時の唄 - 閉鎖 -

ありがとうございました。楽しかったです。

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いい加減

閉鎖。

2014年にもなって、2013年新年のトップから変更しないのも未練がましいな、と。
思い立ったが吉日ということで今日、閉鎖とさせていただきます。
ホームページか何かはつくろうかなと思っていますし、ネット上で創作作品の公開は続けていくつもりですが。

2008年、中学二年生のときにこのブログを作りました。
それから時間が流れ、今や私はもう高専も四年目になりました。
いろんなあたたかいお言葉とともに私はこのブログへと作品の投稿をしてきました。
未練もたくさんありますが、こんな中途半端な状態で公開し続けるのも自分の中で抵抗感があったので、
こういう形にさせていただきます。

皆さん本当に長い間有難うございました。
本当は連載中の作品くらいは完結させたかったのはやまやまなんですが……、
読者様には申し訳ありません。いつか別のサイトなどでリメイクしたいなとは思っています。

もしこれからも私と仲良くしてくださる、という方がいらっしゃいましたら、
またskypeやtwitterの方で声をかけてください。泣いて喜びます。


2014/3/31 朱鷺

もしも、出会ったのが違う場所だったなら、俺は上手くやれたかな。五人で今も、笑い合ってたのかな。

 

 

 

 

 

29−伝えたい言葉は、届く前に消して。

 

 

 

 

 

 振り返った先に立っていたのは、紗姫だった。部活だったのだろう。紗姫と会うのはあの日以来で、少し気まずいと思う心もあるが、それを振りきって俺は話しかけた。

 

 

 

「丁度良かったよ、テメェに用があったんだ」

「……それより、さっきのまーちゃん、どうしたの」

「まず、尚之の話な。あれ、事故だから気にしなくていい」

 

 

 

 紗姫が暗い、あのときと同じくらい暗い表情と視線で俺を捉えながら言葉を紡ぐのを無視して、淡々と話しかける。そりゃあ伊藤が瞬間移動した現場を見たのだから、俺に不信感を抱くのは当然だが、どうせ忘れてしまうなら教える必要もない。

 

 

 

「事故って……」

「あいつが熱中症でぶっ倒れた先に俺がいただけだ。気になるなら尚之本人に聞いてみろよ、覚えてねェから」

「そんな、嘘だッ

「嘘じゃねェよ……どこの鉈少女だお前は

 

 

 

 いや、キャラ的には近いけども。某青いセーラー服の鉈少女を思わせる発言をした紗姫の方へと視線をやると、俺は思わずぎょっとしてしまう。紗姫が泣いていたからだ。

 

 

 

「だって、それじゃあ私、何も悪くないさくらちゃんのこと……嘘だよ、嘘」

「(いや、俺が悪かったら首締めてもいいのかよ)」

 

 

 

 内心思わずツッコミしてしまうが、声には出さない。紗姫は目から零れ落ち続ける涙に気づかないのか、拭うことすらせずに小さく呟いている。

 

 なんだかんだ、思う。四月から今まで、紗姫と深く話をしたことがなかったかもしれない。いや、それは誰に対しても同じか。もう少し深く関わっていたら、もっと紗姫との関係も、違うものだったかもしれない。尚之と事故ったときも、あんな気まずい雰囲気になることも、なかったかもしれない。

 

 

 

「俺、お前のこときらいじゃないよ。それだけ言いたかった」

「えっ、だって私……さくらちゃんに、あんなことして、嫌われても当然じゃん」

 

 

 

 自覚はあんのかよ、と思わずにはいられなかったが、ぐっと堪えて俺はシリアスシーンを続けた。こうやって、会話をするのは最後にするのだから。

 

 俺は、泣いている紗姫にハンカチを差し出した。数日前に尚之に借りたあれだ。紗姫は黙ってそれを受け取って、涙を拭い取った。俺はそんな紗姫の頭を撫でた。

 

 

 

「紗姫、もしいつか、俺ともう一度出会えたなら、そのときはさ」

「? 何言ってるの、さくらちゃん」

「そのときは、もーちっと俺に優しくしてくれや。後、それ尚之のハンカチだから返しといてな」

 

 

 

 紗姫を撫でていた手に能力を込める。紗姫が先程見たことを、忘れますように、と。紗姫の瞳は突然とろんとなり、その視線は俺を捉えていない。俺はその場を立ち去って一言呟いた。

 

 

 

「さよなら」

 

 

 

 それから俺は携帯を取り出して、尚之に電話を掛けた。

 

 

 

『なんだなんだ!パシリでもさせようというつもりか!休日返上か!?』

「何言ってんだお前」

『いや、だって貴様が電話掛けてくるときなんてそれくらいしかな…』

「死ね、息絶えろ、そしてさよなら。」

『は?』

 

 

 

 尚之の声を無視して、俺は携帯を切った。直ぐに掛け直してきたようだが、俺はそれを無視した。人が折角まじめに別れの挨拶をしてやろうとおもったのに、興が削がれた。そう思いながらも俺の口元は気付けば笑っていた。こんな別れも俺等らしいのかもしれない。

 

 

 

「後は、秦か……。掛けて、出てくれるかな」

 

 

 

 他の奴らと比べて付き合いが長かっただけに、あれ以来気まずくてしょうがない。それまではいつも日中は秦の家にお世話になっていたのに、今は学校と家を行き来するだけだ。

 

 

 

『……』

「秦、あのさ、俺、話したいことがあるんだ」

『……』

 

 

 

 秦は、何も言わない。無言電話だ。ちゃんと向こう側に秦いるよな?いなかったら俺すごい寂しい奴になるんだけど。別の人が、秦が今トイレだから代打で出ましたーとかそんなことないよな?

 

 

 

「このままでもいいよ、聞いててくれるなら構わない。俺さ、秦のことなんでもわかってるって思ってた。でも、違ったんだよな。」

『……』

「俺とお前、親友って言ってたけど、違ったのかもしれないな。結局お互いを依存して、甘えてただけだ。お互いしかいらない、なんて簡単に言っちゃダメだったんだよ」

『……さく、ら』

 

 

 

 微かに、秦が俺の名前を呼んだのが聞こえた。良かった、一人しゃべり続ける可哀想な子にならずに済んだわ。

 

 

 

「約束破ったら、殺すって話だったよね。俺を。今までの俺なら、いいよ、って言ってた。でも、ダメだわ。俺、やらなきゃいけないことできちゃったからさ」

『さくら……どっか、行っちゃうの?』

 

 

 

 秦は俺の声から何かを察したらしい。俺はその秦の問いかけを無視して、話しかけ続けた。やっぱり長い付き合いなだけあって、秦は俺のことをわかっている。そして俺はそれにずっと甘え続けてきた。秦ならわかるだろ、俺も秦のことをわかってるから。そう思い込んでずっとやってきたんだ。

 

 

 

「秦、俺ばっか大事にしてたら駄目だよ。自分のことももっと、大事にしな。尚之も、紗姫も、伊藤もみんなやさしいから、きっと、お前のこと大切にしてくれるから。」

『さくら、俺、そんなのやだ、さくらだけでいいんだ、俺は、』

 

 

 

 まるで駄々をこねる子供みたいに、秦は俺の名前を呼び続ける。いとしくて仕方ないが可愛い子には旅をさせよ。わが子を突き落とすライオンの親のように、俺も秦を親離れさせなきゃいけないな。

 

 

 

「じゃあ、お前が大好きな俺からのお願いなら、聞いてくれるだろ?」

『……』

「俺以外の人とも、仲良くしな。俺以外に、大切な人を作りな。俺がいなくても、生きていけるようになりな。これが、俺からのお願い」

 

 

 

 ずるいよ、と小さく呟く。嗚呼、秦が言う通りだ。俺はずるく自分勝手な人間だ。俺が始めたことなんだからと、自分で責任を負うことを選び、他の人に手伝わせることができなかった。伊藤も紗姫も尚之も秦も頼めば協力してくれたかもしれないのに、自分一人で進むことを選んでしまったのだ。

 

 

 

「ごめんな、秦。わがままでずるくて自分勝手で、今までずっと迷惑掛けたな。俺が辛いとき、苦しいとき、いつもそばにいてくれてありがとう。さよなら。俺のことは忘れてくれよ」

 

 

 

 それは暗示。俺のことを忘れてくれますようにと願いながら、俺は通話を切った。これで四人。後俺に残されたやるべきことは、ただ一つ。決着をつけることだ。

 

 

 

 

+++

 

どう考えても打ち切りEDなんです/(^o^)\

 永遠なんてないって知っていた。だけど、それでも俺は願っていた。

 

 馬鹿やってくだらないこと言って笑って、そうやって過ぎる日常が当たり前のものであれと。それがずっと続いてくれるものであれと。そう、願っていた。

 

 

 

 

 

28−空虚の中仰げば、青く蒼く。

 

 

 

 

 

 カインを殺した日から、一週間が経った。あの日、俺がアイツに聞かされたこと、そして俺がしなければならないことを考えるには、それでも短い時間だったように感じる。

 

 本当は、全て投げ出してしまいたい。何も知らなかったことにして、今までどおり尚之をパシったり、伊藤とほむほむ派だのさやか派だの言い合ったり、秦を愛でたり、紗姫とくだらない恋話をしたり、そんな当たり前の日常に戻したい。でも、俺は知らなければならない。

 

全てのきっかけは、俺だったのだから。俺には、終わらせる義務がある。

 

 

 

「あれ、雲野じゃん。来てたのか」

 

 

 

 演劇部部室前に立っていたのは、今日の当番である伊藤だった。この間俺が羽を生やして逃げたことを、忘れたはずもないだろうに、いつも通りの声色で伊藤は話しかけてくる。コイツが単に馬鹿なのか、それとも気を使ってなのか、知らないフリなのか、どれにしろその行為が何よりもありがたかった。

 

 

 

「伊藤、怪屍退治は終わったのか?」

「ん、あぁ終わった後だけど」

 

 

 

 伊藤は自らの身体を酷使して傷つけながらも、無理に力を使ったのだろう、いつも通りに見える表情を浮かべているその顔も、どこか青白く見えた。カインの話を聞く以前も俺は気付いていた、石を無理に使ってただで済むはずがないことを、わかっていたはずだ。それなのに、伊藤を殴って無理矢理こちら側に引き戻したのは、他でもない俺じゃないか。

 

 罪悪感を覚えるくらいなら、俺はもう突き進んで、全てを終わらせることで償おう。

 

 

 

「じゃあいいや、ちょっとツラ貸せよ」

俺はアンパ●マンじゃないんだから顔なんて外せないよ

「ドヤ顔するなうぜェ」

 

 

 

 真剣な俺に対して、伊藤はわざとらしく茶化してくる。俺はその行為が何より愛おしくて、そして吐き気を催した。この日常を守りたかったのに、壊したのは俺だという現実が波のように押し寄せて、引いた。

 

 例えば、俺が今目の当たりにしているこの現実が夢だったら、と願う。そんなチープな幕引き、物語になんて成りやしないけど、それが事実だったらどれだけ良いことか。

 

 いや、でも俺は一つだけ、この現実に感謝しなきゃならない。俺が、怪屍と戦うことがなかったならば、きっと俺は伊藤や紗姫や尚之と出会うことはなかっただろう。今、何よりも愛しいと思っているコイツらに会えた、その事実だけは、この酷い現実の中であっても俺の宝物だ。

 

 

 

「俺、伊藤のことすきなんだよ」

「は!?」

 

 

 

 俺が告げた言葉に、伊藤は予想通りとでも言うべきか、汗をだらだら流しながらしどろもどろ、混乱をどうにか収めようとしているのかせわしなく手を動かしている。そんな伊藤の姿に、無意識の内に口端を上げて、俺は笑っていた。それは、作り物などではない、心からの笑顔だった。

 

 

 

「バーカ。俺はさ、テメェも尚之も秦も好きなんだ。紗姫は……まぁ首絞められたっていう若干の恐怖はあるけどそれでも、好きだ。みんな好き」

「あぁ、そういう意味か……改まってどうしたんだ?」

 

 

 

 伊藤は納得したような、どこかほっとしたような、それでいて残念なような、微妙な表情で尋ねてきた。告白を少しでも期待してたのか、こいつは。

 

 

 

「でもさ。俺みんなのことスゲェ好きだから、こそ余計、俺がいなかったら良かったんじゃねェのかって思うわけ」

「自惚れんな、馬鹿。お前がそんな影響力あるとでも思ってんのかよ」

 

 

 

 カインに全てを聞いた俺にとっては、伊藤の言葉は何の慰めにもならない。ただの戯言だ。それをわかっていて、俺は何故伊藤にこの話をしようと思ったのだろう。一人でカタをつければいいはずなのに、何故。

 

 

 

「思ってるよ、だって、俺は」

「お前は?」

 

 

 

何を甘えているんだ。いくら俺の肩に乗っている荷物が重くても、俺は降ろしちゃいけないんだ。過去に知らず知らず落としてきた荷が、今になって戻ってきただけだ。その荷物を伊藤に押し付けるなんて、以ての外だ。伊藤はただでさえ、荷物を抱えているというのに。

 

 

 

「……言わない」

「いやいやいや見せびらかせといて結局見せないって小学生のいじめかよ言えよ」

「……伊藤お前、身体辛くない?」

 

 

 

 カインは言っていた、伊藤は生命を使って能力を使っていると。俺だって伊藤が血を吐いているのを見たじゃないか。辛くないはずがない。

 

 

 

「は?」

「内蔵器官とか、そういうとこの話」

 

 

 

 伊藤は多分、スポーツ推薦でこの学校の来たクチだろう。勉強ができるわけでもないし、二年でピッチャーを務めるほどの実力なのだから、大学もおそらくスポーツ推薦だろうし、運が良けりゃ球団からのスカウトなんてこともあるかも知れない。

 

 そんな伊藤が、“こんなこと”のためにその身を削っていいはずがないんだ。俺が始めてしまった、こんな茶番。

 

 

 

「……別に大丈夫」

「嘘つけよ、石無理矢理使って大丈夫なはずねぇんだよ。テメェでわかってんだろ、そんくらい」

「それとお前の話になんの関係があるわけ?」

 

 

 

 返された言葉に、俺は言葉を詰まらせた。俺が伊藤に話したくない理由、それはわかっている。でも、それを伝えてしまえば、話したくないその話自身を話さなければならなくなる。

 

 きっと、この話をしてしまえば伊藤は自らの身体を酷使してでも、俺に手を貸してくれる。【破壊の黒】なんて名前を背負うには、伊藤は優しすぎたのだ。

 

 

 

「俺がテメェに言いたいのは一つだけだよ」

「なに?」

「さよなら」

 

 

 

 俺が吐いた言葉にきょとんとしている伊藤の首筋を、俺は思い切り殴りつけた。不意打ちだし、力でコーティングしたのだ、無事に済むはずがない。伊藤は抵抗する間もなく、その場に崩れ落ちた。

 

 ぽた、と倒れた伊藤の身体に雫が落ちる。俺の瞳からこぼれた涙だ。俺は、きっともう伊藤と会うことはないだろうし、伊藤が俺を思い出すことももうないだろう。

 

 

 

「今までテメェのこと敵視して、言えなかったけどさ……」

 

 

 

 お前といるの楽しかったよ。作り笑いなのか、本物なのか、自分でもわからなくなるくらいに。

 

 

 

「お前見てると、意思が揺らぎそうだから、またな」

 

 

 

 能力を使って、伊藤を保健室へ送る。こんなことが簡単にできることを知ってしまう度に、自分が人間じゃないものになってしまったような気がして怖くなってしまう。

 

 

 

「いまの、なに……?」

 

 

 

 声に驚いて振り返る。誰もいないつもりでいたのに。

 

 

 

「さくらちゃん」

 

 

 

 振り返った先にいたのは紗姫だった。

 

 

 

 

 

+++

 

さくらの口調が若干違うのは、そっちが地だからです。

「〜だろォ?」みたいなDQN口調は作りキャラで、

「〜だよな」くらいのが地です。秦に対しては元々殆どこれでしゃべってます。

 

そして、最初は28話予定だったのに30話まで伸びました。

 

トップ絵で塗り練習

イメージ 1

ちょっと水彩もどきで描いてみたくて試行錯誤
髪は良い感じに塗れたかなぁ。

和服は影のつきかたがよくわからない……やっぱ資料見なきゃダメだね!

 その日は、雨だった。泣くような雨の中、自分の答えを探すために、俺は彼に会いに来た。その答えが、どんなに哀しいものだったとしても、俺は知らなければならないと、思ったから。

 

 

 

27−哀しみは、灰と化して消えた。

 

 

 

 

 

 ぱらぱらと、屋根から雨垂れの音がする。彼の銀髪も雨に濡れ、水も滴るいい男というのはこのような人を指すのだろうな、と思わせるくらいの、絵画さながらの光景であった。

 

 そうだ、俺はカインに会いに来ていた。

 

 

 

「カイン、俺お前に聞きたいことがあったんだお

だお^ω^?

「噛んだんだよほっとけよ!」

 

 

 

 俺が聞きたい内容が、明るい話ではないということに気づいているだろうに、カインは明るい声で茶化してきた。その笑顔が、演劇部で見た写真の中の霧崎海に、俺の瞳には重なって映った。

 

 

 

「テメェ……元々は、霧崎海だったのか?」

「あぁ」

 

 

 

 絞り出すように尋ねた俺の言葉に、何の戸惑いもなく躊躇もなく、その質問が来るのは予想通りだったといった様子で、カインはすぐさま答えをくれた。

 

 カインはそれ以上何も言わず、いつも通りの微笑みを口元に浮かべながら、ただただ俺を見つめている。わからないことは山ほどある。聞かなきゃいけないことも、沢山ある。なのに言葉が出てこない。そんな俺に痺れを切らしたのか、カインは何処か遠いところを見つめながら、俺にただ一つ告げた。

 

 

 

「ねぇ、桜良。俺を殺してくれないか」

 

 

 

 俺は目を見開いて、カインを見返す。今言ったことが冗談であってくれと、そう思いながら。でもカインは今言ったことが冗談などではないと言うように、首を横に振って、淋しげに笑った。

 

 

 

「俺の……この姿を見て君はどう思う?人間には視えないこの体、紫色の羽を持つこの姿を見て……怪屍みたいだと、思わないかい?」

「……」

 

 

 

 何も言わない、それが俺の肯定だと取ったのだろう、カインは演技がかった口調で語り出した。雨音は徐々に激しくなり、その声も時折聞き取りづらくなるが、それでも俺は聞き続けた。

 

 

 

「ずっと空腹で、でもそれを満たしたくないんだ、俺は。いや、満たしちゃ駄目なんだよ。でも、もうそろそろ我慢ができなくなりそうでね……狂ってしまいそうなんだ。」

「カイン……」

 

 

 

 初めに創り出されたのは、俺だった。それから、『彼』は死んだ仲間を全員作りなおした。仲間が全員生き返った。嬉しかった。それで、良かった。カインは淋しげに、そう話し続ける。

 

 

 

「でも、無理だったよ。そんなの。人間に人間を創り出すなんてこと、出来やしなかった……最初は、演劇部部室で隠れてたけど、結局空腹で他の三人は狂って、とうとう生徒に手を出したんだ」

「……三人?」

「五人のうち、一人は死ななかったんだよ。そして、その『彼』が禁忌に手を出して、俺らを生き返した。」

 

 

 

 『彼』は、演劇部の五人のうちの一人だったという。事故で『彼』だけは生き延びたけれど、目覚めたときに彼のもとに待っているのは、彼の友が死んだという現実だけ。その現実に打ちのめされた『彼』が取った行動、それが、全員を生き返す行為、だったという。

 

 

 

「生き返したってどうやって」

「さぁね、俺には到底出来ないことだろうけど、君には出来るんじゃないかな。君がナイフを創造して生み出すのと、同じ要領で」

「!」

 

 

 

 話を戻すよ、とカインは続ける。人を喰らった三人は、もう理性を取り戻すことは出来なかった。ただの、生徒を喰らい続けるだけの化物と化した。生徒が消えていることは気付かれないように、一人が工作を続けた。ナイフを創造するのと同じ要領で、記憶と事象を操作して。

 

やがて、その化け物たちは卵を生んだ。その卵の数は、今まで喰らってきた人間の数と、同じだった。そして、卵から生まれたのが、怪屍だった。

 

 そう、その三人は食べた生徒を怪屍へと変換するだけの化物に、成り代わったのである。

 

 

 

「……じゃあ、俺達が今まで殺してきたのは……?」

「元々は生徒だった、『ナニカ』だよ」

 

 

 

 その事実をカインが口にした瞬間、胃からは酸っぱい匂いのする液体が込み上げ、俺は思わず吐きそうになるのを必死にこらえた。俺が、笑いながら殺してきたものたちが、元は人だったなんて。

 

 

 

「桜華戦隊っていうのは、体(てい)の良い処分担当者だよ。彼が作るのを失敗して、でも彼自身には処分することすら出来なかった『人間』のね」

 

 

 

 カインは言う。俺らを縛ってきたあの石は、能力を引き出す為のものであると。一定量のエネルギーが入っている石は、使う回数、すなわち変身する回数が多ければ多いほど消費し、枯渇する。

 

俺のように能力を自ら操ることが出来るのならば石は最初から必要がないが、そうでない者、例えば伊藤、が石を持たないまま能力を使うと、身体に負担を掛ける。才能の代わりに生命を使うのだ。伊藤があの時血を吐いたのはそれが理由である、と。

 

 

 

「じゃあ、【知性の青】っていうのは何なんだよ……お前が、随分避けてた、あれは」

 

 

 

 俺には質問をする以外、何も出来なかった。知性の青なんて名だけで結局俺は何も知らなかった、いや、何も知ろうとしなかった。でも、俺はもう知らないままではいられない。知らなければならないのだ。

 

 

 

「……俺が話せるのは、これくらいかな。後は、君が知るべきことだ」

「なぁ、カイン、もう一つ聞かせてくれ。『お前ら』が演劇部部室から外に出なきゃいけなくなったのは、俺のせいか」

あぁ、そうだよ

 

 

 

 何の躊躇もなく俺に対する配慮もしないカインの言葉は、俺へと深く突き刺さる。

 

 

 

「君が演劇部部室に住み着こうなどとしなければ、俺らは外へ出ることはしなかっただろう。全ては、君の責任だ。だから、俺は君に声を掛けた」

「……れは、俺はどうすればいい?」

「これは君のせいで始まったことだ。じゃあ、君が終わらせればいい」

 

 

 

 俺は瞳を閉じて初めてカインと出会ったあの日のように、ナイフを想像し創造した。ずしりと重力を感じたその先には、あのとき創造したものより一回り大きなナイフが存在していた。

 

 躊躇しなかったと言えば嘘になる。でも結果として俺はそのナイフをカインに向けて振るった。過程なんてなんの糧にもならない。結果だけが事実だ。俺がカインを殺したというその一点だけが。

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 カインは眩しげに目を細めながら、その場所に倒れた。俺は血に塗れたカインの身体を抱きしめたまま、泣いていた。カインの身体は徐々に熱を失っていき、そして灰になって消えた。その灰すらも雨に打たれ土に紛れ、すぐに見えなくなった。

 

 

 

 

 

+++

 

この回までは、イメージどおり書いてたんですが……

次回辺りから、アドリブ(て言うのか?)入ったせいで話のバランスが崩壊し始めました。

オワタ/(^o^)

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