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 最近、コンピューター上で作成した3DCGデータをそっくりそのまま立体造形してくれる3Dプリンターの普及が進み、プラスチック鉄道模型も「自分で作る」時代になってきました。これまで、自作の真骨頂といえばペーパーモデルでしたが、プラスチック造形が容易に行えるようになったことで、床下機器などの小さなパーツや、製品化されていない車両のキットそのものを個人で作ってしまうケースが珍しくなくなりつつあります。
 私は横浜線の205系とE233系が専門ということで、模型もその2形式ばかり集めているのですが、日頃実車で細かい特徴を探っているだけに、模型も「買ってそのまま」というわけにはいかず、細かい加工をしたくなってしまいます。特に、横浜線の205系といえば大手メーカー「KATO」の製品が思い浮かびますが、実は床回りが実車と異なっていて、「雰囲気」や「タイプ」で割り切れないモデラーの悩みの種になっています。
 そこで今回は、KATO製品の横浜線205系に取り付ける、「DT50D/TR235D」台車を3Dプリンターで製作してみました。


  そもそも台車の何が違う?
 
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 205系の台車は一般に「DT50形/TR235形」と言われますが、実は山手線の32編成目から仕様が変更され、「DT50D形/TR235D形」を名乗るようになりました。
 問題なのはここからで、山手線の49編成目からは同じ「DT50D形/TR235D形」の名前で台車構造を少し変えたものが登場しました。側面に突き出している枕木方向の梁の回りが従来より厚くなっているのが特徴で、ヤテ49編成以降の205系は一部を除き全てこの台車に統一されたため、全体的には「DT50D形/TR235D形」の後期タイプが圧倒的多数となります。

 ではここで、Nゲージ鉄道模型メーカー各社のDT50形台車を見てみましょう。

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■KATO(K社)
 オーソドックスなDT50形台車です。車軸の表現は簡素ですが、他社に見られない特徴として応荷物重装置の棒や軸ばねの固定具が再現されています。
 しかし、左右のレリーフを180°反転させて作成しているため、応荷重装置のピンの位置が必ず片方違うほか、造形の都合なのか軸ばねの形状が残念です。

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■TOMYTEC(T社)
 TOMIXの製品は手持ちがないので鉄コレ用を。軸ばね部分の再現度がピカイチ。車軸やブレーキ部分もよく再現されており、側梁の穴は内側に凹ませてより実感的な見た目としています。全体的に完成度が高く好評価ですが、付随台車のTR235は製造していないため、付随車でもDT50が付いています。

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■MICROACE(M社)
 TOMYTECには及びませんが、車軸や軸ばね部分の造形は奮闘しています。空気ばねが他社に比べて薄く大きい点が特徴です。
 残念なのは、側梁や軸受けの下部分の厚みが大きくなりすぎてバランスを崩しているのと、台車側面中央部の突起が省略されている点です。

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■GREEN MAX(G社)
 側梁の穴や車軸のピン表現、ブレーキ回りは頑張っていますが、複雑な構造の軸ばねを円柱3つで片付けるという暴挙をしています。ほかにも、軸ばねから側梁に向かって謎の線が伸びているなど、全体的に雑な印象。入手性はいいので、なにかの素材には使えるかもしれません。

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 台車で大切なのは「バネ」ということで、各社の軸ばね構造の比較を作りました。見た目にもかなり影響を与える部分だと思うのですが、形状は各社まちまちといったところ。再現度では先述の通りTOMYTECさんが優勝ですかね。
 ただ、205系の台車をリアルにしたいからと言って鉄コレの台車を大量に入手するのは困難ですから、どこかで妥協が必要になってくるでしょう。
 ところが、ご覧のとおりヤテ49編成以降の「DT50D後期形」の台車はそもそも製品がありません。妥協するにもしきれない状況なのです。


  3DCGで描くDT50D後期形台車
 
 それではいよいよ、横浜線の205系に必要不可欠な「DT50D/TR235D」後期形台車の自給自足体制に入ります。
 3DCGのソフトはいろいろありますが、模型用のパーツを作るにあたってスケールがわかることが必要最低限の条件になるため、これまで趣味で使っていたMetasequoiaのフリー版では対応できないことが発覚。眠っていた123D designというソフトを使うことにしました。そしてこの記事を書くためにソフトの説明を使用と思ったのですが、昨年中にサービスが終了していて、公式サイトも閉鎖されたとのこと。なんてこった。
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 123D designは、メモリこそ喰うもののシンプルで使いやすいソフトでした。図面や写真、既製品の台車を参考にちまちま基本図形を組みわせて描きあがったレリーフが上の図です。わざわざ「メーカーが製品を作らないから」ということで身の程知らずの自作をするというわけですから、妥協無しでの自分との勝負です。
 最終的にKATO製品に付けることになるので、KATO製台車をノギスで細かく採寸し、サイズを合わせて行きます。

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 おなじみの構造。最初は基本部分とレリーフを分けて製造し、工作段階で組み上げて1つの台車にすることを考えていました。しかし、既存の集電板を使うことを考えると、レリーフの中央部には集電板が挟まるため、基本部分との接着はレリーフ上部の限られた面積で行わざるを得ません。流石に強度がもたないので、一体成型に計画変更です。

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 画面上で組み上げてみます。
 結構それっぽい感じになりました……!! せっかくなので既製品の台車を履いているときよりも、少し車高が下がるように調整し、ブレーキ回りなど残りのパーツを作ります。
 また、動力台車は別途設計を行う必要があるため、ノギスとにらめっこしながら値をメモしていきます。

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 ブレーキ回りを描き分け、DT50D(上)とTR235D(下)のレリーフが完成しました。これを180°反転……ではなく鏡像反転して、基本部分と連結すれば台車の出来上がりです。180°反転すると、応荷重装置の棒の位置が変わってKATOの二の舞になってしまいます。
 基本的に凹凸をどこまで細かく表現できるかはプリンターの性能にお任せでよいのですが、ブレーキ回りのシリンダーなどは細すぎると造形自体ができないため、利用するサービスの条件をよく確認する必要があります。(→DMM利用:アクリル(Xtreme Mode)の場合

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 最後に、オマケとして「差圧弁」というものをつけます。これは片方の空気ばねが異常をきたした際に、左右の空気ばねの空気を融通させて車体のバランスを保つための弁で、ボルスタレス台車における大切なアイテムのひとつです。
 ところが、台車の片側にしかついていないため、大抵の模型では省略されているのです……。


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 入稿用データは動力台車1両分を含む2M2T構成とし、8個の台車をランナーでつなげて1つにしました。
 今回はDMMを利用しますが、DMMは入稿データを必ず1つの立体にまとめなければならないため、複数のパーツがある場合にはこのようにランナーでの接続が必須です。また、台車は垂直に立てた方が良い結果が得られます(後述)。


  入稿そして結果は……

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 データはstl形式で出力し、DMMの専用フォームにアップロードします。すると自動でデータチェックが行われ、各材質に対する見積もりがメールで届きます。
 鉄道模型のパーツは基本的に「アクリル」の「Xtreme Mode」を利用することになるので、見積もりの該当項目が製造に必要な単価と言うことになります。単価は材料によって当然異なりますが、「初期費用」「体積による費用」「空間による費用」の3つのパラメーターで決定される用です。「体積による費用」「空間による費用」の違いは、体積が3D構造物そのものの大きさを表すのに対し、空間は構造物に外接する直方体の大きさを表しています。つまり、同じ体積の立方体と球では、球のほうが値段が高くなります。

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 こちらが完成した台車です。こだわった軸バネやブレーキ回りの構造がよく表現されていて満足です。かかった費用は約4000円で、1両あたり1000円といったところ。市販の台車に比べると2倍程度の値段になりますが、3Dプリンター界隈ではこれぐらいが相場ではないかと思います。「空間による費用」を工夫すればもっと安くできるのかも……?
 さらっと「台車は垂直に立てた方がよい」と先述したのですが、これは3Dプリンターの印刷方向(=積層方向)による都合です。レリーフが地に対して垂直方向に存在するデータを入稿した場合、最も繊細なレリーフの部分の再現精度が著しく低下するほか、車輪を入れる際にある程度必要な柔軟性もなくなってしまいます。「細かく再現したい面」を「地面と平行に」したデータを入稿するといい結果が得られます。もちろん、サービスやプリンターによって違いはありますので、DMMのアクリル(Xtreme Mode)以外での条件は分かりませんが、異方性があるということだけは認識していただいたほうがいいかもしれません。

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 動力台車も組み上げてみました。左にある黒い台車がKATOの既製品です。少し取り付け部分が緩かったので、再調整する必要がありそうですが、走行試験は一応クリアしてくれました。
 素材自体が結構脆いので、台車を入れるときに細心の注意が必要です……。以前に実験で作った動力台車は、台車をはめたりはずしたりするときにポキポキ折れてしまいました。この辺りは今後の課題ですね。


 塗装はまだですが、1編成換装したらまた記事にしようと思います。また、DMMにはクリエイターがアップしたファイルを公開して、3Dデータや成果物を販売できる環境がありますので、準備が整い次第この「DT50D/TR235D」後期形台車も出品したいと考えています。
 今後は205系の床下機器やクーラーも作っていきたいと思いますので、暖かい目で見守ってあげてください。

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 みなさんこんにちは。このコーナーは久々更新ですね。
 今回は前回に引き続き、屋根上にある「ベンチレーター」を弄って行きたいと思います。

 前回のお話を軽く振り返ってみましょう。

 末期の横浜線205系には「脱落防止金具」未設置のベンチレーターは現存せず、留め具ごと塗装が行われているか否か、そもそもベンチレーターが未塗装か、で3種類の分類が可能です。研究所では、3種類に独自の名前を付けて整理しています。

 ・灰色銀縁…塗装済みベンチレーター 留め具あり・留め具塗装なし
 ・灰色灰縁…塗装済みベンチレーター 留め具あり・留め具塗装あり
 ・銀色銀縁…未塗装ステンレスベンチレーター 留め具あり・留め具塗装なし

 前回は「銀色銀縁」の未塗装ベンチレーターを塗装で再現しましたが、今回はひと手間増やして「灰色銀縁」の標準的なベンチレーターを再現します。
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 横浜線205系では、2号車のみ銀色・他号車は灰色銀縁というパターンがごく一般的です。
その後、検査時に留め具の上から灰色塗装を施した車両・編成もいくつか登場しました。

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 今回研究所が使用したのは、お馴染み「タミヤ」から発売されているカラースプレー「ダークゴーストグレイ(AS-25)」です。色味の好みは個人差があると思いますが、私はこれが今のところ一番気に入っています。若干青味がかった灰色が特徴的です。

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 マスキング風景です。基本的に1両にベンチレーターは6個ありますから、1個ずつ四隅を丁寧にマスキングした後、全体をマスキングします。研究所は途中で節約の為にセロハンテープを一部用いていますが、方法はどうあれ漏れが無いようにしましょう。

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 ベンチレーターは凹凸がありますので、塗り残しが無いよう注意しながら塗装を行います。
留め具が無いベンチレーターの場合はこれで完成になりますが、ここから銀色の留め具を巻いて行かなくてはなりません。

 ここで登場するのが、最初の写真に写っていた銀色のシールです。
 これは、模型メーカー「グリーンマックス」が発売している「コルゲート板(No.82)」と呼ばれるモデラー向けのアクセサリー商品で、凹凸のある銀色のシートが135x60mmのサイズで1袋に4枚入っています。
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 本来はこのような電車を作るときに使用するのですが…… この銀色のシールを細く切ることで、留め具のパーツを容易に貼り付けることができます。

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 幅約0.25mmに切断したシールを切り分け、丁寧に巻きつけていきます。このとき、留め具が中央に寄り過ぎると見栄えが悪くなってしまうので、微調整しながら貼って行きます。
 ピンセットで巻きつけた後は、はみ出した足をカッターで切り取れば完成になります。

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 未施工の車両と比べるとご覧のとおり。鉄道模型は上から見てしまいがちですので、この差は歴然です。(今回はモハでした…… ※前回の記事参照)

 前回は加工途中の写真を撮り忘れていたので紹介できませんでしたが、今回は加工に際してのお話もすることができました。まだ銀色ベンチレーターを再現していない方も、この記事と前回の記事を読んで、是非トライしてみては如何でしょうか。

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 横浜線205系のNゲージ鉄道模型――
 現在、大手鉄道模型メーカーKATOが4ロット4編成を生産しており、横浜線205系のNゲージといえばKATOが連想されます。※過去生産した順に、カマ4編成、H21編成、H16編成、H25編成

 しかし、買って驚くことなかれ。どうも研究所のサイトと色々噛みあっていない。

 そう、所詮は大量生産品。この1/150モデルに、実車通りの特徴が全て再現されるはずがありません。タイプはタイプであると割り切るしかないのです。

 「模型鉄」と呼ばれる人たちの中には、様々なパーツを買い揃えては器用な手先で車両を改造し、完成品に大リフォームを施すことはもちろん、場合によっては1から車両を作り上げてしまう(一般にフルスクラッチと呼ばれる)工作大好きな方が多く集まっています。
 私も工作が好きな人の一人ですが、撮り鉄専門の方々からは「そんな金があるなら機材に回せ」と言われる肩身の狭い変わり者には違いないです。

 横浜線の模型に「大リフォーム」とまではいきませんが、モノ好きな人間には「ムフフ」となる小加工をしていこう、というのがここでの記事になります。

嗚呼、無塗装ベンチレーター
 今回は、表題の通りベンチレーターの違いについてです。
 研究所サイトの「編成別解説」ページや「細部研究」ページには、ベンチレーターを以下の形態に分けて車両別に整理しています。

 ・灰色銀縁…塗装済みベンチレーター 留め具あり・留め具塗装なし
 ・灰色灰縁…塗装済みベンチレーター 留め具あり・留め具塗装あり
 ・銀色銀縁…未塗装ステンレスベンチレーター 留め具あり・留め具塗装なし

 横浜線の205系の場合、脱落防止金具未設置のベンチレーターは現存せず、留め具ごと塗装が行われているか否か、そもそもベンチレーターが未塗装か、で3種類の分類が可能です。
 ステンレス製ベンチレーターを搭載している205系は全体的にも少なく、横浜線では製造時期が遅い「サハ204形100番台(の一部)」「サハ205-232」でその姿を見ることができます。
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▲未塗装ベンチレーター(サハ204-101)と塗装済みベンチレーター(モハ204-181)

 今回はH26編成を再現するにあたり、ひとまずサハ204-126とサハ205-232のベンチレーターを塗ってみようという流れです。
 サハ204形100番台の場合、床下機器の総取り換えやドアの交換など、実車に近づけるためにやらなくてはならないことが沢山あります。中でも未塗装ベンチレーターは最も手軽に再現でき、そして見栄えも非常にいいので加工のし甲斐があるというものです。
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 研究所がオススメするのは、模型業界ではお馴染みの「タミヤ」から発売されているカラースプレー「つやありシャンパンゴールド(TS-75)」です。色味の好みは個人差があると思いますが、私はこれが今のところ一番気に入っています。
 写真に写っているのがサハ204-126とサハ205-232です。H26編成のうち6両が南武線に転属するということで、E233系の営業運転開始を待たずして横浜線205系として最も早く廃車になってしまった2両です。
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 銀色ベンチレーターが目立つ撮影地を選び、震える寒さの中3時間待った末、何故か同業者が誰一人来なかった記憶が蘇ります。そして狙い通り、未塗装のベンチレーターを積んだ2両を拝むことが出来ました。

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 塗装しない車両と比べるとご覧のとおり。鉄道模型は上から見てしまいがちですので、この差は歴然です。(サハだけに)

 KATO製205系の屋根は取り外すこともできます。クーラーも外れますから、屋根だけの状態にしてマスキングして塗装するのが確実です。
 是非あなたも未塗装ベンチレーターを再現してみては如何でしょうか。

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