「らりるれろ」通信 Remark On The MGS

考察系です。ゲームとちょこっと映画です。よろしくお願いいたします<m(__)m>。

全体表示

[ リスト ]

◆チェ 28歳の革命。

イメージ 1

イメージ 2

チェ 28歳の革命(2008)
監督 スティーヴン・ソダーバーグ 
出演 ベニチオ・デル・トロ        エルネスト・チェ・ゲバラ 
   デミアン・ビチル          フィデル・カストロ 
   サンティアゴ・カブレラ       カミロ・シエンフエゴス 
   エルビラ・ミンゲス         セリア・サンチェス 
   ジュリア・オーモンド        リサ・ハワード 
   カタリーナ・サンディノ・モレノ   アレイダ・マルチ 
   ロドリゴ・サントロ         ラウル・カストロ 
   ウラジミール・クルス  
   ウナクス・ウガルデ  
   ユル・ヴァスケス  
   ホルヘ・ペルゴリア  
   エドガー・ラミレス 

1955年、メキシコ。アルゼンチン人の青年医師エルネスト・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ )。
南米大陸の旅を続ける彼は、祖国キューバで平等社会の実現を目指す
反体制派のフィデル・カストロ(デミアン・ビチル)と出会う。
カストロは祖国の解放を目指していたが、ゲバラはキューバのみならず、
南米の解放そのものを目指していた。
1956年、ゲバラはカストロらと共にキューバに渡り、武装闘争を開始する。


私のゲバラの知識は、まぁ、標準並み、と云ったところだと思います。
一応映画では「モーターサイクル・ダイアリーズ」(2003)はけっこう前に鑑賞済みです。
とりあえず、私程度の知識があれば、この映画は分からない、と云う事はないと思います。
が、これから見る人には歴史を最低でも概略、余裕があれば
その当時の世界情勢、を知って見に行く事をお勧めします。
本作は、フェイク・ドキュメントと銘打ってもいいくらいドキュメンタリー・タッチな上、
歴史的な説明をほとんどしてくれません。
少なくとも、歴史的な概略を知っていないと眠くなるかもしれません(^_^;。



けっこうこの映画は意図的に劇的に表現できそうな要素を排除しているので
淡々としていると云えば、かなり淡々としていますね。
時代を前後させながら、有名なゲバラの1964年の国連総会のスピーチを基軸に、
前半の劇的な戦闘を削って、戦闘シーンとしてのクライマックスを
サンタ・クララ市街戦に絞った構成は、タイトで見やすいものになっていると思います。
地味に細かく、戦闘ではなく、ゲバラの行おうとした革命が厳密な意味での
市民革命であった事を映画は描写していきます。
ただ、この描写が映画を全体的に地味なものにしているので、この映画の作りの
評価を分けるところかな、と思います。
ゲバラは基本的には知識階級の出身ですから、
精神や理論、大義なき革命は革命ではない、と云う理論を持っていたのでしょうね。
この映画では、ゲバラは理想を持ち、それを迷いもなく推し進める様が描かれています。
それに対して、カストロは終始、政治家的なバランスを持って描かれているように
思われました。
この差はたぶん、次回作「チェ39歳別れの手紙」で詳しく描かれるのでしょう。
しかし、ただの理想家ではなく、客観的に見れば、
やはりある種の狂気のある様と云うのも革命後の国連のスピーチのシーンに見てとれます。
ゲバラは基本的には武闘派ですから、単なる理想主義のお坊ちゃんではないですしね。
映画は主観と客観の部分をわかりやすく描いてはいますね。
ただ、くどいようですが、歴史を把握しているのが大前提です。



闘争に関して云うと、
前半、ゲリラ戦闘の部分と云うのはあまり描かれていませんでしたよね。
でも、持っている武器を見ていると、
実はゲリラ戦と云っても、この程度のものだったのかもしれない、
とも思いました。
ゲリラ戦と云う言葉が過激なので、もっと苛烈なものを想像しがちですが
この時代、いわゆる高性能のアサルトライフル(突撃銃)はないですよね。
映画の中でも、銃自体もかなり重い、どちらかと云うと狙撃銃をほとんど人が持ってますしね。
ここまで、軽装備の銃が存在していないとなると、
機動性を使った攻撃はほとんど無理なのでは?と思っちゃいました。
サンタ・クララの市街戦はそれがかなりわかる戦術を政府軍が展開していて、
この銃装備であれば、なるほど、高地を取った方が強いわけです。
狙撃銃と云っても、現在の銃より精度も悪いし、スコープもついてないしで(^_^;
かなりローテク市街戦。
けっこう戦闘としては実はそこがリアルなので市街戦は特に面白かったです。
こう云う見方をしないと、最近の映画の銃撃戦に慣れていると物足りない人も
多いと思いますが、でも、この時代の戦闘をリアルにしちゃうとこうじゃないかなぁ、
と思いました。



ただ、この映画の難点を云うと、国連のスピーチは1964年の話で
この映画の中はほとんど1956〜59年の部分の話なので、
この間の時代にあった「キューバ危機」とかが完全に説明されていません。
つまり、アメリカとキューバの世界危機レベルの軋轢、が存在しているのですが
映画としては、そこは説明としては欠落しています。
ここは、この映画ではキューバ革命と同じ位大事なので、歴史としてこの部分を
抑えていないと厳しいところですね。
それと、この当時は、ゲバラの故国のアルゼンチンをはじめ、
パラグアイなどもそうですが、南米には独裁軍事政権の国が多かったと云うのも
頭に入れておきたい事項ですよね。
とか云っていると、ファシズムを歴史的に抑えなくてはならないし、
やはりこの映画は基礎的な歴史の知識がないと厳しいという結論になってしまいますね(^_^;。
いやぁ、実際そうなんですが(^_^;。




この映画は、2部作なので、結果としては、もう1作見ないとわからないところなのですが
基本的には、アメリカが、この時代にやってる事と
今やってる事には変わりないのだ、と云うことがわかって笑えます。
たぶん、そう云う意図でも作られた映画なんでしょうね。
作中アメリカでゲバラが合う人物の中にマッカーシー上院議員がいますが
これは時代からして、マッカーシズムのジョゼフ・マッカーシーではなく、
議会におけるヴェトナム反戦活動の指導者、ユージーン・マッカーシーの方ではないかと思います。
このエピソードが事実かどうかはわかりませんが、
脚色なら面白いところだし、さりげなくそう云うエピソードを導入している点でも
見逃せないですね。
個人的に考えてしまうのは「チャーリーズ・ウィルソンズ・ウォー」(2007)にしろ、
「告発のとき」(2007) にしろ、この映画にしろそうですが
なぜ、今、この時代に作られるのか?と云う事ですね。
アメリカが戦時下であるとか、色々な要素があるとは思いますが、
どうしても、ハリウッド映画の行き詰まり感を感じてしまいますね。
あ、別に上記の映画がつまらない、と云う意味ではないので。
今年は、政権もオバマさんに代わりますが、
ただ、経済的な問題もありますから、ハリウッド映画は今後は規模が縮小していくでしょう。
これらの映画から透けて見える、今後のハリウッド映画の動向も注目ではあります。



この映画に関しては、個人的には構成もタイトで、無駄のない作りで、
ベニチオ・デル・トロの演技も良かったと思います。
ソダーバーグの丁寧な画面作りもとてもいいと思いました。
しかし、この前の「モーターサイクル〜」の時代に悩む時期は終わっているんでしょうけれど
ゲバラの迷いのなさはすごいですよね。
今の日本の28〜30歳の人で、どのくらい、ここまで揺らぎのない人がいるんでしょうか?
もう、はじめからオヤジみたいで(^_^;どっしりしてますよね。
時代が違うと云えばそうなんでしょうけれど、
「蟹工船」とか云ってる場合じゃないのでは?とちょっと思ってしまいました(^_^;。
ただ、やはり説明がないですからね。
メジャー系で公開するのには若干無理のあった作品のような気もしますけど。
個人的にはうまくエンターティメント性を拝して、それでいて、
堅苦し過ぎず、よくまとまった作品だと思いました。

閉じる コメント(16)

顔アイコン

ある程度の予備知識がないとウトウトしかねない映画ですね。僕は前もって予習して観ました。だからよかったです。TBお願いします。

2009/1/11(日) 午後 11:33 mossan 返信する

顔アイコン

はじめまして。オネムと申します。ほんと、単にミーハーで歴史的な背景には疎いながらも、ウィキを一応ざざ〜と読んで見に行って正解でした。これから勉強して行きたいと思いましたわ〜。後半も楽しみです。眠くはなりませんでした。ソダチャンの映画はテーマによらず催眠効果があるように思いますが、この作品は大丈夫でした。
TBさせてくださいね。

2009/1/12(月) 午前 0:04 オネム 返信する

無理無理。私には無理そうです。
『モーターサイクル〜』観て、じっくりお勉強して、それからDVDで観るとします(≧∀≦)ノ

2009/1/12(月) 午前 6:52 pu-ko 返信する

アバター

私は「モーターサイクル〜」くらいで勉強もせずに行ってしまいました。
そんな私でも映画は面白く見れたのですが、おっしゃるとおりキューバ危機がわからないし、ゲバラの言う共産主義、ソ連のからみなどわからないことも多いですね。
ほんとに28歳とは思えませんでした(^^ゞ
TBさせてくださいね。

2009/1/12(月) 午前 9:56 木蓮 返信する

顔アイコン

ほんとこれはかなりの予備知識が必要だと思いました。
特に地形、当時のアメリカ、ソ連との関係。
あ・そうそうキューバ危機のことについてはごっそりと抜け落ちてしまってましたね。これは知ってるのが前提なのでしょうか
武器については相当お粗末だったようで、しかもグランマ号に乗ったときには重いからと弾薬まで捨ててしまった始末。
最初の人数と武器の少なさ。それが段々みんなの賛同を得て大きくなっていったところをもう少し具体的に描いてほしかったです。
ただ映画としてはこのくらいのほうが私も好きなのですが・・
あ・そうそう。当時の南米では独裁軍事政権の国が多かったですね。
スペイン支配が終わったあとどうなっていたか?それも必要なことです。TBさせてくださいね。

2009/1/12(月) 午前 10:51 car*ou*he*ak 返信する

顔アイコン

【もっさんさん】これは、ちょっと気軽に見に行こう、と知識がなくて行くとちょっと・・・と云う映画ですよね(^_^;。
ある程度予習は必要な映画ですよね。
TBありがとうございました。

2009/1/12(月) 午後 6:59 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

顔アイコン

【おねむさん】はじめまして!コメントありがとうございます!
ウィキなどをざっとでも読んでいくとわかることの多い映画ですよね。
映画としては丁寧で、ベニチオ・デル・トロ も抑えた演技と演説のあたりの強いシーンとでうまかったですね。
あははwソダーバーグは安定感があるので、眠くなる、と云うのもわかるようなw
割とべーシックな撮り方しますしね。
これは静かながら見ごたえのある映画でした。
TBありがとうございました。

2009/1/12(月) 午後 7:07 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

顔アイコン

【PU-KOさん】これはみなさんおっしゃってますが、ちょっと事前の予習が必要です(^_^;。
「モーターサイクル・ダイアリーズ」はこの映画を観る前にはかなりお勧めです。
キューバ危機に感しては興味があれば「13デイズ」と云う映画が分かりやすくてお勧めです。
でも、この映画はそこまで難しく作っていないので、あまり構えなくても難解ではない映画だと思います。

2009/1/12(月) 午後 7:18 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

顔アイコン

【もくれんさん】この映画は予習も必要ですが、ゲバラに関しての描写が丁寧なので難解ではないですよね。
淡々としているのですが、熱のこもった映画でした。
そうそう28とはちょっと思えませんよね(笑)。
迷いがなくて、でも、これくらい強靭な精神力がないと革命は成し得ないのでしょうね。
TBありがとうございました。

2009/1/12(月) 午後 7:26 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

顔アイコン

【Cartoucheさん】ほんとそうですね。確かに地理的な進軍の説明などもあれば分かりやすかったですよね。
「キューバ危機」は革命の詳細よりはメジャーと云う判断なのかもしれませんね。
確かに説明を削らないと膨大な時間の映画になってしまいますからね(^_^;。
前半の革命の広がりに関しては特に人道的な部分がメインですよね。
サクセスと云う部分はあまり製作者が強調したくなかったのかもしれませんよね。
さすがですね!おっしゃる通り、よりわかろうと思うと「スペイン支配」のあたりから実は押さえておく必要がありますよね。
歴史の知識はあればある程よりわかる映画でした。
でも、その割にはまとまりもあるし、難解すぎないところもよかったです。
TBありがとうございました。

2009/1/12(月) 午後 7:33 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

キューバ革命戦争を通して「ゲバラ」という人間を描いている作品だと思いました。
ハードルの高い作品で、字幕を追いながら表情を観るのが大変でした(アセアセ)
トラバお願いします!

2009/1/13(火) 午後 8:37 くるみ 返信する

顔アイコン

【くるみさん】おっしゃるようにゲバラの人物描写の細かい映画でしたね。
確かにちょっと予習してないときついタイプの作品ですよね(^_^;。
なかなか見ごたえはあったのですが。
TBありがとうございました。

2009/1/14(水) 午前 3:02 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

顔アイコン

たしかに、当時の中南米諸国の政治体制などを考えると、このゲバラの思想も より一層理解できますよね。 これらの国ではマルクス主義も生きるでしょうから。(あくまで当時としての話ですが) でも、やはり彼は政治家にはならないタイプですよねぇ〜、カストロはその点では権謀術策に抜きん出たんでしょうが・・・。 自分自身は「映画的」な意味で言えば、2部作を観終えてから・・・になるかなぁ。(/∇\) TBさせてもらいますね!

2009/1/15(木) 午後 10:23 Kaz.Log 返信する

顔アイコン

【Kaz.さん】ゲバラの故国のアルゼンチンはゲバラの若い頃はペロンの軍事政権下にありましたから、その影響は特に大きそうですよね。
時代的にマルクス主義を理想にした国も多いですよね。
やっぱりゲバラは武闘派なので政治とは相入れないでしょうね。
導入としては派手になり過ぎず、それでいて見せ場も作ってありましたけれど、
映画としての最終的な出来はおっしゃるように2部作目を見ないと判断できないですよね。
TBありがとうございました。

2009/1/16(金) 午前 6:33 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

アバター

考えてみると50年前のことですから、戦闘方法などは今とは比較にならないものであったわけですよね。
私もサンタ・クララの闘いにクライマックスを持っていったのは映画としては観易いと思いました。手記だとそこに至るまでいろいろな場所で闘いがあり、何が何だかよくわからない感じで・・・^^;
淡々としたドキュメンタリータッチの描き方でしたが、国連での演説時のシーンを挟みながらの手法は面白かったです。
キューバを後にしてボリビアへ入る後編を観ると、何か又違ったチェの姿が見えそうで楽しみですね。
こちらからもTBさせてくださいね。

2009/1/16(金) 午後 9:53 choro 返信する

顔アイコン

【Choroさん】かなりその時代の戦闘ぽさとしてはリアルだったと思います。
上陸の時とか劇的な戦闘だったみたいですが、あっさり切り捨てていて、構成的にはサンタ・クララでクライマックスはかなりわかりやすくできてましたよね。
やっぱり逐一忠実に追っていくには時間的な無理もありますよね(^_^;。
国連のシーンも、モノクロにしていて効果的でした。
あとは後半ですよね。やっぱり最後まで見てどう云う作品か、ですよね。
今作のベニチオ・デル・トロの演技を見ていても後半も楽しみです。
TBありがとうございました。

2009/1/17(土) 午前 2:43 [ miskatonic_mgs_b ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(7)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事