田舎暮らしライター・山本一典の田舎雑記

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 わが故郷・北海道北見市の特産物は昔はハッカ、今はタマネギである。広大
な畑にタマネギが並ぶ風景は、実に壮観だ。しかし、昨年は台風や水害に見舞
われ、大打撃を受けた。北海道の姉からタマネギが1箱届いたときは、よくぞ
こんな年に送ってくれたと思ったほど。一昨年までは当たり前のように常食し
ていたタマネギだが、実は貴重品だと最近の「天声人語」で知った。
 フランスの有名な評論家は、「タマネギは貧乏人のトリュフだ」という言葉
を残しているのだとか。そのくらい高級食材という意味だが、タマネギがイチ
ゴに匹敵するほど糖度が高いことは私も知っていた。熱を加えるとそれが前面
に出て、料理のベースをつくってくれる。日本では明治の初めに広まったそう
だ。わが家では煮物にも入れるが、やはりサラダに使うことが多い。かき揚げ
にもなるので、タマネギなしの生活は考えられないのだ。
 ただ、栽培は簡単ではない。プロの農家でも昨年はベト病にやられたところ
が多く、全国的な高値を招いた。家庭菜園の得意な移住者でも、タマネギを作
っている人は少数派。やはりスーパーで買う人が多い。産地は北海道以外に淡
路島や九州も有名だが、栽培には細心の注意を払っているようだ。2年続けて
不作は考えにくいものの、こればっかりはわからない。今やすっかり故郷の味
となったタマネギ。心ゆくまで味わいたいものだ。

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文章を書くときの心得

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 こんなことを自慢しても笑われるだけだが、私は自分の文章を巧いと思った
ことは一度もない。もともと編集者からスタートしたので、他人の文章の巧い
・下手は論じられるが、自己評価できるほどの筆力があるとは思えないからで
ある。でも、気が付いたらフリーライターを始めて30年ちょっと。まがりな
りにもここまで続けられたのは、平均点以上の文章を書く力と速度と理解力が
あったからだとは思う。
 私はこれまで何十人という編集者と出会ってきたが、自分の原稿に赤字を入
れられて「さすが」と思った相手は数えるほど。でも、本当にできる編集者と
いうのは、句読点を変えるだけでもホーと納得させられるものだ。たいていの
物書きは自分が書いた原稿が頭の中に残っており、直された部分はすぐに気が
付く。でも、これも共同作業だから、よほど合点がいかない限り編集者の意向
を尊重するようにしている。ただ、昔みたいにホーと思う編集者が少なくなっ
たことは事実だ。
 私らの若いときは、本多勝一氏の「日本語の作文技術」というお手本があっ
た。文章はいかに重複を避けるか、ワンセンテンスの中に動詞はいくつまで許
されるか、句読点はどう打つかなど、この本から学んだことは少なくない。お
そらく今の若い編集者は、この本の存在すら知らないのだろう。だからワンセ
ンテンスの中に「という」を3つも入れて何の疑問も感じないのだ。超ロング
セラーのこの本は、1年半前に改訂版も発行されている。ぜひ一読をお勧めし
たい。

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 福島県の最新の調査によると、政府の指示によってではなく自ら県内外に自
主避難した世帯のうち、住宅の無償支援が打ち切られた4月以降も住まいが決
まっていないのは119世帯と判明。内訳は県内56世帯、県外63世帯とな
っている。決まらない理由は、保証人などが決まらず選定中がほぼ半数、支援
の打ち切りに反対が約3割、経済的困窮が約1割という。県内は高齢者、県外
は30〜50代が多い。
 このニュースを聞いて、意外に少ないなあというのが正直な感想だ。辞めた
今村大臣の「本人の責任」発言でもクローズアップされた自主避難者だが、避
難指示を受けていないため慰謝料は0〜72万円。生活の大転換を余儀なくさ
れたのだから、ほとんどが大赤字である。しかし、福島県民というだけで成金
扱いされ、地域だけでなく家族や夫婦にまで亀裂が生じた。それでも新しい住
まいを決めざるを得なかったのは、次の生活に移らざるを得ないからだろう。
心情的には支援打ち切りに反対でも、それができない人だっている。
 むしろ気になるのは、経済的困窮の約1割だ。新しい住まいに移りたくても
貯蓄が底を突き、動くに動けない人がいるのである。県では避難元と避難先の
自治体と連携しながら問題に対処していく予定だが、年金も報酬も少ない一部
の高齢者は難しい問題を抱えているはずだ。119世帯は少ないが、避難指示を
含めれば昨年10月の時点で約2万6000人が戻っていない。自主避難者よ
り恵まれているとはいえ、この中にもいずれ経済的困窮を抱える人が出てくる
可能性はある。国策による事故のツケは、あまりにも大きい。

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相次ぐ失言の本質

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 またしても今村復興相が「原発事故が東北でよかった」という旨の発言をし
て、物議を醸した。さすがに今回は即辞任だが、どうしてこういうことになっ
てしまうのか。安倍首相は就任後、福島には何度も足を運んでいる。だから県
民感情はわかっているはずなのに、それが任命した大臣には届かない。今は安
倍一強の時代で、本当はこんな政局がいいはずはないのに、国民も野党の揚げ
足とりばかり。まったく、いまの日本はどうなっているのだろう。
 振り返れば、福島を巡って閣僚の失言は数多くあった。「死の街」「金目で
しょ」「本人の責任」などなど。私ら福島県民だってバカではないから、それ
が本質と離れたものではないことくらいわかっている。帰宅困難区域は死の街
と呼ばれたって仕方ないし、最後はお金の問題というのも嘘ではないし、自主
避難者が帰らないのは本人の都合であることも事実。もし原発事故が東京で起
きたらどうなるかなんて、広瀬隆氏が30年以上前に指摘していたことだ(そ
の賠償額を試算したジャーナリストもいる)。ただ、いちばん肝心なのは、実
際にそれを招いたのは誰なのか、である。
 エリートと呼ばれる人たちは、本当のことを述べて何が悪いんだと思ってい
る節がある。しかし、福島だけでも膨大な震災関連死を生んだのが原発事故な
のだ。全国に原発をばらまいたのは紛れもなく長期政権の自民党であり、国策
として取り返しの付かない犯罪を犯した。そんな時代であっても、政権与党は
何ごともなかったように愚行を繰り返している。野党は瀕死の状態だが、それ
に対して弱い者いじめしかできない一部のネオコン世代も情けない。結局、日
本の中枢は東北のこと、ましてや福島のことなど本気で考えていないのだよ。
それがはっきりした今回の今村発言だと私には思える。

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今年の堰普請

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 一昨日の朝5時30分から、春恒例の堰普請が行われた。堰普請とは、田ん
ぼの用水路の清掃作業のこと。といっても水は地表の用水路だけでなく、地下
に埋設された管の中にも流れている。主目的は稲作だが、防火用水も兼ねてお
り、そうなると農家だけでなく、全住民が対象。というわけで、私らも移住し
た15年前から参加しているのだ。
 昔は5月3日と決まっていた。農家にゴールデンウィークなど関係ない、勤
めている兼業農家も祝日の方が都合がいいという理由だったのかもしれない。
しかし、現在は10日ほど日程が早まった。やはりゴールデンウィークは私的
に使いたい人も増えているのだろう。ただ、朝早いのは昔と同じ。眠いのはも
ちろんだが、地面は霜で凍っている。みんな「いやー、寒いな」とつぶやきな
がら、作業を開始した。
 実質的な作業は1時間ほど。1年で用水に溜まるゴミは限られているから、
それほど大変な作業でもない。原発事故から3年ほどは参加者も少なかったけ
れど、ちょっと数えてみたら40名ほどいる。やはり仮設住宅から戻った人が
多いのかもしれない。堰普請に関しては、ほぼ震災前に戻ったといえそうだ。
体より口しか動かないというのが本当のところだが、こういう共同作業でコミ
ュニティの結束を確認できる。やはり大事な行事なのだ。

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野外で魚パーティ

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 金曜日にウォーキングから戻ったら、ちょうどヤマトのお兄さんが大きな発
泡スチロールの箱を持って来た。それもズシリと重い。送り主を見たら、何と
いわきから石巻に異動した朝日新聞のOさんからではないか。ガムテープを剥
がすと、中にはあんこう、タラ、ニシン、金頭、ホタテ貝などの海の幸がいっ
ぱい。福島の常磐ものも出荷はされているが、なかなか私らの口に入らない。
そんな私たちの気持ちも考えて、こんなすごいモノを送ってくれたのだろう。
さっそくメッセンジャーでやりとりしたが、有り難く頂戴することにした。
 ただ、1つだけネックなのは私の腕では魚が捌けないこと。とくにあんこう
は難易度が高く、とても初心者ができるとも思えない。そこで頭に浮かんだの
が、移住者仲間のyamanekfさんである。彼は震災前に富岡港から盛んに海釣り
に出かけていた人で、ナイフも自分でつくってしまうほどスキルが高い。あん
こうはどうかと思ったら、「俺、吊し切りしたことあるんだよ。パソコンでプ
リントしたの、ちゃんと取ってあるんだ」と見せてくれた。いやー、本当にこ
の人は元銀行マンとは思えないほどレベルが違う。で、「どうせなら仲間を集
めて魚パーティやるか」という話になった。
 魚を新鮮なうちに食べられるのは1日くらい。というわけで、土曜日に魚パ
ーティを決行。約束の午前11時半に伺ったら、あんこうの吊し切りはすでに
終了していた。なぜかサバが1匹追加されていたのだが、「あんこうがこのま
ま飲み込んでいたんだよ」と笑う。今回は緊急の宴会なので、内輪の避難者仲
間7名だけだったが、そろそろ花見と思っていたから会話も弾む。会場の山根
は都路より150mほど高いだけだが、開花しているのは梅だけ。こんなに風
景が変わるんだと、美味しい鍋を突きながらちょっとびっくりした。

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ブックオフが不振?

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 私ら物書き稼業にとって、ブックオフという会社は驚異的な存在だった。新
しい本を出しても、数カ月も経たないうちに中古本が安い価格で店頭に並ぶ。
立ち読みもできるから本の状態も確認できるし、新品にこだわらない人にとっ
ては利用価値が高い。だから急成長を遂げたのだが、ネット情報によれば20
12年頃から売り上げが鈍化。2016年3月期には上場以来初の赤字に転落
し、2017年3月期も赤字の見通しだという。一時の人気ぶりを見てきただ
けに、信じられないような情報だ。
 このような事態になったのは、主力商品である書籍、ソフト、アパレルの売
り上げが低迷しているから。直営店の販売実績は活字の書籍こそ前年比プラス
だったものの、コミックが横ばい、その他の書籍はマイナスになっている。出
版業界自体が低迷しているのは周知の事実だが、その背景にあるのはネットと
電子書籍の普及。それと同じことが中古市場にも起きているらしい。今はアマ
ゾンで安い中古本が簡単に手に入るし、書籍の状態のデータも事前に教えてく
れる。わざわざブックオフに出かける必要も薄れているわけだ。
 そこで、近年は中古家電の販売に力を入れ始めた。しかし、買い取りが思う
ように進まず、V字回復とはなっていないようだ。社長が代わったばかりなの
で、どういう展開になるのかまだわからないが、書籍での業績回復は難しいだ
ろう。私らの業界には図書館というもう1つの障壁もあるのだが、書籍を売る
のは本当に難しい時代になった。私自身、過去に11冊の本を出しているが、
1冊を書き上げるときのエネルギーはやった人間でないとわからないもの。
れが中古でも売れない、売れても二束三文なのだから、書籍に関わる人間にと
っては厳しい時代がまだまだ続きそうだ。

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災害時のトイレ

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 昨日に和式・洋式トイレの話を書いたばかりだが、朝日新聞・科学医療部の
記者が災害時のトイレの重要性について指摘していた。確かに日常のトイレも
大事だけれど、本当に大事なのは災害時の排泄問題だろう。はっきりいって田
舎は野外で用を足す人が少なくないから、短期間なら穴を掘って処理する手だ
ってある。しかし、避難生活が長引いたら話は別。需要と供給のバランスが崩
れるので、トイレの不足は緊急の課題になりやすいのだ。
 トイレの中長期対策としては、水分を固める携帯トイレ、工事現場でよく見
かける仮設トイレ、下水道に直結させたマンホールトイレがあるという。原発
事故が起きたとき、大熊町から都路に避難してきた人たちは、写真の公衆トイ
レも使ったはず。ただ、これはもともとそういう想定でつくったものではない
から、補助的な役割しか期待できない。体育館が満員になるほど人が多いと、
トイレに並ぶだけでも大きな苦痛。それゆえに排泄を我慢したり、水分補給を
控える人が増えてくる。熊本地震で問題になった車中泊によるエコノミー症候
群の原因にもなるのだ。
 行政は自然災害に備えて仮設住宅をストックしているはずだが、中長期的な
避難生活を想定したトイレまでは用意していないだろう。しかし、水害、山崩
れ、津波、高潮、噴火など、これほど多くの自然災害が頻発してくると、やは
りトイレの問題は最重要課題と位置づけてもいいのではなかろうか。避難生活
の長期化が震災関連死に直結することは、福島や熊本のケースで明らかになっ
た。直接死はある程度避けられないとしても、二次災害を防ぐのは行政の役目
だろう。「普段からトイレについて語ろう」と呼びかける記者の問いかけに、
思わず納得した。

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たまにはトイレの話

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 朝日新聞の投稿欄に「和式でよければお先にどうぞ」とトイレを譲られた逸
話が出ていた。そのくらい日本人に洋式トイレが浸透したわけで、投稿した女
性は「全国でトイレの洋式化を期待します」と大胆な提言をしている。私も旅
先で公衆トイレをよく利用するが、和式だとガッカリするのは事実。男性は目
的がはっきりしており、洋式の方が腰に負担がかからない。まして今は暖房便
座+ウォシュレットが当たり前だから、ついついトイレに快適さを求めてしま
うのだろう。
 写真は群馬にある妻の実家のトイレ。小用・大用に分かれた外便所である。
最初は戸惑ったものだが、このトイレでもいろんな勉強をさせてもらった。
ず冬の寒さが半端でない。酒飲みは用足しが短くなるが、それでも外気に触れ
ながら足を運ばねばならないのだ。もっと戸惑ったのは、鍵が付いていないこ
と。昔は大家族だったのだが、誰がいないかを把握してから戸を開ける。ここ
で生まれ育った人は慣れたもので、間違って開けたりしないのだ。これもコミ
ュニケーション能力の高さと言えるかもしれない(笑)。
 ウォシュレットと外便所は両極の世界だが、わが家はその中間。引っ越して
きたとき汲み取りだったので、さすがにそこまではと簡易水洗に変えたのだ。
もちろん屋内にあるので寒さは感じないし、少量の水を流す部分にフタが付い
ているから臭いだってまったく気にならない。しかも、便座は洋式の暖房便座
で、感覚的には普通の水洗トイレだ。でも、たまに群馬に行くと、あの緊張感
のあるトイレも愛おしく感じる。やはり全国洋式化には賛同できない。

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「昨日、あそこですれ違っだのわがっか?」「わがるに決まってるべ。何年、
ここに住んでると思ってんだ」とは、ご近所との会話でよく出てくる文句であ
る。都会人には信じがたいことかもしれないが、田舎の人は車を見ただけで親
しい人はすぐわかるのだ。最初は車種、次に色、最後はナンバーまで判別。
んな芸当ができるのも、人間関係の濃密な地域社会に住んでいるからだ。
 私がまだ取材で田舎に通っていた頃に聞いたのは、「田舎の人は車で選挙の
票読みができる」という話。合併以前の話ではあるが、選挙期間中にあの人が
あの場所に行ったというだけで票まで読んでしまうのだから田舎の人は素晴ら
しい(笑)。昔は選挙違反も当たり前で、「うちは4人だから8万円だな」な
んて言葉も聞いた。もちろん、悪いことなのだが、共犯関係になることで票を
固めるのは合理的な発想ではある。地縁血縁がものをいう社会なので、浮動票
さえわかれば選挙対策なんて簡単なのだ。
 もう選挙違反の噂は聞かないけれど、やはり車で相手を識別する習慣は消え
ていない。だから○○さんが畑にいたとか、○○さんがどこで買い物したとか
は、すぐにわかってしまう。別にそれで困ることもないのだけど、慣れない人
は監視されているような気分になるかもしれない。でも、田舎に5年も住んで
いたら、こんなことは誰でもできるようになる。まあ、今は田舎の人でも携帯
電話を使う時代になったから、車で識別する必要もないのだが。

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