上総歴史散歩・玉前神社の謎

ただいま古代の上総国を探究中です

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上総国の車持氏

○上総の車持氏

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浮世絵の笠森観音(江戸時代)

中臣氏(藤原氏)は群雄割拠した古代氏族の中で最後に勝利した氏族であり、奈良時代より天皇家と共に浮沈はありましたが、日本の歴史の中枢に位置してきました。

上総国に車持(蔵持)氏の領地があったことはあまり知られていないと思いますが、車持氏は藤原不比等の母である車持与志古(よしこ)姫の里で、中臣氏と深い関係がある氏族です。中臣氏の本拠地である常陸国と上総国は隣接する国であり、中臣氏が勢力の衰えた和邇(ワニ)氏を吸収して関東に勢力を伸ばしたことを考えると、上総国に車持氏の足跡があるのは意外な事ではないと思います。

今回は茂原市の隣接地にある「笠森観音」で有名な蔵持(車持)を取上げました。

*長柄郡上丁(かみつよぼろ)が詠んだ防人歌より

663年天智天皇は白村江(はくそんこう・はくすきのえ)の戦いに敗れ、同盟国の百済は滅亡した。
天智天皇は唐・新羅連合軍が侵攻して来るのではないかと警戒し、西海の防備を調えた。
各地の軍団から兵を徴収し防人として筑紫・対馬・壱岐の警備に着かせたが上総国長柄郡(この頃は埴生郡に属していた)の若者も上丁(かみつよぼろ・一般兵士)として徴収された。

防人は難波津に集められ、そこから船で北九州へ向かった。任期は3年だが、延長もよくあり、食糧や武器は自前で、任期中に税を免除されることもなかった。

この頃の中臣氏は鎌足が天智天皇の片腕となっていることで、関東(東国)よりの一般兵士の徴収に協力的だったのではないでしょうか?

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・上総国「蔵持・車持」の位置
(10世紀の和名抄にはすでに車持、刑部の名がみえる)

・若麻續部の羊(わかおみべのひつじ)の歌(万葉集より)
(長柄郡上丁・かみつよぼろ・一般兵士)

筑紫辺に舳向かる舟のいつしかも仕え奉りて国に舳向かも

筑紫へ舳先を向けて進んでいる舟は、いつになれば任務を果たして故郷に舳先を向けるのか

この上総国の上丁(よぼろ・一般兵士)が無事任務を終え、家族の元に帰れたのかは定かではありませんが、これから印象的な「ひつじ」と言う名前に注目して車持(蔵持)氏をたどってみようと思います。

*車持(蔵持)氏とはどのような氏族か

(鉄製品の生産を生業としていた)
車持(蔵持)氏は渡来人であり、物部氏や大伴氏と共に早くから大王家の側近で、大王の輿車を持つ役割を担っていた一族で、早い時期から大王家とかかわりがあり、最初の氏名(うじな)は神功皇后の御世に韓矢田(からやた)姓を賜り、「韓矢田部」を名乗っていたが、その一族が後に雄略天皇から車持姓を賜りました。群馬県高崎市に車持氏と思われる前方後円墳があることから、この榛名山を望む地が車持氏の本居地とみられている。このあたりは古代には久留末(くるま)と呼ばれており、これが現在の群馬県の名前の由来と言われます。その他に、越・筑紫・摂津に車持氏の足跡があるそうです。

*車持氏の苦難

(反逆者の汚名と榛名山の噴火)6世紀初め頃
雄略天皇時代に美麗な輿車を献上して車持の姓を与えられた(新選姓氏録)と伝えられていますが、このことから推測すると、輿車を作る技術を持ちながら、かつ生活に必要な鉄製品の生産を生業として、一族はかなり栄えていたのではないでしょうか?また、継体天皇3年に「久羅痲到・くらもちの君」が百済に使いしたとの記述があるそうなので(日本書紀)車持氏は早くから中央で活躍していたと思います。

また、欽明天皇時代に安閑天皇側に付き政争に破れ、いち早く恭順したが、本拠地の鉄を産する緑埜(みどの)屯田(同族の韓矢田部の胡人が鉄と鉄製品を生産していた)を取り上げられ、また、6世紀初めと中頃に2度榛名山の噴火があり、2度目の噴火は規模が大きく火砕流や降下軽石があり、火山灰が広範囲に降り積もった。この噴火により生産性がいちじるしく落ち、この地域の噴火後の古墳と噴火前の古墳を比較して、住民(豪族)は移住したのではないかと推測されています。

車持氏はごく早い時期から大王家に仕えているので、その氏族としての性格は大伴氏や物部氏に近いと思います。また、鉄と鉄製品の生産を生業としていたこともあり、榛名山の噴火で、不本意ながら本拠地を離れ、他所に移住しても鉄製品を生産する技術を持っているので、生産条件に叶う場所があれば、一族は再生出来たのではないでしょうか?

6世紀中頃に本拠地が榛名山の噴火で壊滅的な打撃を受けたその約100年後、大化の改新(645年)頃に車持氏の与志子姫は中大兄皇子に采女として献上された。そして、659年中臣鎌足は天智天皇より与志子姫を賜り不比等が誕生するのですが、一族は困難の後、不比等が誕生したことで再び繫栄の礎を築いたと思います。

(不比等は与志子姫の産んだ子ではないとの説がありますが、上総国蔵持に燐接する藻原壮は平安時代、上総介に任じられた藤原黒麻呂の牧であり、興福寺に献上され、一族が経営に当たっています。この地域は私には車持氏と中臣(藤原)氏がセットになっている様に見え、両氏族の絆の深さが感じられるので、やはり不比等の母は与志子姫ではないでしょうか。

次回は「ひつじ」をヒントに豊城入彦命(崇神天皇の皇子)を祖とする「上毛野六腹」の一族から、車持氏のルーツを探ってみたいと思います。

参考文献
HP:吉田カルチャーパーク 古墳研究室
長生・夷隅の歴史

*玉依姫より
HP吉田カルチャーパーク 古墳研究室は高崎市の車持氏の古墳と見られる前方後円墳を判りやすく解説し、かつ、氏の記事より上毛野・下毛野が渡来人の多い地域であったことをあらためて興味深く拝見しました。中でも、榛名山の2度の噴火はこの地域の豪族にとって、とても重要な出来事であると思います。
吉田さん、とても参考になりました。ありがとうございます

閉じる コメント(13)

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C1q94929
お金に困ってませんか?
どうしても紹介したいものがあるんです。
嘘みたいなホントの話。
ここ、マジで稼げちゃうんですよね…
tp://4eGa0J3c.m.rrnpk.mobi/4eGa0J3c/ 削除

2011/11/22(火) 午後 5:22 [ 唐突にすみません ] 返信する

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379ny6p5
人肌恋しくなってきたり、しない?
私は、なるなぁ・・・。一人で眠るのは寂しいよ。。
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2011/11/23(水) 午前 7:10 [ 寒くなってきたし… ] 返信する

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7QY80dJ9
そういう時こそ
リア充しようぜ☆
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2011/11/27(日) 午前 11:03 [ 最近のTVってつまんなくない? ] 返信する

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こちらこそ ご無沙汰しております 地元ならではの歴史発掘ですね
安房 上総 下総 古代史の宝庫かもしれません

2011/12/10(土) 午後 9:21 [ 孝彦 ] 返信する

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この蔵持地域は地元ではほとんど注目されていないようで、
あまりてがかりがありません。
正直、辛いテーマを選んでしまいました。

2012/1/1(日) 午後 4:34 [ 玉依姫 ] 返信する

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本年もよろしくお願いします 榛名山の噴火では ポンペイのように集落が そのままの形で埋もれている遺跡の話を聞いたことがあります
車持氏がこつぜんと消えたようにみえるのは 避難もままならかった可能性もありますでしょうか 鉄器についてですけれど こちらの多摩の地元の農機具には 近代まで 木製が多くみられます 木くわなどですね 武器としての鉄という視点から見ると 関東の古代には 地域の内乱のようなあともすくないようにも感じられます
そのあたりにも 鉄に関する記録が消えてしまったのでしょうか
興味はつきないですね
今日は 近所で見つけた 天穂日命を祭る 出雲祝神社に行ってきました 関東の歴史もそうとう古いことを感じて謎は深まるばかりです

2012/1/1(日) 午後 7:07 [ 孝彦 ] 返信する

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鉄の話は興味深いですね。日本の鉄の歴史は大雑把に言うと、推古天皇の時代に国の政策として大陸のレベルまで引き上げる目標がかかげられた様です。刀剣を例にあげるとその後、日本国の鉄丹治技術は大陸からの技術者の招聘などで、平安時代には大陸にまさり、輸出するまでになりました。
これは、平安時代になるまで、倭丹治のレベルはそれほど高くなかったということでしょうか?
もう一つ、鉄から推測することは東北地方に新日鉄釜石があることです。この地方も古代には、日本刀の元と言われる舞草刀の生産地だったようです。この刀は胡刀に似ているところがあり、反りがありますが、同時代のいわゆる倭刀は直刀で、切るよりも、突く目的で造られたようです。
関東は出雲の国か?この謎はとても深いと思います。
貴重な情報ありがとうございました。

2012/1/15(日) 午後 5:09 [ 玉依姫 ] 返信する

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玉依姫 様 (一九四)

仮説になります。
【役ノ行者】について概説しました。きっとご不満も多かったと思います。一時は配流となったものの、後に許されさらには、天皇の中にも支持者が出てくるようになり、権力者の庇護を得るところとなり、役ノ行者によって提唱された、【本地垂迹説】、【修験道】、【権現】の思想はそのご長きにわたって日本の一思想、精神文化として長く定着することになりました。ご存知のように大和(奈良県)の吉野山を本拠として、山形県の【蔵王山】など各地に多くの役ノ行者が祀られます。役ノ行者が支持を得た背景には、出自が【カモ氏】とされることが大きく作用したのではと推察します。

2013/4/18(木) 午前 7:34 [ japan_sansya ] 返信する

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記述中、【天皇の実在は五世紀をさかのぼらないだろう】と推論(私論)しましたことはご不興をかったことだろうと思いますが、冷静に受け止めてくださってありがとうございます。
また、役ノ行者は道教、祅教(けんきょう)の影響を受けているのではないか? とする研究もあるようですが、肯定論、否定論があいなかばしており、現在まだ結論が出ていないのではないでしょうか。
役ノ行者のその後の超人的な事跡は半ば伝説となって強調されて伝わります。実・不実が確かめにくい事柄がたくさんあります。

2013/4/18(木) 午前 7:34 [ japan_sansya ] 返信する

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護摩に起源をもつと推定される【火の信仰】は、愛媛県の八幡浜市の川名津天満神社柱松神事、岩国市の柱幟、大阪市西成区、玉出神社の臺額、京都府日吉町、美山地区、京都市雲ヶ畑、花脊地区その他で行われる柱松神事は、福井県遠敷郡の名田庄にも関連します、さらに、能登半島の奉燈や、きりこ。越中(富山県)旧福野町を中心に行われる夜高、魚津市諏訪神社のたてもん、越後(新潟県)弥彦神社を中心に行われる行燈は、巫子爺とよばれる山車さらにはその思想を拡大した十日町の大花火、秋田の竿灯、湯沢の行燈、福島県白河の山車、同じく二本松の提燈祭、埼玉県秩父市、秩父神社の秩父夜祭、関東地区各地の萬燈(まんど)、青森県各地で行われる佞武多、ねぷた。
静岡県吉田市の火祭、福島県須賀川市の大松明。

2013/4/18(木) 午前 7:35 [ japan_sansya ] 返信する

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佛教の盂蘭盆会と結びついた京都五山の送り火は、八木町、さらには大阪府池田市、岡山県笠岡市、愛媛県でも行われます。
燈籠流しなどもこの範疇に含めるべきかもしれません。これらの地域の出身者が多かった北海道各地には郷里に伝統を受け継いだ民俗行事が伝わります。
一本の柱から、山車におよび、さらには火の神事に結びつく各地の伝統行事の根源は、ペルシャのゾロアスター(拝火教)にその淵源があると思量され、はるばる大和國の飛鳥にもたらされたオリエント起源の【火の神事】が、役ノ行者に始まるとされる【護摩】に受け継がれ、さらにはこれが各地に伝えられたと推定されます。
玉依姫さんも、日本へのゾロアスター教の渡来を支持されておられますね。

2013/4/18(木) 午前 7:36 [ japan_sansya ] 返信する

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6世紀初めの宋の史書「夷蛮伝・倭国伝」による5人の倭国王はよく知られています。この5人の王が413年〜478年間に少なくとも9回、宋に貢ぎ物を送って貢物を献じたそうです。朝貢して軍号や爵号などの称号を貰うことを(冊封体制)といいますが、それでは、夷蛮と呼ばれた倭以外の国はどのような称号を得ていたのでしょうか、百済王は(420年)鎮東大将軍、高句麗王は征東大将軍と、2番目の位(大将軍)をもらっている。
(463年)になると高句麗王は開府儀同三司という一番上の位をもらっているが、倭王は3番目の位で安東将軍という位で、5世紀の東アジアを中心とする国際的地位は低かったということが分かります。
(それにしても夷蛮とはすごい呼び方です)

2013/4/18(木) 午後 3:07 [ 玉依姫 ] 返信する

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玉依姫 様 (三〇二)
【東西文化の回廊】
四 神社の来た道
これは仮説です。
紀元二世紀から七世紀にかけて多くの古墳が築造されるようになりました.初期は小規模の【円墳】から後には大規模な【前方後円墳】が造られ、その後は古墳文化は終わりました。これらの古墳は神道の下で成立しており、仏教遺跡ではありませんね。
古墳文化は韓半島(朝鮮半島)を経て渡来した外国文化であり。構造体に羨道、玄室を備えた【】 横穴式古墳の淵源はドルメン(支石墓)にあるといっていいのではないでしょうか。ただ問題がないわけではなく、韓半島(朝鮮半島)にある膨大な数のドルメンをどのように説明するのか? フランスを期限とするドルメンを築造した多くの民族はその末裔らはいまも韓半島(朝鮮半島)にいるのか?いないのか?

2013/5/28(火) 午前 0:46 [ japan_sansya ] 返信する

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