|
原作は世界中で大ベストセラーの小説、読んだ後しばらく余韻が残る感動作だった。
主人公のハンナ役はオスカー女優のケイト・ウィンスレット
少年の恋人マイケル役はドイツの新人デビッド・クロスくん
中年になったマイケルをレイフ・ファインズ。キャスティングが最高で特に
デビッドくんは予告を観た時はピンとこなかったけど、恋に一喜一憂する笑顔が可愛い少年から
愛するがゆえに苦悩する青年の喜怒哀楽を上手く表現し新鮮で今後が楽しみな俳優。
ハンナとマイケルの出会いから、ひと夏の逢瀬は原作に忠実に描かれていて美しく、甘く切ない中にも
ストーリーの核となるハンナの隠す秘密の伏せんが見え隠れするのだが、聡明なのに貧しく教養が無く
(多分、愛情もかけられていない半生)強烈な劣等感を隠して孤独に生きる複雑な女性の心情をケイトが
好演していた。裁判にかけられ有罪を宣告される事が解っていても嘘を突き通したハンナの胸中は
文盲というハンディがいかに自尊心を傷つけ精神に暗い影を落とすか計り知れない物がある。
愚かだけれど優しく、正直であるがゆえ不器用にしか生きられないハンナを生涯献身的に愛する
マイケル。映画が残念だったのはラスト近くで、長い年月を経て刑務所で再会するシーンから
出所の前日に二人が交わす会話がほとんど削られていて、映画の印象だけだとマイケルの態度が
かなり冷淡でハンナの死の原因がそこあるかのように受け取られやすい事だった。
やはり原作の流麗な文体と緻密な心理描写は原作に触れないと理解する事が難しい様に思う。
人間の罪と許し、全身全霊で人を愛する事、愛した人の全てを理解し合い、お互いの全てを受け入れる事
の難しさを切なく美しく伝えてくれる作品。映画を鑑賞した後にまた原作を読んでみよう。
|