暖簾貸しも含む)の百貨店を凌駕する傾向があり、熊本もその例に漏れることなくどうしても鶴屋に売り上げの面で勝つことができませんでした(大洋デパートが1978年に閉店してからはその傾向にさらに拍車がかかります)。 1993年に伊勢丹が撤退して熊本岩田屋に改称、さらに岩田屋本体の経営状況が悪化した2002年にはついに熊本からの全面撤退を表明しました。この時点では熊本2大百貨店体制の灯を消してはならぬと地元企業有志が新会社「県民百貨店」を設立し、大阪の阪神百貨店の協力を得てその名も「くまもと阪神百貨店」として再生しましたが、2011年に阪神との協力関係が縮小したことで店名を会社名と同じ県民百貨店に改称しました。
しかし、この頃になると光の森や嘉島にはゆめタウンイオンといった郊外型の巨大モールがオープンしており、また、九州内他都市を見渡しても小倉伊勢丹、鹿児島三越、長崎大丸、久留米井筒屋、大分パルコなど中心部の大型店が軒並み閉店・撤退していっている中で、熊本の経済界や一般市民も県民百貨店の存続に対し以前ほどの情熱を失っていたようにも思えます。
 
今回、県民百貨店が閉店する理由として売り上げの減少という要因のほかに、交通センターの大家である九州産交HDとの意見の相違、それに起因する関係の悪化も大きなネックとなっていました。
2000年代後半、交通センターのある桜町地区の大規模再開発計画が立ち上がり、県民百貨店など既存の施設のすべてを取り壊し、新たにバスターミナル、商業施設、MICE施設(大型会議場)、マンションなどの複合施設を一から作り直すことになりました。
当然ながら県民百貨店としては再開発ビルに入居したかったわけですが、産交としては違った形態の商業施設(ショッピングモール的なもの?)をイメージしていたようであり、想定していた家賃額や売り場面積の点でも大きな隔たりがあったようです。いつまでも話が進まないことに苛立った県民百貨店側も産交に対して「再開発計画の先行き不透明が業績悪化の原因になった」として賃料を減額するよう求める訴訟を起こしたりもしました。(そういえば県民百貨店はトラックマーケットを長期間に渡って誘致・開催してきたのに、いざ東急ハンズが熊本に本格出店するとなると先行き不透明だった県民百貨店ではなくライバルの鶴屋に掻っ攫われたのはちょっとかわいそうな感じでした)
 
最終的には県民百貨店は現在地での営業を断念し(5月30日)、新たな場所にて再開することを発表しましたが、この時点で既に閉店を匂わせる言及も出るなど、ますます先行きが見通せない状況になっていました。素人目に考えてもすぐに県民百貨店を収容できるような大きな箱は熊本市中心部にはなさそうでしたし(空き地は新市街の駐車場などいくつかありましたが・・・)いったいどこに移転するつもりなんだろう?という印象を受けました。そして今回の営業継続自体の断念に至ってしまったわけです。
 
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よく言われていることですが、下通をはじめとする熊本のアーケード街が今でもそれなりに人通りがあるのは百貨店や主要駅・電停・バスターミナルといった中枢拠点間を結ぶ回廊としての役割があるからであり、交通センター地区の再開発工事が続く3年間で人の流れが変わらないか、鶴屋・パルコなどが集中する通町筋周辺だけで完結してしまうようにならないか心配するところです。県民百貨店の閉店は、決して当事者だけの問題ではないんですよね。街全体の人の流れにも影響するわけです。
ネット上では某関東系月賦型百貨店が熊本への進出をうかがっているという話もあるようですが(この百貨店の博多出店の際の会見で、北九州と熊本にも出店を検討しているという毎日新聞の記事が出ていたようです)、実際、桜町再開発エリアの商業施設は産交が適当にセレクトしたような中途半端なものではなく、こういうインパクトのある著名な店舗でもやって来ないと後々厳しくなるような気がします。最低でもMICEや時たま行われるイベント程度に期待するのは危険でしょう。毎日何かイベントや会議をやるわけでもないでしょうしね。
 
その県民百貨店の隣の熊本市産業文化会館(産文会館)も解体工事が進み、ほぼ姿を消しています。
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もともとはここも隣接地と合わせて花畑町再開発が計画されていました。産文会館の北側に隣接する駐車場を所有する雇用促進事業会(「あつまるくんの求人案内」の発行元)が発起人となって、商業機能や劇場、ホテルを有する複合施設を建てる予定でした。雇用促進事業会は自社所有の土地の南隣に位置する産文会館の区域も一緒に再開発しようと、持ち主の市に打診したまではよかったのですが・・・
市は再開発を見越してさっさと産文会館内のテナントを全撤退させ建物も閉鎖したものの、その後数年進展がないまま空きビルにした挙句、終いには桜町再開発のほうに事業を乗り換えるとして、産文跡地はイベントスペース(悪く言えばただの空き地)にすると決め、ビルの取り壊しにかかりました(1981年築だったのでまだそこまで老朽化してたわけでもなかったのですが・・・)。 雇用促進事業会はまだあきらめておらず、自社所有分の敷地に劇場を併設したビルを建てるといっていますが、現状こちらも全く具体的には動きだしてはおらず、いったいこの間の十年間当事者たちは何をやってきたのか、と言いたくなります。ちなみに花畑公園を挟んだ北側(以前ガストやNTTの近代建築ビルがあった場所)も花畑町再開発用地として整地され、こちらはNHK熊本放送局が移転することになりました。
 
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さて、3期就任していた熊本市長が今秋の市長選には再出馬はしないことになり、最近になって「桜町再開発も新市長の判断に委ねる」なんて記事が出ています。さすがに桜町は産交もからんでいることもあり計画が大幅変更になるとは思えませんが、新市長候補の中にはMICE事業を市民に問い直すとか見直しすると言及している人もいます。そもそも、いまだにこのような話が出てくること自体何をやってるんだと思いますよ。計画が進まない理由をリーマンショックに擦り付ける向きもありますけど、もはやそういう次元の話ではないような気がします。

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