20××年、夏。 私たちの祖父母が経験した震災に匹敵する大地震が、ここ日本を襲った。 大学にそのまま残り、そこで避難生活を続ける学生達。 恐怖と、ストレスと、身体的苦痛を抱え、無秩序と化した構内。 とにかくアルコール分があれば何でも口にし、さらにクスリにまで手を出して、脳をマヒさせることしか救いを見いだせない彼ら。 ・・そこに「リーダー」なる男が現れ、学生たちの生活を整備した。 主な登場人物は、私と私の男、そしてかのリーダー、そして受難の星の下に生まれた美少女マリの4人。 私と私の男、の関係はすっかり慣れ切った夫婦のようで、そこに恋愛感情はほぼない。 むしろ私が心を強く引き付けられるのは、カリスマ的存在であるリーダーだ。 けれどリーダーは、常に災難に遭い、孤独で美しいマリを選んで側においたのだ。 これは、カテゴリーとしては恋愛小説ではないのだが、人間関係があまり描かれていないため、ストーリーに膨らみがなかったように感じた。 ともあれ。 東日本大震災後、その経験や感じたことを盛り込んだ作品を発表した作家は多いが、ここまで判りやすくテーマとして扱った小説は珍しいだろう。 綿矢さんは意を決してこの小説の構想を練り、挑んだに違いない。 けれど。 わたしは被災者ではないが、途中までは大学での出来事が綴られているのみで、その描写の羅列に気分は暗く沈み、こんなに薄い本なのになかなか読み進められなかった。 そして思った。 負の遺産として残しておくべき。 悲惨な経験を語り継ぐべき。 という考えは、判る。 けれど・・小説家が小説として発表するには、そうとうのレベルの作品でないとね。 故山崎豊子先生ぐらいでないと、難しいんじゃないかなあ? ということで、厳しいですが、 【いちごみるくの判定】★★ 星2つ。 |
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