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1970年代、ルーマニアの新しい世代の監督達が台頭してきます。 1972年、Mircea Veroiu,Dan Pitaの2話からなるオムニバス映画[Nunta de Piatra(石の婚礼)]が公開されます。 第一話のMircea Veroiu監督の「Feteleaga」は、主人公の寡婦の何の「希望」も見出せない生活を淡々と描き出します。 夫、息子達を亡くし女手ひとつで、病気の娘を育てているマリア。彼女は、毎日仕事場の砕石所へ年老いた一頭の馬とともにでかけていく。娘の薬代と「花嫁衣裳」を買うためのお金を稼ぐために。 20世紀初頭の、ルーマニアのアプセニ山脈地方の小さなモツ人の町。この時代に夫、息子と男手のない女性がいかに厳しい生活を強いられるか。死を待つだけの病気の娘を抱え、生活は困窮するが、しかし毎日石集めに山へ行くこと以外何もない日常のやるせなさ。 そしてついに娘も死に、主人公のマリアは、娘の希望である[花嫁衣裳]のため、彼女の生活を助けていた老いた馬も売ってしまう。 娘の「花嫁衣裳」は、ルーマニアの古い習慣の未成年者が死んだときに着せる「死の婚礼衣装」だった。貧しくとも、伝統的な習慣を執行しようという主人公の心情は痛々しい。。。 20世紀初頭の小さな町では、信心深い貧しいもの達にとっては普通のことだったのかもしれない。 なんともやるせないが、寡黙なカメラワークで、「ある現実」を淡々と描く。 第二話はDan Pita の「La o nunta(ある結婚披露宴)」 第一話と同じ、モツ人の小さな町の、この町の有力者の息子の結婚披露宴を描いたもの。 結婚披露宴の音楽伴奏をすることになった楽師が、町へ入る道中に知り合った脱走兵の男を助手にし、披露宴会場にやってくる。 披露宴が始まるが、花嫁は特にうれしそうな表情もしなければ、新郎とダンスをしようともせず、彼女の正面、遠方で伴奏をする音楽士を見つめ続けている。 ひと演奏を終えた楽士は、後の演奏を脱走兵の助手に任せ、新婦の合図で舞台後方で彼女と何事かを話す。それを認めた新郎が二人のところへやってくるが、新婦はすぐ席へ戻ってしまう。 日が暮れ始め、披露宴も佳境に入り、脱走兵の助手は、興に乗り目いっぱい、来賓者のために演奏している。そんな中、暗がりの舞台裏で再び新婦と楽師は落合い、ついに、二人で披露宴会場を出ていってしまう。 新婦がいないことがわかった新郎は新婦と楽士を探そうとする、脱走兵の男は何も知らず演奏を続けていたが、新郎の取り巻きに会場の外へ連れ出され、リンチにあう。。。 最後、新婦と音楽士は楽しそうに野山を駆け、新郎から、あの町から逃げていくが、新郎と新婦の関係、新婦と音楽士の関係はまったく語られず、観た者の想像に任されている。 この映像も、淡々と出来事を描き、ドキュメント・フィルムの趣がある。 2編とも、セリフは少なく、その内容も日常的な会話以上のものではない。 むしろ、挿入歌が、主人公達の心情を表しているかのように効果的に使われている。 モノクロ 80分 1972年公開 You Tube で全編鑑賞できます ⇒ nunta de piatra この二人の監督は、後にルーマニア映画界を支えていくことになりますが、このデビュー作のような詩的な、リアリズムの手法は、これ以後封印してしまったようです。当時の政権がそうさせたということは、疑いのないところですが。。。 Mircea Veroiu は1997年に亡くなってしまいましたが、Dan Pitaのほうは、現在も映画を撮りつづけています。 |

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映画ひとつでも歴史、情勢、国政などが分るもんですね。
リアリズムの封印・・・。
この国の辿ってきた「軌跡」は一言では言い表せないものですね。
まだまだ私にとって、未知の国、ルーマニア。
これからのこの国の「軌道」を見て行きたいと思ってます。
2009/8/4(火) 午前 4:25 [ - ]
サボテンさん、おはようございます。
どういう軌道に乗るのか楽しみでもあり、怖くもあり、ってとこですか。。。
2009/8/4(火) 午前 9:23
やはり、政権が干渉してくるんですね。
Dan Pitaさんのほうは、その後の作品はどうなのでしょうか。
2009/8/4(火) 午後 8:32
Nobuさん、こんばんは。共産党時代は、コメディをよくつくっていたようです。
オイラが始めてみたルーマニア映画はDan Pitaで、 革命後の1992年公開の[Hotel de Lux]でしたが、共産党時代の本当の状況を描いていた映画でした。。。
2009/8/4(火) 午後 11:36