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脱原発・放射能
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まず、明治の粉ミルク『明治ステップ』から放射性セシウムが検出された、このニュースに関しては、何人ものリスナーからお便りをいただいております。皆さん、それなりにショックを受けていらっしゃる様子が文面からわかるんですけれども、このニュースをお聞きになって、小出さん、第一印象いかがでしょう?
(小出氏)<ため息>まぁ、仕方がないと思いますし、でも、明治の説明によると、事故の前にとれた牛乳だったというのですね。そうすると、混入過程がどうだったのかということになるわけですが、私は粉ミルクをどうやって作るのかよく知らないのですが、聞いた限りでは、乾燥するときに外部の空気を吹きかけて乾燥させるというようなことなのらしいのですね。 そうですね。
今のニュースもそのようにお伝えしました。 (小出氏)しかし、粉ミルクを作るときに、そんな外部のいわゆる細菌だらけというか、雑菌だらけの空気で乾燥するというようなことは、あり得るのですかね・・・? そうか、そちらの面からね。小出先生・・・。
(小出氏)粉ミルクというのは、私は衛生管理に気を付けて作られているものだと思っていたのですが、それも無いということになると、むしろそっちのほうが問題なのかもしれないと思ってしまいますし・・・。 工程を詳しく知った上で、どういうふうにしてセシウムが入って来たのかというとこを突き止めなきゃいけないということですよね。
(小出氏)まずはそれをしてほしいと思います。 本当、詳しく知りたいですよね。
(小出氏)はい。母乳にもですね、一時期セシウムが出ていたわけですし、そういう意味では、赤ちゃんを持っている母親は大変心配をしてきたでしょうし、母乳を与えないで粉ミルクに替えたという方も、ひょっとしたら居たはずだと思います。 ところが逆に粉ミルクを与えたら余計被曝をしてしまうということになってしまっているわけですから、いったい何がどこまで汚れているのか?ということを、しっかりと測定して、しっかりと伝えるということが、やはり必要なんだと思いました。 この数値について伺いますが、最大で1㎏あたり30.8ベクレルの放射性セシウムの検出です。国の暫定の基準値は、200ベクレルなんですね。だから200ベクレルに比べたら、30.8ベクレルというのはかなり下回っている数字なんですが、リスナーからですが、
『30.8ベクレルの値が出た粉ミルクを赤ちゃんが飲んでも、本当に大丈夫なんでしょうか?』 と質問してくださいました。 (小出氏)皆さん、ご心配なわけで、「大丈夫なのか、安全なのか」とすぐにそういうふうに頭に出てくるとは思いますけれども、私は何度もお答えしてきたつもりですが、放射線の被曝に関しては、大丈夫もなければ安全もありません。30ベクレルという値であれば、それなりの危険があるわけですし、国が定めた200ベクレルというものもそれなりの危険があると思わなければいけません。 できるだけ子供には汚染のないものを与えるべきなわけですから、粉ミルクにこういう汚染が入ってきている、そのこと自身が私は問題だと思いますので、なんとか少なくしてほしいと思います。 ただし、1㎏あたり30ベクレルという値が、何か途方もない危険を負わせるのか?というと、私はそうではないと思います。 赤ちゃんが飲めるミルクの量というのは知れてるわけですし、粉ミルクはもともと薄めて飲ませるものなわけですから、1㎏あたり30ベクレルって、赤ちゃんがどのくらいの期間で飲むんですかね?多分半月とかそのくらいはかかるのかもしれませんが、1年間のみつづけたとしても、30ベクレルの10倍、20倍というくらいしか多分飲まないはずですし、それを飲んだことによる被ばく量も、多分1マイクロシーベルトとか10マイクロシーベルトとか、そういう値にしか多分ならないと思います。 内部被曝ですので、評価によって随分幅がありますので、注意はしなければいけないのですけれども、それでも今現在、もう大地そのものが汚れてしまっていて、食べ物に関わらず、1年間に1ミリシーベルトを超えてしまうというような人がたくさんいるわけですから、このことだけに目を奪われるということも、また正しくないと思います。 なるほど。リスナーからです。
『ある放送局のニュースでは、「この粉ミルクはお湯で薄めるから大丈夫」とコメントしている女性の映像を見た。でも、本当は乳児の場合、限りなくゼロが望ましいと思うんですが?』 というふうにおっしゃってますが。 (小出氏)おっしゃるとおりです。 でも、もう全くない、つまりゼロであると、セシウムゼロであるという食べ物は・・・
(小出氏)ありません。 『ありません』か?いくら赤ちゃんのためでももう無理ですか?
(小出氏)はい、無理です。 事故の前のものであれば、かなり低いわけですけれども、それでも本当に厳密なことを言うのであれば、過去の大気圏内核実験の影響を受けていない食べ物はありませんし、チェルノブイリ原子力発電所の事故の影響だって、未だに引きずっているわけですから、完璧にゼロであるということは有り得ません。 うーん。はい。
(平野解説員)先生、もう一つ気になるのはですね、『文科省が学校給食の食材で40ベクレルというものを一つの規制値としてまとめた』というニュースが出てるんですけれども、学校給食の場合は毎日ですよね。 今、乳幼児のように薄まらないので、この数字もちょっとこう、大丈夫なのかな?という印象があるですけれども、これもやっぱり仕方ないんでしょうかね? (小出氏)平野さんも今「大丈夫なんかな?」という言葉をお使いになったけれども、 そりゃそうですよ。
(小出氏)「大丈夫」ということは、いずれにしてもないのです。ですから、どこまで子供たちに被曝を押し付けてしまうかということなのであって、私たち大人が出来る限り子供には被曝を押し付けるべきではないと、私は思いますので、限りなくゼロに近づけたいわけですが、何度も聞いていただいているように、ゼロにはもうできないのですね。ですから、できる限り汚染の少ないものを与えたいと私は思いますが、放射能の汚染検査ということの、こちら側の持っている測定器の数ですとか、使える時間というのが限られてしまっていて、今現在、全国の学校給食を測ろうと思うと、かなり・・・、精度の悪いといいますか、本当に低い汚染まで測定できるような測定体制が、まだとれていないのですね。 ですから、1㎏あたり40ベクレルというものを検出できるというようなことが、今のところ精一杯といいますか、せいぜいそんな段階でしかないのですね。 ですから、測定器で測って一応検出できないというレベルのものを学校給食に回そうと、そういう判断をされたのだと思います。 でも、私としては、本当はもっともっと低くしなければいけないし、測定体制を早急に強化して、せめて学校給食に関しては、もっともっと低い汚染度のものを回してほしいと願います。 これ、子供たちの食事、特に赤ちゃんの粉ミルクなどね、そしてまた牛乳など、こうした乳製品はチェルノブイリの事故の後、ベラルーシではどういうふうに考えてやったはるんですか?
(小出氏)もちろん子供たちに対しては低い汚染のものをということにしてきましたし、私、今数字自身、記憶にないんですけれども、多分1㎏あたりでいえば、2とか3とか、そういう値だったというように思います。 2、とか3ですか・・・!?
へぇ・・・。今の日本の暫定基準値は、1㎏あたり200ベクレルと私申し上げましたが・・・ (小出氏)暫定基準は、もう話にならないような形なので・・・ こちらが今200ベクレル、そしてベラルーシでは単位としてはもう100分の1の単位ということですね。
(小出氏)はい。すいません、正確ではないかもしれませんが、その程度だったと思います。 飲料水が確かね?今日本は200ベクレルの暫定値ですよね。しかし、ベラルーシでは確か、その20分の1だというふうに伺ったかと思います。
(小出氏)はい、もう桁が違っています。 はぁ・・・。
一刻も早く、やっぱりこの基準値を厳しくして、それに見合うような流通にするべきだと私なんかは思うんですが・・・、難しいですか? (小出氏)もちろん、いや、もちろん難しくはありません。やらなければいけませんけれども、それよりもっと前に、日本の国で1年間に1mSv以上は被曝をさせないと決めていたのに、もうそれを遥かに超えるようなところに100万人を多分超えるような人たちが、今現在生活してるわけですから、そちらのことをまずは何とかしなければいけないかなと私は思います。 ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。 【以上】 ※ベラルーシの乳幼児(3歳まで)食品の放射性セシウムの基準値は37ベクレル/kgです。 ピックアップ@アジア 「チェルノブイリと福島・ベラルーシから学ぶこと」 2011年8月4日石川 一洋 解説委員 【参考記事】 セシウム:明治の粉ミルクから検出 40万缶無償交換へ 毎日新聞 2011年12月6日 21時10分(最終更新 12月6日 22時03分) 食品大手の明治(東京都江東区)は6日、粉ミルク「明治ステップ」850グラム缶の一部から1キロあたり最大30.8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。厚生労働省によると、粉ミルクからのセシウム検出は初めて。乳製品の暫定規制値(1キロあたり200ベクレル)未満で、毎日飲んでも健康に影響ないレベルとされているが、同社は「安心して使っていただくことを最優先する」として、検出された製品と近い時期に製造した同銘柄の約40万缶を無償で交換する。 セシウムが検出されたのは、同社埼玉工場(埼玉県春日部市)で3月14〜20日に製造した粉ミルクを使ったものの一部。11月28日、「ステップで放射性物質が出たと聞いた」と報道機関から問い合わせがあり、在庫分などを調べたところ、21.5〜30.8ベクレル検出された。前後の期間に製造した粉ミルクを使った商品は、いずれも検出限界値(1キロあたり5ベクレル)未満だった。 原料の粉乳は大部分が豪州など外国産で一部は北海道産だが、いずれも東日本大震災以前に製造された。同社は、粉乳を水などと混ぜ合わせて霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させて粉ミルクを作っており、「乾燥の過程で取り込んだ外気に含まれるセシウムが影響した」とみている。 同社は4月末から毎月1回程度、放射性物質の定期検査を行っている。3月製造分については関東地方で大気中の放射線量が高かった3月21日のものを調べたが、検出限界値未満だったという。 厚労省は「暫定規制値を下回れば健康への影響は考えられない」とする。一方、子どもは大人より放射性物質の影響を受ける可能性があるとして、乳児用食品の区分を新設し、現行より厳しい規制値を設定する方針だ。 無償交換の対象は、賞味期限が来年10月3〜6日、同21〜24日の製品で全国に流通。問い合わせは同社お客様センター(0120・077・369、平日午前9時〜午後5時)。【曽田拓、石川隆宣】 ◇明治による「明治ステップ850グラム缶」の検査結果 賞味期限 セシウム濃度 2012年10月 4日 21.5ベクレル 21日 29.0ベクレル 22日 30.8ベクレル 24日 22.5ベクレル ※検査結果の数値は1キロあたり ※ゲルマニウム半導体検出器による検査で、検出限界値は1キロあたり5ベクレル http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111207k0000m040037000c.html ぼちぼちいこか。。。 さんブログより
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今中哲二さん「ベクレル・シーベルトになじみましょう」11月12日、神戸で開かれた市民集会「フクシマから考える暮らしの安全」(弁護士会主催)に参加してきました。映像は今中哲二さん(京都大学原子炉実験所・助教)の講演です。
今中さんはチェルノブイリに何度も足を運ばれ、日本で事故が起きたらどうなるかという警告を発し続けてこられた不屈の研究者です。
ご自身が広島出身(被爆2世)ということもあり、中国電力(本社:広島)が建設しようとしている山口県の上関原発には特に憂慮されています。上関でお会いしてから久しぶりの再開だったので嬉しかったです。いろいろと質問もさせてもらいました。
今の自分の最大の関心事は福島原発事故による健康影響のことです。
今中さんは、福島原発は最悪の事故だけれども、チェルノブイリよりは相手をしやすいと指摘します。
チェルノブイリの場合は原子炉が爆発し、核燃料の放射性物質がそのままの組成で外に出て行った。そのため、ヨウ素やセシウムの他にプルトニウムやストロンチウムなどによる被曝も考えなければならない。
福島の場合は、核燃料メルトダウンにより、揮発性のヨウ素やセシウムなどが出て行ったが、幸いプルトニウムやストロンチウムはほとんど残っている。これからの被曝については主にセシウムについて考えれば良いだろうとのこと。
セシウムがストロンチウムやプルトニウムより相手をしやすいというのはガンマ線を出すので測りやすく、体内に取り込んだ場合でも100日ぐらいで半分になるから。
<食品500ベクレル・避難20ミリシーベルトについて>
政府は(セシウムで)500ベクレル以下の食品を安全と言うが、安全な基準というものはなく、要はどこまでガマンするかということ。そして、500ベクレルは明らかに汚染食品だという。
今中さんは「自分は還暦を回っているので、福島で食べさせてもらえるなら、50〜100ぐらいであれば気にせず食べる。子供の場合は難しいが、10ベクレル以下だったら、東電の恨み言をいいながら食べさせるか」と。しかし、最終的には、ご自分で判断して決めてくださいとおっしゃっていました。
避難の基準の20ミリシーベルトについてはどうか。チェルノブイリの場合、ソ連政府はずっと汚染を隠していたが、3年経ってから大変な汚染が広がっていることが判明。住民や自治政府との綱引きの末、ソ連崩壊後(チェルノブイリから5年後)、ロシア・ベラルーシ・ウクライナの各国が法律で決めたのが、以下の基準「避難の義務=5ミリシーベルト」「避難の権利=1ミリシーベルト」である。
前回の記事「福島とチェルノブイリ5年後の避難基準の比較」も参考にしてください。
「美浜の会」より
最後に、今中さんの挨拶より。
「本当に我々の世の中が原発を必要とするかどうかは、全部止めてみりゃスッキリ分かると思います。とにかく一度止めるように皆さんがんばってみましょう」
スナメリチャンネル さんブログより
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原子力村の中心で「危険だ」と40年間も叫び続けてきた研究者、
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)インタビュー 福島第一原発の事故以来、にわかに脚光を浴びるようになった科学者、小出裕章助教。 5月23日には参議院に参考人として出席し、原発の不合理性を訴えた。 彼が40年もの間、原子力の専門家として警鐘を鳴らし続けてきた原動力とは何なのか── ──福島の原発事故は、いまだに収束の気配を見せていませんね。
【小出】 原子炉の中に入っている核燃料は、「ペレット」というセトモノなんです。 100tにものぼる瀬戸物が溶け落ち、圧力容器の底を溶かして下まで落ちてしまっているんです。 東京電力はこの事態を想定するマニュアルを持っていません。 今回のケースは「想定不適当事故」、つまり「絶対にありえない事故」とされてきたからです。 ──東京電力(以下東電)は当初、メルトダウンしていないと発表していましたが、2か月以上も経って訂正しました。 【小出】 今は、燃料自体が溶ける「メルトダウン」から、 圧力容器と格納容器の一部を溶かして燃料が落下する「メルトスルー」までいってしまったようです。 事態はまったくよくなってはいません。たいへん厳しい状況が今後もずっと続くでしょう。 ──国が作業員の被曝許容限度を250ミリシーベルトにまで上げましたね。 【小出】 作業員の通常時被曝許容限度は5年間で100ミリシーベルトでした。 ただ、異常事態が起きたときには例外的に年100ミリシーベルトまでは許すことにされていました。 それが今回、一気に2・5倍まで引き上げたのです。 現場の放射線量が非常に高いので、従来の基準では短時間しか作業ができず、人員もすぐに足りなくなってしまう。 そこで“緊急措置”として、その無理を現場作業員に押しつけているのです。非常に心が痛みます。 ──作業員だけでなく、周辺住民の基準値も、それまでの1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまで引き上げられました。 【小出】 20ミリシーベルトというのは、従来は私も含めて放射能にかかわる仕事をしている人たちにとっての基準でした。 「給料をもらうかわりに、ここまでの被曝はガマンしろ」という数値。 それを、放射線の感受性が強い胎児や子供にまで同じように適用するということは、絶対にしてはなりません。 ──農作物や海産物の汚染も広まっています。 【小出】 海に関しては、海藻を調べなければいけない。海藻は回遊しませんから、定量的なデータが取れます。 なぜこれをしないのか疑問に思います。 いずれにしても、莫大な量の放射能が海に流れたのは事実。 農作物からも次々に放射能が検出され、相当広範囲にわたって汚染されたことがわかります。 しかし、汚染された食べ物を拒否してしまえば福島の農漁業は壊滅してしまいます。 そこで、少々の放射能は私たち年齢が高い人たちが受け入れるべきだと思うのです。 私は60歳を過ぎましたので、放射線の感受性は乳幼児の1000分の1、30代と比べても数十分の1ですから。 映画に「18禁」というのがあるように、食べ物にも「50禁」「60禁」といった規制を作ればいいと思います。 安全な食べ物をみんなで奪い合ってしまえば、汚染された食べ物はお金のない側に回っていきます。 チェルノブイリ原発事故に日本が禁輸措置をしたとき、汚染された食べ物は食料不足の貧しい国々に流れていきました。 学校給食などはお金がかけられませんから、安全な食べ物が回って来にくくなるでしょう。 私たち大人には、これまで原発を容認してきた責任があります。しかし、子どもたちには何の責任もないのですから。 ──同様の理由で、シニア決死隊(福島原発暴発阻止行動プロジェクト)にも志願していらっしゃいますね。 【小出】 私は原子力に携わってきたにもかかわらず、止められてこなかった。 推進こそしていませんが、その責任は非常に感じています。 現地に行って私にできることがあれば、何でもするつもりです。 原発は差別の上に成り立っている ──もともと原子力の世界に夢を持って入ったそうですが、反原発に転じたきっかけは何ですか? 【小出】 私は『原発のウソ』の中で「原子力のコストは安くない」と主張しています。 しかし、仮に原発のコストが安かったとしても、認められません。 高かろうが安かろうが、代替エネルギーがあろうがなかろうが、即刻止めるべきだと思います。 それは、「原発は差別の上に成り立っている」ということに気付いたからなんです。 ──それはいつのことですか? 【小出】 ’70年10 月23日のことでした。 当時、私は東北大学原子核工学科で学んでいたのですが、女川に原発を作るという話が出てきました。 電力の大消費地である仙台の近くに造れば効率のよい原発を、なぜ人口の少ない女川にわざわざ造るかといったら、 都会では引き受けられないんだ……と気づいたのです。 そこで、現地で反対集会があるというので行ってみたんです。 電気がほしいから、危険も含めて都会で引き受けるというなら、まだ認める余地はあります。 でも、電気はほしいけど危険だから田舎に押しつけようという考え方がどうしても認められないんです。 その日以来、私の原発に対する態度は180度変わりました。 「立場の弱い者が、より多くの負担をしなければならない」ということに気がついたのです。 例えば、現場で大量に被曝する仕事のほとんどは孫請け、ひ孫請けといった会社に雇われた人々が担っています。 一方で、多くの電力会社本体の社員や役人は、比較的安全な場所で仕事をしています。 発電所の現場だけではありません。 私はインドのウラン鉱山汚染も調べに行きましたが、 採掘現場でも、貧しい労働者ほど被曝させられている状況を目の当たりにしました。 ──原発を動かす前から、その差別構造は始まっていると。
【小出】 日本もかつてはウラン鉱山の開発を行ってきました。岡山県と鳥取県の境にある人形峠です。 ’55年からウラン鉱山の開発が行われていたのですが、全くコストにあわずに10年くらいで撤退してしまった。 鉱山開発だけでもたくさんの労働者が被曝したのですが、閉山後にウラン残土の問題が持ち上がりました。 放射能を帯びた大量の残土を、国は処理できなくなったのです。 ──結局、その残土はどうなったのですか? 【小出】 最終的には、アメリカ先住民の居住地域に持って行って処分しました。 つまり、アメリカの中でも立場の弱い地域に公害を輸出したのです。 国は「その地域にあるウラン精製所で精製する」と言い訳をしました。 しかし、持って行った残土からウランを精製しても、売価で100万円ほどにしかなりません。 しかも、それで処分できたのはほんの少しにすぎず、 いまだに残土の大部分が現地に放置され、周辺環境を汚染しています。 ──そして、次はアメリカと組んでモンゴルへ……。 【小出】 そうです。次はモンゴルに放射性廃棄物、つまり「死の灰」を持って行こうとしているのです。 日本はこれまで累計で広島型原発120万発分の死の灰を出してきました。 これはどこかに押し付けて「なかったこと」にするのではなく、私たちの責任で何とかしなければならない問題です。 差別の上に成り立っている」以上、原発は認めることができない
最下層の立場が理想的な職場だった ──原子力の世界を飛び出そうとは思いませんでしたか? 【小出】 周りにはそういう人もいました。実際、同期で鳶職になった人もいます。 私は原子力の世界の中で、その危険性を追及することに意義があると思ったんです。 ──そして、京都大学原子炉実験所に就職しましたね。 【小出】 実は東北大学の修士を出た後に、電力中央研究所に入ることになっていました。 内定をもらって、研究所には私の席も用意されていました。 ところが、私が女川原発に反対していることがバレて、内定取り消しになったんです。 仕方がないので、博士課程まで行こうかとも思いました。しかし、東北大学は私をどこかに追い出したい。 そんなある日、大学の掲示板で京都大学原子炉実験所の採用情報を見つけたんです。 で、試験を受けたら採用してくれました。 ──京都大学は原発に反対していると分かって採用したのですか? 【小出】 京都大学には個々の自主性を重んじる校風があります。 私がどういう信条を持っているかなどという事前調査はしなかったのだと思います。 わかったのは私が採用された後でしょう。 ──それ以来、ずっと助教(助手)ですか?
教授になって、地位や名誉、お金を手に入れたいと思ったことはないのですか? 【小出】 全く思いません。 37年間ずっと最下層の教員でしたが、私にとっては理想的な仕事場です。 誰からも命令されたことも、命令したこともありません。 ずっと自分の好きな研究を続けていられます。本当に幸せだと思います。 生活は普通にできていますし、今よりもっとお金がほしい、もっと贅沢な暮らしをしたいと思ったこともありません。 研究や講演の合間に行く山登りと温泉が、私にとっての最高の贅沢です。 ──研究を手伝う学生やアシスタントもいないのですか? 【小出】 いません。 助教は講座を持てませんし。第一、私に教えられた学生は就職できませんよ(笑)。 ──そうした立場だと、お金の問題が出てきませんか? 政府や企業が望むような研究をすれば、研究費もたくさんもらえるのでは? 【小出】 もちろんそうでしょうね。 私は一度ももらったことがないので、どのくらいもらえるのかは知りませんけれども。 確かに私の研究費は少ないですが、実験所には必要な機材がすべてそろっているので、全く不自由はありません。 ──大学の研究分野でも原子力は学生に人気がなくなっているようです。 政府や電力産業は大金をつぎ込んで原子力の専門家を育成しようとしているようですが? 【小出】 いくらお金をもらえても、その分野に夢を持てる学生が増えなければ続きません。 優秀な学生ほど原子力に未来はないとわかっているのかもしれませんね。 ──しかし仮に原発をやめることになったとしても、安全にやめるための専門家が必要では? 【小出】 そうです。 今でさえ廃炉には数十年、使用済み核燃料の問題も何百年と、残っているのですから。 それなのに、これらの問題にあたる専門家が育っていないのです。 これまで原子力の世界が「推進するための専門家」ばかりを育ててきたツケがきています。 ──無力感に襲われて、反原発の立場を貫くのはもうやめようと思ったことはないのですか? 【小出】 私が原発を止めたいと思った時、日本には原発は3基しかありませんでした。 それが、この40年で54基にまで増えている。敗北に次ぐ敗北ですよ。 それでも、やめようと思ったことは一度たりともありません。 人生なんて、1回しか生きられないじゃないですか。だったら、やりたいことをやるしかないと思っています。 小出裕章
'49年東京生まれ。京都大学原子炉実験所助教。原子力を学ぶことでその危険性に気づき、伊方原発裁判、人形峠のウラン残土問題、JCO臨界事故などで、放射線被害を受ける住民の側に立って活動。原子力の専門家としての立場から、その危険性を訴え続けている。著書に『放射能汚染の現実を超えて』(河出書房新社)など
原発の危険性をわかりやすく語った小出氏の最新刊『原発のウソ』。 神保哲生氏、宮台真司氏をホストに「マスコミが報じない震災・原発事故の事実」を伝える新刊『地震と原発 今からの危機』にも小出氏が登場。(ともに小社刊) ■『地震と原発 今からの危機』amazonにて好評発売中 ■『原発のウソ』amazonにて好評発売中
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今日はアメリカは父の日です。(日本では昨日)
大栗博司のブログ
にあった、学習院大学、田崎晴明さんの
「放射線と原子力発電事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説」
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