弁護士倫理

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弁護士倫理30

 交通事故の加害者の代理人の弁護士甲は、被害者宅を訪問し、示談交渉を行うことになった。
 しかし、被害者宅は山の中にあり、最寄りの駅から遠くバスも通っていない。
 そこで、示談交渉の当日、弁護士は駅前で待機しているタクシーで被害者宅に行ったが、その帰りにその被害者の親からタクシー代金をもらった。
 

 ①かかる行為に問題はあるか。代金ではなく、最寄りの駅まで送ってもらった場合はどうか。
 ②弁護士が、国選弁護人として情状弁護のために被害者と交渉していた場合はどうか。
 
 
 
①について。
 本問の代金を得た行為は、相手方からの利益供与(基本規定53条)にあたり、許されないのではないか。
 この点、弁護士甲は加害者の代理人となっているので、「受任している事件」に当たる。
 そして、「相手方」とは依頼をうけている事件の当事者と実質的に利害が対立する当事者のことをいい、被害者の親はそれに当たる。
 さらに、「利益」とは人の需要や欲望を充たすに足りる一切の利益のことをいい、代金はそれに当たる。
 よって、相手方からの利益供与にあたり、かかる弁護士甲の行為は許されない。
 では、最寄りの駅まで送ってもらった場合はどうか。
 この点、代金を得た場合と異なり、職務執行の公正性を疑わせる事情は少ない。
 しかし、被害者宅に行くときはタクシーで行けたのであるから、帰りもまたタクシーを手配することは容易であると言える。
 とすると、職務執行の公正性を疑わせる事情は無いとは言いがたく、「利益」に当たると言える。
 よって、かかる行為も許されない。
 
 
②について。
 国選弁護人として選任されていることから、本問利益供与は49条で禁止されている対価の受領にならないか。
 この点、「関係者」とは、被告人やその事件に関係する者も含み、被告人と利害を共通にする者である必要はないので、被害者の親は「関係者」に当たる。
 そして、「対価」は国選弁護制度への信頼を侵さないか否かを基準に判断すべきであり、タクシー代金を得た行為は信頼を犯すと言えるので、かかる要件を満たす。
 よって、タクシー代金を得た行為は対価受領に当たり、許されない。
 そして、送ってもらった行為についても、帰りのタクシーを呼ぶことが容易にできたのであれば、なお国選弁護制度への信頼を犯すと言えるので、「対価」に当たる。
 よって、かかる行為も許されない。

弁護士倫理29

 離婚事件において、妻側の代理人となった弁護士甲は、夫側と交渉することになった。夫側は代理人を立てたが、それは夫の親であった。その親に対して甲は必要な事項について照会したが、多忙を理由にして答えてくれなかったので、夫に直接尋ねるべく夫の勤務先に電話をした。問題はあるか。
 夫側の代理人が弁護士であった場合はどうか。
 
 
前段に付いて。
 基本規定は相手方が代理人を立てた場合には、原則として本人との直接の交渉を禁じている(52条)。
 しかし、その代理人は「法令上の資格を有する」代理人である必要があり、夫の親はそれに該当しない。
 よって、同条に違反することはない。
 しかし、夫の勤務先に電話する事は私事が会社に知れることとなり、不測の損害が発生しかねず、品位を失うべき非行に当たりかねない。
 そこで、照会事項が会社に不用意に知れることのないよう、注意すべきである。
 
 
後段に付いて。
 代理人が弁護士で有る場合、「法令上の資格を有する」代理人であるので、「正当な理由」がなければ、夫と直接交渉することは出来ない。
 そこで、本問事情がかかる理由に当たるか検討すると、「正当な理由」とは直接交渉することが弁護士の職業倫理と社会通念から是認される場合がそれに当たると解する。
 本問の多忙に付いて検討すると、単にそれだけの理由では是認されるとは言えず、紹介から長時間が経過し、催促しても返事返られず、また、回答内容が簡単に出来るものである場合は是認できるものといえ、「正当な理由」に当たるといえる。
 したがって、本問において上記事由に該当すれば、例外的に夫に直接尋ねることも許される。
 ただ、前段と同様に、品位を損なうべき非行に当たらないように注意をはらう必要が有る。

弁護士倫理28

 親会社Bをもつ株式会社Aで法務課長をしている弁護士甲は、自社の製品に法律で禁止されている薬物が混入していることを知った。
 そこで、上司に当たる部長乙に相談をしたが、その薬物の混入の量が微量であり人体に影響はないことからそのままにしておくように支持された。そこで、甲は指示通り放っておき、マスコミの取材を受けてもノーコメントを通した。
 甲は、どうすべきであったか。親会社への説明やマスコミへの公表についても検討せよ。
 
 
 本問における薬物の混入は法律で禁止されているものであることから、甲としては「適切な措置」(51条)を取るべきではなかったか。
 この点、甲はA社で法務課長をしており「組織内弁護士」に当たる。
 また、法務課長はコンプライアンスに関する業務もその範囲に含むと言えるので、今回の事態は「担当する職務に関し」に該当する。
 そして、すでに違法薬物が混入しているので「業務上法令に違反する行為」はある。
 従って、甲は、組織内の弁護士として「適切な措置」を取るべきである。
 では、どのような措置をすることが「適切な措置」と言えるか。
 この点、本問では乙の支持通り放っておいているが、これは当然のごとく「適切な措置」には当たらない。
 では、親会社Bに対して説明することはどうか。
 この点、「組織内」に資本関係も含むか問題となるが、親会社が子会社の経営に密接に関係しているという特段の事由ない限り、資本関係は含まないと解する。
 よって、特段の事由の認められない本問では、Bに対する「説明又は勧告」などを行う必要はない。
 では、マスコミに対して公表することはどうか。
 この点、文言上も「組織内」の適切な措置を求めており、外部への説明なをは求めていないし、マスコミへの説明は守秘義務に反する恐れもある。
 したがって、特段の事由ない限り、マスコミへの公表などは「適切な措置」とは言えない。
 そこで、本問としては、甲としては他の取締役や監査役などに説明や勧告を行うべきであったと言える。

弁護士倫理27

 国選弁護人甲は、被告人Aの父乙と事務所で打ち合わせを行った。その際、乙は日頃のお礼と言って、金一封を甲に差し出した。甲はそれを受け取って良いか。また、打ち合わせの際のお茶受けにと、3000円相当の菓子折りを持ってきた場合はどうか。
 乙には、資力があって、国選弁護人では万全を尽くして弁護に当たらないと考えている節があった。そこで、甲は国選から私選へと切り替えるように提案し、乙はそれを承諾した。問題はあるか。
 
 
前段について。
 甲は、「国選弁護人」であり、乙は「日頃のお礼」と言って差し出しているのであるから、「選任された事件」についての金銭であると言える。
 また、乙は被告人Aの父親であり、「関係者」に当たる。
 さらに、金一封は「報酬との他の対価」といえる。
 従って、甲はかかる金一封を受け取ることは出来ない(基本規定49条1項)。
 次に、菓子折りについて検討すると、たしかに一定程度のものであれば社会的儀礼の範囲であるとも思える。
 しかし、どの程度が社会的儀礼の範囲かは不明であるし、各弁護士の判断に委ねられることになる。
 とすると、場合によっては受け取ることにより国選弁護人制度に対しての疑念を生じさせることになりかねない。
 この点を鑑みると、受け取らないほうが無難であると言える。
 
 
後段について。
 本問では、甲は乙の考えていることを斟酌して私選に切り替えることを提案しているが、それは「その事件の私選弁護人に選任するよう」働きかけたことに当たる(49条2項)。
 従って、弁護士会の定める会則に別段の定めのない限り(同項後段)、甲の乙に対する提案は許されない。

弁護士倫理26

 弁護士甲は、乙から損害賠償事件を受任した。乙は、訴訟の進行に異様にやる気になっており、甲にいちいち細かいことについてまで口出しをするようになってきた。
 甲は、最初の内は話を聞いていたが、余りにもひつこいのでだんだんやる気を失ってきて今では辞任することも考えている。
 ①甲は、辞任することができるか。
 ②辞任するに当たり、どのような措置をすることが必要か。
 
 
①について。
 甲と乙の関係は委任関係であるので、信頼関係を失えば自由に辞任することが出来るとも思える。
 しかし、弁護士は誠実に職務を行う義務を負い(基本規定5条)、受任した事件については依頼者の利益を実現すべき努力義務を負っている(同21条)。
 とすると、事由な辞任はかかる規定に違反するので、そのような辞任は出来ない。
 しかし、信頼関係を失ったにも関わらず、辞任が全く出来ないのはかえって依頼者にとって不利益である。
 そこで、「信頼関係が失われ、かつ、その回復が困難なとき」(43条)は辞任することが出来る。
 この点、本問の事情がかかる要件に当てはまるか検討すると、たしかに、訴訟は一般人にとっては一生に一度有るか無いかの場合であり、また自分の重大な利益に関することであるので、細かいことに関する口出しがあるだけで、かかる要件に該するとは言えない。
 しかし、その行為が度を逸したものであり、甲の訴訟追行に支障が出るようになってきて、甲の努力では如何もし難いときは、かかる要件に概要すると言える。
 そこで、上記場合になっていれば、甲は辞任できると言える。
 
 
②について。
 基本規定は、委任終了後に弁護士がすべき義務を定めている(44条)。
 そこで、その規定に従って、甲は辞任するときに、訴訟の経緯や現在の状況今後の見通しなどを乙に説明すべきである。
 また、文言上規定はないが、善管注意義務に含まれる措置として、後任弁護士に適切に引き継ぎもすべきである。

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