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琉球王朝漆器 銅造釼 鉄地銀象嵌辻金物坐金 七宝繋地雲鳳凰 錫縁沈金蓋物
1500年頃
サイズ 直径26cm 高さ9cm(取っ手を含む)
(1) 概要写真
拡大可能の写真もあります
* 境界文様です
蓋と身の文様は続いています
従って高さの高いものを切って低いものに直したのでは
ないということが分かります
つまり元から平べったいということです
*取っ手です
坐金の取り付け部を見れば、後になってから取り付けたものでなく、最初から坐金は付いていたことが分かります
この玉ねぎのような形の宝珠は「如意宝珠」と言われます
「如意宝珠」は意のままに宝を降らす珠のことで、さまざまな病気や苦しみを取り除き、この珠を手にするとあらゆる害毒から逃れられると伝えられています
宝珠は鳳凰の肝、龍神の脳の中にあると考えられています
* 桐箱、シフクなどよい造りです
(2) 旧王朝の歴史
現沖縄は14C、北山、中山、南山が鼎立していましたが、1429年に中山王 尚巴志によって統一され、国家的基盤が整えられ琉球と称されました
その後1609年の島津侵攻までの約200年を旧王朝と言います
1429年に成立した琉球王朝は、中国との朝貢貿易を中心に朝鮮・日本・東南アジア諸国との交易と文化交流を通して、独特な王朝文化をつくりあげました
特にに中国からは、朝貢国として破格の待遇を受け、多くの文物と各種の技術が伝わりましたが、その一つが琉球の漆芸だと考えられています
(北山、中山、南山が鼎立している頃より、中国明王朝 洪武帝の元に入貢していたので、中国文化の影響を強く受けていました)
この記事の沈金蓋物はこの旧王朝時代、1500年頃に旧王朝によって造られたものと思われます
(浦添美術館にて確認しました)
(3) 類例
当時の作品を、日本に渡ってきた中国物を含めて紹介してみます
* 緑漆鳳凰雲点斜格子沈金丸櫃
15C末〜16C
D19 H17cm
琉球最古の丸櫃と同型のものです
金具のついている丸櫃は少ないです
* 黒漆日輪鳳凰雲点格子沈金丸櫃
D19 H19cm 16C
下の写真の上にある丸い文様が日輪です
文様の中心部に位置しています
「日輪に瑞雲鳳凰」文様は王権の象徴として用い られていました
* 朱漆牡丹七宝繋沈金丸櫃
1523年制作と認定されています
地紋は格子に点でなく丸になっていて、これを七宝繋文といいます
京都高台寺蔵
沈金を中国では鎗 金といいます
琉球王朝と明朝の 七宝繋文の比較のためにUPしました
琉球王朝と明朝のものがまったく同じものである
ことが分かります
地文は格子点地文から七宝繋文に変わってい きました
* 中国 明朝 雲鳳鎗金手箱
東大寺 重要文化財
50x46 H50cm 斜格子地文に雲と鳳凰が彫られています
(4)沈金とは
漆塗りの面にのみや刀で文様を彫り表し、そこに漆を摺りこんでそれが乾かないうちに金箔や金粉を綿などで押し込み、文様以外の 金を拭き取り、刻線内に金を付着させて文様を表す技法です
写真でお分かりのように、気の遠くなるような緻密な細工ものです
琉球のこの記事のような細工物は、当時琉球に中国から技術指導に派遣された熟練漆工の指導の下に琉球王朝が制作したものではないでしょうか・・・
これが造れる漆工がそう簡単に養成できるとは想像しにくいところです
(5)記事の沈金蓋物の特徴
この 沈金蓋物は上記のように種々の文献を調べたのですが類例が見つかりませんでした
美術館の学芸員の方も類例を見たことのないものですということでした
その特徴と私の拙い考察を記してみます
① 形が平べったい丸櫃である
用途は不明であるが、祭事の際の装身具などを入れたのではないか・・・
② 丸櫃で金具の付いたものは例が余りないが、これには宝珠型の取っ手が付いていてこの時代の他の工芸 品を見ても例が見つからない
③ 坐金は鉄銀象嵌で、この材質をつかった金具をつけたこの当時の漆器は、琉球、中国を含め見つからない
当時の類例の金具は中国物を含めて、全て銅かそれにメッキをしたものである
銀象嵌は格子文様に彫込まれている
④ この取っ手は当然蓋の中心にあり、類例の黒漆日輪鳳凰雲点格子沈金丸櫃の日輪として配置されている
と考えられる
などの他には見られない特徴があります
これはたった1つしか造られなかったからではないかと推察していますが果たして如何なものか・・・
もしかして世界で1つしかないのではないかと・・・
いくら勉強してもつきることがありません
いずれ、沖縄の美術館や東京国立博物館などを訪ねてみようと思っています
(5) 宝珠型取っ手について
1月12日に東京国立博物館の展示を見に行きましたときに宝珠型取っ手の付いた茶釜が2つありました
いずれも室町時代の茶釜でした
*芦屋浜松図真形釜
重文 室町 15C
<参考文献>
琉球漆器 徳川美術館他、尚王家と琉球の美展図録 MOA美術館、琉球漆芸 浦添美術館、図版資料 鎗金・沈金・存星 東京国立博物館、CHINESE LACQUER Sir Harry Garner、中国の美術6工芸、中国美術全集8 京都書院 etc
この沈金蓋物は、琉球漆器の権威H氏の推奨により購入することとなりました
私などでは到底探しきることなどできない代物です
しばらく手元に置いて楽しむことが出来ます
有難うございました!!!
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