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わたしの住む長崎の方言に「がんばらんば」という言葉がある。
これは「がんばらなきゃ」が、最も適切な標準語訳であろう。今以上に精進し、より良い成果のために
努力をしていきましょう、という意味である。2014年に長崎で開催される国民体育大会の名前は
「がんばらんば国体」と銘打ち、予定されている。
しかし、この「がんばらんば」は、使用するにあたり、とても気をつけなければならない言葉である。
対話をするにあたり、もしAさんがBさんに対して「がんばらんば」と言うとする。これは必然的に
「がんばらんば、いかんばい」
と言っているのである。標準語訳は「(あなた、がんばらなければいけませんよ)」となる。
私たち長崎に住む人間は、この正確な意味を省みる事なく、話者に対して奮起を促す意味で、
言っているのであるが、これは
なんと、高圧的で、失礼な言い回しだろう。
と、考えてしまうのである。がんばらんば、と言った本人はいったい何様で、自分がどれだけ
相手をさげすんで、ものを言っているのだろうと、普段あまり気にせず使っている、と私は思う。
この「がんばらんば」の本当の使い方は、じつは、おのれに対して言い聞かせる言葉なのである。
「(自分に対して)よし、がんばらんば!」
などと使用するのが最も適切な使用方法なのである。
同僚、あるいは部下に対してならば、言ってよしの言葉も、明日の日本のスポーツシーンを担う
アスリート達の卵たちに対して尊厳をもって、迎えもてなさなければならない立場にある人間が、
考え浅はかに、地元でポピュラーな言葉である事から、かくも軽んじて国体の冠名に採用するとは
かたはらいたい。
もし福島のみなさんに対するアクションも兼ねたダブルミーニングなら、もっとタチが悪い。
福島のみなさんは「がんばらざるをえない窮地の状況」であるのに、がんばらんば?
わたしは郷土愛を持っているつもりだが、こういった考え浅はかに人の心情を逆撫でするような
ことしか考えつかない人間と同郷であるかもしれないと思うと、憤りをどこにぶつけていいのか、
わからない。。
この「がんばらんば」は話者に対して言う事がもっとも多く、尊厳をもって接する上司、あるいは
お客様など、もてなしの対象者に対して言う言葉でない。また自分自身に対して言い聞かせる事は、
かなりまれである。
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