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第33回【みなつき句会】 講評 2013年10月31日 康祐
兼題の秋風には、秋の風、風の秋、色なき風などもあります。秋の初風から晩秋の風まで、古くから身にしみて、哀れをそそる風といわれ、詩歌の題材となってきたといわれます。
今回、秋風を俳句に詠むのは対象や思いを表現するのに少々難しい面もあったと思いますが、もう一工夫すれば良い句になると思われる句もありました。感想を述べます。
1,秋の風店主ひとりの電器店
店主ひとりだけの電気店、さびしげな秋の情景を感じさせる良い句
です。
「秋の風」よりは「秋風や店主ひとりの電気店」とした方が秋風が強調
され引き立つのではないかと思います。
2,新米や瑞穂の国に生れ嬉し
美味しい新米のとれるすばらしいこの国に生まれ、喜びと感謝する気
持ちが表現されています。
3,秋雨や蜘蛛の巣網に銀の玉
秋雨の情景、蜘蛛の巣に付いた水滴を「銀の玉」と表現した点がひ
かります。
4,秋の夜や漱石こころ読み返す
漱石のこころ、にとらわれず「秋の夜や夏目漱石読み返す」が良いと
思います。
5,光年の旅の途にある星月夜
宇宙の果てしない世界が表現されています。スケールの大きな句で
す。
6,祈りつつ田水を落す父の影
お米の収穫に祈りを込めて、また来年もと田水を落とす父の苦労の
姿が浮かぶ秀句です。
7,盗人のなきまま朽ちる柿あわれ
だれにも食べられずに落ちた柿もあわれと言わざるを得ませんね。
8,青空に尾根の山柿鈴と生る
すずなりの山柿が青空に映えている景が見えるようです。
9,焼き芋や昭和の匂りふんぷんと
焼き芋に昭和の思い出が蘇る一句ですね。
10,稲掛の薄暮に沈む父子かな
ミレーの晩鐘を思わせるような秀句です。こんな風景は子供の頃、信
州の田舎で見たような記憶があります。
11,刈田道藁の匂いや車いす
車椅子から見た実りの秋の景が浮かびます。乾燥した藁の匂いは昔
の田舎を思い出しました。
12,秋風や我が生き先の如何なるや
秋風吹くさびしさ、我が身の行き先には何が待っているのか一抹の
不安と心配がありますね。年取れば誰も避けては通れない心境で
す。
13,虫の夜や一人つきりの露天風呂
旅の温泉宿、ひとりだけの夜の露天風呂、虫の声だけ聞こえる。旅愁
の一句。
14,秋の空東へ向う一番機
秋晴れの空を眺めると、一番機が上海から東京の方角へ飛んで行き
ます。
15,十五夜のムーンリバーは煌々と
ムーンリバーは名曲のひとつ。中秋の名月は煌々と輝いていました。
16,蟷螂(とうろう)に鎌振り上げて睨まれる
「蟷螂や鎌振り上げて睨みをり」とした方が俳句らしくなると思いま
す。
17,子供らのファッション変わりて秋を知る
衣更えの季節、最近の子供の衣服はカラフルになりましたね。値段も
高額です。
18,秋風に聞こえる音色ピーヒャララ
ピーヒャララが秋祭りの様子を楽しく引き立てる句ですね。
19,最大の台風行きて虹哀し
10月に入り、大型の台風がいくつも襲来し、各地に大きな被害を出し
ました。
20,澄む秋や奇峰織りなす妙義山
澄む秋、澄みきった秋空に連なる妙義山の景が良く表現されていま
す。
21,木犀や英語教師は日本人
いま上海の公園や街路樹には金木犀が香っています。日本語を話
す中国人にも時々会うことがあります。
22,暮れ六つの鐘しみじみと秋の風
暮れ六つ、とは古典的な表現。秋風に乗り聴こえてくる鐘の音が身に
しみます。
23,秋風に散策わずかに七千歩
ユーモラスな句ですね。七千歩はちょっとわずかではないですね。七
百歩くらいにした方がいいのではと感じました。「秋風や散策わずか
七百歩」
24,なに故の地震竜巻台風禍
地震、竜巻、台風と自然災害が多い作今です。先日M7.1の余震も
ありました。
25,小面の微笑なぞめく夜の秋
秋の夜中に微笑む小面の口元はさぞかし気味が悪いでしょうね。
26,孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く
子持ちの蟷螂が悠然と瓦礫の上を歩いている様子はなんとも不気味
です。
27,咲き終えし姿かなしや曼珠沙華
赤く咲き誇っていた曼珠沙華も散ってしまえば一抹のあわれさを感じ
ますね。
28,ビルの玻璃新涼の空すっぽりと
ビルのガラス窓が初秋の涼しい空を覆っている情景でしょう、すがす
がしい。
29,干し竿に秋のしたたり台風(かぜ)去りぬ
台風が去ったあとは干し竿にはまだ雨粒が残っている情景でしょう
か。
30,秋風になびく少女の長き髪
秋風に吹かれて遊んでいた少女、長い髪が風にそよいでいました。
単純な句。
31,黄落の街に噂の弁当屋
銀杏でしょうか、木の葉が散る街に噂していた弁当屋さんがお目見え
です。
32,色鳥の賑わう水辺はしゃぐ子ら
公園の池の周りは柳の木に囲まれていて、鳥が集まって囀りあう情
景です。
33,鍬持つ手笛に変えたる秋まつり
秋祭りには鍬を持つ手が笛に変わるという様子が面白く楽しい句で
す。
34,赤とんぼ零戦のよう群れて飛び
秋空に赤とんぼが沢山飛んでいます。群れて飛ぶ様子がゼロ戦のよ
うだと。
35,主のなき庭いっぱいに猫じゃらし
主がいない庭先には猫じゃらしが繁茂して、何気なくわびしい思いが
します。
36,陽光や藁の香纏いて刈田かな
陽光を含んだ藁の香りは苅田を覆うように暖かな感じがします。
37,秋風に焼き立てパンの香りかな
焼きたてのパンの香り、秋風にさそわれて買いに行きたい気分がしま
す。
38,地方紙を飾る案山子のコンクール
地方紙ならではのニュース。案山子のコンクールとは面白い。最近で
は田んぼの稲のアートが人気を博していますね。
39,吾亦紅我が来し方の自伝書く
吾亦紅、信州の生まれ故郷を思い出しながら自伝というか、自分史
を書い てみました。
40,爽空にただ一筋の飛行雲
爽やかな秋空を飛行機雲が一直線に伸びていきます。勇壮な気分
になります。
以上
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第33回句会
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第33回【みなつき句会】選句投票集計表
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第33回【みなつき句会】作者別投句集
【今回参加者8名 投句総数40句でした】 ① 伏魔人 ※・兼題句 秋風に散策わずかに七千歩 少し遠回りのコースを設定しての散策ですが、万歩計で計ってみれが、やっと7,00 0歩。 ※・雑詠句 主のなき庭いっぱいに猫じゃらし 主は介護施設に・・・子供たちは都会住まい・・・荒れる隣家の庭は愉快なものでは ありませんが、「秋」を感じる縁にしています。 盗人のなきまま朽ちる柿あわれ 老いて二人になった庭に柿が実ります。柿を盗む悪童も居なくなって久しい・・・「採 ってくれたらいいのに・・・」・愚痴です。 子供らのファッション変わりて秋を知る 朝の散策の私の前をランドセルの子供らが歩きます。征服でないので、可愛いです ね。子の個性、母親の個性・・・ 干し竿に秋のしたたり台風(かぜ)去りぬ 台風24号。早々に目が消えました。風も吹かず、雷鳴もなく・・・静かな雨の中を日 本海に抜けました。 伏魔人 ② せいち
※・雑詠句 地方紙を飾る案山子のコンクール 黄落の街にうはさの弁当屋 虫の夜や一人つきりの露天風呂 澄む秋や奇峰織りなす妙義山 光年の旅の途にある星月夜 今日も朝から暑い。今後十年後二十年後が思いやられます。 せいち ③ なな
※・兼題句 秋の風店主ひとりの電器店 ※・雑詠句 小面の微笑なぞめく夜の秋 ビルの玻璃新涼の空すっぽりと 焼き芋や昭和の匂りふんぷんと 鍬持つ手笛に変えたる秋まつり 十月も半ばとなりましたが、未だ真夏日のような落ち着かない毎日ですね。愚作で すが、よろしくお願い致します。 なな ④ 半竹亭
※・兼題句 秋風や我が生き先の如何なるや 脳梗塞で倒れこの秋で10年過ぎた、リハビリに通い続けてはいるが身体機能はほと んど回復せず、体力が年毎に劣っていくのが最近目に見えて顕著になってきた。後 何年此の生活が続くのか等と思いめぐらしていると、胸の中を秋風が吹きぬけてい きます。 ※・雑詠句 秋雨や蜘蛛の巣網に銀の玉 蟷螂に鎌振り上げて睨まれる 咲き終えし姿かなしや曼珠沙華 彼岸花の満開の姿は触ると折れて仕舞いそうなほどの細い花弁を広げ一寸気味が 悪い様に綺麗だが、咲き終えて朽ちてしまった状態は誠に哀れな姿である。 爽空にただ一筋の飛行雲 我が家の上空は飛行航路になっているらしく、快晴の日等には幾筋もの飛行雲が 出来る、真っ青な秋空に東西一直線唯一筋だけの飛行雲は何とも気持ちのいいも のである。 半竹亭 ⑤ 海 ※・兼題句 秋風に焼き立てパンの香りかな ※・雑詠句 秋の夜や漱石こころ読み返す 赤とんぼ零戦のよう群れて飛び 十五夜のムーンリバーは煌々と 最大の台風行きて虹哀し 海 ⑥ 美河 ※・ 兼題句 秋風に聞こえる音色ピーヒャララ ※・雑詠句 刈田道藁の匂いや車いす 陽光や藁の香纏いて刈田かな 青空に尾根の山柿鈴と生る なに故の地震竜巻台風禍 季節は清々しい青空が似合うようになりました。寒くなりますので、健康に気をつけ ましょう。また、今年は台風が多いですね。伊豆大島の災害にはお悔やみと、お見 舞いを申し上げます。 美河 ⑦ 康祐
※・兼題句 秋風になびく少女の長き髪 ※・雑詠句 吾亦紅我が来し方の自伝書く 色鳥の賑わう水辺はしゃぐ子ら 秋の空東へ向う一番機 木犀や英語教師は日本人 秋も深まって参りましたが、自然災害の多い日本には悲しい事故が続きますね。 台風と大雨による土石流の被害に遭われた伊豆大島の方々に哀悼の意を表す次 第です。 康祐 ⑧ 祥雲 ※・兼題句 暮れ六つの鐘しみじみと秋の風 ※・雑詠句 新米や瑞穂の国に生れ嬉し 孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く 祈りつつ田水を落す父の影 稲掛の薄暮に沈む父子かな 祥 雲 以上
※・今回、わかじさん、月香さん、政清さん、お休みです。 |
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第33回みなつき句会選句結果
① 祥雲選 特選句 39、吾亦紅我が来し方の自伝書く 哀愁を誘う吾亦紅が「我が来し方の自伝書く」に良く調和している良句です。 私は65歳の誕生日を記念して、自伝ではなく、第一句集を編纂してみました。人生の一区切りになりました。 良選句 3、秋雨や蜘蛛の巣網に銀の玉 蜘蛛の巣は、夏の季語ですが、秋になって目立つので、違和感はありません。「銀の玉」 が効いている、絵画的な美しい句です。蜘蛛は虹色に輝く女郎蜘蛛でしょうか。美しい景 が想像できます。 11、苅田道藁の匂いや車いす 「藁の匂いや」が効いている、視覚と臭覚の調和した、良句です。 車いすの作者に藁の匂いが漂ってくる苅田道での感慨句でしょうか。 13、虫の夜や一人っきりの露天風呂 「一人っきりの露天風呂」が効いている、良句です。しみじみとした感慨に浸っている作者 が彷彿としてきます。「あれは何」と虫の種類をあれこれ想像しているような気もします。 20、澄む秋や奇峰織りなす妙義山 山水の絵のような、的確で美しい情景描写に惹かれました。 「澄む秋や」が効いている良句です。 以上 祥雲 ② 美河選 特選句 12、秋風や我が生き先の如何なるや 良選句 5、光年の旅の途にある星月夜 20、澄む秋や奇峰織りなす妙義山 22、暮れ六つの鐘しみじみと秋の風 33、鍬持つ手笛に変えたる秋まつり 以上 美河 ③ 半竹亭選 特選句 10,稲掛の薄暮に沈む父子かな 終日かけて収穫した稲を、薄暗くなっても稲架に掛けている親子の風景が目に浮かびます。 良選句 8,青空に尾根の山柿鈴と生る 28,ビルの玻璃新涼の空すっぽりと ビルに反射するガラスが使われているのを多く見掛けます、真っ青な秋空を映し外壁が空の様になっているのでしょうか 8,青空に尾根の山柿鈴と生る 山柿は渋柿です、真っ青な秋空を背に赤く熟した実が一杯です、おそらく鳥達の御馳走になるのでしょう 33,鍬持つ手笛に変えたる秋まつり 38,地方紙を飾る案山子のコンクール 以上 半竹亭 ④ 伏魔人選 特選句; 3、秋雨や蜘蛛の巣網に銀の玉 「じゃまだ・・・!」と、手で払う前に、一歩譲れば、この様な美しい句が生れるのでしょうね。 良選句; 6、祈りつつ田水を落とす父の影 父の後継者としての一句なのでしょうか。時を得ず・・・遠くなる父の姿の一句なのでしょうか。父の願った時代とは、ほど遠い時代の出現・・・悲しくもありますが、「時代」とは、この様なものなのでしょう。 26、孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く 「生命」ですね。蟷螂も新しい命を頂いている、そして、破壊された街もまた、新しい生命 を復活させようとしている。一つの「確信」でしょう。 30、秋風になびく少女の長き髪 朝の散策に、小学生と中学生に出会います。中学生は制服ですからつまらない・・・しかし・・・小学生は季節のファッションを楽しませてくれます・・・時に「長い髪」は、4年生を過ぎたころから、思わぬ成長を見せてくれますね。「髪」は、舞台衣装でもあるのでしょう。 36、陽光や藁の香纏(まと)いて刈田かな 藁の香・・・懐かしいものになりましたね。この香りを知らない人も多くなったのではないでし ょうかね。農機具の文明が滅ぼした「文明?」と言えるのかも知れません。 私たちの嗅覚が、ひとつだけ衰えた・・・脳細胞が消滅したことでもあるのでしょう・・・退化ですね。 以上 伏魔人 ⑤ せいち選 特選句 6,祈りつつ田水を落す父の影 実り始めた稲に感謝の気持ちと、刈入れまで無事なことを祈っていたのだろう。 そんな父の姿を愛しく詠みとっている。 良選句 9,焼き芋や昭和の匂りふんぷんと 21,木犀や英語教師は日本人 33,鍬持つ手笛に変えたる秋まつり 37,秋風に焼き立てパンの香りかな 秋風と、香ばしい焼き立てパンの匂いが良く似合っている。 いよいよ秋本番、色々な秋の中に自分独自の秋を見つけて俳句も作りたいものです。 以上 せいち ⑥ 康祐選
特選句 13、虫の夜や一人っきりの露天風呂 旅の温泉宿、虫の声がする夜の露天風呂。旅愁を感ずる一句です。 良選句 10、稲掛の薄暮に沈む父子かな ミレーの晩鐘を彷彿とさせる句です。 11、苅田道藁の匂いや車椅子 車椅子で通りかかった苅田の情景が浮かぶ句です。 27、 咲き終えし姿かなしや曼珠沙華 赤く燃えるように咲き誇っていた曼珠沙華、散る姿には哀れを感じます。 35、主のなき庭いっぱいに猫じゃらし 住む人のない庭、雑草の中でも特に猫じゃらしが繁茂している景がいいです。 秋も深まり、朝晩寒くなって来ました。暖かくしてお過ごし下さい。 以上 康祐 ⑦ 海選
特選句 26,孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く 良選句 1,秋の風店主ひとりの電器店 11,刈田道藁の匂いや車いす 24,なに故の地震竜巻台風禍 36,陽光や藁の香纏いて刈田かな またもいま台風が接近してきています、27号、28号。3・11以降ちょっとした地震には驚かない、竜巻にも慣れてきた。大型台風にもまたか・・・。この感覚は何なんでしょう。 自分もいつ被災するか分からないのに自然災害に慣れてきた???いや違う、福島の原発事故はまだ続き、震災の復興は未だ遠いという意識がそうさせているのかもしれません。 「26,孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く」放射能汚染で巨大化した蟷螂が瓦礫の中をのっしのっしと歩いて行くような錯覚に陥ります。自然界からの逆襲・・・そんなことないといいですよね。 以上 海 ⑧ なな選
特選句 6、祈りつつ田水を落とす父の影 良選句 5、光年の旅の途にある星月夜 10、稲掛の薄暮に沈む親子かな 22、暮れ六つの鐘しみじみと秋の風 31、黄落の街にうはさの弁当屋 以上 なな 以上・選句参加者8名 |
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第33回【みなつき句会】選句投票のお知らせ
(今回は8名参加:投句総数40句です。)
皆様投句有難う御座いました。
以下の要領で選句の上、投票願います。
記
1, 選句
特選句 1句
良選句 4句
計 5句
選句した句のNOを付け投票願います
2, 投票締め切り 10月27日【日】 迄
3, 宛先 KUNI 【半作亭】
Qqv448hg9@lake.ocn.ne.jp へ送信して下さい。
4、皆さんからメッセージも一緒にお願いします。
平成25年10月21日 海
第33回【みなつき句会】投集 1,秋の風店主ひとりの電器店
2,新米や瑞穂の国に生れ嬉し
3,秋雨や蜘蛛の巣網に銀の玉
4,秋の夜や漱石こころ読み返す
5,光年の旅の途にある星月夜
6,祈りつつ田水を落す父の影
7,盗人のなきまま朽ちる柿あわれ
8,青空に尾根の山柿鈴と生る
9,焼き芋や昭和の匂りふんぷんと
10,稲掛の薄暮に沈む父子かな
11,刈田道藁の匂いや車いす
12,秋風や我が生き先の如何なるや
13,虫の夜や一人つきりの露天風呂
14,秋の空東へ向う一番機
15,十五夜のムーンリバーは煌々と
16,蟷螂(ろうとう)に鎌振り上げて睨まれる
17,子供らのファッション変わりて秋を知る
18,秋風に聞こえる音色ピーヒャララ
19,最大の台風行きて虹哀し
20,澄む秋や奇峰織りなす妙義山
21,木犀や英語教師は日本人
22,暮れ六つの鐘しみじみと秋の風
23,秋風に散策わずかに七千歩
24,なに故の地震竜巻台風禍
25,小面の微笑なぞめく夜の秋
26,孕みたる蟷螂しかと瓦礫行く
27,咲き終えし姿かなしや曼珠沙華
28,ビルの玻璃新涼の空すっぽりと
29,干し竿に秋のしたたり台風(かぜ)去りぬ
30,秋風になびく少女の長き髪
31,黄落の街にうはさの弁当屋
32,色鳥の賑わう水辺はしゃぐ子ら
33,鍬持つ手笛に変えたる秋まつり
34,赤とんぼ零戦のよう群れて飛び
35,主のなき庭いっぱいに猫じゃらし
36,陽光や藁の香纏いて刈田かな
37,秋風に焼き立てパンの香りかな
38,地方紙を飾る案山子のコンクール
39,吾亦紅我が来し方の自伝書く
40,爽空にただ一筋の飛行雲
以上
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