以下、各句の感想を述べます。
1, 跳ねるよな小川のせせらぎ山笑う;(良選句)小川のせせらぎの音、
草木が芽吹き、春を待ちわびていた喜びの気持ちが出ています。
2, 滔々と流るる大河山笑ふ;大河はとうとうと流れ、山々が春の色に。
3, 墨彩の滲む如くに山笑う;水墨画の墨が滲むように淡く山々が春めいてきます。
4, 遙か見ゆ白き峰背に山笑う;遠方の雪山はまだ白いが、近くの山々が芽吹いていく様子が表現されています。
5, 屑かごにティッシュの溜まり山笑ふ;屑篭のテイッシュも山のように溜まっていますが、寒い冬も終わりすっきりすることでしょう。
6, 山笑う八百長相撲の味好み;八百長相撲は辞書にもあるほど。山が笑ってます。春です。
7, 墓参りうすむらさきに山笑う;お彼岸の墓参りも近い。山々も淡いむらさき色に変化していきます。
8, 山笑うばあちゃん縁で欠伸して;(特選句)山笑う季節、縁側で日向ぼっこするおばあちゃん、いい陽気で欠伸も出ます。ユーモア句。
9, 里山や祖先の知恵で山笑う;先祖に守られて来た里山に春の訪れです。
10, 春立ちぬ白き景色やここかしこ;春らしい景色に目が奪われます。
11, 時来れば皆待ちわびる桜花;時期が来ると桜はいつかと待ちわびる。
12, 盛り上がるもぐらの塚の春めける;(良選句)もぐらの動き出す春がやって来ました。視点のもぐらがいい。
13, もこもこり此れこそ正に山笑う;地面から草木が目を出す季節、いよいよ春です。
14, あちこちで噂をすれば春来たる;あちこちから春の噂が聞こえて来ると本当の春がやって来ます。
15.山笑う八百長(相撲)責むる野暮な声;八百長相撲にいろいろな批判の声が聞こえて来ます。大阪場所中止とは残念。
16, 「三猿」や政治不信の春荒れる;(良選句)見ざる。言わざる。聞かざる。春は荒れ模様、迷走する政界にはうんざりです。
17, 下萌えや枯れ草分くる風ひかり;枯れ草をかき分けて草花が芽吹き、春風もひかり輝きます。
18, スギ山に落葉樹植え花粉減る;花粉症の敵、杉の木も植え替えられると安心感もあります。
19, まずひとつ肩の荷降ろす巣立ちの日;小鳥の巣立ち同様に我が子の巣立ちに一安心です。
20, 蓮池に魚戻りて春の水;魚にも春の訪れです。
21, 観音の優しき品や春兆す;観音様の品のある姿でしょうか、優しい春の光を浴びています。
22, 蝋梅や咲く花々に先駆けて;春の花では蝋梅は一番早く咲きます。蝋梅を愛でた一句。
23, 腰振つて履くジーパンや春きざす;(良選句)冬の間にすこし太りましたか、ジーパンを履くのに苦労しています。面白い句。
24, 山笑う八百長国家に無関心;八百長は国家も危うし、ですね。
25, 赤ちょうちん口角泡に春の雪;赤ちょうちん、話が弾みます。
26, 春浅しコートの襟を掴みしめ;春先はまだ寒く襟を掴んで外出。
27, 駆ける犬綱引く人も息白し;愛犬も主人も寒い中を散歩です。
28, 眩しさに雪の花の別の白;雪の白さは光り輝いて特別の白さです。
29, 水郷の輝く水面水温む;水温む春、水郷の水面が輝いてます。
30, せせらぎの春の光を掬い上げ;(良選句)せせらぎの音、春の訪れ、光る水を掬い上げる。春の讃歌。
31, 冴え返り梅の新芽も身を丸め;寒の戻り、梅もすぐには開かない。冴え返りと新芽は季重なり。
32, 日常といふ苦と楽や葱刻む;日常には苦楽あり、しみじみと葱を刻みます。葱は冬の季語。
33, 山笑う「福」だけ来いと豆を撒く;節分、立春と、鬼よりも福がいいですね。山笑うと豆撒くは来重なりです。
34, 師想う甘く酸っぱい夏ミカン;甘くて酸っぱい感じの恩師を思う。夏ミカンのような味でした。
35, 春浅しぽつりと貝のひとり言;春浅い、貝はアサリか、貝は何と言ったのでしょう。
36, 節分や鬼と仲良く甘納豆;鬼はどなたか、でも甘納豆なら仲良く出来ます。
37, 待ちわびるふる里からの梅便り;ふる里から梅の便りも近い。
38, 頬白に惹かれ惹かれて山路ゆく;頬白の声に誘われながら山道を登っていくと、自然の中に惹きこまれます。
39, 冬空へ轟音残しジェット消え;晴れ上がった冬空、ジェット機の音が轟きます。
40, ほたるいかふと新婚の頃の妻;蛍烏賊は新婚のころが懐かしい。
41, 恵法巻食らいつく吾に山笑う;恵法巻を食べ吉方を祈ります。
42, 菜の花を摘んで供える母の墓;菜の花の季節、母は菜の花が好きだったのでしょう。
43, まつりごと嘘も方便春疾風;(良選句)春はやての時節、政治も方便でやられてはたまりません。
44, 義理チョコは季語か否かを迷う我;義理チョコの一句、でも季語にありません。バレンタインデーが季語ですね。
以上