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〔第37問〕(配点:3)
次の【事例】に関する裁判について述べた後記アからオまでの【記述】のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№64])
【事 例】
外国人である甲,乙,丙,丁及び戊は,共謀の上,平成23年4月1日,H県I市内において,被害者Vに対し,その顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えてバッグ1個を強取したとして強盗罪によりH地方裁判所に起訴された。ちなみに,甲,乙,丙,丁及び戊は,いずれも,家庭裁判所に送致されることなく,成人として起訴された。その後,同年7月1日に開かれた第1回公判期日において,乙,丙,丁及び戊については,成人であることに間違いないことが確認されたが,甲については,18歳であることが判明した。また,同公判において,結審した。裁判所は,甲,乙及び丙については,強盗罪の共同正犯である旨の心証を抱いたが,丁については,「公訴事実記載のとおり,甲,乙及び丙と共にVに対してその顔面を多数回殴打するなどの暴行を加えたことに間違いない。しかし,これは,Vを痛めつけるために行ったものであり,Vからバッグ1個を奪うためではない。Vからバッグ1個等財物を奪う話は誰からも聞いたこともない。」との丁の公判廷での供述のとおり,強盗罪の共謀までは認められず,前記強盗の手段である暴行につき,甲,乙及び丙と共に実行行為に関与したものとして共同暴行(暴力行為等処罰に関する法律第1条違反)の共同正犯にとどまる旨の心証を抱いた。さらに,戊については,犯罪の証明がない旨の心証を抱いた。
【記 述】
ア.裁判所は,少年であることが判明した甲については,決定をもって,事件を家庭裁判所に送しなければならない。
イ.裁判所は,乙につき,有罪の言渡しをするには,罪となるべき事実のみならず,証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない。
ウ.裁判所は,丙につき,有罪の言渡しをするには,宣告により判決を告知する必要があり,宣告をせずに判決書謄本を丙に交付するだけでは,丙に判決を告知したことにはならない。
エ.裁判所は,丁につき,強盗罪の訴因から暴力行為等処罰に関する法律違反の罪の訴因に変更する手続を採っていないことから,有罪の言渡しをする余地はない。
オ.裁判所は,戊につき,無罪の言渡しをする場合には,決定ではなく,判決でしなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ4.イ オ 5.エ オ (参照条文)暴力行為等処罰に関する法律
第1条団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ,団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治40年法律第45号)第208条,第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル者ハ3年以下ノ懲役又ハ30万円以下ノ罰金ニ処ス 検討
アについて、少年法の規定がどうなっているかは知らないので、とりあえずパス。
イについて、有罪の言渡しには犯罪事実、証拠の標目、法令の適用は示さないといけないので、正しい。
これで、3と4は切れる。
ウについて、これについてもその通り。正しい。
これで、1は切れる。
エについて、これは2と5どちらにも入っており間違いなのは確実なので、検討しない。
オについて、無罪の言い渡しを決定でできるわけがない。正しい。
以上から、正解はアとエの2になる。
暴力行為等処罰ニ関スル法律なんてあるが、全く関係なく肢が切れて正解が出せる。下手をすると、【事例】すら読む必要がない。外国人であるや特別法を持ち出すや、何人も登場させて受験生を惑わせているが、必要なのは肢を冷静に読むことだけ。
また、アからウの肢がよくわからなくても、エは縮小認定から「余地はない」ことはありえず間違いとわかり、後はオの肢が正しいことも基本的な知識であるので、とりあえず2が正解とすることも可能。
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司法試験短答過去問検討
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〔第33問〕(配点:2)
次の【記述】は,酒酔い・酒気帯び鑑識カードの証拠能力に関する最高裁判所の判例を要約したものである。【記述】中の①から③までの()内から適切な語句を選んだ場合,その組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№60]) 【記 述】
本件「化学判定」欄は,甲警察署巡査Aが被疑者の呼気を通した飲酒検知管の着色度を観察して比色表と対照した検査結果を検知管の示度として記入したものであり,また,被疑者の外部的状態に関する記載のある欄は,同巡査が被疑者の言語,動作,酒臭,外貌,態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印を付ける方法によって記入したものであって,本件「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」のうち以上の部分は,同巡査が,被疑者の酒酔いの程度を判断するための資料として,被疑者の状態につき前記のような検査,観察により認識した結果を記載したものであるから,紙面下段の調査の日時の記載,同巡査の記名押印とあいまって,①(a.刑事訴訟法第321条第3項にいう「検証の結果を記載した書面」b.刑事訴訟法第321条第4項にいう「鑑定の経過及び結果を記載した書面」)に当たるものと解するのが相当である。(中略)「外観による判定」欄の記載は,同巡査が被疑者の外部的状態を観察した結果を記載したものであるから,②(a.検証b.鑑定)の結果を記載したものと認められる。(中略)本件「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄は,同巡査が所定の項目につき質問をしてこれに対する被疑者の応答を簡単に記載したものであり,③(a.被疑者が作成した供述書として刑事訴訟法第322条第1項の書面b.同巡査作成の捜査報告書たる性質のものとして刑事訴訟法第321条第1項第3号の書面)に当たるものと解するのが相当である。 1.①a ②a ③a
2.①a ②a ③b
3.①a ②b ③a
4.①b ②b ③b
5.①b ②b ③a
検討
「判例の要約」とあるが、判例事態は判例六法でチラッと見たくらいしか記憶に無い。
そこで、理屈から解いていくと、①について、巡査が記載した書面が鑑定のはずがない。そこで①はaになる。
そして、②について、ここも同じく鑑定のはずがないので、aになる。
次に③について、供述書、報告書どちらも入りうるが、「被疑者の応答を簡単に記載したもの」でしかない書面だったら、より厳格な伝聞例外を定めている321条1項3号の要件のほうが馴染みやすい。
なので、③はbが正しい。
以上から、正解は2になる。
間違えた受験生は1を選んだのが多いらしいので、③でaを選んでいる。「被疑者の応答」→供述調書、と飛びつかず、しっかり問題文を読んでやる事が必要。
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〔第28問〕(配点:3)
証拠調べに関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものの組合せは,後記1から5まで
のうちどれか。(解答欄は,[№55])
ア.裁判員裁判において,被告人又は弁護人は,証拠により証明すべき事実その他の事実上及び法律上の主張があるときには,検察官の立証が終了した後被告人側の立証を始めるに当たり,冒頭陳述によりその主張を明らかにしなければならない。
イ.公判期日において検察官が証拠書類又は証拠物の取調べを請求する場合には,あらかじめ被告人又は弁護人に閲覧する機会を与えなければならず,弁護人が証拠書類又は証拠物の取調べを請求する場合には,あらかじめ検察官に閲覧する機会を与えなければならない。
ウ.弁護人から鑑定の請求があった場合,裁判所は,これを採用するか却下するかについて参考にするため,検察官に,刑事訴訟法第326条の同意をするかどうか聴かなければならない。
エ.証拠調べの請求は,証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して行わなければならず,裁判所は,その関係が明らかにされていないときは,証拠調べの請求を却下することができる。
オ.地方裁判所の証拠決定について法令の違反があるときは,これに不服がある当事者から,審
理の終結を待たず,高等裁判所に対して不服申立てをすることができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ4.ウ オ 5.エ オ 検討
アについて、その通りとも言えなくは無さそうだけど、よくわからないので保留。
イについて、これはそのとおり。正しい。
ウについて、知識では持ち合わせていない。しかし、326条は伝聞例外の話だし、鑑定は裁判所の判断を助けるものだから反対尋問云々という趣旨は妥当しない。なので多分間違い。
エについて、これはそのとおり。正しい。
オについて、証拠決定において独立して不服申立てできないというのは過去問でもあったはず。駆け込み両訴にすら乗っていた話。間違い。
以上から、正解は3になる。
アについては、刑事手続の第1審の概要を読んでいれば書いてあるはなしだから、知識として持ち合わせていてもおかしくはない。
組み合わせ問題は、解ける肢が後ろにあることが多いので、オあたりから検討していくのがいい。
326については、条文番号を口述でも聞かれているので、しっかりと覚えておくべき。
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〔第27問〕(配点:3)
保釈に関する次のアからオまでの各記述を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[№50]から[№54])
ア.裁判所は,保釈を許す場合だけでなく,保釈の請求を却下する場合にも,検察官の意見を聴かなければならない。[№50]
イ.定まった住居を有する被告人が,逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるということのみを理由に勾留されている場合,被告人から保釈の請求があったときは,裁判所は保釈を許さなければならない。[№51]
ウ.裁判所は保釈を許す場合,保釈保証金の没取という威嚇以外の手段により被告人の出頭を確保することができると考えるときは,保証金額を定めないことができる。[№52]
エ.裁判所は,勾留されている被疑者から保釈の請求があった場合には,捜査機関からの出頭要請に応じることや被害者等との接触禁止など適当な条件を付して,保釈を許すことができる。[№53]
オ.保釈中の被告人に対して懲役4年の刑に処する判決の宣告があったときであっても,判決が確定しなければ,被告人を刑事施設に収容することはできない。[№54]
検討
アについて、これは条文上そうなっていたはず。正しい。
イについて、勾留理由と権利保釈の適用については関係なかったはず。多分間違い。
ウについて、保釈の定義から保釈金を設定するのは必要的。間違い。
エについて、保釈請求できるのは被告人だけ。間違い。
オについて、禁錮以上の刑の宣告があれば保釈は失効する。間違い。
以上から、1,2,2,2,2になる。
細かい条文まで聞いてくる問題。
エについては正答率が10%台であったが、これは基本的な知識で正誤の判断ができた。間違えた受験生は、被疑者を被告人と読み間違えたものと推測される。
せめて、部分点は取りたい問題。
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〔第24問〕(配点:3)
告訴に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例に照らして,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[№47])
ア.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。捜査の結果,甲が宝石と一緒に現金を盗んでいたことが判明したが,Aは追加の告訴をしなかった。この場合,検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても,親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
イ.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴したが,後に告訴を取り消した。捜査の結果,甲が宝石と一緒に現金を盗んでいたことが判明したため,Aはこの現金を窃取した事実を告訴した。この場合,検察官が現金を窃取した事実で甲を起訴しても,親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
ウ.弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。捜査の結果,甲が宝石と一緒にAと同居している妹Bからも現金を盗んでいたことが判明したが,Bは告訴しなかった。この場合,検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても,親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
エ.胸を触られ強姦されそうになったことは許せない旨の強姦未遂の告訴を被害者から受けて捜査をした結果,強制わいせつの事実が判明した場合,被害者による強姦未遂の告訴は,それより軽い強制わいせつの事実を当然包含しているから,検察官が強制わいせつの事実で起訴しても,親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
オ.深夜無理やり自動車に連れ込まれ強姦されそうになったことは許せない旨の強姦未遂の告訴を被害者から受けて捜査をした結果,わいせつ目的略取未遂の事実が判明した場合,強姦未遂罪とわいせつ目的略取未遂罪は,観念的競合又は牽連犯の関係に立ち,一方が他方を包含する関係にないが,被害者による強姦未遂の告訴があれば,検察官がわいせつ目的略取未遂のみの事実で起訴しても,親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ ウ4.ウ オ 5.エ オ 検討
アについて、甲は宝石と一緒に現金を盗んでいるので、当然に告訴の効果は現金の窃盗にも及ぶ(客観的不可分の原則)。
なので、正しい。
イについて、告訴を取り消すと同一事件について再度告訴はできなくなり、一緒に盗んだ現金についても不可分の原則により告訴できない。なので、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならないことはない。
よって、誤り。
ウについて、宝石と一緒に現金を盗んで入るが、現金は妹Bのものである。告訴に主観的不可分の原則はあるが、それは共犯者についての話。Bについても別途告訴がないと起訴できないはず。
なので、誤り。
エについては組み合わせとの関係でとりあえずパス。
オについて、客観的不可分の原則は科刑上の一罪の場合にも及ぶとしても別に違和感はない。
なので多分正しい。
以上から、正解はイ、ウの3になる。
正答率が30%台の問題。
イの肢について判断するのに必要な知識である客観的不可分の原則と取消後の再告訴不可は基本的なもの。組み合わせにされることで正誤の判断を間違えたと思われる。
落ち着いて検討することが必要。
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