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先々週の金曜日は,大雪の福井に出張してきた. 少し時間があったので, 福井市美術館で開かれていた 横尾忠則展を観に出かけたのだった. (今日, 美術館から案内が届いていて, それを思い出した) 美術館は郊外にある. 駅前から無料バスが出ていて. 30分かけて美術館へ向かい, 20分だけ作品を観て, 30分かけて駅へ戻るという行程だった. ちょっぴりせわしない. しかし,雪の福井の町を車窓から眺めながら, 心はずいぶん落ち着くことができた. また湿った雪道の匂いは,私の故郷を思い出させてくれた. 雪は,人の心もクールダウンしてくれるらしい. 横尾忠則の作品は,2階の市民ギャラリーにあった. 作品は20個も無い. 小さな展覧会である. しかし,平日の昼間というのに 私の他に鑑賞者が二人も居て,正直驚いた. 作品数は少なかったけれど, 逆にそれが幸いして,各作品に集中することができた. 作品は,彼が一時期発表したピンクガールシリーズや, Y字路シリーズなどである. 私はこのY字路シリーズが好きである. なぜ人は分かれ道に心惹かれるのだろうか. 夜の街灯に照らし出されたY字路. 商店の看板の上に影が落ちている. 路の行く手は暗くて見えない. あるいは夏の強い陽射しに照らされた住宅街のY字路. 木の葉陰が路の上に色濃く描かれている. 白い夏の光,住宅の赤い屋根,木々の緑との陰のコントラスト. そのひとつひとつが何か意味を持っているように感じてしまう. こうして季節や天候によって印象は変わるけれど, それらはただY字路をもつ街角に過ぎない. しかし,それだけの風景なのに, 私たちは何かを掴み取り,じっと絵を見つめてしまう. その何かは,これらの絵が鏡のように映し出す私たち自身の深層なのだ. そうした力がこの作品群にはある. その他にも,商業ポスターの作品などもあった. こうしたポスターに描かれた図柄・字面は なにか心にひっかかるものばかりである. 配色も蛍光色で,はっきりいってしまえば気持ち悪い色遣いなのである. それでも私は目を離すことができなくなる. 生理的に拒否するものであるはずなのに, その一方で無意識はなにかを感じ, 意識がそちらに向いてしまう. そんな不可抗力の魅力が彼の作品にはある. この生理的に拒否してしまう気持ち悪さこそが 彼の作品の魅力なのだろうと思う. その気持ち悪さは,私たちの心の暗部に起因している. 日常生活の中で無意識に目をそらしている部分, それを彼の作品は暴き出しているように思う. それを強制的に目の前に差し出す, それこそが彼の作品の目的ではないだろうか. ポップなアートではあるけれども,
グロテスクで,エロティックで 暴力的に私たちの心に引っ掻き傷をつける. この引っ掻き傷から注入される彼の作品の毒は 確実に私を中毒者へと変貌させてしまっている. |
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Y字路・・人間が避けて通れない分岐店点のイメージがあるのですが、絵にはその先の深さを感じてしまいます。
一度本物の絵を見てみたいです(≧ω≦)
2008/2/25(月) 午後 0:45
横尾忠則さんの本が一冊だけあります・・私をインドにつれてって・・です。
彼、すっごくスピリチュアルな画家ですよね(^_^)/〜☆
2008/2/26(火) 午後 7:43 [ - ]
とむさん,そうですよね.意味深ですよね...本物はシルクスクリーンです.いい感じですよ.でも,精神的にちょっと影響を受けてしまうかも.そういうヤバさが彼の作品にはあります.
2008/3/2(日) 午後 10:42 [ ミサキ ]
あひるさん,横尾さんの本を読まれたことがあるのですか.彼にはいろいろと著作があるようですが,まだ私は一冊も読んでいません.いつか読みたいと思っています.
しかし,スピリチュアルな画家というのはほんとぴったりです.彼はUFOと交信できるコンタクティではなかったのでしたっけ?ちょっと怖いですけど...
2008/3/2(日) 午後 10:44 [ ミサキ ]
横尾忠則さんの「Y字路」シリーズを記事にしています。TBさせていただきました。
2008/6/6(金) 午後 5:05
わくわくさん,TB有難うございます.
世田谷美術館の「冒険王」観にいきたいなぁ.
わくわくさんの作品の読み解き,大変参考になります.
なにかひかれてしまうんですよね.Y字路シリーズって...
2008/6/8(日) 午前 0:36 [ ミサキ ]