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法律脳
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 国内優先制度について”



 発明をした場合、一刻も早く出願して先願権を取得しようと思うことは当然です。しかしながら、色々の考えが次から次へと出て来て出願に踏み切るために躊躇する場合が多い。このため折角のよい発明が他人により先に出願され、新規性を失う心配が生ずる恐れがあります。

 このため、発明者は少し不十分の状態でも出願手続をしてしまうことが必要です。そのため、出願をしてからその内容を少し手直ししようと言う状態が発生します。特許法としては補正制度があります。しかしながら、この補正は既出願の内容を越えるものは原則として認められません。即ち、先願権の追加は出来ないと言うことです。

 このため、この補正は既出願の要旨を変更しない内容に限定されます。例えば、表現が悪いためにその発明の内容が良くわからなくなることを防止するための補正や誤字や表現の誤りの補正や発明の詳細な説明に記載してある内容を特許請求の範囲に持ち上げる補正等は認められますが、既出願の内容以外の項目を追加する補正は認められません。

 しかしながら、実際上、どのようなものが要旨変更になるかがわからない場合も多く、折角補正をしても補正却下される場合が過去に多く存在していました。この補正却下が出願後の補正実施日よりもかなり後から来るため補正却下されるとどうにも救い道のないのが実状でした。

 昔の特許法では補正却下不服審判と言う制度がありましたが新法ではこの制度は削除されました。そこで、この補正に関するトラブルをなくすために制度化されたのが国内優先制度です。



 既出願の内容を補正したいが、要旨変更になる危険性がある場合にこの制度は有効なものです。



 この国内優先制度とは、既出願の出願日から1年以内に限定して既出願の替りに新出願をすることができると言うものです。



 新出願の場合にはその出願日が実際の出願日となりますが、この制度を用いた新出願の場合は、既出願の内容については出願日がもとの出願日となる点に特長を有するものです。勿論、新出願において追加された内容については新出願の出願日が実際の出願日となります。この新出願において追加可能の内容は要旨変更の内容でもよい点に特長を有します。但し、その内容としては特許法の第37条に規定されている範囲内のものに限定されることは当然です。この第37条とは2つ以上の発明に関するものであり、産業上の利用分野等の同一性や物の発明の場合にその物を生産する方法の発明とか機械器具に関する発明等であり、既出願の発明の内容に関連の深いものに限定されるものと理解すべきものと私は思っています。全く異なる発明を追加することは国内優先制度の制度目的から外れるものと思います。即ち、出願をした後に気がついた関連発明について要旨変更を心配しないで出願できるものと理解することが正しいように思います。



 そのため、国内優先制度による新出願としては既出願の必要内容を全部記載すると共にこの既出願の内容に関連する関連発明のすべてを記載することが必要となります。



 即ち、新出願されますと既出願は既出願の出願日から1年3ヵ月を経過した後には取り下げたものとして取扱いされます。よって新出願には既出願の必要内容のすべてを記載しておく必要があります。



 この新出願は既出願と異なる新出願のため仮りに既出願について出願審査請求をしていたとしても改めて出願審査請求をする必要があり、当然ながら出願料も改めて支払う必要があります。但し、出願審査請求の期限や出願公開の期限等は新出願の出願日を基にして決定されます。



 以上のように国内優先制度は従来の補正による要旨変更のトラブルを解消する効果を有するものですが、新出願のため改めて色々の手数料がかかることを十分に認識することが必要です。



 一方、私の主張するウルトラCの出願(実用新案登録出願と技術評価書と伴う特許出願)の場合には、この国内優先制度の利用により、特許出願の権利化の可能性が高まる可能性が高く、有効に利用すべき制度であると思います。但し、既出願から1年以内であることを十分に理解して頂きたく思います。・・・念のために!!

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