北海道編

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 そんな決意の元に、私はOさんに二回目のアクションをかけようとしていた。一回目に飲み会に誘ったのだが、あれから返事がないし、なによりも誘い方にも問題があったのか、実際は誰を誘いたいのかが、肝心な本人に、いまいち伝わっていないみたいだった。

 前日の夜から、固い決意の元なかなか寝られなかった私だが、当日はハイテンションで彼女が来るのを待っていた。余談だが、天気は快晴だった・・・。

 そろそろ彼女が来る頃ではないのか、時計を見ながらそわそわと落ち着かない。外は快晴だが、風は猛烈に強い。実は私のいる建物の辺りは、吹き溜まりになっており、西風が強く吹く冬などは、天気に関係なく、強烈な暴風が吹き荒れるのだった。

 これもまた余談だが、私が入社して一年目の冬、正確に言うと忘れもしない十二月十八日の夜、私はその風にあおられ、鉄製の分厚い扉に右手中指を挟まれ、末尾骨骨折のうえ、爪が根元から折れるという悲惨な体験をしていた。爪は折れるし、骨は折れるし、爪の中の肉が裂けて、七針も爪の肉を縫う羽目になったのだった。幸い根元から爪が折れた割には、爪は生えてくれたのだが、看護婦さんに座薬を入れられるという屈辱は、今でも私の苦い思い出の一つだ・・・。

 この出来事のおかげで、私は館内で一躍有名になり、おかげでお客様とのコミュニケーションが円滑となったことは怪我の功名であった。

 閑話休題・・・。

 さて、そんなこんなで思い出にふけっている頃、彼女がいつものようにやってきた。私は興奮を抑えきれず、思わず、キャンキャンと泣き叫びながら尻尾を振りたいのを懸命にこらえた。

 私は彼女を階段のあたりで捕まえた。彼女は私の声にゆっくりと振り向いた。私は真剣な顔で彼女を見つめる。前回とは違い、きちんと彼女を、まっすぐに見つめる。彼女も私を見つめていた・・・。
 そんなこんなで、日々辛い一日が続いているのだが、自業自得ということで、当然のことながら我慢の日々が続いていた。私はよく彼女とのことを考えるのだが、どうしても前向きにはなれない、ある一つのしこりがあった。それは、以前彼女と別れ話をした時の、彼女の一言がどうしても気になって仕方なかったのだった。

 その一言とは、彼女に対して私が、もう連絡を取らないと言ったときの、彼女の一言だった。

 「こんなの初めて・・・ひどいよ。」

 私はてっきり、振られたことが初めてだと思っていたのだが、どうやらそういう意味ではなかったらしい。では、どういう意味かというと、彼女曰く、彼女は今まで別れた元彼全員と、今でも何らかの形で必ず連絡が取れるようになっているらしい。

 つまり、私がもう連絡を取らないと言ったとき、連絡を取れなくされるのが初めて、という意味だったらしい。私にとっては、そっちのほうがショックだった。今までも、ずっと元彼と連絡を取っていたのか、そう考えるとなにやら心中穏やかではいられないのだ。

 そう考えると、もはや自分が彼女のコレクションの一つのような気がして、とても前向きにはなれないのだ。そして、彼女の相変わらずな無神経ぶり、それらを考えると、どうしても前向きに物事を考えるのは不可能だった。いや、現実的ではないのだ。

 そこでといっては、語弊があるのかもしれないのだが、やはりここはOさんへとアタック大作戦を進行させなくてはならない。私は、再度Oさんにアクションを立てることになった。

 飲み会の日取りも、話も進展していない。ここは向こうから進展を待っていてはきりがない。私は、出勤してくるOさんに再び話しかけた。手には一枚の紙切れを持って・・・。

彼女の撮影・・・

 さて、そんなこんなで誰もが耳を疑いたくなるような、思わず文句の一つも言いたいところだったのだが、いかんせん私は面と向かって言う勇気がない。そこで話題を切り替えたのだった。

 「そういえばさ、モデルの仕事はどうしてるの?」

 「この間、撮影してきたよ。夏ぐらいの女性ファッション誌に載るんでないか。まだわからないけど。」

 「へぇー、すごいじゃん。何に載るの?」

 「秘密・・・。まだわかんないから。」

 「いやいや、それは言おうよ。大事なことジャン。俺買いに行くからさ。」

 「いいって。発売されたら、そっちに送ってやっから。」

 「いやいや、買うって。何て雑誌よ?」

 「言わないって。何でそんなに聞きたがるのさ。」

 「当たり前ジャン。気になるからだよ。俺女性ファッション誌なんて知らないからさ。何ていうの?」

 「言わないって。送ってやっから。」

 ・・・私はどうせそれまでに、喧嘩して終わっているに違いないと思っていた。だから、どうしても雑誌名が知りたかったのだ。

 「教えろって。」

 「有名だからわかるって。聞いたことあるから。言ったら、あー、あれかって言うから。」

 「わかんないって、女性誌なんて。聞いても分かるのか?俺知ってるの、JJとかCanCamとか、アンアンとかくらいだぞ?」

 「・・・わかるから。大丈夫。」

 果たしてどうなのだろうか、ってか本当なのかな。どうも最近彼女を信じられないのだ。夏には分かるのかなぁ・・・。

えびちゃん事件

 私の優柔不断が、絶えずお互いを苦しめているのだが、それを承知の上でいまだに彼女とはつづいてしまっている。おまけに、彼と別れたらまたやり直して欲しいという彼女の要望に対し、思わず、うんと答えてしまったオバカな私は、もはや救いようのないところまで落ちてしまっている。

 もはやここまで来たら、行くところまで行くしかないのか・・・。

 さてその日の話題は、実は私から振ったのだったが、それは今話題のえびちゃんこと、蛯原友里のことだったのである。

 「えびちゃんってかわいいよね?」

 「そうかい?でも評判悪いよ?」

 「なんでさ、かわいくていいじゃん。」

 「いや、私も話したことないけど、現場で一緒になったことはあるよ。」

 ・・・本当かよ。疑わしい・・・。確かに彼女もモデルだからかわいいのだが、さすがにえびちゃんにはかなうまい。特に信奉するくらいに大好きな私には、彼女を傷つけるような発言は、控えて欲しかった。

 「でも、かわいいからいいじゃん。」

 「なにさ、かわいいかわいいってさ。」

 「なんでよ?」

 「みつ、変わったね。」

 「何が?」

 「別れてから冷たくなった。前は私だけって言ったのに、気になる人がいるとか、えびちゃんとかさ。」
 
 「いやいや、えびちゃんくらいいいだろう?自分だって、平井堅がいいって言ったじゃん。」

 「もう忘れた・・・。嫌い。みつなんて大嫌い。」

 「はぁ?意味がわかんないんですけど?」

 「そんなにえびちゃんがいいのかい?」

 さすがに、ここまで言われて、えびちゃんとは言えない。結局もう二度と、えびちゃんの話題は振らないと約束までさせられてしまったのだった・・・。なんで?

  そんなこんなで、いつも以上の激しい優柔不断ぶりを発揮した私だったが、もっと困るのは、Oさんにせっかく踏み切ったとたんにこれでは、幸先危うい・・・。しかも、それを断ろうと思えば、断れるはずなのだ。これでは、彼女を責める権利などとうてい私にはあるはずもない。
 どよ〜んとした気持ちのまま、その日を一日過ごす羽目になってしまったのだった・・・。

 
 さて、とりあえず、困った感じで仲直りしていることになった私たちなのだが、やはり彼女は前と少しも変わっていない。普通に彼の話をするし、部屋が楽しいなどと私にそれを、延々と聞かせるのだった。もはや苦痛でしかないそれは、絶えず私を苦しめるのだった。
 だが、今更彼女のせいではないのもわかっている。これは私に与えられた贖罪なのだ。彼女を吹っ切れないばかりか、いまだに彼女に決断をさせない私の心の迷いが、自分に帰ってきているだけなのだ。

 
 私はいつまで罪の意識に際悩まされればいいのだろう・・・。いつまで暗い闇を振り切れないのだろうか・・・。あんなに楽しかった日々が、いつのまにか私を苦しめる思い出になっている。その事実もまた、私に必要に付き纏うのだった・・・。

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