無肥料・無農薬栽培について

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斬新な果樹の剪定法「切り上げ剪定」で、各地で反響の道法正徳氏が提唱する果菜類の垂直仕立て栽培法が、無肥料栽培実践農家や愛好家の皆さんの間で話題になっています。

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一般的なトマトの栽培法は、脇芽をかき取り主茎だけを伸ばして着果した実を順序収穫しますが、道法流は脇芽に着目、脇芽を伸ばしてまとめて支柱に縛り付けて垂直に仕立てます。 植物ホルモンが重力方向でやり取りされるという法則(仮説)を最大限活用する栽培法です。


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垂直にする事で植物ホルモンのやり取りが最短距離となり活性化する、というのがキモのようです。

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〈続く〉

VA菌根菌(エンドファイトで主要な存在)

菌根とは、Vesicle(のう状体)やArbuscule(樹脂状体)をつくるカビやキノコの仲間(菌根菌)で、植物につく有用微生物です。

VA菌根菌は植物の根につくと、土壌中に菌糸を伸ばし、リン酸などのミネラルや水分を効率よく吸収して植物に与え、植物からの光合成で生産した糖分を与えられます。

この持ちつ持たれつの関係を共生と呼びます。
本来、健康な植物は根から浸入してくる菌(病原菌)から自衛する手段を持っています。根の表皮を硬くして菌の浸入を防いだり、病原菌が表皮を溶かそうと分泌する酵素を阻害する物質を出したりします。

また、それらを突破して浸入してきた菌を殺す抗生物質を持ったり、それによって新たな抗生物質を作り出したりします。
そんな何層もの強力なバリアを持つ根に入り込む菌根菌は植物と絶対的な共生関係にあります。

リン酸濃度の高い場所では成長が悪く、期待した結果は得られないようです。

本来、菌根菌とは養分が少ない土壌に生息して植物が届かない場所から養分を取り込み、植物に送る働きを特長としてきました。よって、あまりにも肥料分の多い土壌ではその存在の必要性がないのではないでしょうか・・・。

植物にとっての菌根菌は、人間にとっての大腸菌です。
人間は、大腸菌が体内に共生してくれないと、食物を分解できずに消化不良を起こしてしまいます。分解しなくて吸収できるというと、栄養剤の類に頼らざるを得なくなり、健康を維持することもほぼ不可能になります。

菌根菌も、栄養分が少ない土からでも植物が自分自身では十分に取れない栄養素や水を補給してくれる存在です

エンドファイトを利用した農業の基礎と今後の展望
土壌中には、様々な微生物が存在しています。もちろん農場の土壌や畑、水田、森林など土壌の環境条件はその目的毎に変わってくるため種類や数に違いは生じます。しかし一般的な畑には面積10a、深さ10cmの土に約700kgもの土壌生物が存在すると言われています。その内訳ですが約70%はカビ、約25%が細菌や放線菌と呼ばれるもの、そして残りの約5%がミミズなどの土壌動物とされています。
農業において「土」の存在は欠かせません。そしてその土の中には、微生物達の存在も欠かせません。彼らは農作物である植物とともに生育していきます。そのため「共生」や「寄生」といった関係が生まれることも決して珍しいことではありません。互いの利益・不利益の関係から、植物と微生物の関係は「相利共生(双方が利益を得る)」「片利共生(片方のみ利益を得る)」「片害共生(片方のみ害を被る)」「寄生(片方のみが利益を得て、片方が害を被る)」に分類できるのですが、今回は「エンドファイト」と呼ばれる「共生」の農業活用法についてご紹介します。
■エンドファイト(植物共生細菌)とは
「エンドファイト」とは、ギリシャ語の「endo(内部の)」と「phyte(植物)」からきている単語で、植物体内で相利共生している微生物一般のことを指します。「エンドファイト」という名称をもつ微生物が存在している訳ではありません。ただこの「エンドファイト」は、農作物を栽培する上で、実用性が高いのでは?と考えられており、高い注目を集めています。
「エンドファイト」の先駆けとも言える存在に、イネ科植物と共生するNeptyphodium属と呼ばれる糸状菌がいます。この菌は少々聞こえは悪いかもしれませんが、植物種子へ感染し植物の遺伝形質の一部として扱われます。そのためこの糸状菌と共生しているイネ科植物は、菌の生成する分泌物のおかげで害虫から身を守ることができたり、その植物だけでは持つことの出来なかった形質を得られるとのことで、注目されました。
「相利共生」という観点から、農作物を育てる人には馴染み深い存在とも言える“根粒菌”、“菌根菌”も「エンドファイト」のひとつであると言えるでしょう。例えば菌根菌と呼ばれるカビやキノコの仲間は、植物の根の内部に菌糸を伸ばし侵入することで共生しながら生育しています。根の内部に侵入することで、根から自身の生育に必要となる糖分などの栄養素を供給していますが、その代わり菌糸を伸ばし土壌中から吸収したリンなどの無機養分、水分など、植物の生育に必要なものを提供してもいます。植物は無機養分を欲しているにも関わらず、根から数mmの範囲でしかリンを吸収することができません。しかし菌根菌と共生することで、植物だけでは吸収し得ないリンを受け取ることができるのです。
菌根には様々な種類がありますが、どの種類においても植物に必要な養分を吸収するという役割だけにはとどまりません。例えば水分吸収の促進という役割は、植物の生育には必要不可欠なものであり、菌根菌と共生している植物の成長が促進されることもよく知られています。養分が乏しい土壌であったとしても、彼ら微生物と共生することで、生育力が強まります。そのため菌根菌を共生させている植物は乾燥にも強くなることが知られています。
また菌のおかげで、植物にとって害となる病原菌から身を守ることもできます。菌の種類にもよりますが、病原菌に対抗する抗生物質を作り出す菌の存在も知られています。
■農業利用の方法とは
現在の農業では、地球環境に配慮した「環境保全型農業」というものが重要視されています。化学農薬を避けるよう努め、農作物に有害な生物は、生物で防ぐという考え方が、ここでは重視されます。その点から考えると「エンドファイト」はうってつけの存在です。
従来の農業において、微生物と植物の共生関係が崩れてしまっている農地もあることでしょう。しかしそこへ「エンドファイト」を利用することで、農業の中での生態系のバランスを整え、作物を育てていくという流れを作り出すことができます。「化学肥料=悪」という考え方では決してありませんが無機養分を肥料として大量に扱うと、その土壌に元々存在していた菌根菌の数が減ってしまうとも言われています。現在重視されている「環境保全型農業」という考え方からすれば、「エンドファイト」を利用することで、自然に備わった土壌の力を取り返そうという考えに達します。
また農作物が病原菌に抵抗できるよう「遺伝子組み換え」の手法ではなく「エンドファイト」の力を利用することで、農薬を減らしても病害虫から身を守ることができる、という活用法もあります。消費者の食への安心、安全への志向が高まっている昨今、生産者側と消費者側の理想をつなぐ役割を「エンドファイト」が担っているとも言えます。農薬を減らし、農作物の安全性、安心感を高めながら、「エンドファイト」によって病害菌から農作物を守ることができます。
従来の農薬の効果は、病気と害虫への効果は別物だったのですが、「エンドファイト」の力を利用した減農薬の取り組みによると、病害から身を守るだけでなく、害虫がその農作物自体を食べることを嫌がる、ということも報告されています。
 
 
"微生物"は分類としては以下のように分けられる。

真核生物・・菌=カビ、キノコ、酵母菌
原核生物・・細菌(バクテリア)=放線菌、納豆菌、光合成細菌、乳酸菌

農業で使う菌は、真核生物に区分される「菌」や原核生物に区分される「細菌(バクテリア)」。

真核生物は、なんでも錆びつかせる酸素からDNAを守るために核の中にDNAを内包しています。細菌(バクテリア)は、DNAがむき出しになっていることもあり、基本的には酸素が苦手。


〈糸状菌の働き〉
(※糸状菌とは、菌類のうち、菌糸と呼ばれる管状の細胞から構成されているものの総称。いわば、"カビ")

デンプンを糖に変える。糖は、他の多様な微生物のエサとなり増殖を助ける。セルロースを溶かす酵素(セルラーゼ)、デンプンを溶かす酵素(アミラーゼ)、タンパク質を溶かす酵素(プロテアーゼ)を体外に分泌し、有機物を分解する。

〈納豆菌の働き〉

デンプンを分解する酵素(アミラーゼ)を出す。タンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)を出すことで、カビやヨトウムシの防除になる。セルロースを糖に分解し、有機酸を作ります。植物ホルモン(サイトカイニン)を生成し、葉を大きくします。カビ病を抑制(カビ1に対してバチルス菌が100以上いれば、カビ胞子は発芽できなくなると言われています。)亜硝酸の還元。具体的には、亜硝酸を納豆菌が食べることで納豆菌のカラダでアミノ酸に変化させ、納豆菌が死ぬことで植物にアミノ酸が取り込まれます。ビタミンB群を合成します。

〈酵母菌の働き〉

ブドウ糖をアルコールに分解し、炭酸ガス(CO2)を発生させます。この炭酸ガスによって土壌を団粒化する。根の周辺で酵母菌が死ぬと、酵母菌のカラダから、アミノ酸・ミネラル・核酸・植物ホルモン(花を大きくするオーキシン)・ビタミンなどの生理活性物質が放出される。根はこれらを容易に吸収することができる。植物ホルモン(オーキシン)を生成し、花を大きくします。そのため、実がなる野菜(トマトやキュウリ等)では酵母菌がよく使われる。有機物の腐敗を防止。硝酸を還元するので、土壌中の硝酸を減らすことができる。

〈放線菌の働き〉

キチン質を分解する酵素キチナーゼを出すので、センチュウ対策に効果がある。抗生物質を作る。太陽熱養生処理の際、45℃以上の熱がかかると、団粒の隙間に生じた糸状菌が、放線菌に置き換えることができる。※糸状菌はカビの仲間なので、植物の病気の原因になる。

〈乳酸菌の働き〉

通性嫌気性(嫌気状態で乳酸を作るが酸素があってもOK)糖をエサにし、殺菌作用がある有機酸「乳酸」を作ります。乳酸によりpHが下がることで雑菌が抑制され、他の有効菌が働きやすい状態になります。(菌の掃除屋)土壌中のミネラルをキレート化し、植物に吸われやすくします。


用語メモ集 (3)

以下は昨年のこの書庫で取り上げた事と重複するものもありますが・・



<土ごと発酵>

たとえば残渣や緑肥などの未熟な有機物を土の表面におき、米ヌカをふって浅く土と混ぜてみると、それだけのことで、土はいつの間にか団粒化が進み、畑の排水がよくなっていく。田んぼでも、米ヌカ除草しただけなのに、表面からトロトロ層が形成されていく。――これは、表層施用した有機物が微生物によって分解されただけではない。その過程で微生物群が土にも潜り込みながら、土の中のミネラルなどをエサに大繁殖した結果。人がほとんど労力をかけなくても、自然に土は耕され、微生物の作り出したアミノ酸や酵素・ビタミン、より効きやすいミネラルたっぷりの豊潤な田畑に変わる。このことを「土ごと発酵」とよぶ。

「土をよくするには一生懸命堆肥をつくり、苦労して運び込んで入れる」というかつての常識を打破。「土ごと発酵」は、外で発酵させたものを持ちこむのではなく、作物残渣や緑肥などその場にある有機物を中心に使う「現地発酵方式」なので、ラクで簡単、低コスト。有機物のエネルギーロスも少ない。超小力で究極の方法とも思える。

土ごと発酵を成功させるポイントは、(1)有機物は深くすき込まない。表層の土と浅く混ぜる程度か、表面に置いて有機物マルチとする。酸化的条件におくことが大事。 (2)起爆剤には米ヌカが、パワーアップのためには自然塩や海水などの海のミネラルがあるとよさそう。どちらも微生物を急激に元気にする。

この他、より効果を上げるには、土の水分条件(二週間は雨に当てない他)、施用する有機物のC/N比の条件などが重要と考えられている。




<土着菌・土着微生物>

世の中は菌であふれている。身のまわりの自然――山林や竹林、田んぼなどから菌はいくらでも採取できる。たとえば林の落ち葉やササをどかすと真っ白な菌糸のかたまり(これを「ハンペン」とよぶ)が採取できるので、これをボカシ肥などのタネ菌として利用する。かつて、さまざまな市販微生物資材が一世を風靡した時代があったが、最近では、その土地に昔からあり、その地域環境に強く、しかも特定なものでなく多様な土着菌こそが大切であるという考え方が広がっている。

土着菌は、採取する場所によって、あるいは季節によって性格が少しずつ違い、その活用には観察眼と技術がいるが、それがまた土着菌のおもしろさでもある。その土地に合っているせいか、市販の微生物資材にはないパワーを発揮することもよくあるし、もちろんおカネがかからないのもいいところだ。

採り方は、山の落ち葉の下に菌糸が見つかればそれを集めればいいが、見つからない時は腐葉土の中へ硬めのご飯を入れたスギの弁当箱を置く。五、六日後にはご飯に真っ白のこうじ菌、もしくは赤や青などの色とりどりの菌(ケカビの仲間)が生えるので、それを採取する。秋、イネを刈り取ったあとの稲株の上に、やはり硬めのご飯をつめたスギの弁当箱を伏せて置いてもよい。







<炭素循環農法>

ブラジル在住の農家・林幸美さんが広めた。一般的な栽培では主な肥料はチッソだが、炭素循環農法では圃場の微生物を生かすためにチッソより炭素の施用が必要だとする。C/N比(炭素量とチッソ量の比率)の高い廃菌床やバーク堆肥、緑肥、雑草などを浅くすき込むだけで、その他の肥料はいっさいなし、それだけで虫も病気も寄らない極めて健康な作物が育つという。

微生物によって有機物が分解されるときは、C/N比によって分解のされやすさが変わる。炭素循環農法ではC/N比40を境に、これ以下ならバクテリア(細菌類)が、これ以上ならキノコ菌などの糸状菌が主に働くと考える。糸状菌は、いったん縄張りを確保し有機物をガードしてからゆっくり分解する性質をもっているので、一度に大量のチッソを必要とせずチッソ飢餓を起こさない。逆にC/N比が低い有機物は、急速な分解のためにチッソを一度に必要とするのでチッソ飢餓を招く原因になる。そのため炭素循環農法では、微生物などの土壌生物がもっているチッソ以外の無機態チッソは過剰と考える。一般にはこの無機態チッソが作物の肥料と考えるが、C/N比を下げて糸状菌の働きを邪魔するもとであり、病害虫発生の直接原因になると見ている。




<自然農法・無肥料栽培>

自然農法といっても流派はいろいろ。岡田茂吉・福岡正信・川口由一さんらの大御所もいるし、最近は木村秋則・赤峰勝人さんらが有名だ。炭素循環農法も人気がある。それぞれやり方も信念もいろいろで整理がつけられるものではなさそうだが、共通の見解に、どうやら「むやみな施肥が作物の生育を乱す」ということがある。

人為的な施肥行為で作物を「育てよう」とか「大きくしてやろう」とか思うと、病気や虫がつき、農薬が必要になる。作物は「育てる」ものではなく「育つ」もの。人はそれを待てばよい……。

自然農法や無肥料栽培に転換するのは簡単なことではないが、作物の力・土の力・自然の力を邪魔せず、うまく発揮させることこそが農業技術の本質と考える。




<エンドファイト>

生きている植物体の組織や細胞内で生活する生物のことで、大部分の植物種をすみかとする。宿主である植物に対してチッソ固定やリン酸の供給のほか、病害虫に対する全身抵抗性を誘導する。いっぽうエンドファイトの側は、植物から光合成産物(ブドウ糖など)の提供を受ける共生関係にある。アーバスキュラー菌根菌もこの一種。

最近、イネ用に資材化されたエンドファイトは、斑点米カメムシ被害の軽減、イモチ病に強くなる、生育が促進され増収するなどの効果が報告されている。他にも、ハクサイの根こぶ病やアスパラガスの立枯病を抑制するものなども見つかっている。

木嶋利男さんは、山林の落ち葉下の土など、土着微生物が多く含まれる培土に、胚軸で切断した苗を挿し木すると、苗の組織内に定着した土着微生物が入りエンドファイトとして繁殖することを報告している。ただし微生物が組織に入り込むには適期があり、たとえばトマトの場合、本葉展開〜三枚の間に挿し木するのがよいという。




<ヤマカワプログラム>

ゲリラ豪雨や長雨が頻発し、畑に湿害が発生しやすくなった北海道で生まれた話題沸騰の方法。

耕盤の土を煮出した液「土のスープ」・酵母エキス・光合成細菌の三点セットを畑に散布するだけで、「耕盤が抜ける」という。考案者の山川良一さんによれば、排水性がよくなるのは耕盤が「壊れる」というよりは、微生物によって何らかの変化を起こすため。硬く締まった耕盤層にも微生物はおり、三点セットがその微生物を活発に活動させるトリガー(引き金)になるという。

にわかには信じがたい話なのだが、現場では本当に結果が出ている。北海道栗山町のタマネギ畑では、ガチガチだった粘土質の畑に棒が深く刺さるようになったり、ドブ臭かった耕盤層の土が森の土のような匂いに変わったりと、さまざまな変化が起きた。なによりタマネギの根が耕盤層の下まで伸びるようになり、干ばつや大雨の影響を受けにくくなったという。

サブソイラなどで耕盤を破砕するのと違い、畑にもともといる土着菌に硬い耕盤層を軟らかくしてもらう方法。緑肥も活用して微生物が安定して活動するようになれば「いずれ、三点セットも必要なくなる」と山川さん。




<表面・表層施用>

有機物を土へ深くすき込まず、土の表面に置くか、浅起こしで表層の浅い部分に入れることをいう。

生の有機物を土中深くに入れてしまうと腐敗しやすく、根傷みなどの原因となるが、表面・表層施用ならあまり心配はない。土の表面近くは通気性がよく、こうした環境で殖える微生物が、作物の生育に害をなすことはあまりないからだ。むしろ、有機物を分解しながら、作物の生育にとって有効な有機酸やアミノ酸、ビタミンなどを生み出してくれる。土の団粒化をすすめて土をフカフカにしてくれる。表層で働く微生物が出す二酸化炭素(炭酸ガス)は、作物の光合成を活発にするのにも役立つ。

考えてみれば、畑の全面に有機物をすき込むようになったのは機械化以降のことだ。日本の伝統的な有機物利用は、落ち葉、作物の茎葉、雑草などを、主に刈り敷、敷きワラなどとして利用する方法、つまり表面施用が中心だった。

土ごと発酵、有機物マルチ、堆肥マルチなどはすべて有機物の表面・表層施用技術といえる。微生物の力を借りることで、少量で大きな効果をあげることができる、有機物活用の小力技術である。




<有機物マルチ・堆肥マルチ>

マルチとは「根を覆う」という意味で、作物の生育中に、根を守るために有機物を表面施用し土を覆うことをいう。有機物は大別すると、雑草草生やグラウンドカバープランツ、マルチムギなどのリビングマルチと、敷きワラや堆肥、落ち葉、モミガラや刈り草、米ヌカや茶ガラ、コーヒー粕……などの様々なものを運び込んでマルチする方法とがある。有機物は基本的に生のままでよい。

普通のポリマルチにも、草を抑えたり、地温を調節したり、水分を保持したりする効果があるが、有機物マルチや堆肥マルチはこれらの効果に加えて微生物やミミズなど小動物まで元気にしてしまうのが大きな特徴。土との接触面では、じわじわと土ごと発酵が起こって、いつの間にか土がフカフカになり、土中のミネラルも作物に吸われやすい形に変わる。マルチに生えたカビが空中を飛んだり、土着天敵や小動物のすみかになったり、空中湿度を調節してくれたりもするので、病害虫がふえにくい空間にもなる。

こうして、生育中は微生物や小動物による土壌改良・食味アップ・防除効果などが期待でき、作後は土にすき込むことで、次作のために利用できる。外で堆肥をつくって圃場に運び込み、散布する、という重労働を省略できるのもいいところ。




<米ヌカ>

玄米を精米した時にでるヌカ。イネの種子は表皮部、胚芽部、胚乳部と、それらを保護するモミガラからできているが、このうち胚芽と表皮部を合わせたものが米ヌカとなる。胚芽は芽、つまり次代に受け継ぐ命そのもので、これを生かすためにデンプンというエネルギーを貯えているのが胚乳部(白米)である。

米ヌカはリン酸やミネラル、ビタミンなどに富み、昔からスイカなどの味のせ肥料として重宝されてきた。イネに使えば米のマグネシウムがふえて食味がよくなる。そして、米ヌカの最大の魅力は、発酵を進める力がとても強いこと。おいしいヌカ漬けができるのは、米ヌカによって酵母菌や乳酸菌などの有用微生物が増殖するからだ。田んぼにまけば表層の微生物が繁殖、土ごと発酵でトロトロ層ができ、畑にまけば土の団粒化が進む。米ヌカで元気になった微生物は土のミネラルなどを有効化し、米ヌカの成分と合わさって作物の生育を健全にし、病原菌の繁殖を抑え(米ヌカ防除)、味・品質をよくする。水田の米ヌカ除草も、急速な微生物の繁殖を生かすやり方だ。




<モミガラ>

モミ摺りして玄米を取り出した残りがモミガラ。地域によっては焼却されることも多いが、ケイ酸を多く含む身近な有機質資材として大変重宝な存在である。

独特の船形が空気と水分を保ち、船形の内側はわりと軟らかく微生物が住みつきやすい。土に混ぜると砂地は水もちよく、粘土質は水はけよくする力を持ち、家畜糞や生ゴミなど水分の多いものと一緒に堆肥に積むと発酵を助け失敗が少ない。そしてこれらの効果は、モミガラ自体の発酵・分解に時間がかかるため、船形が崩れにくく、長年持続する。

福島県の東山広幸さんは、モミガラにたっぷりの水と米ヌカを混ぜブルーシートで覆って作る堆肥を、育苗に、肥料に、有機物マルチにと何でも使い「畑の万能選手」と呼んでいる。最初は水分をはじく性質があるものの、一度吸収した水分を保持する能力は高く、野菜やイネの育苗に使うと、酸素たっぷりなのに水やりを忘れてもわりと平気な床土となり、ケイ酸効果も手伝ってか、根張りのよいしっかりした苗が育つ。軽いのもいい。

発酵させることで引き出される不思議な力も注目されている。モミガラ堆肥をイチゴの育苗培土に使って、低温処理しなくても確実に花芽分化を早める農家や、手作り菌液に漬けたモミガラを少量散布してゴボウのヤケ症を克服した農家、発酵モミガラだけで無肥料栽培し、病気に強いイチゴやキュウリをつくる農家もいる。発酵させたりくん炭にしたりすることで、含まれるケイ酸分が作物に吸われやすい形になり、病気に強くなることはわかってきたが、まだまだ未知な部分が多い。




<落ち葉>

落ち葉には、(1)チッソ源やエネルギー源を加えなくても発酵が進む、(2)カルシウム、マグネシウムなどのミネラルに富む、(3)多種多様な土着微生物が付着している、などの特徴があり、落ち葉マルチなど、その利用が見直されている。

落ち葉マルチの下の土はフカフカだ。葉についた微生物などが表面から土を耕し、雑草の生育も抑制する。また、落ち葉を表土にすき込むことで、多発していたネコブセンチュウを抑え、キュウリの収量を上げた例もある。家畜糞尿に混ぜれば発酵が進みやすくなるので、落ち葉を利用する堆肥センターもある。これらはみな、落ち葉が土着菌の宝庫であり、素晴らしいエサでもあることの証だ。

かつてはサツマイモ苗や野菜苗の踏み込み温床の発熱素材として広く使われてきたが、電熱温床の普及で、やる人は少なくなった。落ち葉かきは手間がかかる仕事だが、山を荒らさないためにも、地域の力を活かして復活させたい。




<緑肥>

生育中のまだ緑色の植物を土つくりや養分供給に生かすこと。ウネ間や樹間にイネ科やマメ科などの植物を播き、栽培期間中に適宜、刈り取って敷き草などにする場合と、休閑期間に育ててすき込んだりする場合がある。昔から行なわれてきたが、肥料も農薬も値上がりする一方の近年は、肥料効果の高いマメ科緑肥が注目されている。堆肥栽培同様、緑肥を肥料計算に組み入れていく方法が、今後は広まっていくだろう。

その他にも緑肥には、土壌有機質の増加、土壌物理性の改善、耕作放棄地などに播いて雑草抑制、などの効果がある。クローバ、ソルゴー、イタリアンライグラス、エンバク、小麦、ライムギ、キカラシなどや、田んぼのレンゲや菜の花なども広がっている。マリーゴールド、エビスグサ、クロタラリアなどのセンチュウ対抗植物も、すき込んで緑肥として利用される。

問題点としては、すき込み後のガス発生などによる生育の阻害があげられる。すき込んでから作物を播種・移植するまで一定の期間(三週間以上)をおくことや、乾燥させてからすき込むなどの工夫がされている。

なお、畑に雑草を生やし、それをすき込んで雑草緑肥にする例もある。どんな雑草がどの辺りに多いかなどを観察すると、畑の土の状態(肥沃度やpH)も手にとるようにわかる。緑肥のタネ代もかからず、タネをまく手間も省ける方法だ。




<自家採種>

固定した品種(固定種)であるイネや野菜からは自分でタネが採れる。ただ、イネは一つの花(モミ)のなかで受精する(自家受精作物)ので比較的簡単に自家採種できるが、野菜には、アブラナ科のように一つの株の花のなかでは受精できないため、複数の株をいっしょに開花させてタネ採りしなければならない作物(他家受精作物)が多い。また、アブラナ科は交雑しやすいという特徴もあるので、その品種の特徴を維持してタネを採るには、他の品種の花粉が混じらないよう気をつける必要もある。

野菜ではF1(雑種第一代)品種の栽培が増え、昔に比べると自家採種する機会は減っている。しかし、このところ地域の在来種を大事にする運動が各地で起こり、自家採種の技術がふたたび注目されるようになってきた。長崎県の岩崎政利さんは、「タネ採りをすると、野菜づくりの究極の楽しさがわかるようになる。野菜と語れるようになる」と、約五〇品種を自家採種している。自家採種を繰り返すとだんだんその地に適応したタネとなり、病気や寒さ暑さにも強くなることを実感する農家も多い。

また、最近は購入種子代が高い。コスト減らしも兼ねてF1品種からのタネ採りにも挑戦する人が増えている。「思ったより形質のばらつきは出ない」そうだが、たとえばらついても、その中から数年かけて自分の気に入った形質のものを選んでいけば、市場流通向けではないが味のいいオリジナルの品種が生まれたりもするそうだ。

知的所有権(財産権)が重視されるのにともなって、登録品種の自家採種・自家増殖を規制しようという動きも出てきているが、タネを採ることは農家の権利として種苗法でも認められている。花などの一部の品目と、種苗の購入時に特別な契約を結んだ場合を除いて、農家が自分の経営の範囲でタネを採ったり苗を殖やしたりするのは自由である。

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