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昔のお話。
新幹線の車内販売のバイトをしていたときのこと。
当時はグランドひかりという、2階建て車両が4両も連なっているひかり号が走っていました。
食堂車も営業していました。
博多発9:00の「ひかり36号」。
停車駅は博多、小倉、小郡(現、新山口)、広島、福山、岡山、新神戸、新大阪、京都、名古屋、新横浜。
まだ、品川駅は開業していません。
広島でのぞみに抜かれるため、8分停車していました。
帰省ラッシュが始まる夏のある日。
広島に到着して、私が売店のある8号車から5号車へ移動しているときのこと。
「自由席はどこですか?」
「5号車から後ろです」
7号車の東京よりのデッキで老夫婦に声をかけられた。
男性の手には白い杖。目の不自由な老夫婦。
7号車は2階建て車両。2階はグリーン車で1階は指定席。4列並びのゆったりシートでビデオ映像が楽しめる。
5号車まで車内を歩いていくには、階段を下りて上ってを繰り返すことになる…。そこで、
「よろしければ、5号車まで案内いたします」
男性の手を自分の肩にのせて、案内開始。
「発車まで時間がありますので、ホームから行きましょう」
ホームに出て、5号車のデッキへ。
5号車の自由席は満席。座れるかな?
すると、座っていた乗客が席を譲っていた。老夫婦は座席は離れていたが、無事、座ることができた。
案内を終えて、お仕事再開。
ワゴンを押しながら、5号車の客室に入ると…。
老夫婦は仲良く並んで座っていた。
乗り合わせた乗客が気を利かせてくれたのだろう。
胸があったかくなった。
夏が来ると思い出す。
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