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第19回 みなつき句会 講評 康祐
梅雨の季節、若葉もゆる季節、兼題句には若葉に思いを込めた良い句がありました。その中から「朝まだき光を返す若葉かな」を特選としました。 東日本大震災では、世界中から心温まる義援金やエールが送られています。ヨーロッパ連合(EU)のファンロイパイ大統領は東日本大震災に思いを寄せた俳句を作りました。 「嵐去り後に残るは優しき心」という句です。 俳句を趣味とする大統領はベルギー出身でオランダ語の俳句集「HAIKU」を出版したそうです。 みなつき句会も数年経過した時点で「みなつき会俳句集」の出版を夢見るこの頃です。 各句の感想を記します。 1 天城越え若葉燃え立つ九十九折れ 伊豆で生活していた頃、天城路を何度か散策した思い出の句。丁度新葉の季節の情景句です。 2 朝まだき光を返す若葉かな 朝早く夜明けの光が若葉に反射してその緑が眩しい。明け方の景、朝まだきが良い。 3 額紫陽花雨にきらめき小宇宙 額紫陽花の紫がひときわ美しい。小宇宙を思わせる感動句。 4 迫(せこ)道を回り道する若葉風 迫道とはどんな道でしょう。若葉風が回り道するという表現にひかれます。 5 泣きじゃくる童の視線春の海 童の視線が春の海に、何を不満に泣きじゃくるのでしょう。 6 青嵐稲穂に銀の波立てて 稲穂を波立たせる青嵐、情景が目に浮かびます 7 漁魂睦月の港大漁旗 正月の漁場の景が良く出ている。勇ましい句。 8 父母の墓寄り添う十全白き花 十全の意味は、万全か。白い花が父母を慕う気持ちを伝えてくれます。 9 白南風(しらはえ)や一本松の背な伸ばし 東日本大震災の漁村では何万本もの防風林の松が津波に流されたが一本だけ生き残った。 10 竹若葉雨に煙りて雲の中 竹の若葉、雨に煙る情景が目に浮かびます。 11 陸の船何を想うや梅雨に入る 大津波で陸に上がった船、痛々しい。梅雨に入りその想いが尚更です。 12 キラキラと若葉輝く雨上がり 雨上がりの若葉はきらめいて格段と美しい。 13 塩卵食べていよいよ立夏かな 中国では立夏に塩卵を食べる風習がある。暑い夏に備えて塩分を摂ります。 14 放射能どこまで来たか初鰹 目に見えない放射能、恐怖です。気仙沼にはカツオの北上が遅れているようですね。 15 花菖蒲先手むらさき後手は白 先に紫が咲き、遅れて白い花を咲かせるとは面白い観察句。 16 梅雨晴れや亀首伸ばし空見上ぐ 亀の様子をうまく表現しています。空見上ぐ、は空仰ぐでも良いかもしれません。 17 アジサイや色鮮やかに雨に咲く 雨に似合うアジサイ、色鮮やかです。見たままの情景句。 18 国会の辞めろコールに民の沈黙 大震災の復興をないがしろにするような国会。日本国民はもっと怒ってしかるべきです。 19 黒南風や昼の糶場(せり場)の濡れしまま 空はどんより曇り空、せり場もしめりがちです。 20 芍薬の乱れて散りぬ梅雨の入り 散り乱れる芍薬、入梅です。芍薬と梅雨は季語二つ。 21 節電に礼を失してクールビズ 礼を失してとは、礼を尽くしてクールビズでは。 22 白玉のタンポポの羽毛風を待つ タンポポの綿毛、風が吹けば飛び立ちそうです。 23 真っ直ぐな男滝や女滝やや傾ぎ 男滝、女滝がやや傾くとは、どんな景、風にあおられてか。 24 夏立つや雲の切れ間の流れ星 夏の夜空、雲の切れ間に流れ星を見た。 25 音大の調べ吸い込む若葉かな 音大から流れる曲、若葉に吸い込まれるようです。 26 若楓明け六つ鳴らす修行僧 明け六つの鐘の鳴る情景が見えるようです。 27 復興の願いを込めて夏祭り 復興を元気ずけるイベントは夏祭りがいいですね。 28 翡翠(かわせみ)の青き弾丸渓をゆく 翡翠が弾丸の如く飛ぶ姿が目に浮かびます。渓をゆく、は渓を飛ぶでもいいのでは。 29 夕暮れに寄り添う枇杷の色やさし 琵琶の黄色く実った様子が愛らしい。 30 若葉雨やさしきものの一つにて 若葉雨にはやさしさ、うるおいがあります。 31 睡蓮やモネの絵画を重ねみる 池の睡蓮を見ていると、その色合いがモネの絵に似ていました。 32 主のなき更地に賑やか名無し草 名もない草花が賑やかに伸び放題の更地です。名無し草は季語に置き換えたい。 33 節電や猛暑が気になる葉月かな 8月の猛暑に節電とは、大変です。6月24日、熊谷では39.8度を記録、6月では過去最高とか。 34 植え終えし田にお社の森映し 田植えの済んだ田んぼに森の青が映えて美しいです。 35 滴りの一滴づつにある力 滴り一滴にも石をも穿つ力があります。 36 長江を下りゆく船夏の雲 揚子江は大河、引っ切りなしに船が下る、ゆったりと。 37 若葉もゆ桜堤の影伝う 若葉茂る桜堤もいい。影伝う、の表現はどのような情況ですか。 38 巣に戻す雛のやわさや愛鳥日 愛鳥の日にふさわしい優しさがいいです。 39 若葉風いざなう先に郷の景 若葉風の先に郷の景が、なつかしい景。 40 筍飯おこげ欲しやと子供達 おこげをほしがる子供の情景が微笑ましい。 41 雑草が芝生と競う梅雨の入り 梅雨の季節は芝生に雑草がはびこり、除草が大変です。 以上
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第19回句会
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= 【第19回みなつき句会】作者別一覧 = 平成23年6月27日 1,康 祐 ☆兼題 天城越え若葉燃え立つ九十九折れ ☆雑詠 睡蓮やモネの絵画を重ねみる 夏立つや雲の切れ間の流れ星 塩卵食べていよいよ立夏かな 長江を下りゆく船夏の雲 *上海は6月10日に梅雨入りしてから毎日雨の日が続いています。 青葉若葉の美しい季節、紫陽花が咲き、合歓の花が咲き始めました。 梅雨が明ければ猛暑の夏がやって来ます。 2,伏魔人 ☆兼題 朝まだき光を返す若葉かな ☆雑詠 節電に礼を失してクールビズ 国会の辞めろコールに民の沈黙 主のなき更地に賑やか名無し草 芍薬の乱れて散りぬ梅雨の入り 雑草が芝生と競う梅雨の入り 3,半竹亭 ☆兼題 若葉もゆ桜堤の影伝う ☆雑詠 青嵐稲穂に銀の波立てて 植え終えし田にお社の森映し 白玉のタンポポの羽毛風を待つ 梅雨晴れや亀首伸ばし空見上ぐ *東日本大震災から3ヶ月過ぎ、未だに沢山の行方不明者がある中、我が子が未だ見つかっていない母親が、悲しみをこらえ、無理に微笑みながら、もしかしたら死んでしまったのかもしれないと語っている様子がなんとも哀れでした。 投句外・・笑み作り我が子の死語る母哀れ 4,祥 雲 ☆兼題 音大の調べ吸い込む若葉かな ☆雑詠 翡翠の青き弾丸渓をゆく 筍飯おこげ欲しやと子供達 巣に戻す雛のやわさや愛鳥日 若楓明け六つ鳴らす修行僧 5,せいち *私たちの山岳会組織で、東日本大震災の復興支援に行ってきた人たちがいます。今後、山岳会から幾らかの補助をして、定期的にボランティアに行くよう臨時に規定を設けるべく準備中です。では投句します。 ☆兼題 若葉雨やさしきものの一つにて ☆雑詠 黒南風や昼の糶場の濡れしまま 真つ直ぐな男滝や女滝やや傾ぎ 滴りの一滴づつにある力 白南風や一本松の背な伸ばし 6, 海 ☆兼題 竹若葉雨に煙りて雲の中 ☆雑詠 放射能どこまで来たか初鰹 陸の船何を想うや梅雨に入る 額紫陽花雨にきらめき小宇宙 夕暮れに寄り添う枇杷の色やさし 7,政 清 ☆兼題 キラキラと若葉輝く雨上がり ☆雑詠 泣きじゃくる童の視線春の海 節電や猛暑が気になる葉月かな 復興の願いを込めて夏祭り アジサイや色鮮やかに雨に咲く 8,美 河 ☆兼題 迫(せこ)道を回り道する若葉風 若葉風いざなう先に郷の景 ☆雑詠 花菖蒲先手むらさき後手は白 父母の墓寄り添う十全白き花 漁魂睦月の港大漁旗
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19回みなつき会選句投票結果 平成23年6月27日 □伏魔人選 ☆特選句 4 迫(せこ)道を回り道する若葉風 *詠者は広島の方ですかね。「迫」とは、小さな谷筋が、大きな谷に出会う場所の事だと聞いた記憶があります。因みに私の父方の姓が「竹迫」でした。勿論、祖父は、実家の百姓を捨てて、米西海岸、マニラ等を放浪筑豊の炭坑に流れ付いた様です。 ☆良選句 8 父母の墓寄り添う十全白き花 *「十全」の意味が分かりませんが、雰囲気は感じます。 11 陸の船何を想うや梅雨に入る *もの言わぬ「船」が哀れですね。 35 滴りの一滴づつにある力 *何を観察されたのでしょう。小学生の頃に聞かされた「寓話」を思い出します。その様に生きてきた心算ですが、力足らず今日があります。 40 筍飯おこげ欲しやと子供達 *子供って、何時の時代もおなじなのですね。しかし、生れた途端、危機に遭遇すると、大きな力を発揮する。藤原ていの「流れる星は生きている」。角田房子の「墓標なき八万人の死者」の子供・少年に重ねて居ます。 □康祐選 一言;<上海便り> *上海は6月10日に梅雨入りしてから毎日雨の日が続いています。公園や街路の木々が青葉若葉で輝いています。梅雨とは言え心の癒される美しい季節です。紫陽花が咲き、合歓の花が咲き始めました。梅雨が明ければ猛暑の夏がやって来ます。 ☆特選句 2.朝まだき光を返す若葉かな *評;朝早く夜明けの光が若葉に反射してその緑が眩しい。明け方の景、朝まだきが良い。 ☆良選句 9.白南風や一本松の背な伸ばし 16.梅雨晴れや亀首伸ばし空見上ぐ 28.翡翠の青き弾丸渓をゆく 41.雑草が芝生と競う梅雨の入り □祥雲選 ☆特選句 35 滴りの一滴づつにある力 *「点滴石を穿つ」といいますが、夏の岩清水の滴り等はその一滴一滴に力を感じます。共感の選です。 ☆良選句 19 黒南風や昼の糶場の濡れしまま *被災地の再開出来ないでいる糶場を暗く陰湿な黒南風が吹き渡っているという風に解しました。情感のある句です。 29 夕暮れに寄り添う枇杷の色やさし *沢山の琵琶の実が寄り添っている優しい景が浮かびます。「夕暮れ」と「寄り添う」 効いています。 36 長江を下りゆく船夏の雲 *「長江」と「夏の雲」が良く調和しています。船は帆掛船でしょうか。爽やかな風をじます。大きな景の句です。 39 若葉風いざなう先に郷の景 *田舎に帰った時の感慨句でしょうか、「若葉風」も「郷の景」も懐かしい情感に溢れ います。 □半竹亭選 ☆特選句 19 黒南風や昼の糶場(せり場)の濡れしまま ☆良選句 5 音大の調べ吸い込む若葉かな 26 若楓明け六つ鳴らす修行僧 28 翡翠(かわせみ)の青き弾丸渓をゆく 29 夕暮れに寄り添う枇杷の色やさし
*特選句・・【19 黒南風や昼の糶場(せり場)の濡れしまま】
あれ程喧騒だったセリ市が終り、誰もいないセリ場の風景が良く現れていると思い選びました。*【8 父母の墓寄り添う十全白き花】 この句の『十全』の読み方と、意味を調べたのですが分りません、教えて下さい。 □海選 ☆特選句 30 若葉雨やさしきものの一つにて ☆良選句 1 天城越え若葉燃え立つ九十九折れ 9 白南風(しらはえ)や一本松の背な伸ばし 19 黒南風や昼の糶場(せり場)の濡れしまま 27 復興の願いを込めて夏祭り *芽生えから若葉の季節、初夏から梅雨、雷雨そして夏へ向かいます。変化の激しい季節です。若葉と雨、鶯の声など聞こえてくれば、最高の気分になります。東北、茨城、復興に向けて頑張っています。ボランティアに言ってきた人たち、日焼けたくましく帰ってきました。自然豊かな日本、原発の事故は約止めてほしいです。 暑い中お身体を大切に、次回もよろしくお願いします。
□せいち選
*梅雨の晴れ間ですが、蒸し暑くてクーラーを点けたくなります。でも、今のところ扇風機が活躍しています。☆特選句 34 植え終えし田にお社の森映し *良い景色です。平穏と豊作の祈りが映っています。尚、文語文なので、仮名使いを「植ゑ終へし」と表記すればいいと思います。 ☆良選句 26 若楓明け六つ鳴らす修行僧 *季語の「若楓」が修行僧とピッタリ。 29 夕暮れに寄り添う枇杷の色やさし 36 長江を下りゆく船夏の雲 *長江は写真でしか見たことがありませんが、長江の続きが夏雲になっているようで雄大な景です。 40 筍飯おこげ欲しやと子供達 *この思いは大人でも変わりません。 □美河選 ☆特選句 9 白南風(しらはえ)や一本松の背な伸ばし *夏至を過ぎ一気に梅雨を押しのけ真夏の暑さになりました。陸前高田の一本松被災者を励まし続けていくでしょう。「背な伸ばし」が気持ちいいです。 ☆良選句 2 朝まだき光を返す若葉かな 14 放射能どこまで来たか初鰹 28 翡翠(かわせみ)の青き弾丸渓をゆく 41 雑草が芝生と競う梅雨の入り □政清選
☆特選句 28 翡翠(かわせみ)の青き弾丸渓をゆく ☆良選句 11 陸の船何を想うや梅雨に入る 16梅雨晴れや亀首伸ばし空見上ぐ 21節電に礼を失してクールビズ 32主のなき更地に賑やか名無し草 以上 |


