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アパートの賃貸人の甲は、賃借人乙が賃料を払わないので、実力で乙を追い出すことにした。そこで、弁護士に立ち会ってもらえば乙は逆らわないだろうと考えて弁護士Xに相談の上、乙を追い出した。
問題は有るか。 Xが甲が実力で追い出すとは知らずに立ち会った場合はどうか。
甲の、乙を実力でアパートから追い出す行為は、乙が賃料を支払わないと言う事情が有るものの、「自力救済」にあたり、特に違法性を阻却する事情の無い本問では、法的に許されない行為である。
そこで、本問ではXは実力で追い出すことにつき相談を受けているので、「不正な行為を助長」した(基本規程14条)にあたる。 よって、乙が立ち会った行為は許されない。 次に、知らずに立ち会った場合につき検討すると、本規程は過失を非難する趣旨はないので、原則として同条に反する事はない。
しかし、実力で追い出すことにつき知った後もそのまま立ち会っているならば、上記要件に該当すると言える。 よって、実力で追い出すことにつき知った後も立会いを続ける事は、許されない。 |
弁護士倫理
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弁護士甲と税理士乙はAから税務に関する訴訟を受任する事となった(甲が訴訟代理人で乙が補佐人)。
そこで、甲と乙は着手金と報酬を分けることにした。 ①かかる分配は許されるか。 ②許されるとして、注意すべき点は何か。 ①について。
本問における分配は基本規程12条に違反しないか。 この点、着手金と報酬は税務に関する訴訟に関する金銭で有るので「職務に関する報酬」に当たり、乙は税理士なので「弁護士または弁護士法人でないもの」にあたる。 よって、本問における分配は許されないとも思える。 そうだとしても、「正当な事由」が有るとして許されないか。 この点、本条の趣旨は弁護士の独立性の保持と非弁提携の禁止の実効性の保持に有るといえる。 とすると、非弁護士と提携する必要性があり弁護時の独立性侵害や非弁提携の恐れがない場合は「正等の事由」有りと言えると解する。 本問では、税金関係と言う弁護士のみでは訴訟活動が難しい場合であり、また、税理士は税務に関する訴訟において補佐人となることが認められている(税理士法2条の2)事から提携する必要性は有る。 また、弁護士の独立性を害したり非弁提携に当たると思われる事情も無い。 よって、「正当な事由」があり、本問分配は許される。 ②について。
分配が許されるとしても、自由に決められるわけではなく「適正かつ妥当な弁護士報酬」(基本規程24条)である必要が有る。 そこで、甲と乙の事件処理にかかる時間や労力から勘案して適正な額を決める必要があり、甲がほとんど事件処理に関わらないにもかかわらず単純に折半等をする事は妥当でないと言える。 |
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弁護士甲は、弁護士照会サイトAを立ち上げた。
Aの会員となった弁護士は、Aから紹介された事件に付いては着手金と報酬の5%をAに払う事となっていた。 問題点に付いて検討せよ。 弁護士照会サイトA(以下単にA)は弁護士Xが立ち上げたものの、Xとは異なる実態が有る団体と言える。
そこで、弁護士法72条の「弁護士または弁護士法人でないもの」にあたり、5%の支払いは「報酬」に当たる。 さらに、「周旋」とは依頼を受けて訴訟事件の当事者と代理などをする者との間に介在し、両者間における委任関係などの成立の為の便宜を図る事を言うので、 事件の紹介はその「周旋」に当たる。 よって、Aは同法により、かかる事業を行う事は出来ない。 次に、会員となった弁護士に付いて検討する。 会員となった弁護士(以下単に弁護士)がAから紹介を受ける事は、「72条の規定に違反する者」から「周旋」を受けた事になる。 よって、かかる行為は弁護士法27条に違反するし、同様の規程である基本規程11条に違反する。 したがって、弁護士に付いてはかかる紹介を受ける事は出来ない。 |
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弁護士甲は、過払い金返還請求を起こさせる為、消費者金融の店の前に立ち、店から出てくる物に対して名刺を渡しつつ過払い金を取り戻そうと声を掛けていた。問題点を述べよ。
甲の行動は、基本規程10条に反しないか。
まず、甲の行動の目的が「不当な目的」と言えるか検討するが、「不当な目的」とは専ら自己の利益獲得をもくろみ依頼者などの利益を省みない事をいうので、特にそのような事情の見当たらない本件では甲に「不当な目的」はない。 次に、「品位を損なう方法」とはいえないか。 この点、「品位を損なう方法」とは弁護士に対する社会的評価や信用を毀損する方法を言うといえ、同要件にあたるかは個別具体的に判断すべきであると解する。 そこで検討してみると、確かに不特定多数の者に名刺を渡したというだけでは品位を損なうとは言いがたい。 しかし、名刺を渡し過払い金を取り戻そうと声かけをするだけでそれ以上の説明がないと、名刺をもらった者は単純に弁護士に依頼すれば過払い金が戻ってくると誤解する可能性が高いと言える。 とすると、この行為は「過度な期待を抱かせる」広告(基本規程3条)といえ、「品位を損なう方法」と評価すべきである。 よって、甲の行動は基本規程10条に違反する。 |
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弁護士Xは
「①合法的に復讐します!!泣き寝入りさせません!! ②訴訟で負けなし!!③X弁護士事務所 弁護士X」 との広告を日刊新聞に出した。 この広告の問題点は何か。 ①について。
①の文言は、復讐との穏やかでない言葉を使い他にも扇情的な言葉で広告をしており、弁護士としての品位を保つ物とは言いがたい(弁護士法2条基本規定6条)。 そこで、弁護士の品位を損なう恐れの有る広告と言え、弁護士の業務広告に関する規程3条や基本規程9条2項に反する。 ②について。
「訴訟で負けなし!!」との文言は、その文言を見た依頼者となりうるものに対して、今まで常に裁判で勝ってきて、これからも勝ちうる可能性の高い弁護士であるとの誤解を十分与えうるものと言える。 そこで、誤解や誤認を与え過度な期待を与える広告、品位を損なう広告といえ、広告に関する規程3条や基本規程9条に反する。 ③について。
広告規程は「広告中にその氏名及び所属弁護士会を表示しなければならない」としている(9条1項)。 にもかかわらず、本広告には所属弁護士会の表示がないことから、本広告は9条に違反する。 |





