鬼の居ぬ間に、どくしょ。

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「紙の月」 角田 光代著 角川春樹事務所 2012年刊


梅澤梨花。

41歳、既婚、子供なし。

私鉄沿線に、マイホームあり。

まあまあのお嬢様学校を出て結婚後、銀行にパートタイム勤務。

プライドが高めの、ちょっとした美人。


この中で、自分とかぶる点が3つ以上ある人は、この作品を読んだら怖くなっちゃうと思います。


・・っていうか、どこにでもいそうな人ですよね。


犯罪者の周囲にインタビューをすると必ず聞かれる言葉。


「そんなタイプには見えなかった。」


「会えば挨拶もするし、真面目そうな人でしたよ。」

ってね。


この梨花も、人助け(といっても、人のカネに手をつける時点で大きな感違いですけどね)
のために、勤め先の銀行の、大口顧客の口座から、
少しだけすぐ返すつもりで拝借したことがきっかけで、どんどんおかしくなっていき、総額一億円の横領をはたらいてしまう。


ラストはタイに逃亡するのですが・・
カネが人をおかしくしてしまった、これに似た話、最近もありましたよね。


テレビで見た、あの人も、もとは普通の人・・だったのかなあ。


そんな、「人が犯罪者となる瞬間」を、実に見事に描いており、リアルに怖くなってしまった。

ただ、理性を持って読んでいると、主人公が若いオトコに入れ揚げて、ホテルのスイートルームに10連泊したあたりからは、もう、

あーーーーーーーあ。もうダメだわこのひと。


と、あきれ返ってしまうばかり。


そしてこの、転落の一途をたどる描写部分が長いため、こちらも闇だか光だかわからない空間を彷徨っているような感覚となり、あまり良い気分ではありませんでした。


真面目なひとが、なにかのきっかけで罪をおかし、戻れなくなってしまうという展開は、「八日目の蝉」にも通じていますが、


ラストシーンの衝撃性、逃亡中のスリル感、においては、「八日目の蝉」の方が勝っていると思いました。


それにしても、お金には気をつけよう。
あんまりないぐらいで、丁度いいわ。。


【いちごみるくの判定】★★★★ 星よっつです。


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