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科学技術

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国際会議参加の意義

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本日韓国から帰国した。
今回の韓国訪問は、国際会議参加が目的だった。

国際会議の一番の目的はもちろん、
自分の研究成果を発表することだが、
それ以外にもいろいろな意義がある。
(実は今回は単に発表者のお目付け役として参加したので、
自分の発表はなく、ずいぶん気楽な出張だったが)

まず、自分の研究の"立ち位置"を確認することである。
国際会議では、各国の最新の研究成果の発表を目にすることになる。
そこで、もちろん自分の研究に役立つであろう情報もずいぶん得ることができるが、
それ以外にも、現在の世界の研究の潮流を知ることができる。
その世界の研究の潮流の中で、自分の研究がどのあたりに位置するのか、
そしてどこへ向かっていったらよいのか、
今後の研究の方針を決定するのに有用な情報を得ることができる。
すなわち、国際会議は、地図と羅針盤の役割を果たしてくれるのだ。
これは、大変大きな意義である。

次に、自分と同じ目的を持った仲間と交流ができることである。
お互いライバルではあるが、良き仲間でもある。
食事の場で交わされる苦労話は、似たようなことが多い。
国は違っても、同じ苦労を皆している。
安心するようで、また競争心がわきあがるようで、大いに奮起するものである。

最後に、自分と同じ研究をしている人たちだけでなく、
広い分野の人たちと面識ができることがある。
これは、本当に楽しい。
とはいっても、なかなか声をかけにくいのだが、
やはり同じホテルに泊まっている人や、
バンケットの席で隣に座った人などとは、
仲良くなれる。
利害関係無しでの交流は気楽だ。
次の会議でもまた会えることが楽しみになる。

ということで、今回の国際会議でも大きな刺激を受けた。
この成果を、十二分に活かしたいものだ。

#写真は、会議場の企業の展示ブース。
ガラスの中は、宝石ではなく、半導体チップ。
"ディスプレイが綺麗で宝石みたいだ"といったら、
受付の女の子が笑った。

エレベータ事故に思う

エレベータに関わる悲しい事故が起こってしまった。
高校生がエレベータに挟まれて亡くなってしまったのだという。
ニュースを聞くたびに心が痛む。
エレベータの誤動作が原因らしい。
電気機械の誤動作と聞いて思うところがあるので、
ここに記しておきたいと思う。

エレベータは実用されてから歴史は長く、
我々の身近な存在となっているので、
もはや円熟した技術となっている。
確かにそのとおりなのだが、いまだに技術開発が進められている。
薄型高トルクのモータの導入、そして、やはり薄型高効率のインバータの開発。
最近ではマトリックスコンバータという
小型・高効率化を実現する技術まで導入されてきた。
更に省エネ化を目指して、降時に一部電力を回生して
昇時に利用する方法まで実用化されようとしている。
しかし、こうした技術開発はハードウェアの電気機器に関わるものであり、
搬器の昇降という基本機能は変わらない。

では、何が変わってきたのか。
最も大きく変わってきたのは、その制御方法であると考えている。
エレベータに付加価値をつけるために、その制御方法が高機能化しているのだ。

より早く目的階に達する。
あるいは、振動をほとんど生じない。
加速感を感じない。また停止時にも減速感を感じず、不快感が無い。

これらの付加価値を高めるため、高度な制御技術が用いられている。
そして、こうした高機能な制御を実現するためには、マイコンが不可欠である。
マイコンが導入されたことによって複雑なアルゴリズムが実行され、
高速・快適なエレベータ運用が実現されるようになったのだ。



さて、今回事故があったエレベータは以前から不具合が発生する頻度が高かったのだという。
こうした場合の原因としてまず挙げられるのが、センサの不具合なのだが、
点検時には問題がなかったというのだから、そうではなかったのだろう。

ではどこが問題だったのだろうか。
私は、制御部が問題だったのではないかと推測する。
(あくまでも現時点での個人的な意見です。後日原因が異なっていてもご容赦下さい)
制御部、すなわちマイコンに搭載されているプログラムに不具合(バグ)があった可能性が高いのではないかと思っている。

ハードウェアの不具合は点検によって比較的発見しやすいものだが、
ソフトウェアのバグは、エレベータを停止した状態での点検では、
その発見は困難と思われる。

今回のエレベータのメーカはヨーロッパが本拠地であると聞く。
ヨーロッパではこのような不具合が頻発していないのだろうか。
もしもヨーロッパでは不具合発生の頻度が低いのであるならば、
日本にこのエレベータを導入する際に、
このメーカは日本向けに制御プログラムを変更したのではないかと懸念を抱いている。

日本とヨーロッパでは、いろいろな使用条件、環境などが違うために
制御プログラムを変更することは十分にありうることである。
例えば、本来センサからの信号によって動作するところを、
事情によってセンサを使用せずにタイマで動作するようにするとか、
マイコンが暴走したのを判断して動作を停止、あるいは初期状態に戻すような機能(ウォッチドッグタイマ)をマスクするとか、
いろいろと細かいところで、日本用にカスタマイズすることが考えられる。
こうした変更によって、不具合の原因となるバグが生じたのではあるまいか。
そんな風に疑ってしまう。

たとえ日本で開発された制御プログラムであったとしても、
近年、バグが発生する可能性は以前に比べ急激に増加していることは間違いないのだ。
先に述べたような高機能化を実現するために、
マイコンに搭載するプログラムの量が急増している。
プログラムの長さは、数千行どころでは済まないだろう。
そこに1行たりと間違いが無いようにすることが、どれだけ困難なことが想像に難くない。

実は、この問題は根が深い。
最近、携帯電話やデジカメにおいても同様の問題が発生している。
ソフトウェアの不具合のために、
携帯電話等のプログラムの書き換えをメーカが無償で行うケースが増えているのだ。
これも高機能化に伴うプログラムの増大が原因のひとつといえる。
プログラムの量は急増しているのに、

プログラムを作成するマンパワーが少ない(エンジニア不足)
そして競争が激化しているために、開発期間が短い(時間不足)

などの状況が起きており、そのために
バグを取る(デバッグ)に当てる時間が削られているのだ。

デバッグでは、いくつものテストデータを与えいろいろな状況を模擬し、
マイコンや装置が正常に動作するかをひとつひとつ確かめていく。
それは地道で時間を要する作業であり、一見後ろ向きに見えてしまう。
しかし、優れたプログラマーは最初からこのデバッグの時間に、
プログラム作成にかけた時間よりもずっと長い時間をかけるものである。

さらに、たとえ不具合、誤動作が起こっても、
それをフォローして安全を確保する機能も多重につけるようにする。
(フェイルセーフの考え方)
ただこの機能を付加するのにも時間と人手がかかってしまう。
しかし、現在は、安全確保のために人手と時間をかけることが、
会社の意向(競争の激化などが背景)によって、できづらくなってきているのだ。
今回のエレベータについても同様の状況が生じていて、
それが事故の原因になっていなければ良いのだがと思う。

しかし、それを決して言い訳にしてはいけない。
人の安全に関わる技術は、そうした手間ひまを惜しんではいけないのだ。
たとえプログラムの量が増大したとしても、安全に動作しなければならない。
航空機の部品数は数百万を越えるというが、それでも安全に動作しているではないか。
それは、やはり可能なことなのである。

と、ここまで問題がソフトウェア側だけにあるように論じてきたが、
やはりハードウェア側にも問題はあるように思う。
ハードウェア側にもマイコンとは別に独自で働く安全装置が備えられていたはずである。
なぜそれらが作動しなかったのか。
原因究明が待たれる。

今回の不幸な事件は本当に残念で仕方がならない。
数年前に発生した六本木の回転扉の事故を思い出す。
なぜ教訓は生かされなかったのか。
そこには、技術的な問題だけにおさまらない、
深い社会的な原因があるような気がする。
しかし、それは解明できるのだろうか。

<追記 2006.6.11>
現在報道されている情報では、どこに原因があるか未だ不明である。
ただ世界各国においても、同社のエレベータの事故があったようである。
(他社のエレベータ事故の頻度がどれくらいあるか、
それらと比較する必要はあるが)
わが国だけに限らないのであれば、やはりエレベータそのものに問題があるのではないかと推測される。
また、メンテナンス会社の責任についても注意していく必要がある。
こうした事態では、どうしても責任の所在が非常に問題になる。
我々にとって見れば、もはやありふれた日常品となっている「インバータエアコン」
このエアコンの歴史は意外にも浅い。
最近、あるエアコンメーカの方の講演を聴く機会があったのでここに紹介する。

日本で初めてエアコンが生産されたのは1961年のこと。
エアコンにはまだ暖房機能は無く、クーラーと呼ばれ、
3種の神器、3C(カラーテレビ、カー、クーラー)の一角を占める高級品だった。
従って、一般家庭への普及率もずいぶん低く、
百貨店にクーラーにあたりにいく、ということが近所の話題になっていた。

そして、1973年の石油ショック。
クーラーは最も電力を消費する電気製品のひとつだから、ずいぶんと打撃を受けたらしい。
その後の省エネ規制をクリアするためには、新技術の導入が不可欠であった。
それがインバータである。

インバータとは、簡単に言うと電気を直流から交流に変換する電気回路である。
あれっ?我々が使用しているのは、
周波数が50ヘルツか60ヘルツの交流ではなかったっけ?
と思われる人も多いはず。
(因みに一秒間に50回電流の流れる向きが逆転する電気を50ヘルツの交流と呼ぶ)

その通り。エアコンは交流で受電している。
しかし、例えば50ヘルツ一定の周波数でしか使用できないと、
室内機や室外機で使用しているモータが一定の回転数でしか運転できなくなってしまう。
モータの出力を上げるには高速回転が必要だし、
出力が同じであれば高速回転のモータの方が小型化できる。
つまり高速化が必要だったのである。

そこで、どうするかというと、
50ヘルツで受け取った電気を一旦直流(電池と同じように電流の向きが変化しない)に変換し、それをまた任意の周波数(300ヘルツとか)に変換してモータを高速回転するのだ。
これによってエアコンの電力消費量は劇的に減少することになる。

この技術は、1978年技術展にて松下電器が初めて発表し、
1980年に東芝が世界に先駆けて(!)日本で発売したものである。
そして1982年には、モータもそれまでの誘導機から永久磁石搭載の同期機に変わる、
さらに高機能型のエアコンが日立から発売されている。
(これによってモータの運転領域(回転数など)が大きく広がった)
またこれらの高機能化によって、エアコンは冷房だけでなく暖房も行えるようになり、
その普及に拍車をかけた。

その後も省エネ技術は更に積み重ねられ、現在では、エアコンの電力消費量はインバータを使用しない場合に比べて約70%も低減できるようになった。
低負荷時(部屋がある程度冷えた後、あるいは暖まった後の継続運転時)には、消費電力は200ワット程度にまで小さくなっている。現在は、そのうち電気回路部で消費されている20ワットについて、数ワット程度、さらなる低減をターゲットに開発が進められている。

1990年代以降は、エアコンの毎年の生産量は600〜700万台で安定しており、
そのほとんどがインバータエアコンである。
普及率としては88%。
日本国内にはエアコンが不要な地域も存在することを考えると、
必要とするほとんどの家庭にエアコンが普及したと考えてよい。
ここまで円熟した市場となったのである。

家庭内の消費電力量の内訳を見ると、エアコン25.2%、冷蔵庫16.1%、照明器具16.1%、テレビ9.9%、etc.(資源エネ庁「平成16年度電力需給の概要」)となっており、
エアコンがその約1/4を占める。
省エネが進んだといっているのに、その消費量が冷蔵庫を上回るのはおかしい、
と思われる方もいるかもしれない。
実はこれは、一家庭に複数台のエアコンが設置されていることを示している。

現在、日本には約4000万台のエアコンが設置されていると言われている。
たとえ、エアコン1台につき1ワットの省エネであったとしても、
日本全国では、4万キロワットにもなるのである。
今後も、エアコンの省エネ努力は続けられていくに違いない。

ここまで、一般化したインバータエアコンであるが、
アメリカではその普及率はなんと1%を切っている。
アメリカでは、効率が悪くとも、音がうるさくとも、安いエアコンを購入するのだ。
同じ部屋を冷やすにしても、アメリカでは日本の3倍以上の電力を
エアコンが消費していることになる。

しかし、アメリカでも少し風向きが変わりつつあるらしい。
シーズンを通して、省エネの規制が始まるのだという。
この規制をクリアするためには、やはりインバータの導入が不可欠である。
日本に約25年遅れて、ようやくアメリカでも
インバータエアコンの時代が始まろうとしている。
逆にいえば、25年進んだ世界最先端のエアコン技術を持つ日本のメーカにとっては、
アメリカは魅力的な市場ということになるのだろう。

だから、この某エアコンメーカはアメリカ進出のために企業買収を行った、
というオチとなっている。
新聞を読まれている方は、どのメーカかお分かりだろう。

*エアコンの台数の訂正をしました(4万台→4000万台)。salonenさん、ご指摘どうも有難うございます!

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