鬼の居ぬ間に、どくしょ。

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+読書日記+

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*ほん、読んでますか?*


毎日、ほんのわずかな時間でも、本を読むようにしています。
元気や微笑み、せつない気持などを私に分けてくれる作家さん達への感謝の気持ちを込めつつ・・思いのままに書いた書評です☆
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「紙の月」 角田 光代著 角川春樹事務所 2012年刊


梅澤梨花。

41歳、既婚、子供なし。

私鉄沿線に、マイホームあり。

まあまあのお嬢様学校を出て結婚後、銀行にパートタイム勤務。

プライドが高めの、ちょっとした美人。


この中で、自分とかぶる点が3つ以上ある人は、この作品を読んだら怖くなっちゃうと思います。


・・っていうか、どこにでもいそうな人ですよね。


犯罪者の周囲にインタビューをすると必ず聞かれる言葉。


「そんなタイプには見えなかった。」


「会えば挨拶もするし、真面目そうな人でしたよ。」

ってね。


この梨花も、人助け(といっても、人のカネに手をつける時点で大きな感違いですけどね)
のために、勤め先の銀行の、大口顧客の口座から、
少しだけすぐ返すつもりで拝借したことがきっかけで、どんどんおかしくなっていき、総額一億円の横領をはたらいてしまう。


ラストはタイに逃亡するのですが・・
カネが人をおかしくしてしまった、これに似た話、最近もありましたよね。


テレビで見た、あの人も、もとは普通の人・・だったのかなあ。


そんな、「人が犯罪者となる瞬間」を、実に見事に描いており、リアルに怖くなってしまった。

ただ、理性を持って読んでいると、主人公が若いオトコに入れ揚げて、ホテルのスイートルームに10連泊したあたりからは、もう、

あーーーーーーーあ。もうダメだわこのひと。


と、あきれ返ってしまうばかり。


そしてこの、転落の一途をたどる描写部分が長いため、こちらも闇だか光だかわからない空間を彷徨っているような感覚となり、あまり良い気分ではありませんでした。


真面目なひとが、なにかのきっかけで罪をおかし、戻れなくなってしまうという展開は、「八日目の蝉」にも通じていますが、


ラストシーンの衝撃性、逃亡中のスリル感、においては、「八日目の蝉」の方が勝っていると思いました。


それにしても、お金には気をつけよう。
あんまりないぐらいで、丁度いいわ。。


【いちごみるくの判定】★★★★ 星よっつです。

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「すべて真夜中の恋人たち」 川上 未映子著 ; 講談社 2011年刊



出逢いはエッセイでした。

そこに紡がれている文からにじみ出る未映子さんのキャラクターに惹かれ、小説も読むようになりました。


母子の関係を描いた「乳と卵」、中学でのいじめを描いた社会派小説「ヘヴン」、と読ませて頂き、今回は恋愛モノ!!と、美しい装丁とタイトルに、ワクワクしながらページを繰り始めました。



序盤は、本当に冴えないという形容詞以外見当たらない、独身女性の一人暮らし風景。

自宅でフリーの校正をやっている冬子は、趣味もなく、友達もなく、お洒落もせずただ淡々と日々を過ごしている。


彼女と真逆のタイプの、美人でバリバリ仕事も恋愛もする肉食女子、との対比のみが、彼女達の会話文を通じて連ねられる。


・・・のアクの強い独白に、萎え始め、ページをめくるスピードも落ちてきた頃。


三束さん、登場!!



50代・自称高校教師の、こちらも冴えないオジサンなのだけど、なんと冬子と徐々にお近づきに、という展開!


よかったじゃーん、冬子ちゃん♪


と思いながらも、ぬぬ、なんだかこれは、川上弘美さんの「センセイの鞄」をほうふつとさせる感じでは?と思ってしまったのは私だけではないでしょう。


設定が、被ってて。


そして、釈然としないラストで、またもや、消化不良な印象。

全体として、前に読んだ二作と比べると、正直、私の好みではありませんでした。。


真夜中っていう設定も、キラキラしたエピソードも、作中に出てこず残念だったし、
未映子さんには、もっと、エグい感じのお話が合うような気がして。



ただ、小説の中でワンカップのお酒を呑む冬子に、妙な親近感。

テンションを上げるために飲み始めた酒が、だんだん量が増えて行くのだけど、出かける時には水筒に酒入れるって、一体どんな地味女なのでしょう。

ちょっと笑えました。



【いちごみるくの判定】★★☆ 星、二つ半。


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「大地のゲーム」 綿谷 りさ著 ; 新潮社 2013年刊


20××年、夏。

私たちの祖父母が経験した震災に匹敵する大地震が、ここ日本を襲った。


大学にそのまま残り、そこで避難生活を続ける学生達。

恐怖と、ストレスと、身体的苦痛を抱え、無秩序と化した構内。

とにかくアルコール分があれば何でも口にし、さらにクスリにまで手を出して、脳をマヒさせることしか救いを見いだせない彼ら。


・・そこに「リーダー」なる男が現れ、学生たちの生活を整備した。


主な登場人物は、私の男、そしてかのリーダー、そして受難の星の下に生まれた美少女マリの4人。


私の男、の関係はすっかり慣れ切った夫婦のようで、そこに恋愛感情はほぼない。

むしろが心を強く引き付けられるのは、カリスマ的存在であるリーダーだ。


けれどリーダーは、常に災難に遭い、孤独で美しいマリを選んで側においたのだ。


これは、カテゴリーとしては恋愛小説ではないのだが、人間関係があまり描かれていないため、ストーリーに膨らみがなかったように感じた。


ともあれ。


東日本大震災後、その経験や感じたことを盛り込んだ作品を発表した作家は多いが、ここまで判りやすくテーマとして扱った小説は珍しいだろう。

綿矢さんは意を決してこの小説の構想を練り、挑んだに違いない。



けれど。


わたしは被災者ではないが、途中までは大学での出来事が綴られているのみで、その描写の羅列に気分は暗く沈み、こんなに薄い本なのになかなか読み進められなかった。

そして思った。


被災者の方々が読んだら、どんな気持ちになってしまうのだろう。
と。



負の遺産として残しておくべき。
悲惨な経験を語り継ぐべき。

という考えは、判る。


けれど・・小説家が小説として発表するには、そうとうのレベルの作品でないとね。


故山崎豊子先生ぐらいでないと、難しいんじゃないかなあ?


ということで、厳しいですが、

【いちごみるくの判定】★★ 星2つ。


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「愛の夢とか」 川上 未映子著 ; 講談社 2013年刊



第49回谷崎潤一郎賞受賞作品。

日常と非日常の、表裏一体を、川上さん独自の目線とセンスを持って描いた短編集です。


「アイスクリーム熱」

「愛の夢とか」

「いちご畑が永遠につづいてゆくのだから」

「日曜日はどこへ」

「三月の毛糸」

「お花畑自身」

「十三月怪談」

どれも・・リアルにありそうで、けど断然空想上のお話。

きっと、女性なら特に、このお話のうちどれかは、自身と重なるものがあってぐさっと心に突き刺さるんじゃないかな?


私がグっときちゃったのは、

「日曜日はどこへ」

これね、一番、なんということもないお話なんだよね。

けど、あまりにシンクロしちゃったんだよね(苦笑


日曜日になると植物園に行ってた彼と彼女。

自分が好きな作家の本を、勧めてくれた彼。

もしその作家が死んでしまったら、その週の日曜日に、あの植物園で待ち合わせしようって。。


そんなセンチメンタルなことをさ、約束したりしちゃうんだよねー、ハタチそこそこの若者ってね。


けど、ほんとにその作家が死んじゃった。 

どうする自分。行く? そして、彼は来る??



そしてもうひとつ、これはリアル怖いと思ったのは、

「お花畑自身」

ひとつ階段を踏み外したら、あっという間に転がり落ちる、こわーいお話です。

まあ、要は、小金持ちの専業主婦が、旦那さんの事業が失敗した事から、一気に状況が変化してしまうという・・。

細部まで凝りに凝って、自分好みに仕上げたマイホームを売らなくちゃいけないなんて!

そこをサラっと購入したのは、鼻もちのならない、若い独身の女。


あれは、私の家なの。
確かにお金と引き換えに他人のものになったけど、心は繋がっているの!
まるで、親子のように。

そう、毎日手をかけて育てた、自慢のお庭の花たちが、私を待っているのよ!!


そして、彼女は、お花畑そのものになった・・・・・・・



ひゃーっ、怖い。

私は専業主婦に対してどうこう意見するつもりは毛頭ありませんが、ものがたりの中の若い女は、かなりボロクソに言ってます。

まあ、対局の価値観、ですね。



色んな人がいて色んなことが起こる。

避けられることも、避けられないことも。


けど、一日一日から、何かひとつ、キラリと光るものを見つけながら日々を送れたら・・いいですよね。


【いちごみるくの判定】★★★ 星みっつ。


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『ひそやかな花園』 角田 光代著 ; 毎日新聞社 2010年刊



題名からして、なにか秘密めいた匂い。

それを抱きながら、ページを繰る。



【第一章 1985年〜1999年】


紀子樹里紗有美、それぞれの子供の視点で、恒例の避暑地でのサマーキャンプの様子が綴られる。

賢人雄一郎波留


親戚ではない、「ママ同士がお友達」という関係である7つの家族は、夏になると決まってこの地を訪れる。


川のきらめき、草いきれ。 そして、普段とは違い心底リラックスしている様子の大人たち。

どの子にとっても、みんなと過ごす夏の数日が、お正月よりもクリスマスよりも楽しみだった。


しかし、ある年、突然キャンプは中止となり、それ以降、その話題は各家族の中でタブーとなる。


子供達は、親の煮え切らない言動に疑問を抱きつつも、それぞれ成長し・・



【第二章 2008年】


子供達は大人になり、自分達の出自を探ることで繋がり始める。


第一章の、キラキラした別荘での思い出の中に、確かに紛れ込んでいた違和感。

それが、「秘密」に直結していると、皆薄々は気付いてはいたが、ようやくその解明に自分たちから動きだしたのだ。


とてもよく知っているような・・全く知らないような・・お互いの存在。

けれど、何らかのきっかけから個々人が接触し出し、謎解きが始まる。



【第三章 2009年】


親から直接聞いた者、また、その話を教えてもらった者。

とにかく自分たちの共通点は何だったのか、そしてあのキャンプはどのようにして始まり、何故唐突に終わったのか、全ては明らかになった。

しかし、どうしてももっと奥深いところまで知りたいという波留の希望から、物語は更なる追求へと向かう。


そしてラスト。


それぞれが、自分と向き合い、生きる意味そして覚悟を見出した、とても読後感の良い終わり方だった。



(ここからネタバレ)
もし、自分の生物学的な父親が、精子ドナー提供者だったら。


なんて、考えたこともありません。

このような深すぎるテーマに挑んだ角田さんの意気込みが、物語全体からオーラのようににじみ出ていました。


下手なことは書けない。

と同時に、ひとつのフィクションとして、完璧に面白く描きたい。


・・凄いですね。


善悪のとらえ方は様々だし、ある一つの出来ごとに対しても、前向きな人もいれば、被害妄想を抱いてしまう人もいる。


しかし、

生まれてきたこと、そして、今、生きていること

は、いずれも皆、共通している。


生まれたからには、自分という個性を背負って、とにもかくにも生きて行こう。


そんな、熱いメッセージを感じました。


【いちごみるくの判定】★★★★★ 星いつつです


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