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長く、力強い咆哮を響かせ、 荒々しい白い吐息を撒きながら 鋼の馬が歩み出した。 急客機の証である1,750ミリの動輪と、 後退角のついたキャブが視界に入る。 キャブが真横に来ると、 鋼の馬を操る士の姿が浮かび上がった。 身を乗り出して前方を見据えながら、 右手で加減弁を握りしめる影。 そりゃあ、お前にだって走らせる事ぁ出来るよ。 「走らせる」事はな。 でもな、指先まで集中して釜の具合を感じてやらないと、 「操る」事ぁ出来ない。 それは弟子(助手)の頃から体で覚えた経験が無いと 出来ないんだよ。 釜を操ってこそ機関士、蒸機乗りなんだ。 もはや現世では会いまみえる事のない、
誇り高き士の言葉と面影が脳裏によぎった。 2015.4.25 新山口駅 |
ケムリもん
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埴生での撮影を終え、 115系のサウンドを楽しみながら新山口駅へ向かいました。 (どうも小郡駅と呼んだ方がしっくり来るンだけどなぁ) 小郡、いえ、新山口駅に着くと向こうのホームに人だかりが。 SLやまぐち号でした。 1979年から36年にわたって走り続けるだけに「復活蒸機」、 というより普通の汽車になっていました。 C57も金縁とランボードに白線こそ引かれているものの、 車体には程よく煤の汚れも付いており、 そんなところも魅力的です。 そして何より魅力的なのが 躍動感のあるナベヅルとバランスの良い字体を、 センスの良い配色でまとめた冠。 これこそ、ヘッドマーク。 最近流行りの
自己満足や公募デザインのマークに食傷気味ゆえ、 その美しさにしばし見入ってしまいました。 |
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扇形庫の中に居た寡黙な巨体。 逞しい息遣いと咆哮を轟かせた日々よりも、 静かに眠る日々のほうが、 今となっては長い。 見上げる人々に気付くことなく、 時おり聞こえる弟の声に目を覚ますことなく、 眠り続けている。 幹線を疾駆した一炊の夢の如き日々を、
懐かしんでいるかのように。 2015.1.29 梅小路蒸気機関車館 |
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静かな息遣いを響かせる黒鋼の馬。 その胴体の下では生命の火が静かに燃えていました。
2015.1.29 梅小路蒸気機関車館 |
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京都から帰途に就いた新幹線の車中で、 懇意にして頂いている方からメールを頂きました。 飲み終わる寸前となった「お疲れ燃料」を置いて、 画面を開くと… 乗ってきた急行列車が駅に停まり、 それまで牽いていた赤い機関車が切り離され、 石炭を山の如く積んだ二つの鉄塊が近づき、 客車に連結。 その方は先頭の機関車を撮るや、 2両の機関車と2両の郵便荷物車の傍らを走り抜け、 客車に飛び乗る。 という胸躍る様子がありありと描写されていました。 更に添付していただいた画像には、 花形特急牽引機の勲を除煙板に飾る高名な機の姿と、 隣に佇む除煙板を切り詰めた独特なスタイルのD51の姿…。 文章の美しさと画像の迫力に圧倒されました。 自分なら見惚れてしまい乗り遅れるだろうな、と思うと同時に、 なんという罪なメールを…と切なくなってしまい 「お疲れ燃料」をどんどん追加。 降りる頃には火室が危険な状態になる寸前でした。
2015.1.29 梅小路蒸気機関車館 |




