南青山パテントブログ

南青山国際特許事務所のブログです。

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 今年の法改正によって、特許や商標の分野で特許庁に納付する特許印紙代が安くなりました。特に商標分野では、出願時、登録時、10年毎の更新時の印紙代が平均で43%も下がりました。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/kaisei/kaisei2/tokkyohoutou_kaiei_200201.htm
 表向きの理由は、諸外国に比して高額、中小企業の負担軽減などですが、結局は、今まで沢山取り過ぎてお金が余っていた、というのが正直な所でしょう。

 以前、企業に勤務していた時に、何かの報告のついでに特許庁の予想収入を試算したことがあります。まだ、審査請求費用が増額される前でした。特実意商の出願件数×各出願料、特許出願件数×審査請求率×(審査請求基本料+(平均請求項数×加算額))、特実意商の出願件数(審査請求件数)×登録率×各登録料、のような手続毎の計算式に、統計データとして公表されている数字や、適当な予測値(名義変更件数や包袋閲覧件数など)を乱暴に当て嵌めて試算した所、800億円前後だったと記憶しています。
 これだけで高い(取り過ぎ)か安いかは一概に判断できませんが、その後の審査請求料の増額改正(改悪)と、ここ数年の審査請求件数の増加と、今回の料金改訂とから考えると、私の試算した800億円というのが適正値に近く、ここ数年はそれを上回る収入が続いていた、という仮説が成り立ちます。本当は、審査請求料を元に戻して「適正値」に落ち着かせるのが筋だと思いますが、出願人サイドの強硬な反対を押し切って値上げしてから10年も経ってないのでまだ無理だったのでしょう。その次に高いのが特許料や商標分野ですから、「中小企業」などの後付けの理由で辻褄を合わせた感が強いです。
 日本の特許庁は、数少ない特別会計による独立採算の官庁ですので、特許庁の職員の人件費や、電子出願システム、電子図書館(IPDL)システムの維持費、各種の研修費用などの経費を差し引いた余剰金は、全て国に上納しているのだと思います。当時、収入と共にこの経費等も試算(私算)してみたんですが、150億円(20%)前後という結論でした。売上げ800億円、経常利益率20%というと、東証一部の優良企業に匹敵します。
 財務省(当時は大蔵省)にとっては、一般財源は減るとしても、予算を割り振る必要がなく、大企業並の税金を毎年確実に収めてくれる、ほぼ唯一の優良官庁であると言えるでしょう。民間企業であれば、利益額に税率(40%?)を乗じた法人税を収めるのに対して、特許庁は(多分)利益の全額を収めてくれるんですから、納税額で言えば、経常利益400億円(経常利益率50%!)の「超」優良企業に格上げです。
 その特許庁が、今回、料金を下げました。財務省の強い抵抗があったことでしょう。特許庁内でも、経産省出身者辺りから反対意見があったのではないでしょうか。
 「誰も困ってないだろう」「企業は必要経費として毎年予算を確保してるはずだから、下げる必要がどこにある!?」「税収の伸びが期待できないこの時期になぜ?」「下げてもさほど喜ばれないだろう!」
 こんな意見が霞ヶ関や虎ノ門の会議室で声高に叫ばれたことと思います。数々の苦難を乗り越えて法改正を実現させた関係者の皆さん、お疲れさまでした。ユーザー側は大変喜んでおりますよ。
 ただ、商標分野、特に登録料と更新料は元々取り過ぎ感が強かったから(登録で1区分で6.6万、更新で15.1万!)、今回の改正後の金額が適正値だと思いますよ。その意味で、今回の法改正は、消費者金融がかつての法外な金利を法定金利に下げた(下げさせられた)のと同じだと思います。くれぐれも、「下げてやった」と胸を張らないで下さい。
 それよりも、商標の印紙代を下げる前に、やはり特許の審査請求料を下げてくれと言いたい。負担する出願人はもとより、一時的に立て替える代理人もとても困っています。せめて、予納口座からの引き落としを審査請求日から2か月後にしてくれませんか?
 3、4日後の引き落としは早過ぎですよ。それこそ誰も喜びません。(Y)

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