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次の日、学校で見かけた藤崎さんはなぜか元気がなかった。
「藤崎さん。」
「あ・・・中島くん。」
「どうしたの?なんかあった?」
「・・・ううん。今日から新メンバー来るんだよね。がんばらなきゃ。」
どうみても無理に作った笑顔だった。一体彼女になにがあったんだろう?
部活が始まってからの彼女はいつも通りだった。他のメンバーは彼女の異変には気づいていない。いつも通り駅で彼女と別れた後、家に向かうと突然肩をたたかれた。振り向くと
あの男がいた。
「進藤・・・くん。」
「ちょっと付き合えよ。」
そう言って、俺を強引にラーメン屋に連れ込み、勝手にラーメンを二つ注文した。
「ここのラーメンうまいんだぜ。」
「・・・。」
「俺が奢るからさ!」
俺は少しむっとした。そっちが勝手に注文したんだから当たり前だ。
でも、確かにラーメンはうまかった。ちょうど腹も減ってたし。
それにしても、こいつはなんで俺をこんなところに・・・?
いや。話はラーメンを食べ終わってからでいいだろう。
「俺になんか用ですか?」
「・・・まあ・・・。」
進藤がちょっと困ったような顔をした。
「俺もそんなにヒマじゃないんで、用があったらさっさと言ってください。」
「・・・あかりのことなんだけど。」
あかり・・・か・・・。その呼び方に胸がざわついた。
「藤崎さんがどうかしましたか?」
「俺のことなんか言ってた?」
「いいえ。なにも。」
「そっかー。」
「なにかあったんですか?」
「俺、昨日あいつにひどいこと言っちゃって。」
「そういえば・・・今日、元気なかったですよ。藤崎さん。」
「俺のせいかな?」
「・・・たぶん・・・。」
「やっぱりな・・・。」
進藤が頭を抱え込んだ。碁を打つときの自信に満ちた彼とは別人のようだ。
「ひどいことって、なにを言ったんですか?」
進藤が肩を落としたまま、話し始めた。
「俺・・・うらやましかったんだ。」
「え?」
「おまえ、院生って知ってる?」
「院生?日本棋院の?」
「ああ。俺、中学んとき囲碁部をやめて院生になったんだ。」
「・・・。」
「囲碁部のみんなを裏切るみたいになって、でも、ときどき戻りたくなった。でも、あいつに・・・あかりにもう来ないでって言われて、すごく落ち込んだ。ほんとうは、やめたくなかったんだ。囲碁部。」
「・・・。」
「おまえら楽しそうで・・・すげえうらやましかった。だから、つい・・・。」
「なんて言ったんですか?」
「囲碁部なんか作ってもしかたねえって。そしたらあいつすげえ怒って。」
「当たり前です!」
「・・・。」
「藤崎さんが誰のために囲碁続けてると思ってるんですか?」
「・・・さあ・・・。」
「あんただよ!彼女はずっとあんたのこと想ってんだよ。気づいてやれよ!」
「あかりが?俺のこと?」
「あんただって好きなんだろ?彼女のこと。」
「・・・。」
「俺、帰る。ごちそうさま!」
「待てよ!」
店を出ようとした俺に進藤が声をかけた。
「ありがとう!」
「え?」
「おかげで大事なことに気づいた、俺。」
そう言って、進藤は屈託のない顔で笑った。
それを見て俺はなんだか可愛いと思ってしまった。
負けだ・・・完全に俺の負け。だって、俺、こいつのこと嫌いになれない。
その週末、なにがあったのか俺は知らない。ただ、月曜日に会った藤崎さんはいつもの笑顔が戻っていた。それだけじゃない。彼女は日に日にきれいになっていく。そんな彼女に夢中になってる囲碁部の男共に俺は少しだけ胸が痛んだ。
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ヒカルってやっぱり鈍感?
2010/10/18(月) 午前 6:56 [ ぬくぬく ]
そうですね。原作ではそこまでわからないけど、そんな風に想像してしまいます。
2010/10/18(月) 午前 10:12
面白いです。
あの後を書いてくださるともっとおもろいと思いますよ!
頑張ってください!!
2013/2/26(火) 午前 4:01 [ bas*et*28lo**126* ]
この続きが読みたい❗
2017/9/10(日) 午前 11:30 [ エッダ ]