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私はドラッグストアのシャンプー売り場で、笑顔でシャンプーの解説をしてくれる彼女の横顔に見とれていた。彼女が指を指す商品を見るふりをしては、彼女の話を聞くふりをしては、彼女の横顔を眺めていた。ああ、こんなふうにいつも彼女と買い物が出来たらどんなに幸せだろう、そんなことを考え、頭の中は妄想モードから暴走モードに突入寸前だった。
「このシャンプーはE主任が使ってますよ?」
暴走モードに突入しかけていた私は、彼女のこの一言で現実に引き戻された。会社の人間の名前を出されると、どうしても現実感が伴ってくる。
「ちなみに、Nちゃんは今何使ってるの?」
「私のはここにはないです(笑)」
「え!?ないの?じゃあどこで買ってるの?」
「アマゾンで(笑)普通にドラッグストアにないのもあるんですけど、値段が全然違ってくるんですよ。ドラッグストアで買うとだいたい、7、8千円くらいのものが5千円くらいとかになるんですよ。」
「え?そんなに違うの?」
そんな会話をしながら、店内を見て回り二人で外に出る。会社の駐車場を出る頃は、まだ薄暗かった辺りは、もう完全に暗くなっていた。そのままお互いの車の前で再び雑談になった。話し始めは、Nちゃんに秘密を暴露されたことを攻めることから始まったが、話の方向は思いがけない方向へと進んでいき、最終的に私を狼狽させることになっていった。
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