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被害者Aは、加害者Bに対して不法行為による損害賠償請求をするために、甲弁護士法人に依頼して訴えを提起した。
その後、甲弁護士法人に所属していた弁護士Xは、乙弁護士法人(社員数10名)に移籍した。その直後に加害者Bは乙弁護士法人にかかる事件について依頼をしてきた。 1 乙弁護士法人は、事件を受任してXに担当させることが出来るか。Xが甲弁護士法人に所属していた際に、事件について受任の話は聞いていたが担当することはなく、また、担当者からは相談を受けたことすらなかったものである。
2 Xが甲弁護士法人に所属中に、Aの代理人となっていたがそれを辞任して乙弁護士法人に移った場合、乙弁護士法人が受任して弁護士Yに担当させることが出来るか。
1について。
本問では、Xは本問事件について受任の話は聞いていた事から、「自らこれに関与した事件」に当たり(基本規定63条1号2号)、65条5号にも該当するので、乙弁護士法人はBから事件を受任できないのではないか。 ここで、「関与した事件」の意義について問題となるが、当事者の利益を保護しつつ職務遂行の公正を図り、弁護士に対する信頼を保護するという趣旨から、実質的に判断すべきであると解する。 本問では事務所が受任した旨の話を聞いて入るものの、担当とはならず、また、担当者からは相談を受けたこともないのであるから、特に秘密を知り得たこともなく、実質的に見て関与はなかったと言える。 よって、「関与した事件」に当たらず職務禁止事由に該当しないので、乙弁護士法人は事件を受任してXに担当させることが出来る。 2について。
本問では、Xは代理人として「関与した事件」に該当する。 しかし、65条5号は「社員」に限っており、使用人弁護士は含まれていないので、Xが使用人弁護士であるならば同条の適用はなく、弁護士法人乙としては事件を受任することは出来る。 ただ、「社員等」(64条1項)であるXが27条の規定により職務を行ない得ないので、担当できる弁護士が原則として存在しない。 よって、事実上、原則として乙弁護士法人は事件を受任することは出来ない。 しかし、「職務の公正を保ちうる事由」(同但書)があれば、禁止は解除されるので、その場合にはYに担当させることができるので、乙弁護士法人は事件を受任することが出来、弁護士Yに担当させることが出来る。 次に、Xが社員弁護士出会った場合について検討すると、その場合には65条5号の適用があるので、原則として乙弁護士法人は事件を受任することは出来ない。 しかし、①職務を行ない得ない弁護士が社員の総数の半数未満であり、②業務の公正を保ちうる事由があれば、例外的に受任することが出来る(同但書)。 まず、乙弁護士法人は社員数10名であり、①の要件は充たす。 次に、②の要件について検討すると、職務の公正や信頼を保護するという同乗の趣旨から、利益相反行為をチェックできる体制があり、他の弁護士に秘密が漏れないように体制を確立していることが必要であると解する。 本問では、かかる体制があるかは明確でないので、この体制が乙弁護士法人に整っていれば、乙弁護士法人は事件を受任することが出来る。 そして、27条但し書きの要件を満たせば、Y弁護士に担当させることも出来る。 |
弁護士倫理
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今回の震災で命を失われた方。
心よりご冥福をお祈りします。
震災にあわれて助けを必要としている方、救助されている方、頑張ってください。
今の私にはこれくらいしか出来ませんが、皆様の無事なことを心よりお願い申し上げます。
2011/3/12(土) 午後 0:58 [ 丸坊主 ]