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猫足立ちというのは空手独特の立ち方ではないだろうか。 後ろの足に重心を大きくのせ、歩幅を小さくとり、前足の踵を上げる。 重心の配分は、前足30%後ろ足70%、あるいは前足10%後ろ足90%などとされる。 そして、上体の構えは、だいたい前羽の構えか、天地の構え、開手の中段などとなる。 しかし、K-1や総合格闘技の試合ではこんな構えをしている人を見たことがない。 空手の組み手試合であっても、このような構えを見ることは少ない。 (一昔前の極真の試合などでは、たまに観ることができたが) 猫足立ちは、型の中のみに現れるものであり、 前時代的な構えと考えられているのではないだろうか。 私は猫足立ちが結構好きである。 なぜ現代の空手において、猫足立ちが用いられることが少なくなったのだろうか。 その理由を考える。 1.金的蹴りがルールで禁止されているため 最も効果的な蹴りとは何か?と問われれば、私は"金的蹴り"を有力候補に挙げるだろう。 金的は蹴りが比較的安全に狙うことができる急所である。 足を高く上げる必要もなく、また少ない力で大きな効果を挙げることができる。 (ストリートファイトであれば革靴なのでより効果的だ) また、蹴りのカウンター攻撃としては最適である。 蹴りはリスクが高い技だと以前にも書いた。 蹴りというのは、ヒットポイントを外されるとその威力は激減する。 蹴りをキャッチされることも容易となる。 例えば、蹴りにおいて引き足は、空蹴りであれば早くとることができる。 しかし、少しでも蹴り足に手などで触れることができれば、 途端に意識が引き足に集中できず、引き足の速度は遅くなってしまう。 それをキャッチするのはたやすい。 (ヒットポイントを外すこと、そして軽く触れるという技術は難しいが) 蹴りをキャッチしたら、すぐさま金的を狙う蹴りを放つ。 非常に効果的な攻撃だ。 相手は金的の上に両手を重ねて守ることしかできない。 (因みに、自衛隊の格闘術でも蹴り足をとられたらそのように防御するという風に技を教授されていたように思う。もちろん相手は軍靴なので、自分の手は使い物にならなくなるのだが) 蹴りをキャッチした場合だけではない。 通常の廻し蹴り、突きに対するストッピングは前蹴りを用いることが多いが、 金的蹴りも非常に有効である。 ストッピングは、試合では廻し蹴りする腿を前蹴りで止めたりするが、 腿の付け根あたりを止めるのも有効である。 これが金的であれば、より小さい動作ですばやく相手の動きを止めることができる。 そして金的蹴りを小さい動作ですばやく放つのに適した構えが猫足立ちなのだ。 金的蹴り、あるいは関節蹴り(膝関節付近を蹴込む)が許されるルールであれば、猫足立ちは多用されるのではないだろうか?(実際には、そのようなルールは危険すぎてありえない。いや、大道塾では体重差が大きい場合には金的蹴りが認められていたルールもあったような気がする。) 2. 相手の衣服をつかむことが禁止されているため 猫足立ちは歩幅が狭いため、前後に大きくステップするような動きには向いていない。 基本的には、流水のサバキを行うことを目的とする。 すなわち円の動きである。 円の動きでさばくことができれば、相手の背中側に入ることも可能である。 もちろん私はそこまでの技術は全然持たない。 だが大山倍達氏は、一番の得意技は何かと訊かれて、"相手の後ろに入ること"と答えている。猫足立ちを最も得意とした氏ならではの答えだと思う。 相手の後ろまで入らずとも、側面に入れば相手をコントロールすることも可能である。 このとき、相手の衣服をつかむことができれば、より容易に相手をコントロールできる。 このような戦い方が許されるならば、猫足立ちも再び評価されることだろう。 3. 威力ある突きは歩幅が広くなければ出せないと考えているため 威力ある突きは歩幅が狭くとも放つことができるというのが私の考えである。 胴体の運動量を伝達することができればよいのだ。 この点については、以前に私見をまとめた。 4. 試合は多人数を想定していないため 試合は、1対1で行われる。 しかし、実戦ではそうとも限らない。 護身術では、常に複数の敵がいると考えなければならない。 多人数の相手を考えると、前屈立ちのような歩幅の広い立ち方というのは、 どうも都合が悪くなるのではないだろうか? 1対1であるならば、目の前の敵に集中すればよいので、前屈立ちのような戦い方もあると思われるが、全方向に対応するには、歩幅の小さいほうが都合が良いのではないだろうか。 以上、試合のルールが現在の戦い方を決めており、猫足立ちはそのために用いられなくなったのではないかと考えられる。 確かに金的がルールで禁止されていれば、金的を守る必要はなく、 現在良く試合に見られるようなローキックに対応が容易なスクエアなスタンスの構えが 最も試合に適しているだろう。 このように、試合のルールと戦い方の間には、非常に難しい問題が存在している。 (剣道もその良い例である) では、試合が無くていいのか。 そのような選択をした武道もある。 だが、そこにはすぐに馴れ合いという恐ろしい罠が口を開けて待っている。 本当に難しい。
いつになっても答えはでないかもしれない。 |
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なるほど〜そうですか〜。そう言えば昔、極真の組み手で猫足立ちの人をビデオで見たような気がします。
2005/12/8(木) 午後 11:47
押忍、猫足だとやれることがかなり制限されるので読まれ易くリスクが大きいかと!ただ少林寺とかの待ち蹴りには最適ですがねw
2005/12/9(金) 午前 0:13 [ 猫灰だらけ ]
猫足好きですけどね。前蹴りも出しやすいし、次の動作に移りやすいように思います。剛柔流では相手の攻撃を待って攻めにかえるって言われたので、猫足よく使ってます。
2005/12/11(日) 午後 4:00
猫足立ちというのは太極拳の虚歩に似ていますね。 太極拳の蹴りは主に下腹部と金的を狙うとどこかで読みましたが用法としては空手と同じなのでしょう。 武術の試合というのはあくまで模擬戦ではないかと思います。 本当の武術は相手が倒せれば何でもありの、ルールなんて必要ない世界ですから、それを試合という平和なシチュエーションでやろうとすればおのずと金的は禁止みたいなルールが生まれるのでしょうね。
2005/12/11(日) 午後 10:17
昔「ジョジョの奇妙な冒険」と言う漫画であるキャラクターが、いかなる方向からも敵がきてもいいように、猫足立ちで構えるシーンを思い出しました。でもこの姿勢って辛いですよね。鍛えるにはもってこいの姿勢!
2005/12/11(日) 午後 10:50 [ 八雲 ]
疾風さん、極真で猫足というと、山崎選手位までさかのぼらなくてはならないのです(天地の構え!)。なかなかツウなところをつかれますね!
2005/12/13(火) 午前 0:20 [ ミサキ ]
nekohai1860さん、おっしゃるとおり猫足立ちで攻撃というのは、ちょっと大変です。だからこそ防御かカウンター中心の戦法になり、サバいて最後は金的か下段蹴りで極めるというパターンになるかと思います。待ち蹴りとはまさにこの用法だと思います。少林寺には金的を蹴るときに足首をわざと反す口訣があるのだとかという噂を聞いたことがあります。
2005/12/13(火) 午前 0:23 [ ミサキ ]
ruiruiさん、剛柔流は猫足立ちが特に有名ですよね。山口剛玄氏の猫足立ちって、写真を見ると凄いですよね。もちろん、構えは固定するものではなく、流れの中で変化していくものです。その中で猫足はやはり待ちの構えなのかと思います。
2005/12/13(火) 午前 0:25 [ ミサキ ]
中国拳法も古式のものは護身術が主目的なので、上段蹴りなどはなく、上下をうまく虚実を使って攻める戦法が主ですよね。蹴りは確実に相手を倒せる下腹部と金的狙い。私もそのように聞いています。試合はもともと技量を競い合うものですから危険は排除されなければなりません。実は私の稽古している武道では、試合は死命を制するものであるとの理由で禁止されています。
2005/12/13(火) 午前 0:29 [ ミサキ ]
「ジョジョの奇妙な冒険」という漫画にも出てくるのですか。初めて知りました。多人数を想定すると歩幅は小さい方が有利のように思えます。歩幅の大きいものに名人なし。との古い言葉も残されています。
2005/12/13(火) 午前 0:30 [ ミサキ ]
格闘競技はあくまで競技であり、実戦とは違うというのがよくわかりますね。確かに総合格闘技という競技も金的や目をついたり指を1本だけつかんでひねったり、かみついたり、といったさまざまなことを禁止していますね。しかし、何でも許すと危険だし、鍛練してない、か弱い女性でも「覚悟」が相手より強ければ勝てる可能性がありますね。武道とは何か、武術とは何か、考えると難しいですね。
2005/12/13(火) 午後 11:55
へなさん、その通りです。何でもアリの試合など誰も見たくないのです。その中で道徳心を失わないものが侍の誇りだったのかと思います。しかし、武士の果し合いも昔はひどいものが多かったようですね。話変わって、女性が男性に勝つのは本当に難しいと私は考えています。
2005/12/16(金) 午前 1:00 [ ミサキ ]
中国拳法からはパクったのが猫足立ちですよ
2018/8/8(水) 午前 9:09 [ あ ]