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「人魚―死せる花嫁―」〜鬼の居ぬ間に〜


  ◎2018年 2月21日19:30花まる学習会王子小劇場(70分)

  作・演出:望月 清一郎

  以前、「地獄編−賽の河原−」を拝見してまた観たいとは思っていたのですが

  なかなかフライヤー見つけた時には予約が重複していたりして、

  もう4年も経ってしまいました・・・


  座敷童は正直観ようと思えば見れたのですが、古民家での座り観劇は辛い

  体が硬いので、観劇に集中できないという障壁があって、行きませんでした。

  今回は王子演劇祭で19:30公演なら仕事終わりでギリ行ける!

  前日予約して、観劇してまいりました。

  王子は久しぶり、仕事後だったから開演10分後に到着した所、結構並んでた

  常連さんが多いのか?受付してうる人は顔見知りがおおい感じでした。

  劇場に入ると、壁は剥がれ落ちそうなビニール製の海のような模様

  木製の台組の中央には、人魚のようなズングリした感じの像が鎮座。

  薄暗い崖と、廃れた寺を中心に、暗闇が崩壊していく物語。


ネタバレしますので、未見の方は注意!(見に行けない方はどうぞ)



 STORY

  大正十二年二月

  大時化(しけ)の海に浮かぶ閉ざされた島。

  漁に出られなければ餓えてしまう、共同体には生贄の風習が残っていた。

  女性を人魚として海へ捧げる事で時化が静まるという

  今回も一人の娘が、捧げものとして海へ連れていかれる・・・・

  彼女の恋人らしい男は、人魚の肉を取り出し2人で食べる事に

  きっと帰って来る、鈴を手にした女は気丈に振る舞う

  彼女は肺病(結核)を患っているから、余命は望めない身体

  最後に一つ頼みがある・・・

  しかし、村人から声がかかり、言葉を飲み込んで、海へ歩き始める

  同じ頃、意味も無い風習を辞めさせようと、村の僧侶が2人を逃がそうと向かうが

  島の長にはばまれて、成す術も無く儀式が行われてしまう。

  お祈り・・・人魚となった女性の49日の法要から、古い因習の瓦解が始まる。



 <登場人物>
  ・トキ:森下由美子さん・・・罪人の子として非人扱いされてた娘、人魚として捧げられた。
  ・弥三郎:伊藤俊輔さん・・・トキと相思相愛だった、弱くて優しい漁民。

  ・凪(ナギ):杉村こずえさん・・・弥三郎の姉、暴力的な夫のシゲから弥三郎を庇う
  ・重(シゲ):島田雅之さん・・・漁民のリーダー的存在、まぁパワハラな先輩です。

  ・連太郎:北川義彦さん・・・若い漁民で弥三郎の友人、
  ・郁(イク):赤猫座ちこさん・・・連太郎の妹、弥三郎へ輿入れを申し出る。

  ・光造:山川恭平さん・・・漁民であり、仏師だが、人魚供養の人魚像制作を任される。
  ・よ志:三浦久枝さん・・・光造の妻、10年ほど前に妹を人魚にされた過去がある。

  ・亀吉:林 竜三さん・・・漁民の長、トキを人魚に決めたが、娘を守る為に決めた。
  ・カオル:吉田多希さん・・・亀吉の娘、肺病の上に知能障害気味で本来なら人魚でしょ

  ・嗔海:鈴木利典さん・・・村の和尚、トキを逃がそうとして、村八分として無視される。
  ・早念:広野健至さん・・・嗔海の弟子で、亀吉やシゲの言う事に従う

                           ・

  人魚(トキ)を捧げたおかげか?

  海はなぎ、島民による漁が始まるが、弥三郎は海を見つめてトキの帰りを待つ日々

  共同作業で成り立つ島では、仕事しない弥三郎は問題視され、

  姉がこっそり食事をさせていたが、姉も弥三郎もシゲに殴られ、痣を作る毎日へ・・・

  見かねた人々がイクを弥三郎に嫁がせる事にしたが、弥三郎はなかなか変わらない

  弥三郎がまた海を見ていると、鈴の音が聞こえて来るのだった。

  急に、漁にも出始めて正気に戻ったような弥三郎だが、

  海から打ちあがるハズの無い、片足を失ったトキの死体を見つけた弥三郎は

  トキの家に死体を隠し、毎晩トキの元へ通っていたのだった。

  しかし、虫や乾燥で朽ちて行くトキの身体・・・400年一緒に居られる体にしてと言うトキ

  お寺から人魚伝説の文献を盗み、人魚の剥製を作る事を始める弥三郎

  仏師の家から人魚像の材料だったヒノキを盗み骨を繋ぐ骨格を作り、

  お寺からロウソクを盗んで、皮膚をコーティングすると綺麗になっていくトキ

  最後に綿と心臓へ人魚の肉を捧げれば完成する・・・

  そして、彼女が別れ際に言いたかった言葉、祝言を上げようと考える弥三郎。

                          ・

  一方、トキが打ちあがってから直ぐ、また時化が始まってしまう。

  人魚が打ちあがると、不吉な事が起こると言うが、死体が上がった様子は無い

  シゲは娘の看病で疲れている亀吉に娘をまた人魚にするしかないと持ち掛ける

  娘可愛さに寺へ娘を逃がしてもらおうとやってくる亀吉とカオル

  そこへトキの片足が打ちあがったと島民たちが集まり、

  居合わせた亀吉達と遭遇、トキがカオルの身代わりだった事を知る人々

  ここぞとばかりに島民へ人魚を捧げる事はタダの人殺しだと説く和尚

  トキを捧げてからみんな変わってしまったと嘆き、迷信を終わりにしようとする

  早念の言葉から最近の盗難事件は人魚を保存して奉る文献の中身だと判明

                          ・

  少し前、毎晩どこかへ出かける弥三郎がトキの家に言ってるのでは?

  そう不安がるイクの替わりにトキの家へ出かけたナギ

  強烈な腐臭の中でトキの亡骸を発見したナギ、

  現れた弥三郎から、トキと祝言を上げたいと、姉の花嫁衣裳を借りたいと言う

  寺へ逃げて全てを伝えるナギ

  自宅へ戻って姉の花嫁衣裳を持ってくる弥三郎だが、島民達に捕まってしまう

                          ・

  トキの死体をもう一度海へ返し

  それでもダメならカオルを人魚にすうと言うシゲ

  反対し、結婚してる女性達だれでもいいからと人魚に成れと言う亀吉

  亀吉に長失格を言い渡し、自分が長になると指示をするシゲだったが

  無視されても構わないと次々い逆らい、寺を出て行く島民達、人魚(殺人)も拒否する

  シゲと連太郎で死体を投げようとするが、自分でやるからと懇願する弥三郎

  弥三郎がボロボロになりながら2人きりにして欲しいと頼み込み

  寺で2人きりになった弥三郎は、祝言を上げるが如く彼女を抱きしめ 

  一緒に海へ入って人魚になろうと、添い遂げる誓いを交わすのでした。

                          ・

  強風の音が鳴る中、弥三郎の法要を和尚一人が執り行う姿。暗転



  あらすじしか書いてませんが、コミュニティでの麻痺した倫理観も見所ですね

  ちょっと古い日本では、実際にあってもおかしくない雰囲気がリアルにあります。

  当日パンフにあるカール・フォン・コーゼルと妻に捧ぐとありまして

  検索すると、愛する人が亡くなり、墓から掘り起こして数年愛した実在の方なんですね

  純愛と言えば純愛、だからこの物語も最初からトキが死んでしまうケド

  死体との逢瀬が見つかった時は、少々悲しくなりました。

                        ・

  下世話な事を言うと、死蝋化って、湿度・冷気・バクテリアが居ない条件の下で

  まぁ、南米の山とか北海道・東北の痩せた土壌のお墓・寒冷地の川の中で出来る

  脂肪が蝋化する事なんで、海水ではかなり難しい(100無いに近い)奇蹟です。
                        ・

  下らない指摘はおいといて

  ナイスストカーやピーチボーイズでしか見た事なかった杉村さん、恭平さんの

  シリアスな演技が新鮮でした、奈落の中で見苦しい人間の姿を演じる人々

  少しアレアレって感じの演技・シーンもありましたが、灰色の海そのままでした。

  亀吉やシゲ、パワハラと異常行動(殺人・贄)が狭いコミュニティの中で日常化され

  だれも否定しない世界観は、自分の職場ともオーバーラップしてしまって

  当日、職場で悲しい出来事があったばかりだったから、酷いタイミングで観劇して

  もう、電通とかあんな感じでしょう?と現代の事に気持ちが時々行ってしまいました。

  廃仏毀釈もとっくに終わってる事も、周囲と比べて変わろうとしない閉鎖感情

  日本人の悪い一面が強固に感じられて、辛い・・・

                         ・

  異常だけど、弥三郎の待ち続ける事、死体でも愛し続ける事はあの中では

  唯一の正義(メーター振り切ってるけど)というか否定出来ない一途な思いでした。

  トキが現れて語りかける場面は、死体さえなければ、何でもない良い場面なのにね

  そんな中、イクが一番可哀想だった。

  和尚は地元出身なのかな?他所から来たような感じでもあるけど、

  当然、異常な風習でありますが、強く抗うには何か理由があるのだろう

  そうそう、最後に弥三郎とトキの祝言があったとして、一緒に海へと誓ったから

  その後の事は、観客の心に委ねて欲しかった部分はあります。

  和尚の言葉で結末を語る必要は無いと思う、

  ただ、和尚の言葉の背後にはまだ時化の嵐の音が鳴り響いているので

  このまま、島は飢餓が先か、女性が全員人魚になって、自滅するか

  いずれにしても、滅びゆくのであろう、嫌な余韻は与えてくれたシーンではあります。

  でも、弥三郎も人魚になって時化を終わらせて二度と悲劇が来ない結末を

  想像したかった人も居ると思うんだよね〜、好みの問題かな?

                          ・

  ともあれ、数年ごして待望の「鬼の居ぬ間に」さんが観れたので満足でした。

  台本とDVDは平日なので見る余裕なかったけれど

  評判の良い名作を確認してみたいです。

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