インドの東部、ベンガル湾に浮かぶアンダマン・ニコバル諸島をご存知だろうか。
ここはインド政府が国防上の理由から、外国人の立ち入りを制限している。
 
実は立ち入り制限は国防だけが理由ではなく、原住民の保護政策もかねているという。
この島に暮らす文明を持たない部族「ジャラワ族」が存亡の危機に直面している。
 
部族は1998年まで外界との接触を拒んできたのだが、近年になって、同島の開発が進み、観光客が彼らの生活を脅かすようになってしまったのだ。
 
このまま行くと2010年に部族が絶えたボ族と同じ道をたどるのではないかと、専門家は警鐘を鳴らしている。
 
最近明るみになった事実として、インドの旅行会社が「人間サファリツアー」なるものを企画し、観光客を招待しているそうだ。
 
さらには現地警察が旅行会社や現地ガイドからの賄賂を受け取り、部族が踊りを強要されているのを見過ごしているという。
 
文化を持たないジャラワ族は服を着ていない。403人の部族は性別を問わず、ほぼ全裸に近い状態ですごしている。当然ながら他の文化とは相容れない部分も少なくなく、食生活も独自の歩みを続けている。
 
ところがここを訪れる観光客は、車中からお菓子やバナナを投げ与え、踊りを踊るようにと命じるのである。
本来であれば、警察が厳しく取り締まる必要がある
 
。彼らの住むエリアには、ゲートが設けられており、次のように書かれているそうだ。
 
「ジャラワ族に食べ物を与えないでください。無断での写真・ビデオの撮影を禁じます。
無断で撮影した場合には、カメラの没収を含む法的措置を講じます」
 
この文言自体も、非人道的なものであるといわざるを得ない。
しかしこの注意書きの効力は、ほとんどないに等しい。
 
というのも、警察は現地ガイドから賄賂を受け取っており、食べ物を与える行為や撮影を見過ごしているのだ。
 
最近海外のネット上に公開された動画では、部族の女性が「食べ物をやっただろ!」といいう理由で、観光客から踊りを強要されているのである。
 
問題はこれだけに留まらない。現地警察によって物乞いの方法を教えられ、お金やタバコを手にする者さえいる。
 
さらにひどいケースとしては、部族の女性が外部の男性との間に子どもを宿したのだが、部族は子どもを仲間と認めずに死に至らしめてしまったそうだ。
 
伝えられるところでは、彼らはアフリカからアジアに移り住んだ最初の人々と言われている。
このまま行くと、部族存亡は困難になるだろう。
 
部族の保護活動をしているデニス ・ジャイルズ氏は「外部との接触は非常に大事なことだ」としながらも、「しかし、彼らに与えるものがカルチャーショックであってはならない。
 
彼らに相応しいペースで、文化を伝えるべきだ」と注意を促している。
また、「ジャラワ族は(観光客から)残酷な扱いを受けている」とも説明している。
 
残念ながら外部との接触は、デニス氏が願うような緩やかなものではなく、旅行会社や現地ガイドの案内で、部族のエリアに足を運ぶ人があとを絶えない。
 
警察の腐敗も彼らの存亡危機に、拍車をかけている状態だ。
部族が途絶えたボ族のようにならないことを願うばかりだ。
 
参照元:MailOnline(英語)